春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253367

作品紹介・あらすじ

「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靭な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける-物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 梨木さんの世界観にドップリとハマってしまい、普段はエッセイはあまり読まないのですが、梨木さんを知るために是非読みたいと手にした一冊。

    海外でお世話になったウエスト夫人についてのエッセイ。
    ウエスト夫人が素晴らしい。
    「理解は出来ないが、受け容れる。」というのが夫人からきているとは。

    人生の中で、とても大切な出会いがある。
    まさしく梨木さんにとって、ウエスト夫人こそその人。

    この本を読んで梨木さんのことが少し理解できたように思います。
    そして、やはり梨木さんは素晴らしいと思いました。

    この本の表紙の写真、なんと星野道夫さんの写真。
    この本も大切な一冊になりました。

  • 人生の豊かさって、人との出会いなんではなかろうか?と、思えるくらいの本であった。

    作者の作品は、動植物、自然を強く感じる作品が多いが、このエッセイは「人」を感じる作品で特に、「人の行動」がクローズアップされているように思える。人の行動は、十人十色であるが、それぞれの個を受け入れる(個に合意するとか、納得するという意味ではなく、いい意味で受け流すというか…)優しさを感じる。それがこの作者らしい透明感に繋がっているのではないかと、作者を垣間見た気持ちになる一冊であった。

    特にイギリスには、3カ月くらい滞在していたこともあったのでとても懐かしかった。私いたところはブライトンからさらに西のボーンマスというところで、イギリスのリゾート地で、海が近く町がとても綺麗なところだった。当時は日本人がいなくて(今ならいるのかというのも知らないが)、ホストもはじめての日本人でなにかと気にかけてくれた。
    そんなことを回想しながら読んでいると、ちょっとした描写に、そうだこんな感じだったと、こんなふうに接してくれたなぁと懐かしく感じる。

    そして羨ましいのは、作者がそこで出会った害のない(?)個性的なキャラクターの人たち。特に古い友人であるウェスト夫人は、『受容する人』 と絶賛できるのいい。
    こんな人たちとの出会いが、作者自身のあの独特な透明感を生み出したのではないかとまで思ってしまう。

    本作を読んで、作者の今までの作品で『だからか』と納得するのと、これからの読む作品に対する予備知識ができたような気持ちになり、今までとは違った異なった感じ方ができるような予感がする。

    そして自分の心の持ち方と放ち方について、とても参考になった。

  • 『ゲート・ナンバーはB10だった。けれど税関も過ぎてそのゲイトに辿り着いてもどこにもラガーディアの文字はなかった。係員も誰もいない。不安になって…』というトロントからニューヨークへと向かわれる梨木さん。私もピッツバーグからトロントというマイナー路線に乗った時に似たような経験をしました。ゲイトに行っても薄暗く誰もいないその空間。時間が迫り来る中、たまらない不安感の中、10分前になって係員がようやく登場。そして超小型機が目の前に。結局乗客4名という衝撃的なフライトでした。他の人たちも特別な感情を持ったのでしょう。その中の一人の方が、『俺たちは選ばれた4人だ!行進していこう』というので降機してから一列に並んで歌を歌いながら行進したのを覚えています。外国人のノリのよさって凄いな…と、あの時を思い出しました。…と、書くとこれもエッセイみたいなものでしょうか。まあ、そもそも私のことなどどうでもよくて、早速ご紹介しましょう。「春になったら苺を摘みに」という不思議なタイトルのついたこの作品、これは梨木さんが初めて書かれたエッセイです。

    ロンドンの南方にある南サリー州に半年間滞在することになった梨木さん。『三人の子どもがあり、上二人が女の子でアンディとサラ、一番下がビルという男の子だ』という二十年前学生時代を過ごしたウェスト夫人の下宿を訪ねます。『ウェスト夫人のキッチンの窓からは、スイカズラやアイビーが絡まる生け垣を通して、サリー家のサンルームが見える』と生活の中にもまず植物に目がいくのは如何にも梨木さんらしいところです。

