からくりからくさ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.72
  • (583)
  • (622)
  • (1033)
  • (79)
  • (17)
本棚登録 : 4944
レビュー : 522
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253336

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • まったくの個人的なものだが、この手は苦手だ。
    まず登場人物たちの浮世離れしたプチセレブな感覚。
    興味をひかれない物語の中心部。
    リアルではなく、かといってファンタジーに徹するでもなく、上品で優しく、軽くて。
    私には無縁の美しい世界。
    やれやれ、読み終えるのに努力が必要でした。ぽいっ。

  • 蓉子の祖母の家に暮らす4人の女たちと、りかさん。あの家は、蓉子たち4人にとっては、まさに天蚕(ヤママユガ)の繭だったのだ。エンディングは想像を超えるが、不思議にこれほどに納得できるものもない。シルクロードのかなたから連綿と続く空間と、そして赤光の「時」から、あるいはもっと遥かな過去から延々と続く時間に想いを馳せる、梨木香歩の想像力と創造力。それらが珠玉のような梨木の言葉の「染め」と「織り」によって語られてゆく。そして、読後には、ひそやかでしみじみとした感動と、静謐な余韻が残るのである。最後の2行は秀逸。

  • 祖母が残した一体の人形を中心に
    女4人一つ屋根の下
    能面のウンチク
    意外な因果

    この作者の「西の魔女~」もそうだったが、
    自然が好きというか
    昔ながらの生活が好きというか
    そんな雰囲気がビシビシ伝わってきた。

    今はそんな感じが心地よい。

  • 「りかさん」の続き、でいいのかな? いいんだろう、りかさんをめぐる物語でもあるだろうから。

     タイトルにもあるように唐草のように人々の生活と手仕事と歴史が絡まる物語。4人の女性がひとつ屋根の下で素朴な生活をしていく話、機を織る音、植物を刻む音、台所の音。記載はされずとも確かにそこにあるだろう音に憧れる。
     梨木さんは本当に植物がお好きなんだなと思った。そして境界を描くのがお好きなのかもしれない。人と植物、連綿と連なる作業、内と外、人と目には見えないモノ。そういったものを否定せず内在しつつ溶けて解けていくみたいなものを物語にするのが彼女の命題なのかしら。

     りかさんのあの姿をわたしも見てみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そして境界を描くのがお好きなのかも」
      何となく判る気が、、、
      最近、梨木香歩のエッセイを読んでジンワリきている。
      しかし創作の方は「西の魔...
      「そして境界を描くのがお好きなのかも」
      何となく判る気が、、、
      最近、梨木香歩のエッセイを読んでジンワリきている。
      しかし創作の方は「西の魔女が死んだ」を積んだまま←踏ん切り付かず読み始められない。。。
      2013/08/05
  • 最後まで読まなきゃ…りかさんの秘密知りたいし… と思いながら頑張って読んでいましたが、織物や色彩などの偏った話になかなか入り込めず、家系図がややこしくなったあたりで
    『あたし、この本読みたくないんじゃないかな。無理しないでおこう。』
    という結論に至り結局読みきれませんでした。残念。
    他の人のレビューを見る限り、中盤あたりから色々と山場を迎えておもしろくなるようですが…
    とにかく植物とか染物とか能面とか、色々難しいんだよ〜

  • また、すごい本に出会ってしまった。

    中盤までは複雑な人間関係が明瞭につかめないまま、はっきり言うと、躊躇しながら、読み進めたのだが、ラストにいたる最終盤で、私はすっかり物語に「飲み込まれてしまった」。

    読書で、飲み込まれるような経験は、初めてかもしれない。

    女性と機織りをめぐる、幾世代にもわたる、濃密な小説なのだが、それがクルド人の運命や様々な声なき民の生き様とも見事につらなり、果てしなく底の深い物語となっていることに本を持つ手が震えた。

    感動という言葉では足りない。陳腐だ。これは知性や情動を突き抜け、生きることそのものへ至ることができた、まぎれもない経験としか言いようがない。

    特に、最後の方で、あるおばあさんが紀久に語った「百反織らないうちは、機を織ったなんていうもんじゃない」という言葉には、私は返す言葉がない。深く沈黙するのみである。それは恥ずかしいとか、考えが及ばないというのではなく、豊かな、そして意味のある、ずっしりとした沈黙である。

  • 「りかさん」という不思議な存在の市松人形を中心として話は進んでいきます。
    梨木香歩さんの作品独特の開放的で静かな情景をベースにしながら、巧みに組み立てられていくからくりはさすがだなと思いました><

  • 亡き祖母の家に女性4人と人形の「りかさん」が共同生活することになる。
    初めはりかさんの存在に戸惑うが、徐々に家の中心的存在となっていく。
    庭に茂る草花を調理したり、草花で糸を染めたり機を織ったりと手仕事を丁寧にしながら心穏やかに暮らす4人。
    世間離しているかに思えた4人も、いつしか各々の問題にもがいていく。

    正直、私は人形が苦手…。
    でもこの4人にとってのりかさんは「物」ではなく「人」なんだろうな。
    様々な経験を経て成長する4人は、りかさんの不思議なエネルギーに守られ絆を深め、各々の世界から踏み出せたように思う。

  • 正直なかなか読み進まなかった。
    丁寧に書かれていく手仕事の様子と本筋がまとまりきらないようなもどかしさ。それでも、古民家で丁寧な暮らしをしている女性達の瑞々しいキャラクターと彼らの生活ぶりを時折覗かせてもらうような感覚で少しずつ読み進めた一冊でした。
    日常の細々を綺麗に書かれる作家さんだと思うので、短編とか有ればまた読んでみたいかな。

  • 素敵な作品。最初の方は「西の魔女」のような読みやすさよりは、「家守綺譚」のような古風な印象を受けましたが、半分過ぎからは一気に読みたくなるような展開で惹きつけられました。込み入った舞台や背景の設定が少し混乱させられましたが、「裏庭」や「西の魔女」に通じる喪失と獲得の物語で、読み終わった後の余韻は素敵です。

全522件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

からくりからくさ (新潮文庫)のその他の作品

からくりからくさ 単行本 からくりからくさ 梨木香歩

梨木香歩の作品

ツイートする