ふたりぐらし (新潮文庫)

  • 新潮社 (2021年2月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784101254845

作品紹介・あらすじ

元映写技師の夫・信好は、看護師の妻・紗弓と二人暮らし。映画脚本家の夢を追い続けて定職はなく、ほぼ妻の稼ぎで食べている。当の妻は、余裕のない生活で子供を望むこと、義母との距離、実母との確執など、家族の形に悩む日々だ。幸せになるために生涯を誓ったはずなのに、夫婦とは、結婚とは、一体何だろう。夫婦が夫婦になっていく“家族のはじまり”を、夫と妻交互の視点で描く連作短編集。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

日常の中での小さな葛藤や温かさが描かれている作品で、夫婦の視点から語られる物語は、共感を呼び起こします。看護師として働く妻・紗弓と、映画脚本家を夢見る夫・信好は、子供を持たない30代の夫婦として、互い...

感想・レビュー・書評

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  • 最近、考え事をしているとどんどんネガティブになってしまっていて、たぶんこのまま1人で老後を迎えて死ぬんだなって思ってる。
    自分の中でそれは怖いことなのに、誰かと一緒にいることで、その関係が壊れてしまうことも怖い。その生活が壊れてしまうことも怖い。
    それでどうすることもできなくて、地団駄を踏んでいる間に、みんなとっくに先の方へ進んでしまって、わたしだけがずっと同じ場所にいる。
    こんなことばっかり考えてるうちに、なんかお盆休みで太っちゃったなぁ、なんて思ってトレーニングを始めた。
    きついトレーニングはしんどくて、今やっていることに集中できるからなんにも考えなくてよくなるし、身体を鍛えると心も強くなるってことらしいので続けていきたい。
    この、死を考える一方で存在する、たぶん強烈に生きたい気持ちが、今のわたしの全部なんだろう。

    40歳で夢追い人、元映写技師の夫・信好と、35歳で看護師、家計を支える妻・紗弓の、これといって大きな出来事があるわけではない日常、けれどだからこそより二人の関係性が際立って描かれている印象を残す本作品。二人が交互に主人公となって進む連作短編集。

    信好は定職についておらず、生活費は紗弓に頼るところが大きいが、わたしはこんなにお金のことで気を遣われるくらいなら、なんも考えずにお金使ってくれた方が気分がいい。ヒモならヒモらしく、ということなんだろうけど、わたしはなんだか、こんなヒモは気詰まりだなぁ。何かにつけ、責められていると感じたり、他人からの目ばかりを気にしたり。周りはそんなふうに思ってないのに本音を隠してかっこつける。だったら働いてほしい。
    わたしはもっと、「今日も家事、やったよ!キラキラ」「今日も君可愛い!キラキラ」みたいなヒモの方が好きだなぁ。「そんなこと言われるなら今日もあなたのために働きます!」とか思っちゃう。(ヤバイですか?)
    でも、現実的な生活ってきっと気詰まりだ。
    一方で、信好が女性だったら、こんな風に卑屈に思わないんだろうな、とか思ったり。

    傍から見ると、なんで一緒にいるのかなー、と思えなくもない、のだけれど、それは信好が、「気遣いの方向を間違わない男」であることと、紗弓が「ひとりではうまく流れてゆけないから」「どうしても(信好を)好き」だからなんだろう。
    かっこつけても、相手にはちゃんと伝わってる。お金の悩みも、泣くのを我慢することも、本音を言えないことも。それをお互いわかっているからこそ、大きくぶつかることなく、配慮し合えるんだろう。もう一度言う。わたしには気詰まりである。
    しかし、一方でこんな言葉もあった。
    P234「事情はそうでも、出来ればそこは隠しておいて欲しいかなと思ったわけだ。本音ってのは一つの暴力だしね。そこまで言わずともいいところを、言わなきゃわからない男だと思われてるのかなと」
    わたしは本音を言えるって大事なことだと思うのだけれども、相手によってはそれが逆に暴力と感じられることもある。本音を出すタイミング、伝え方、本当に言うべきことなのか否か。わたしは、言うべきことと言わなくてもいいことは分かっているつもりだけれど。でもいつかは伝えたいと思っている。それがわたしにとっての本音。