    そんな中、梨木さんはある時旅に出かけます。人は旅に出ると色々なことを考えるものですが、『山の方にひたすら歩いていくと道は砂利道、次第に細くなっていく』という道のり、『さっきから後方を歩いていた男性二人組にここで追い越される。「ハロー」「ハイ」しばらくいくとまた別の一組に追い越される』という段で梨木さんは『西洋人と自分との差を徹底的に感じさせられるのは、こういうときだ。がっしりした肩幅。厚い胸板。のっしのっしと迷うことなく確実に長い歩幅で進むその安定感とスピード』と感じ次のようにまとめます。『この調子で古代から次々に厳しい自然に挑んできたのだろう。また征服できると錯覚するのも無理はない気がする』。う〜ん、ここまで考えることが大きいと単なる山歩きが哲学の道のりになりそうです。そして、大きな岩で休む梨木さん。遠くに『動く黒い点が見える。双眼鏡で見るとやっぱり羊だ。その横でもう少し長い影が動く。双眼鏡でようやく人らしいことを確認する』。何がどうということのないあまりに普通の行動です。それを梨木さんは『まったく人間というのはなんでこんな必要もないことをせずにいられないんだろう』と書かれます。こんな普通の行為にそこまで意味を考えられるとは、もう梨木さんの前では人間のあらゆる行為が意味なしでは許されなさそうです。もっと気楽にいきましょうよ、と声をかけたくなります。でも、こういう風に考えていく感覚があの独特な作品群を生み出す原動力になるのでしょうか。

    また、ウェスト夫人が語ったこんなエピソードへの言及もありました。ミーティングの途中に急に気絶して床に倒れてしまった女性を見たウェスト夫人。『その時、まあ、なんと鬘(カツラ)が外れてしまったのよ。誰も知らなかったんです。みんな息をのんだわ』という場面。そのとき、『ジャックが助け起こしたんだけれど、彼が駆け寄ってまず最初にしたことは何だったと思う?』と梨木さんに聞きます。『黙って鬘をさっと彼女にかぶせたんです。それが最初にしたことよ。それから助け起こしたの』と答えます。『すてきだと思わない?ジェントルマンよねえ』と言うウェスト夫人。う〜ん、これも日常のワンシーンですが、自分だったらどうするだろう?と思いました。こんな咄嗟の場面にこそ文化の違いというか、その人がベースで持っている考え方が自然に出るのかもと思いました。英国人男性はみんなジェントルマンなんでしょうか。

    今まで何名かの作家の方のエッセイを読んできました。圧倒的にインパクトがあるのは三浦しをんさんだと思います。三浦さんの場合、読者がいることを前提にショータイムのようにエッセイを展開される印象を受けます。一方で梨木さんのこのエッセイは、イギリスやトロントで過ごした日々のことをそのまま淡々と記されています。見たまま、聞いたまま、そして体験したままの事ごとを梨木さんならではの表現に置き換えて淡々と文字にしていく、そして出来上がったのがこの作品だと思います。人によって好き嫌いはあると思いますが、私には少し入っていくのが難しく感じてしまいました。少し近寄りがたいというか。ただ、前述した三浦しをんさんは自著の中でこの梨木さんのエッセイを高く評価されているので、やはりこれは好き嫌いの問題なのかなとは思いました。

    直前に「村田エフェンディ滞土録」を読みましたが、舞台となる国は違えど異国を表現する感覚に両者の中に似たような雰囲気感を感じました。特にウェスト夫人とディクソン夫人は私の中では同一人物なくらい重なりました。このエッセイを書かれた経験があったからこそ「滞土録」が生まれたんだろうなと感じました。そう、観光するだけでなく異国で生活する感覚、すれ違うだけでなく異国の人と交流する感覚、そして感じるだけでなく異国を理解しようとする感覚。「滞土録」のあの異国留学の奥深さはこのエッセイの先にあった世界なのだととても納得しました。

    梨木さんの独特な世界観から生まれる作品たちが根差す土壌の感覚に少し触れることができた、そんな印象を受けた作品でした。

  • 文の底に、深い肯定が感じられる。

    梨木香歩さんはきっと、その心の中に出会った人との思い出を大事に大事に持っている。
    本を通じて沢山の人に会えた。
    価値観や宗教、人種、障害、違いは溢れてる。それでも、私もいつか「受け容れる」ことができるだろうか。

