家守綺譚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.15
  • (1261)
  • (760)
  • (717)
  • (47)
  • (13)
本棚登録 : 6264
レビュー : 926
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253374

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 淡々と話がすすむ。
    坂田靖子の漫画と空気が似ているかなとか、いや漱石とか百閒先生の毒や棘を抜いた感じ?それかモリミーのきつねのジットリとした艶をなくしたような?

    湖で行方不明になった友人の家の守を頼まれた綿貫氏。
    物書きの本分はあまりお金にならないけれど、家守の仕事はなかなか賑やか。
    友人の高堂が掛け軸の中からフラリとやってきたり、サルスベリに懸想されたり、河童や竜田姫の侍女が迷い込み、狸に化かされている。
    「おまえは大体己というものが見えていない。ものごとの機微というもの分かっていない。こんな了見でものを書こうと言うのだからつくづくあきれたやつだ。」
    「まあ、誰でも見えていないと云えばそうなのだが、おまえのようなやつも珍しい。しかしだから僕なんぞを引き寄せたのだろう。」
    と高堂に言われてしまう綿貫氏。
    綿貫氏やこの世界の秘密が最後に明かされるのか?

    季節が移ろう描写が美しく、綿貫氏が目を留める植物や風景がフラリと出かけてみてみたくなる。
    綿貫氏とダァリヤの君もとても気になる。淡々とフワフワと、さて着地した先は。

    「埋めてもらいたい場所…自分の場合はどこだろう、と考える。ふと、思いついて、
    ーーおまえはどうなのだ。埋められたい場所があったのではないか。」
    「その件は果たした。」

    「思い込みというのは恐ろしいな。」
    「だがとりあえずは思い込まねばな。」

  • 2018/11/9~11/21

    庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。

  •  売れない作家が亡くなった友人の家の家守として住むと、そこに亡くなった友人や物の怪がやってくるようになる。

     狸や小鬼が出てくる以外は何て事のない季節の日常を描いた随筆の様な小説なのだが、不思議と読んでいると心地よい。
     こんなリズムで暮らしてみたいと思わせる一冊。

  • こちらの世界とあちらの世界を行ったり来たり?
    夢なのか現実なのか、河童に狸に人魚まででてくる賑やかな屋敷。
    花や木々が感情をもっているかのようで、この家の守りをするのは大変そうだ。
    物書きのネタには尽きないだろう。

    この不思議な感覚で、高校の教科書で学んだ『夢十夜』を思い出した。
    一節を声に出して読んでみると国語の授業っぽく感じた。

  • 日本人の不思議(河童 狸 などなど)が日常の中に溶け込んでいる生活が見られる物語。綿貫はその不思議を当たり前のように受け入れているのが印象的。
    ラストの葡萄で、綿貫があちらの世界をとらず、こちらの世界に戻ってくるシーンがいい。「精神を養わない」と。

  • 奇麗なお話だな~ というのが読み終わった感想
    私がこれまで読んだ小説とはあまりに違うテイストなので
    正直読み進めるのが結構つらかった。
    作品が悪いのではなく、作者さんが持ってる世界とそのリズムが
    自分の中に無かったものなので。
    一度読み終えたわけだが、まだ消化しきれてない感じがする。
    もう二度三度、繰り返すことが必要かな。

  • 初読。自然の描写がとても美しかった。自分は「ススキ」が特にすき。繊細な描写なのに、掴み切れないという印象は先に読んだ『滞土録』以上に感じる。不思議が普通にあって、境界が曖昧。曖昧だけど確実にある境界のごく近くで、こちら側にいるのが綿貫であちら側にいるのが高堂。似ているけど対照的。個人的には『滞土録』のほうがすきかな。

  • グイグイ引き込まれるというよりも、まったりとその世界に浸る、という感じ。この世界観、すごく好きです。冒頭の数ページですっかり虜に。

    サルスベリがすごくかわいい!!!
    河童とゴローの話もびっくりの展開。

    ただ、かなり短い短編からなる構成なので、読み進めるのに時間がかかってしまいました。序盤の話がとにかく面白かったので、中盤は私の中でやや盛り上がりに欠けました。薄いので持ち運びに良かった。

    続編を、現在図書館で予約中。回ってくるのが楽しみです。

  • 花の名前が沢山出てくるのが嬉しい。ひとつひとつ調べながら読みました。

    サルスベリがもっと好きになりました。

  • 大学の学士であり物書きである綿貫征四郎は、早世した高堂の実家に「家守」として住むことになった。
    しかし、それからの生活は不思議ワールド。床の間の掛け軸のなかから、死んだはずの高堂が現れたり、河童が出てきたり、狸にだまされたり。。。
    書くとホラーっぽいんだけど、読んでみるとそれがとっても親しみのある文体で書かれてるので、良い感じです。

    主人公の綿貫氏の性格もゆったりしてて、心落ち着けて読むことができました~。
    こういう欲のない環境の中で、好きな者・物たちとのんびり暮らす。ご隠居っぽい生活もいいな~。って思いました。
    今の世の中、忙しすぎて周りを見失っていくことが多い。
    でも本当は自分の近くに、こんな小さな発見やミステリーがあるのを見落としているのかもしれない。

    梨木さんは、植物関係が好きなのかな~?
    章ごとに、植物の名前が書かれてたのが、とっても粋でした~。

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

家守綺譚 (新潮文庫)のその他の作品

家守綺譚 単行本 家守綺譚 梨木香歩

梨木香歩の作品

ツイートする