    妻・紗弓の父の言葉は、バシンと言い当てるものが多く、それがこの二人の緩やかな日常の中に突然現れるのでハッとさせられる。
    P63「お母さんは義理を欠いたと言うけれどね、それは彼女の価値観だから、家庭を持った娘と考え方が食い違うのは仕方ないことだと思うんだ。常識と感受性の間で悩むことも、大人として生きていく上で大切だからね。お母さんの言葉に、お前があれこれと思い煩う必要はないんだよ」「思い煩う時間があったら、もっと自分の喜べる方向へ頭を使いなさい」
    P65(紗弓「わたし、お母さんのことがたぶん嫌いなの」に対して)「いいんだよ、女の子はそれで。母親が大好きだなんて、女として次の一歩を踏み出せていない証拠でしょう」

    一人になる老後に脅えつつこの作品を読んで、わたしはどうなることを期待していたんだろう。「やっぱり一人は寂しいから誰かと生きたい」なのか、「やっぱり誰かと生きるって大変じゃん、一人って最高じゃん」なのか。たぶん求めていたのはその中間「それでもやっぱり、この人と一緒にいたい」的なやつ。
    わたしは結局、求めていたところへは行けてなくて、「やっぱり誰かと生きるって大変じゃん、でも一人って寂しいじゃん」てとこから動けてない上に、なんならこの二人の「配慮」に気詰まりを感じてしまって、やっぱり一人って楽!っていうのをさらに実感してしまったのであるorz

    方向性といえば、過去に、音楽の方向性の違いで別れたことがある。
    彼はあまりにも、J-POPに心酔しすぎていたのである。

    • naonaonao16gさん
      hiromida2さん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      昨日コメントいただいてから、何度も何度も読み返していました。...
      hiromida2さん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      昨日コメントいただいてから、何度も何度も読み返していました。嬉しいお言葉、ありがとうございます。そして、この作品含め、様々な作品のレビューに対していただいた言葉のように感じています。本当に、ありがとうございます。
      夏物語のレビューでは、多くの方にご心配おかけしてしまって…本当にすみませんm(__)m
      でも、あれはやっぱり自分の今の等身大の気持ちと本音です。

      「真面目に考えてるから悩み苦しんだりするんだって思う、それはとても大切で生きているからこそ、拘り続けて悩むんだって思う」
      「自分が死んだら、残った人が悲しむかどうかはさておいて、色々迷惑かけちゃうんじゃないかと心配になるけど…それも生きてるから感じられる貴重な感情で、死んだら、死んだ者には、思い出も後悔もない」

      こちらの言葉が本当に刺さってきました。
      ずっと同じような悩みを繰り返して、いつまでこんなこと続けてるのかなってうんざりすることばかりなんです。でも、hiromida2さんの言葉で、でもそうやって悩んでいる時にある感情って生きてるからだよなって、思えたんです。

      「naonao さんは今のままで素敵な女性だと思う」
      このように言ってくださり光栄に思います。どんどん自分で自分を追い込んだり責めたり罰したりすることもありますが、心の声を活かしたレビュー等で、ポジティブにいかないとですね^^
      ちなみに、トレーニングは毎日はできていないのですが、続いてはいます。まずは一ヶ月…

      またいつでも遊びにいらしてくださいね^^
      ありがとうございました!!
      2021/09/05
    • hiromida2さん
      naonaonao16g さん
      夜分、失礼します(きっと寝てる時間襲っていますm(_ _)m)
      こちらこそ、コメントのお返事ありがとうござい...
      naonaonao16g さん
      夜分、失礼します(きっと寝てる時間襲っていますm(_ _)m)
      こちらこそ、コメントのお返事ありがとうございます♪嬉しかったです(о´∀`о)
      おー、トレーニング続いてるんですね!
      運動出来ること…最高です♪
      今の私は、あまり運動出来ない事情ありの体で残念ですが(ホントは運動神経抜群なのに(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎))(笑)
      また、勿論、本棚遊びに行きます!
      よろしくお願いします。
      本音で悩みながら、生きてることを実感しながらも、元気でいてね(o^^o)
      2021/09/06
    • naonaonao16gさん
      hiromida2さん

      こんばんは!

      今日もこれからトレーニングしようかなってとこです。にしてはごはんを食べ過ぎたような気もしま...
      hiromida2さん

      こんばんは!

