裏庭 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 756
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253312

作品紹介・あらすじ

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた-教えよう、君に、と。少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。少女自身に出会う旅に。

感想・レビュー・書評

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  • 孤独な家庭に育ち弟を亡くした照美が友人の祖父から聞いた英国屋敷の鏡の世界に入り、導かれて成長する物語。
    鏡の中で主人公は忘れていた傷と向き合い受け入れて成長していきます。傷は忘れているつもりでも心のどこかで血を流し続けているのだからちゃんと真っ向から向き合って受け入れる、難しいけれど大切なことを伝えられました。

    言葉使いや表現が心地良く、一気に読めました。

  • 梨木さんの『秘密の花園ノート』がとても良かったので、『裏庭』も期待を持って読み始めた。けれど、裏庭が開かれる47ページ以降、話の展開についていけず、またカタカナ名やフォントにも馴染めなかった。
    メッセージが直接的で、メタファーが多すぎ、一つの作品として楽しむことができなかった。
    実験的に書いてみたのかな。

  • 過日実家に寄りましたら、梨木香歩さんの本が山積みになっていた。

    (どこだか)に持って行こうと思ったんだけど、読む? と訊かれたので、反射的に「読む」と答えてしまった。で、6冊ほど借りて来たのである。


    梨木香歩さんは、「西の魔女が死んだ」はいい話だったな。

    さてこの本。

    「西の魔女」はファンタジックな現実譚ではあったが、こちらはコテコテのファンタジーであった。おばあちゃんこそ出て来るけど。

    空き家になっている近所の洋館。その庭は、近所の子供たちが入り込んでは遊ぶ場になっている。そこにあった鏡から、主人公の少女照美は「裏庭」の異世界に渡ってしまう。

    照美はテルミーになり、謎めいた登場人物たちとともに、世界を繋ぎ止めるためのあるものを求めて、その裏庭世界を行脚することになる。

    裏庭というのはかつて裏庭に消えた洋館の家族の、あるいは照美自身の心の裡なのである。で、照美はそこで傷を負い、傷を乗り越えて、家族の絆や自分の行く道を見つけるというお話である。ごく大雑把に言えば。

    少女の成長譚、と言ってしまえばその通りだけど、一個の人間が周辺世界とどう関係していくのかみたいな大きなテーマがなかなか難しいし、イマジネーションの横溢について行けない。これも(トシゆえの^^;)感受性の危機なんだろうか・・・。

  • 主人公の照美は、双子の弟を6年前に亡くし、忙しい両親にもかまってもらえず、そんな境遇を寂しく受け入れている。友達のおじいさんと親しくなり、その彼が子供の頃に経験した「裏庭」の話に興味を持つ。やがて照美自身が「裏庭」に入っていくという話。裏庭とは人それぞれの持つ内面の比喩になっていて、照美はそこで様々な試練を受け、他人から受け継いだ庭を自分のものとして再生する。西洋と日本の伝承文学も見え隠れし、同じ作者の「冬虫夏草」が日本的で重厚なのに対し、こちらはもっと汎世界的で軽やかな感じ。しかし、テーマは重厚だ。

    照美が双子であること、登場するコロウプという種族(?)が「対」になって生まれてくることなど、日本と英国、数え上げたらきりのない「対」の探求も面白い。コロウプはコロボックルから来ているのかな?コロウプの貸衣装屋の名前がふるっていておかしい。だからダメなんだ。それでもいいんだ。座右の銘にしたいくらいだ。

  • 面白かったです。多少残酷な表現はありましたが、どんどん読み進めることができました。個人的にラストは微妙に思いました。あと、タイトルの通り花や草木の名前がたくさん出てきます。僕はその辺は全く教養がありませんが、詳しい人は想像力が掻き立てられて、より楽しめるのかなと思います。

  • 少女が主人公のファンタジーですが、物語がインナーチャイルド(幼少期の満たされなかった想い、傷ついた経験)を克服するようなプロセスになっていて、読んでいるだけで、自分の心が癒されるような感じがしました。

  • 梨木さんの作品は物語の中の登場人物と一緒に不思議な体験ができる感覚。特に本作品は、主人公の女の子「照美」が生死の境を彷徨うような壮絶な体験をし、それを一緒に見守るかのような読書体験でした。

    照美が迷い込んだ鏡の中の裏庭の世界は、ファンタスティックでどこかディストピアな感じ。RPGのような世界観でした。登場人物はどれも象徴的で、逃げるおかっぱの少女や、おばば、庭師と呼ばれる少年、一つ目の龍、邪悪なトカゲなど、現実世界の写しと想像させるものばかりでした。

    何が何を表していたのか、全てがはっきり分かるように描かれているわけではないけど、それらと向き合うことで、照美が、自分や他人の心の傷を見つめ、受け入れる強さなどを身につけて一回り成長したということがよく分かりました。

    心の傷からは、逃げても誤魔化してもいけない。全てが真実だから受け行けるしかない。あらゆる命の積み重ねの上に、醜い自分も優しい自分もいる。そこに自分なりの世界を新たに作っていくしかない。

  • 最初に読んだときには少し大人しめな小さな女の子が主人公の冒険ファンタジーだと考えていました。
    今になって読み返してみると、双子の弟を亡くしたことに責任を感じながら父親と母親とあまり分かり合えない孤独を感じている照美の姿に胸が痛くなります。
    照美の母親もまた実の母親にあまり愛されていなかったと考えていますが、否応なしにそういった連鎖を止められないのは仕方ないのかなと思います。
    かつては子供だった大人たち、として照美の両親、おじいちゃん、夏夜さん等々たくさんの大人たちが登場するので年を取ってから読むと大人たちの目線で違った物語が見えてくるのではないかと思います。

  • 再読。誰もが自分の中に裏庭を持ち、育てている。傷つけたり傷つけられたりしながらも、逃げることなく生きている世界を受け入れる。ファンタジーの世界の中に深遠な哲学を持つ物語なので、じっくりと噛みしめて味わって繰り返し読んでいきたい。解説の河合隼雄さんの分析が深くてためになる。

  • ちょっと設定が特殊過ぎて日本の感じが薄いなあ…と乗らない感じで読み始めたけど、裏庭に入ってからは普通にハラハラ読んだ。

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著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

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