裏庭 (新潮文庫)

著者 :
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本棚登録 : 6707
レビュー : 756
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253312

感想・レビュー・書評

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  • いまお医者さんのはしごをしていて「閉鎖病棟」は待合室で読むのにちょっとためらわれたので持ってたこれをちょっとだけ、と思ったらとっても読みやすくて止まらない。ドキドキな世界観。ナルニアと昭和がそこに。併読しようと思います。

    梨木香歩さんデビューしました。
    6年前、双子の弟、純くんを亡くした照美ちゃんという女の子が主人公。日本にある英国人が昔住んでいたバーンズ屋敷という古いお屋敷が主な舞台です。石垣の穴を潜り抜けて忍び込む裏庭は、何世代もの子どもたちの密かな楽園。
    実はここにある大鏡は異世界のドア。
    照美は、テルミーとしてここで大冒険を繰り広げます。
    そのなかで彼女はたくさんの出会いと経験と試練を繰り返して成長してゆきます。
    スナッフ・キン、テナシ(コロウブ)、レベッカ、妙さん、ハシヒメ、ソレデ、カラダ、ハイボウ、キリスゲ、ビャクシン、タムリン、音読みの婆
    3人の音読みの婆の
    傷を恐れるな
    傷に支配されるな
    傷はそだてていかねばならない
    そこからしか自分は生まれない が好きです。

    このお屋敷の持ち主バーンズさんたちは日本に親しい人々と親交を持ったけど、戦争で母国に帰国。お屋敷はそのままで残り、照美のおばあちゃんと親しかったバーンズ家の少女、レイチェルは、孫世代が彼女たちとおなじ年頃になるころ、再び日本に戻ってきて数人と再会を果たします。
    レイチェルと家政婦マーサ・レイノルズさんとの会話の
    115ページから117ページが軸なんじゃないかなぁって思いました。家庭は家の庭と書く。裏庭なんて言葉が大嫌いなマーサ。どんな庭も大切な庭。裏なんて表現は許せない。そんなふたりがとてもステキ。

    年端もいかない女の子の照美に知恵遅れの弟の純のことを任せきりで仕事に没頭する両親。その母にずっと厳しくあたり続けた祖母。庭は何世代もの長い時間を経てできあがってゆくものだといいますが、家や人もまたそうだと思わずにはいられません。長い時間を経て環境が生むものは大きそうです。
    純の死に後悔する照美ですが、純を守る方法がなにかあったのではないかと思ってしまいます。読んでいると、庭師の不在が招いた不幸だともいえるかもしれない、と。パパは純と照美が庭に入ってゆくところを偶然目撃していたし、もう少し照美達という「家の庭」をみつめてほしかった。照美ばかりが罪を背負うには、幼なすぎる。
    子どもたちを優しく、日本の庭のように、理想的な混沌のなかで見守ってあげてほしいという大人への願いと、厳しい世界のなかでも子どもたちが逞しく優しく育ってほしいという願いを感じます。
    綾子ちゃんのおじいちゃんのジョージさんの10ページのお部屋がとても好き。懐かしい昭和の匂い。

  • 2009年2月13日~14日。
     児童文学ファンタジー大賞受賞作とのこと。
    「はは、子供の本か」と笑うような輩がいたら、ぜひ自分の目でこの本を読んでみてほしい。
     そんな文句は言えなくなるはずだ。
     村上春樹氏を思わせるという感想が多いが、それはこの物語の重層構造が「世界の終わりとハード・ボイルド・ワンダーランド」を思わせるからだろう。
     ファンタジーであるし、やはり児童文学ということで割と判りやすい表現を使っている箇所もあるが、内容はかなり重く、そしてかなりシビア。
     大人の目線で読むと、特に父や母の目線で読むと、全然違った風景が見えてくるはず。
     何度か読み返したくなるような本である。

  • 自分の傷と真正面から向き合うよりは、似たような他人の傷を品評する方が遙かに楽だもんな

  • 一味変わったファンタジー。最後はなかなかの重さ。

  • 久々にファンタジーを読んだので、もう読んでるだけでとても楽しかったのだけれど、そういえば日本人作家の長編ファンタジーは初めて手にしたのかもしれないと思い、その不思議な世界においてこそ浮き彫りになる現実感に納得したような気持ちになった。ファンタジーというカテゴリに関わらず、推理小説よりも"現実"を読んでいるようで、ワクワクドキドキというよりも、目が醒めるような冴え冴えとした心持ちで読み進めることになったが、ファンタジー特有の、理解を通り越して心で納得する快感は全編に通じていたように思う。とても栄養価の高い物語。

  • 最初は…これはワクワクだわ!と
    ひきこまれたが…中盤以降が
    私には深すぎて入り込めなくなってしまった…。

  • ある洋館の秘密の裏庭を舞台に、様々な人々の想いが響きあって物語が進んでいく。

  • 何回読んだかわからない、一番好きな本。

  • 不思議な屋敷に隠された秘密と少女の成長の物語。吸い込まれるような透明度を持った物語でした。

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著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

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