  • エッセイ。
    梨木さんが二十代のはじめを過ごした英国での思い出や、下宿先のウェスト夫人との交流など。
    イギリスの田舎の風景やウェスト夫人の人柄をただただ素敵だと感じたり、自分の内面深く、具体的な何かというよりどうありたいかというような、漠然とした物思いに耽ったり。いろんなことを考える、充実した読書だった。

    梨木さんの体験は、私たちは皆違うのだということを、否定的ではなく当然のこととして教えてくれる。
    彼女が出会った人々は、思想、生き方、信じるものなど違うところがあるけれど、それを分かって尊重した上での思いやりや優しさ、また違っていたって皆同じだというような全てを包み込む温かさに満ちている。
    私もそんな人になりたい。何も外国人に限ったことではなく、日本人同士だって同じではないのだから、そうやって思い遣って接したい、と思う。

  • 『生みすてられた子どもたち』を読むのが本当にしんどくて、癒されたく本書を併読しました。

    著者の本はまだ二冊目だけど、大好き。一冊目(エストニア紀行)は脳裏にリアルに再生される自然描写に、自然って言葉だけでこんなに伝わるように書けるんだ...と感動して、今回はテーマ(文化と文化の交わるところ)が個人的な興味関心と沿っていて心に深く染み込んだ。

    215p
    今、私のいるこの場所から、ゆるやかに拡がって到達しうる場所に、彼らはいる。私たちが一つの惑星の、ただ異なる場所におり、海と陸とに風が吹き、あらゆる文化圏の人々とも繫がっているように。

    247p
    世界は、相変わらず迷走を続け、そして私もその中にいる。

    ややもすると堅い文章にもなりそうな話題なのに、柔らかく、しっとりと、温かく書けるのはなんでだろう。著者のペンの力はもちろんのこと、著者が「命のように大事に思っている日本語の世界」の、日本語が言語として持つ力の一面なのではないかともふと思った。

    本書で描かれる西洋系の人の強み(普遍性を持って語りかける力)と弱み(下手すると厚かましい)は考察中のテーマなので、引き続き考えたい。

    一つだけ、厚かましくも一言コメントしておきたいのは、「トロントのリス」のイスラームの描写。イスラームの中にもかなり多様性があるので、このエッセイで描写されているイスラームだけが標準形だと思わないでいただけると嬉しいです。著者の意図は当然そこにはないということは分かっているのですが、もっと日本人の私たちにも分かりやすい、アジア圏のムスリムの友人のことが頭に浮かびどうしても触れておきたくなったのでした。

  • 梨木さんの作品の根源のようなものを感じるエッセイでした。

    「理解はできないが、受け容れる」
    「私」が学生時代を過ごした英国の下宿先の女主人ウェスト夫人の生き方。
    さまざまな人種や考え方の住人たちや時代に左右されないウェスト夫人の生き方に触れ、「私」は日常を深く生き抜くということを問い続ける。

    心に響く言葉が、出来事がたくさん書かれており、よくわからないのに泣けてくるお話がたくさんあった。
    何度も読み直したいと思った。

    「できること、できないこと。
    ものすごくがんばればなんとかなるかもしれないこと。初めからやらないほうがいいかもしれないこと。やりたいことをやっているように見えて、本当にやりたいことから逃げているのかもしれないこと。―いいかげん、その見極めがついてもいい歳なのだった。
    けれど、できないとどこかでそう思っていても、諦めてはならないこともある。

    After five years have past.
    世界は、相変わらず迷走を続け、そして私もその中にいる。」(p.247)

    最後のこの言葉にはっとさせられた。

  • 著者が学生時代に英国へ留学した先で出会った人々やそこでの交流、感じたことを綴った初エッセイ。

    梨木香歩さんの作品は好きで何冊も読んでいます。フィクションからも感じ取れるのですが、鋭い観察眼や落ち着きある文体は、このような常日頃からの視点や海外での経験があったからなんだと腑に落ちるようなエピソードが多く描かれていました。

    梨木さんの留学先であるウェスト夫人がきりもりする下宿所。ここには様々な国籍の学生たちが異なるルーツ・文化・思想を抱えてやってきます。
    いわゆる“違う者同士”が集まる一つ屋根の下で、ウェスト夫人は彼らを等身大で受け入れ接します。来る者を拒まず、去る者を追わず。一人一人を気に掛けながらも適度な距離をたもつウェスト夫人の人との接し方や振る舞い、さりげない気遣い、優しさとユーモアを併せ持つおおらかさは読者としても気持ちの良いものだし感心することばかりです。そんなウェスト夫人と、彼女のもとに立ち寄り去って行った多くの下宿者たちの様子を、梨木さんは大局的に、鋭くも優しい眼差しで切り取っていきます。