      今日もこれからトレーニングしようかなってとこです。にしてはごはんを食べ過ぎたような気もしますが…(笑)

      運動神経抜群はいいですね…!わたしは真逆で超ド級の運動音痴です…
      いつかまたhiromida2さんが自由自在に体を動かせるといいな…と事情も分からずに失礼だったら申し訳ないですが、そんなことを思っています。

      生きているといろんなことがあるしいろんなことを思いますが、それ全部含めて生きてる…!!
      またブクログでぶちまけることも多々あると思いますが、その時は暖かく見守ってください(笑)
      ありがとうございました^^
      2021/09/06
  • 子供のない30代の夫婦の話

    夫は映画の脚本家になることを諦めきれず定職はない。実家では母親が一人で暮らしている。
    妻は看護師として働き生活を支えている。実母との確執に悩む日々。

    夫がいつもの桜木さんの作品に出てくるクズ男だと思ってたら違うのよ笑
    妻もわたしのイメージの看護師とは違うし…

    お互いが相手に気遣いながら波風を立てないように
    暮らしている日常が、夫と妻の視点から交互に語られていきます。

    自分の至らなさに悩みながらも相手に対して不満を持つことはない。
    劇的に変化が起きることもないし。
    この空気感にイライラする人には向かない作品だな
    わたしには良作でした:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎


    作品中心に残ったフレーズ
    「自分はひとり娘だ。親のことでは責任ばかりが重たい、一人っ子という点では信好も自分も、換えのきかない指定席に座っているようなものだった。」




    このくだり…
    「おびさ〜ん」と叫びたくなった。゚(゚´Д`゚)゚。





    • ultraman719さん
      (o`・д・) ≡〇≡〇≡〇≡〇≡〇)`Д゚1Q)グハッ
      (o`・д・) ≡〇≡〇≡〇≡〇≡〇)`Д゚1Q)グハッ
      2026/02/02
    • みんみんさん
      イタリアの話まで観たけど…女の子が刑務所に入ってる話も観たな…
      イタリアの話まで観たけど…女の子が刑務所に入ってる話も観たな…
      2026/02/02
    • 1Q84O1さん
      私もそのあたりまでは読んだ記憶がありますが…
      私もそのあたりまでは読んだ記憶がありますが…
      2026/02/02
  •  桜木さん作品の男性といえば、DV気味のクズ男かヒモ男(口が悪くてすみません…)が多いのですが、今回は違いました。

     頼りない男性が描かれているのですが、桜木さん作品にしては珍しくほっこりするお話でした。

     私的には実家をリフォームして暮らし始めるあたりがなんだか温かく優しい気持ちになりました。

  • 書いてる方が多いけど、良作。
    思ったより平均の☆が低いけど、わたし的には4.5くらい!
    こういう、どこにでもいそうな、なんでもない日常がいちばんリアルでおもしろい。
    看護師の紗弓と、脚本家を目指す信好。夫婦と、それぞれの家族と、それぞれを取り巻く人たちとのお話。
    愛情と絆で結ばれているけど、だからこそ知られたくない姿があって、聞けないことがある。
    相手のことをすべて知るなんてできない。知らない顔がある。あたりまえのことかもしれないけど、その微妙なすれ違いがうまーく書かれている。
    一番印象的だったのは鰻の話。信好が母と食べた鰻。その店の前を通った時に、信好は母を思ったのだろう。でも、そのことを知らない紗弓は、信好が鰻を食べたいけれど決して口に出さないのだと思う。
    こういうちょっとした思い違いって、どこにでもあるよなぁ。

