ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101255040

感想・レビュー・書評

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    言ってしまえば、ギリシア神話の中でも読み応えがあって面白い話ばかりが集められている。
    小説家 阿刀田氏のユーモアに溢れた脚色や考察も入ってはいるけど、入門書としては最高に面白いと書評にあっただけにビンゴだった。

    ほぼ全ての自然現象は科学的に説明がつくのに、何故未だに神話が語り継がれ愛されるのか意味が分からなかった。(バリバリ文系なのに矛盾したことを言う…) 神々の領域に足を踏み入れたばかりで、正直のところ読後もまだ分かりきっていない。

    ギリシア神話は様々な伝説の複合体として長い時間の中で成立したものだから、辻褄が合わなかったり中には「ノアの方舟」のような”よそ”の神話と酷似した話があったりする。その辺も含めて最終的に物語として楽しむ余裕が出ていたのは、まさしく本書のおかげとしか言いようがない。

    更に科学が未発達の時代だからこそ絶対的なものへの想像力(あるいは妄想力?)がとことん豊かなので、シンプルに続きが気になる。それにあやかった著者の執筆力というか妄想力も達者で、我ながら久々に良い選書をしたと思った。

    最高神ゼウスがとてつもない遊び人だったりと、ギリシア神話には「神のくせに…」と軽蔑したくなるような神々がわんさかいる。そのため本書の物語群もほとんど救いようがなく、読書中は著者のユーモアとバッドエンドのアップダウンを何度も喰らった。

    『パンドラの壺』もその一つで、開けるまでの経緯(開けた後の結果だけは知っていた笑)や前・後日譚に至るまで、幸と不幸の間を行き来するハメに…。知恵者の兄プロメテウスがゼウスをおちょくったせいで、地上に壺を持った美女が弟エピメテウスの元に派遣される。幸い壺を開けても二人に不幸は訪れず無事子供も生まれたが、やがて当事者の兄にお咎めが下り、別の場所では災いの種が蒔かれて…。
    …まぁ著者の思惑通り、こちらも読み応えがあって面白おかしく読ませていただきましたが笑

    以前は神話をおとぎ話のように認識していたが、時折現実世界とリンクしていると錯覚する事実があるからたまらない。
    牛頭人身の怪物ミノタウロスが閉じ込められていた迷宮や、英雄ペルセウスが石にした海獣によく似た岩塊が、当地に実在していたり。岩の件はともかく、ミノタウロスの迷宮は実在しないと近年アメリカの研究チームが結論づけていたが、きっと他にもどこかで繋がっていると半ば信じている。

    最終章の「古代のぬくもり」でも伝説と思われていたトロイア遺跡を発掘したシュリーマンのエピソードが取り上げられている。そこに著者自身がギリシア神話への個人的体験を添えられているから、彼もまた少なからずロマンチストだったのかもしれない。

    裏表紙の内容紹介にある「ギリシア神話通」には及ばなかったが、神話への通用門にはなったはず。神話の迷宮に飲み込まれそうな時は、またここに戻ってこよう。

  • 「やさしいダンテ」に続いて阿刀田氏
    そもそもはこちらをずっと読みたいと思っていたのであった
    「やさしいダンテ」同様大変読みやすくお気に入り
    冗長的で退屈な部分を一切省いた「おいしいところどり」してある

    さて、「ギリシア神話を知っていますか?」…
    なんとなく知っているものもあるし、あれ?これってギリシャ神話の話なんだというものも
    映画になっていたり、無意識に我々の世界に存在しているような気がする
    しかし腰を据えてきちんと知識を得たいと思っていたので、この本が丁度良い気がしたのだ
    (実際初心者には最高に丁度良かった)

    阿刀田氏の分類によると、ギリシア神話は、以下の5つの分類される。

    1.オリンポスの神々の伝説
     (天地の生成から始まって神々誕生までの物語 またその神々のエピソード ゼウスの浮気っぷりにヘラのやきもちやきっぷり…みたいなやつです)
    2.アルゴー丸遠征隊の伝説
     (イオルコスの王子イアソンが黒海の果てまで金の羊毛皮を探しに行く冒険譚 悲劇のヒロインメディアが登場)
    3.英雄ヘラクレスの伝説
     (ゼウスの子であり、勇者であるヘラクレスの十二の冒険譚)
    4.テーバイの伝説
     (オイディプス王の悲劇から娘のアンティゴネの物語ら辺 ドラマティックな要素が多い)
    5.トロイア戦争の伝説
     (説明は不要ですね シュリーマンの大発見により新たな歴史が誕生した)

