春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.76
  • (331)
  • (327)
  • (518)
  • (43)
  • (7)
本棚登録 : 3018
レビュー : 323
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253367

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 理解はできないが受け入れる、はすごく納得できる。
    だから家守綺譚の主人公はああいう感じだったんだなと。

  • 私はいつもこの方の持っている表現の的確さ圧倒されてしまう。

    「人の纏っている気配の核心的なことの性質」
    「相反するベクトルを、互いの力を損なわないような形で1人の人間の中に内在させる事は可能なのだろうか。その人間の内部を引き裂くことなく。豊かな調和を保つことは。」

    こういう表現に出会ってしまうと、いかに自分が適当なところで妥協して言葉を選んでいるかを突きつけられているような気になる。
    本当にしっくりくる表現を選びとるまで粘る頑固さ?


    そして、ウエスト夫人という方が、梨木さんの作家としての仕事、否、生きていく上での深い部分に刻印を残していることを知り、梨木さんの作品を味わえる者として夫人に感謝したいと思う。

  • 普段狭い視野で生活している自分の世界が少し広がった気がした。
    人と人との向き合い方、いろんなバックグランドがあるなかで、たとえ理解できないものであっても、尊重する姿勢を持っていたいと感じた。

  • 清水真砂子の解説が素晴らしい、、、

  • 著者がイギリスで経験した多くの人との交流を,素晴らしい筆力が書き留めた楽しめる文章が満載だ.ウェスト夫人のキャラクターは凄いレベルの包容力が醸し出すものが基本になっているようだ.それにしても,多くの人との交流をうまくこなすのは,大変な苦労があったと推察するが,一人でやってのけるバイタリティーは特筆ものだ.イギリス社会の奥深さを実感する場面が多くあったが,未だに訪れたことがないので,機会を作りたいと思った.

  • 日本の田舎に閉じ籠っている私に、ちょっぴり刺激的でふんわりとした優しい風を吹き込んでくれた!

    梨木さんが若い頃下宿していた英国の女主人と、その下宿先等で出逢った人達との交友記。
    色んな国の老若男女との異人種交流。
    楽しいことばかりではなく、時に緊張に満ちていて、価値観や倫理観の違いに驚かされる。
    世の中には人種や障害の有無等様々な境界が存在する。
    自分とは「異なる」相手の全てを理解することは限界があり「理解はできないが受け容れる」の考え方に共感した。

    梨木さんの描く物語の礎がここに詰まっている。

  • 理解できないが受け容れる、
    異文化間で感じるのは生きるうえでの究極みたいなところ。
    一番好きなのはここ

    「ただひたすら信じること、それによって生み出される推進力と、自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけることによる負荷。
    相反するベクトルを、互いの力を損なわないような形で一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか。その人間の内部を引き裂くことなく。豊かな調和を保つことは。」

  • 心に留めておきたい言葉が多い作品だった.滞土録もそうだけど,梨木さんの作品は自慢みたいなものは感じなくて,だただた憧れるような人生経験が描かれていて,なかなか自分はその体験を実際にはできないので,こうやって本を通して得ることができるのは有りがたいなぁと思う.ちょうど今の自分や周囲の迷ってる友人たちに送りたい考えが多くて,こうやって今のタイミングにこの本に出会えてことに運命すら感じました.なので,今読んで欲しい!と勧めるのではなく,ふとしたときに手に取って欲しいような作品でした.

  • 他人にも、自分にも厳しい人だと思った。

    最初は、イギリスの田園生活を優雅に描いたエッセイとしか思わなかった。
    イギリスの小さなコミュニティの中での軋轢。
    太平洋戦争時にアメリカで強制収容された日本人の重い経験。
    イスラエルからの移民で、小児麻痺の子どもを抱えながら多くの障碍を持つ人のために献身的に働く夫婦などなど、人種や歴史の折り重なったところの、人々を静かに描いていく。
    厳しくも、人間らしくあろうとする筆者の姿に、感動を覚える。

  • 著者が学生時代を過ごした英国の下宿、その女主人ウェスト夫人をはじめとした、様々な人種や考え方を持つ住人たち。
    色々な国、色々な民族、色々な宗教、色々なイデオロギー。
    その違いに振り回され、時に理解に苦しみながらも、多くの下宿人を受け入れ続ける夫人と下宿人たちとの日常を通して見えてくるもの、生まれる問い。

    共感してもらいたい
    つながっていたい
    分かり合いたい
    うちとけたい
    納得したい

    私たちは
    本当は

    ウェスト夫人の下宿は、民族対立が先鋭化しつつあった時代の中においてまるでサンクチュアリのよう。
    数々の梨木作品の根底に流れるもの、物語の生まれる土壌はここにある。

全323件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

梨木香歩の作品

ツイートする