    紗弓の嫉妬の仕方とか、モヤり方とか、すごく共感。時間を置いてもう一度読みたい。

  • 桜木紫乃『ふたりぐらし』新潮文庫。

    10編から成る連作短編集。

    元映写技師で定職も無く、40歳で映画脚本家の夢を追い続ける夫の信好と5歳下で看護師の妻、紗弓の二人暮らしの夫婦が本当の家族として成長していく過程を描く。

    桜木紫乃にしては、大きな問題も起きず、平坦なストーリーの作品なのだが、長年一緒に暮らす夫婦の生活というのは長い目で見ると平坦なものなのかも知れない。

    『こおろぎ』『家族旅行』『映画のひと』『ごめん、好き』『つくろい』『男と女』『ひみつ』『休日前夜』『理想のひと』『幸福論』を収録。

    本体価格590円
    ★★★★

  • おすすめ文庫王国2022からのチョイス(って、いつの話だよ)、恋愛小説ベストテンの第8位(この微妙な順位のどこに惹かれたのだったけな)。

    定職を持たず時々入る映写技師の仕事をしながら映画評論や脚本を書いて暮らす信好40歳と、昼夜の看護師を掛け持ちして彼を支える紗弓35歳。
    親ともあまり関わらず近所付き合いもないような二人だけで暮らす世界で、甲斐性のなさに後ろめたさを持つ夫と、そんな夫の屈託を理解し彼の心に踏み入らない妻。
    それぞれの心の中にある小さな棘や夫婦であっても相手に話さぬ気遣い話せぬ秘め事、そうした夫婦の微妙な心根と日常が交互の視点で描かれていく。
    仲の良い、健気な夫婦の話は、悪い話ではないが、二人の間柄が年齢の割には青臭い気もして、あまり私の気持ちには入ってこなかった。
    寧ろ信好の中の、母が逝ってから時間が過ぎた後に『つくろいたいあれこれが、胸から溢れて』きたり『ただ疎ましかった通院の付き添い、実家通いの際に感じていた焦りが一気に押し寄せて』きたりする心情のほうが、久し振りに実家で母の顔を見た今の私には沁みるのだった。

  • 子供のいない夫婦のお話で
    夫と妻の視点で交互に語られる
    ふたりに起こる出来事のお話ですが
    誰にでも起こりえるような話で飽きません
    このふたり、今度どうなるんだろう?
    続編あるのかなとちょっと気になりました

  • 最初の数編がすごく良かったです。どうしてこんな心のひだを言葉にできるのだろうと感動しました。次第にその緊張感も薄れてしまいましたが満足のいく読書でした。ただ、性的な描写って必要なのでしょうか?

  • 安定の桜木節で描かれる夫婦の形。
    ブクログでの星の評価が低めですが、普通に良かったです。
    もっとも、大人向けの作品ではあります。
    夫と妻の視点で交互に描かれますが、夫側の「こおろぎ」、妻側の「男と女」が良かったです。

  • もし子供を授からなければ、この先ずっと夫との「ふたりぐらし」を生きていくんだな。

    不妊治療をしていた頃、そんな風に考えることで授からなかった時に備えようとしていた。子供の声がしない、大人2人の生活。2人の為だけにお金も時間も費やせて、それはそれで静かで満ち足りた人生じゃないか、って。治療生活が長引くにつれ、保険のようにそんな想像をすることもしばしばだった。

    そんな時に、書店の店頭で本作に出会って、なんとなく手に取ってから早数ヶ月。
    2ヶ月前に私たちのもとに来てくれた赤子がスヤスヤと寝ている隣の部屋で、ようやく本作を読み終えた。完全に読む時期を逸した感があるけど、こういう読書体験もあるあるだよね。

    脱線してしまった。
    本作の感想に話を戻そう。

    本作の主人公は2人の夫婦。
    脚本家を目指す無職の夫と、
    看護師の仕事を掛け持って家計を支える妻。
    交互に描かれる2人の視点の物語です。

    ボケ始めた母親の通院に付き添いながらも疎ましく思う男の鬱々とした日常が導入部なので、終始この感じだと読み進めるのキツイなあと思っていたら、ところがどっこい←

    読み進めるにつれ、この夫婦がめちゃくちゃ魅力的になっていくから面白い。

    特に、夫の前では明るく立ち振る舞う妻が、実母に対して感じている後ろめたさや苛立ちなんかが、すごくリアルなのに嫌な感じじゃないのが良かった。自分の夫を「ヒモ」呼ばわりされたら、いくら血の繋がった母親が言ったとしてもムカつくよなあ。
    本作の最大の魅力は、この女性です。
    この女性が、かなり人間デキている。
    甲斐性無しの夫に対して、彼女がめちゃくちゃ愛情深く接してるのが素敵なんですよ…。普通はさ、定食も安定した収入もない夫に対しての妻の態度なんて推して知るべしじゃん。この女性はそんな夫を優しく見守ってて、何なら看護師の仕事掛け持ちで日勤の後に夜勤のバイトまでしてるんですよ。しかもそれをイヤイヤやってるんじゃないの。夫がやりたいことでいつか身を立ててくれたらいいなって見守ってくれてるの。糟糠の妻じゃん。愛じゃん…。
    (本作、作者が女性じゃなければアンチが湧いた気がする。「こんなん男が求める理想の女像じゃん」みたいな感じで)

    そんな妻の愛に胡座をかかずに葛藤する夫もまた魅力的なんですよね。読んでて「もうちょいしっかりしなさいよ旦那さん」と軽くヤキモキはするんですが、後半にそんな読者を安心させてくれる展開が待ってるんで無問題。