    全てを捨てて犯罪者である恋人の背中を追ったジョー、気さくに交流していた日々が一変し一国の王となったアダ、一夜にして町中の嫌われ者となったベティなど。ウェスト夫人はそんな彼らを前に困ったり、傷ついたり、不快に感じたりしますが、「理解はできないが受け容れる」姿勢を崩しません。彼らの考えをまるっと受け容れ寄り添います。

    全体を通して感じたのは「違い」。
    親友でも、恋人でも、家族だとしても、自分自身とは違う人間です。自分には自分のルールがあるように、他人には他人のルールがあります。会話によって埋まる溝もあれば、歩み寄りの域をとうに越えた深い深い溝もあります。深い深い溝に対峙したときにどう対処するか。このエッセイにはそのヒントが書かれていました。

    狭い世界でも広い世界でも、ギスギスとした緊張が続く毎日。自身と相容れない思想に対し壁をつくり、反発し、敵視し、ついには排除しようと躍起になるのは簡単ですが、「なぜ?」という疑問を常に抱えながら一度立ち止まる冷静な姿勢が、今後ますます必要な世の中になってくるように思います。
    柔らかなタイトルと留学先の日常という舞台に反し、深く考えさせられる内容が詰まっていました。

    ==================
    「世界は、相変わらず迷走を続け、そして私もその中にいる。」
    「理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ。」

  • イギリスに留学した体験を描いた物。
    丁寧な文章で、真摯で独特な視点でとらえられた情景に、なんだか今まで動いたことのない悩の部分を刺激されます。
    ユーモラスな出来事や、人の暖かさが心地良い。

    おもに、下宿先のウェスト夫人との交流。
    素敵な人ですね。
    学校教師で児童文学作家でもあった。
    どんな人にも手をさしのべようとするホスピタリティに満ちているため、面倒な相手の世話を背負い込むことにもなるのですが。

    著者がイギリスに半年滞在していたとき、20年前の学生時代に下宿していたウェスト夫人の元を訪れる。
    そこはロンドンよりも北のエセックス州、S・ワーデンという町で、まず語学学校に通うためだった。

    「ジョーのこと」では14年前に滞在したときにウェスト夫人に紹介されて知り合ったジョーという女性の思い出。
    地元のグラマースクールで教師をしていたジョー。大家族で育ったが、ほとんどが聴覚障害者。
    ジョーは信じられないぐらいドラマティックなことが起きる身の上だとウェスト夫人が称していた。若い頃に事故で一人だけ生き残ったとか。
    ジョーは快活で有能で、著者が手こずる子供達の世話も楽々とこなした。
    著者は先生の子供達のベビーシッターを時々していて、楽しいのだが、やんちゃなので疲れ果てるのだ。
    後にジョーの元彼が舞い戻ってきて、ウェスト夫人は心配して長い手紙を寄越した。元彼のエイドリアンは知らないうちにインドで結婚もして妻子有りらしいと途中で知れたのだ。それを知った著者も具体的には触れることができずに、ただジョーを応援する手紙を書く。
    が、エイドリアンはふいに姿を消し、ウェスト夫人の小切手帳が持ち出されていた。
    ジョーも消息が知れなくなってしまう。
    「人間には、どこまでも巻き込まれていこうと意志する権利もあるのよ」と彼女なら言いそうだと思う著者。

    「王様になったアダ」はナイジェリアのファミリーに困った話。
    わがままで傲然としていて、お礼も言わない。
    身分が高く、後に一家の父親アダは本当に王様になったのだった。
    どこへ行くにもお付きがぞろぞろついてきて、まるで囚人のようだと本人はウェスト夫人に情けない顔で語ったとか。
    それまでのことも「名誉に思うべきです」という態度だったらしい。

