家守綺譚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 957
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253374

感想・レビュー・書評

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  • 花の名前が沢山出てくるのが嬉しい。ひとつひとつ調べながら読みました。

    サルスベリがもっと好きになりました。

  •  何を見聞きしていればこのような作品が書けるのかと、驚嘆の念が心を突いている。作家とは、げに恐ろしきものである。

     花鳥風月に怪異を加え、人情味あふれた物語を、どこかとぼけた語り口で描いている。体裁は講談のように達者であり、洒落っ気が効いていて、本当に読んでいて楽しかった。
     明治の私小説を範としているのか、実に男らしい女々しさが主人公に表れていて、よく出来ていると思う。語彙の選び方も、文章の端正さも、非常に優れたものだ。
     小さなエピソードで、少ない言葉で、これだけ雄弁に語れるのは童話作家ゆえのことなのだろうか。語りすぎない語り口が、物語にふくよかさを添えている。

     素晴らしい作品だった。初めて読んだこの方の作品がこれで良かったのか、どうなのか。
     ああ、一つ。惜しむらくは解説かな。愛情のある良い解説だが、少し中身を語りすぎている。もったいないところだ。

  • 梨木香歩さんの小説で一番好きな本。
    梨木さんの作品では鳥がよく出てくるし、自分が小鳥好きなので、表紙の絵にもやられてしまった!

  • 明治の所謂書生さん的な主人公が、亡き友の実家の家守をしながら物書きをして暮らす、一年間のお話。

    「百鬼夜行抄」のような、河童、小鬼、かわうそ、桜鬼、狐、狸などが、ごく身近に存在する世界。
    主人公だけに見えるのかと思いきや、
    隣のおばさんに尋ねると「そんなことも知らないのか」といった調子で何でも教えてくれる。

    主人公のぼんやり具合と相まって、恐ろしさは全然なく、ほのぼのとしたユーモラスな世界観が素敵です。
    大人の童話といった雰囲気です。

    「小さな恋のものがたり」みたいに季節の花々が取り上げられ、四季の描写は枕草子のよう。(恋物語はないです)
    とても日本的な小説です。

    筋書きを追うような話でもないし、暗い気持ちになることもないので、旅行のお伴にぴったりな一冊だと思います。

  • 日がな一日憂いなくいられることは、
    私の精神を養わない。
    この言葉に心うたれた。
    自然との不思議な関わり方。小鬼や狸や掛軸からでてくる亡き友人、さまざまな者との関わり合が、彼を豊かにする。

  • 四季折々の草花を絡めて描く、連作短編集。
    早世した友人の家に移り住んだ駆け出しの作家の不思議な生活を描く。
    掛軸から船を漕いで現れる死んだ友人、恋するサルスベリ、只者ではない犬・ゴロー、池に現れる河童。

    不思議な出来事ながら、あるがまま受け入れる静清とした筆が心地いい。
    日本的な懐かしさが漂う作品。
    静かで優しい話でした。

  • サルスベリ、白木蓮、ダァリヤ、南天、ツリガネニンジン・・・・・

    亡友の家守りを任された主人公と、
    庭先の義理堅い忠犬ゴローと、
    ひょっこり庭の池に現れる河童や桜の精霊、
    ひょっこり掛け軸から現れる亡友との物語。
    そして、物語を彩る季節の草木。

    季節の移ろうこの時期に読むことをおススメします。

    ところで、ツリガネニンジンについて、
    てっきり朱色の植物だと思っていたら、
    まるきり違いました。

    ツリガネニンジンは8-10月に花を咲かすそうなので、
    その時は実物を見たいと思います。

    2013年4月

  • これはすごく好きな作品でした。久しぶりにまた一つ良い本に巡り合えたなと嬉しく思いました。
    確か、何かの雑誌の特集でこの本が紹介されているのを見て興味を持ったんだったと思います。

    梨木香歩の作品は多分『西の魔女が死んだ』を読んだことがあると思うので初めてではないと思うのですが、実は良く覚えていません…。

    内容は、文庫の裏表紙の説明がやはり上手く表していると思うので…。
    「本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今一つ掉さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。」

    なんて言えばいいのだろう、不思議が日常におりてきているタイプの作品。
    植物に心があったり、擬人化したり、狸が化けたり、河童・人魚・鬼が登場したり。
    雰囲気は、真っ先に思ったのは『夏目友人帳』。他に『蟲師』や『xxxHOLiC』にも似ているかも。あと、森見登美彦の作品にもちょっと似てるかもと思った。
    多分、これらの作品が好きな人は『家守綺譚』もきっと好きだと思います。


    あらすじは無視して読み始めたので、予想に反してファンタジックでちょっと驚きました。本当にどんな話か知らないで読んだので、目次でいろいろな植物の名前がずらりと並んでいることにまずわくわくして。
    本当に、とっても雰囲気の良い作品でした。
    深い味わいがありながらも親しみやすい。
    ひとつ目の「サルスベリ」から心奪われましたね、「懸想」するサルスベリが可愛らしくて。
    また、主人公・綿貫と床の間の掛け軸からボートに乗ってやってくる亡き友人・高堂の掛け合いが心地よい。

    全部好きでしたけど、サルスベリ、ドクダミ、白木蓮、ツリガネニンジン、紅葉~萩、ホトトギス、サザンカ、檸檬、ふきのとう、が好きでした。たくさんです。「檸檬」が一番胸がきゅうっとなった気がします。(こんな表現ですみません…)
    どの話も読後感がとても良く、最後の「葡萄」は特に読み終わりの余韻が素晴らしかった。

    今、調べてみたら「奇譚」は珍しい話、不思議な物語という意味らしいですね…。タイトルは「綺譚」だけど。うん、「綺」の方が合ってる気がする。
    「家守」は漢字で見ただけでは「いえもり」か「やもり」かどっちだろうと思っていて、表紙や奥付の読み仮名は「いえもり」となっているから、ああそうかと思ったのですが、どっちでも読むのが正しいみたいですね。

    本当に素敵な作品でした。
    何度も読んで大切にしたい。

  • 不思議な物語のつまった本。

    掛け軸から登場する友人、恋するサルスベリ、化ける狸、フキノトウを集める小鬼、・・・

    主人公がマイペースだからか、
    自然の中で暮らしているからか、
    驚きの展開にもなぜか癒されるお話ばかり。

    夢の中にいるような感覚で読み終えた。

  • 日本昔話を読んでいる時のような気持ち。
    奇妙だけどわくわくするような不思議と出会いながら、それに動じない主人公がとても好き。
    あまり見ない漢字も多かったけれど、それが分かりづらさを引き立てるものではなく、本の世界観を作り上げる一部のとなっていてよかった。
    また、心地よい緩さに思わず笑ってしまうところもあって、穏やかな気持ちになる。
    この本の季節の移り変わりが素敵で、できれば暖かい日に、風情のある庭の縁側でのんびり読たいなあと思いました。

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著者プロフィール

1959年生まれ。作家。『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を受賞。他の小説作品に『沼地のある森を抜けて』(紫式部文学賞)『裏庭』(児童文学ファンタジー大賞)『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『渡りの足跡』(読売文学賞随筆・紀行賞)『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』『風と双眼鏡、膝掛け毛布』など。児童文学作品に『岸辺のヤービ』などがある。

「2020年 『Station』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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