    私と夫は、こうあれるかな。
    お互いのことを大事に思い合いながら、二人にとって一番形のいい夫婦になれるかな。
    そんなことを、小さなお手手を頭の横でパァの形に開く我が子の寝顔を見ながら思う夜更けでした。

    「さんにんぐらし」、頑張ろうね。

  • 信好と紗弓という若過ぎず、年寄りすぎない、まだ2人きりの家族が中心。
    2人の生活には様々な形の夫婦(家族)が関わっていて、疎ましくも思えるけど、放ってはおけない。その中でまた自分たちを見つめ直す、という。

    あまりにも淡々としてて、始めはストーリーに没頭出来ずにいたのだけど、最後には信好と紗弓がやっぱり愛おしく感じられ離れがたくなった。

    (夫婦って、結局、なんだかんだで相手の事を思いやれなくなったらだめよねーー。)

    解説を友近が書いてて、なんか嬉しかった。

  • 北海道生まれとしては、馴染みの地名が出てきて懐かしかった。

    紗弓が信好を好きな理由がいまいちわからず。
    自分はわりとあけすけに話している関係なので、夫婦関係がもどかしく見えたりもした。
    つかみどころがなくて、にこやかだけど腹の中を見せない、穏やかな人の思考回路を覗き見したような気がした。

  • 短編集と思いきや、登場人物、景色は同じ。ささやかな夫婦の生活の中にも、実はいろいろな事柄が繊細に動いている。
    個人的に母親との関係を疎ましく思っているこの頃なのでこの言葉は響いた。あと、紗弓のお父さん好き。

    家族旅行
    「それは彼女の価値観だから、家庭を持った娘と考え方が食い違うのは仕方ないことだと思うんだ。常識と感受性の間で悩むことも、大人として生きていく上では大切だからね。お母さんの言葉に、お前があれこれと思い煩うことはないんだよ」

  • 具体的にどこがいいとは表現しにくいが、良かった。

  • 夫と妻交互の目線で描かれる、静かに生活が降り積もっていく夫婦の物語
    ぐるりと季節がすすむたび、2人ははより「夫婦らしく」寄り添いながら生きていく
    『男と女』『理想のひと』の2作が特にすきだったな
    紗弓の母が信好にいろいろ言いたくなる気持ちも少し分かる
    主人公2人の性格が穏やかだからか、日常の些細な事件もそんなに苦しくなく淡々と進んでいく
    家族、夫婦って最小限の社会単位なんだな〜

  • 夫婦のあり方、家族との関わり。
    北海道の少し田舎。
    辛いこともありましたが、読んでるときにほっこりしました。
    桜木さんは優しいな。
    この夫婦幸せであれ。

  • いろんな「ふたり」の姿

    それなりの幸せのカタチがあって
    私にとっての幸せも考えさせられる

  • 思った程だったけれど、ちらほらと。



    年を重ねるごとに、誕生日がかなしくなる。それは加齢のさびしさなどではなく、ごくごく近い将来が見えないという、自分の両肩にのしかかるはっきりとした不安だった。

    …後ろから抱きしめるのがいちばんだ。こうすれば、顔を見せずに済む。

    「…しなきゃいけない諍いを避けてるといいことない気がするの。男と女って、理由がわかっていて落としどころの定まった喧嘩は、いくらしてもいいんだと思う」

    ―――ひとつお願いがあるの。愛しているふりだけはしないで。

    ひとりではうまく流れてゆけないから、ふたりになったのではなかったか。

  • 夫と妻それぞれの視点で交互に描かれる短編集。
    淡々としていてちょっと眠くなる。
    生活なんてそんなものだけど。

    作者の文章、言い回しが独特で、時々意味が分からず流れが止まってしまい読みにくかった。
    私の理解力の問題か。

  • 桜木紫乃節と言いたい、きらりと光る文が、りばめられた連続短編集。
    言葉のあや(とり)に心地よくくすぐられるような、あやされるような、うまいんですね。

    主人公たちの「ふたり」夫婦も、その親たちの「ふたり」夫婦も、ご近所の、職場の夫婦の「ふたり」も日常はいろいろ事情が様々なんですよ。そこから教訓を得ようが、等身大と思おうが、何気なく安心してしまおうがいいんです。

    どちら様もおなじ、夫婦は所詮他人と思えば、大概のことは過ぎていく。突き放しているわけではなく、「ひとりぐらし」も「自立心をもって、頑張って、大丈夫!」と自信満々大きな声で言えないときがあるでしょう。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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