    知識と小話
    〇ギリシア神話とローマ神話とは、発生的にはまったく別個の神話であったが、ローマの文化はギリシア文化の多大な影響を受けて発展したため、
    神話のほうも時代とともに混ざり合っていった ただし神々の名前にはギリシア名とローマ名が区別されている
    ギリシア名→ローマ名の順で(ゼウス→ジュピター、ヘラ→ジュノウ、アフロディテ→ヴィーナス、エロス→キューピィドウ…など)
    〇アフロディテ及びヴィーナスは「愛」の女神であるが、名前から派生した言葉はすべて肉体的な愛(?)に関係する
     アフロディジア→性的興奮、アフロディジアック→催淫剤、ヴィーナス病→性病…など
     ヨーロッパ文化で愛とは肉体的なものが先という考え方(我々の感覚とは異なりますな あ、人によるか)
    〇ゼウスの破廉恥行為により、妻が不貞を働いた場合の夫
     相手がゼウスであればむしろ光栄に思うらしい 
     どうやら神の不貞は許されるべきものであり、その寵愛を受けることは名誉に値する(えええ 理屈はそうかもしれないけど…本心で納得できるか⁉)
    〇「迷宮入り」の語源
    クレタ島の怪物ミノタウロスが住む「迷宮」からきているか(クノッソス王宮)

    それにしてもギリシア神話は面白い
    日本の神話もなかなかであるがこちらの神様たちもひどい(笑)

    日本の神話と似たやつをちょっと紹介

    愛する妻エウリュディケが亡くなり、夫オルペウスが冥府へ赴き、再会の交渉をする
    「けっして汝の妻の方へ振り返ってはいけない」という掟を破る…
    日本の神話でもイザナギが黄泉の国で「見てはいけません」というイザナミの姿を見ちゃう
    あれですな
    他にも…
    操の堅い人妻が敵方や不本意な殿方のところへ嫁に入る
    意外とその運命を受け入れ、それなりに暮らせてしまうある意味たくましい女性たち(あるある)
    自分の犯した罪が、めぐりに巡って最後は自分へ(光源氏がまさに)
    女神のストライキで大凶作になる(天照大神が天岩戸へ隠れるシーンを彷彿させる)

    しかしこれほど時代が違うのに似通うというのはなぜだろう
    不思議である
    人間の根本はやはり同じなのであろうか…
    そんなわけで大変親しみやすい

    ギリシア神話由来の言葉も改めてはたくさんことも再認識
    (プロローグ、エピローグ、パンドラ、デモクラシー、オリンピック、マラソン、モルヒネ、ミルラ、スパルタ教育、サイレン、レズビアンなどなど)
    知らず知らずのうちに我々は古代ギリシアとつながっている
    神秘的だ

    喜劇的なものから、救いのない悲劇、教訓めいたものから、輪廻転生、哲学がちりばめられていて興味深い
    人間というのは善悪が混じって不安定でどうしようもない
    いや、神様たちだって人間以上に人間くさい上、なかなかひどい(笑)
    とこんな感じでギリシア神話の入門書としては最適ではなかろうか
    1話ずつも短いうえ、阿刀田氏が親切丁寧に紐解いてくださる
    そしてちょいちょい脱線するのもご愛嬌
    阿刀田節をちょっと紹介
    トロイヤ戦争で有名なオデュッセウス
    彼の妻ペネロペイアは美しく、そして内向的才色兼備型の女性であった
    オデュッセウスの帰還を20年も貞操を守り、待ち続ける
    当然美しいペネロペイアの元へは、次々と若い貴族が入れ替わり立ち替わりやってきては求婚を迫る
    うまく立ち振る舞いながらも女、子供だけで切り盛りするのも、そろそろ限界に近いある日、オデュッセウスが帰ってくる
    しかしながらすでに自国にはオデュッセウスの地位さえも狙う者もおり、彼は乞食姿でこっそり帰還
    それに気づいた身内が大喜びするものの、妻であるペネロペイアは夫婦しか知らない秘密を解き明かすまで夫と認めない…
    どんな時も冷静沈着な賢い女性である
    最後は無事夫との再会を果たし、歓喜の渦へと展開するのであるが…
    そこで阿刀田氏のひとことが面白い
    ”しかし、こういう女は一緒に生活していると男は多いのほか疲れてしまうんですね… 
    「あたしは、二十年も貞操を守ったのよ」と恩着せがましく言われたのではオデュッセウスはつらいでしょうなぁ…”
    妙に納得がいく(笑)