    「ボヴァリー夫人は誰?」は近所に越してきた脚本家の女性ハイディが、うっかりした発言で反感を買う。
    反核運動が盛んな頃で、著者も近所の人と共に参加したりしていた。
    大人しそうに見える老婦人も驚くほど活発にアムネスティの活動をしたりしていて、知的で公共心の強い人が多い。
    そういう土地柄なのに、ボヴァリー夫人の現代性を語るときに、「地元の女性のほとんどが専業主婦で有り余る時間をもてあまし幼稚化している」と書いてしまったのだ。
    反論されて、その後すっかり大人しくなったハイディを気の毒に思って、ウェスト夫人はさりげなく和解の場を設ける。

    「子ども部屋」は一人で旅行中の出来事と、その時々に思い出した出会いの話。
    ウェスト夫人の元夫のナニーの話が印象深い。
    元夫はヨークシャの裕福な地主の家柄。
    ドリスという女性は子守りとして8歳から奉公に来て、家事一切をするナニーとして88歳まで独身でその家に仕えた。
    ウェスト夫人はお茶も入れられない若妻として、家事を教わったのだ。
    字も読めないが、忠義者で、家事のエキスパート。
    離婚後もウェスト夫人は老いていくドリスを訪ね続け、著者も同行して一度会う。

    ウェスト夫人は、もとはアメリカ生まれ。
    3人の子をもうけた後に、夫とは離婚。
    親がクエーカー教徒だったわけではないが、途中で共感して自らそうなった。
    ウェスト夫人の父親は、戦争で銃を持つことを最後まで拒否した人だったという。
    夫人の3人の子はインド人のグルに傾倒して、グルに付き従ってアメリカへ渡ってしまう。ある意味、親に似たのでしょうか。
    その数年後に出会った著者。
    空いていた子ども部屋には、児童文学の蔵書がみごとに揃っていた。
    他に出会った人たちも個性豊かで、いきいきしています。

    2001年末のウェスト夫人からの手紙で締めくくられています。
    春になったら苺を摘みに行きましょう、と。
    著者は1959年生まれ。
    映画化された「西の魔女が死んだ」など、作品多数。

    • 九月猫さん
      sanaさん、こんにちは。
      コメントでは「はじめまして」です。九月猫と申します。

      この本、読みかけで置いてます。
      電車でお出かけの...
      sanaさん、こんにちは。
      コメントでは「はじめまして」です。九月猫と申します。

      この本、読みかけで置いてます。
      電車でお出かけのときに車内で読んでいたのですが、40分ほど経ってから
      「あれ?ここどこだ?!」
      間違えて反対方向に乗っていた上、本に夢中になっていてそのことに40分も気付かなかったという…(本来の所要時間は1時間)
      そんな苦い経験を思い出すので、大好きな梨木作品にも関わらず読みかけのまま封印中です。
      そもそも反対方向に乗った自分が悪いのであって、本に罪はないのですけど(^_^;)

      しかーし!このsanaさんのレビューを読んで、俄然読みたい気持ちが急浮上♪
      近いうちに封印を解こうと思います。

      sanaさんのレビューには他にも好きな作家さんの未読の作品やら海外のコージーものやら参考になるレビューがたくさんありそうなので、またちょこちょこ見に来させていただきますね♪
      2013/02/08
    • sanaさん
      九月猫さん、
      初めまして~!
      コメント、ありがとうございます☆

      あ、この本、読みかけでしたか。
      ええ、40分読みふけり?それはそれは~確か...
      九月猫さん、
      初めまして~!
      コメント、ありがとうございます☆

      あ、この本、読みかけでしたか。
      ええ、40分読みふけり?それはそれは~確かに、ぐぐっと引き込まれますもんねえぇ‥

      でも、それだけ面白いんですもの♪
      レビューであらすじ的なことを詳しく書きすぎかなとも思ったんですが、エッセイとしては稀に見る濃さなので、ほんとの魅力はこんなもんじゃないですから。

      梨木さんの、たくさんお読みですよね。私がまだ読んでないのも!恩田さんのとかも‥面白そうなので~いずれ読もうと楽しみです。
      参考にさせていただきますね。
      よろしくお願いします♪
      2013/02/09
  • 異国の地での暮らし、人との出会いはその後の人生を変えてしまうくらいの影響力があると思う。
    人との関係、距離感がいい。
    エッセイではないような重さがある。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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