裏庭 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.61
  • (670)
  • (819)
  • (1461)
  • (144)
  • (50)
本棚登録 : 6708
レビュー : 756
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253312

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 図書館で借りた本。
    ヤングアダルトコーナーにあったので軽めの話かと思っていたら大間違い、なかなかに重厚な話だった。

    主人公は小学生の女の子、照美。
    裏庭を通して自分の内側と向き合い、照美はひとまわり大きくなって帰ってくる。
    どこか「千と千尋の神隠し」で見られたような、子供から大人になるための通過儀礼の物語に近い印象を受けた。

    でも、この物語で特に素敵だなあと思ったのは、心にできた傷についての扱い方を、そっと、優しく教えてくれていること。
    「西の魔女が死んだ」ではおばあちゃんが主人公である孫にいろんなことを教えていたけど、本作ではおばあちゃんからお母さんに向けて描かれていた。
    お母さんだって無敵じゃない、傷はできるし、昔からの傷を癒しきれていないことも、鎧で傷を覆ってしまっていることもある。

    「傷ついたらそれはそれでしょうがない、傷ついた自分をごまかさずに見つめて素直にまいっていればいい。好きなだけ、いくらでも、うじうじしてたっていい。そのうち自然に立ち上がるもんよ」
    その言葉にじーんときた。

    この物語を読む時の自分の年齢、立場によって響く場面が違うかもしれない。

  • 伊集院静さんの描く「生と死」は、「からっと無常観、さらっと諸行無常」って感じがするんだけど、
    梨木香歩さんの描く「生と死」は、「輪廻転生、現世と来世、魂の救済」ってところを強く感じました。
    静謐な世界と、持続低音の響く世界の違いというか、「ぴーん」と「ぴちょん」の違いというか。
    (これでは余計わからなくなる)

    3代にわたって祖母、母、子どもと引き継がれる「業」が、ねっちょり感をだしています。
    あちら側とこちら側を行ったりきたりしながら、心の中にあるどろどろしたものを浄化していきます。
    そういうところを深く読んでしまうと、ちょっと苦いかも。

    冒険小説としての読み方もできます。
    謎解きの要素もたくさんあって、面白いです。
    スナッフの正体はすぐにわかりましたが、おかっぱの少女の正体にはかなり驚きました。
    おかっぱの少女の正体を知ると、話し全体がさらに光り輝きます。

    2013/03/31

  • 最初に読んだときには少し大人しめな小さな女の子が主人公の冒険ファンタジーだと考えていました。
    今になって読み返してみると、双子の弟を亡くしたことに責任を感じながら父親と母親とあまり分かり合えない孤独を感じている照美の姿に胸が痛くなります。
    照美の母親もまた実の母親にあまり愛されていなかったと考えていますが、否応なしにそういった連鎖を止められないのは仕方ないのかなと思います。
    かつては子供だった大人たち、として照美の両親、おじいちゃん、夏夜さん等々たくさんの大人たちが登場するので年を取ってから読むと大人たちの目線で違った物語が見えてくるのではないかと思います。

  • 昔は英国人一家の別荘だったものの、今では荒れ放題の洋館。そこは近所の子供たちにとって絶好の遊び場となっていた。その庭を久しく避けていた少女・照美はある出来事がきっかけに洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、とある声を聞くが、その声を境に照美は不思議な世界へと迷い込んでしまう。元の世界に戻るために裏の世界で出会った人々と者たちと「竜の骨」を探す旅へと出る。

    テーマは「傷」。裏世界の住人たちは元いた世界の人物たちとリンクし、それぞれが傷を抱えている。旅の道中で各々は試練や葛藤を経て自身の傷と向き合っていく。「傷」は深ければ深いほど時間を掛けて自分自身で向き合うもの、そして自分で解決するもの。それは決して一人で抱え込むという意味でもなく、周囲に素直に吐き出すことで、自身も周囲も救われることがある。

  • 面白かったです。多少残酷な表現はありましたが、どんどん読み進めることができました。個人的にラストは微妙に思いました。あと、タイトルの通り花や草木の名前がたくさん出てきます。僕はその辺は全く教養がありませんが、詳しい人は想像力が掻き立てられて、より楽しめるのかなと思います。

  • ちょっと設定が特殊過ぎて日本の感じが薄いなあ…と乗らない感じで読み始めたけど、裏庭に入ってからは普通にハラハラ読んだ。

  • うーーん……魔法やファンタジーにも理屈が欲しい人間からすると、よくわからない、まとまってない一冊に思えてしまったな。その曖昧さこそこの本の良いところなのかもしれないけれど。

  • 一味変わったファンタジー。最後はなかなかの重さ。

  • タイトルの印象からやはりファンタジー要素が満載でした。軽く読めるものと思っていましたが、注意して読まないと登場人物の区別がつかなくなることがありました。
    伏線をきっちり理解しておかないと意外と難解な作品です。

  • 2014 5/10

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

裏庭 (新潮文庫)のその他の作品

梨木香歩の作品

ツイートする