    というわけでギリシア神話が気になる!だけど、何から手を付けていいのかわからない…
    なんとなくわかっているけどちっともつながらない…
    という方々にはとてもおすすめである
    但し、くれぐれもお子さんにはお見せしないことである(なんせ愛は肉体から…のため)

    さてこちらを足掛かりにホメロスにいつか挑戦したいものだ

    • メイさん
      はじめまして。こんにちは。
      感想、拝読しました。そして中学時代を思い出しました。当時、ギリシャ神話が好きでこの本を読み、読書感想文を書きまし...
      はじめまして。こんにちは。
      感想、拝読しました。そして中学時代を思い出しました。当時、ギリシャ神話が好きでこの本を読み、読書感想文を書きました。どういう内容かはあまり覚えてませんが、ハデスとその奥さんについて書いたような気がします。ただ、中学生の私にはまだ難しいかったですね。この本は。そう記憶してます。
      ハイジさんの感想を読んで懐かしいと思いコメントをしてしまいました。
      長くなり申し訳ございません。
      2021/06/26
    • ハイジさん
      メイさん
      はじめまして
      コメントありがとうございます(^ ^)

      中学時代に読まれたのこと
      素晴らしいですね!
      羨ましいです
      もっと早いうち...
      メイさん
      はじめまして
      コメントありがとうございます(^ ^)

      中学時代に読まれたのこと
      素晴らしいですね!
      羨ましいです
      もっと早いうちにたくさん本に出会っていたら…と思いながら、時間の許す限り読書をするようになりましたので…

      本書は面白いですね!
      多くの方が手に取って欲しい内容ですね。
      2021/06/26
  • 学生のころ、ギリシャ神話なるものを読まねばならん!と思いつつも、それとはおかまいなしに、いきなりギリシャ三大悲劇詩人のアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスを読もうとして……その「悲劇」が悲しいというより、よくわからん……という切なさで悲しくなりました(ちなみにギリシャ悲劇はギリシャ神話やトロイヤ伝説などのある程度の知識があることがベースになります)。これがトラウマとなってしばし時が過ぎていきました。

    その後、なんとか愉しくよむ方法はないものかな? と図書館の書架をふらふらしていたところ、ふっと目に入ったのがこの本です。
    エッセイ風の語りはとにかく軽やかで平明です。著者の想いや独特の切り口でギリシャ神話をひもときながら、かみくだいた言葉で説明してくれますので、ギリシャ神話の入門や、今よりもっと親しみをもってみたいけど…と思っている方にお薦めしたいです。

    神話にまつわる言葉の由来や、ホメロスの大叙事詩「イリアス」の舞台となったトロイヤの遺跡を発掘した執念の人シュリーマンの話を含め、膨大な神話の中から選りすぐった12の楽しい話が詰まっています。

    「トロイアのカッサンドラ」
    「嘆きのアンドロマケ」
    「貞淑なアルクメネ」
    「恋はエロスの戯れ」
    「オイディプスの血」
    「闇のエウリュディケ」
    「アリアドネの糸」
    「パンドラの壺」
    「狂恋のメディア」
    「幽愁のペネロペイア」
    「星空とアンドロメダ」
    シュリーマンの「古代へのぬくもり」

    これを読むまで、私の頭の中には、整理されないままの神話という具材がまるで闇鍋状態でごっちゃに突っ込まれていました。そのため、1つ1つの神話がどこから派生して何に関連づけたものなのか? いつごろの話なのか? 判然としなかったのです(そんなものだろうと諦めていました)。
    ところが、この闇鍋状態を救ってくれたのが著者が紹介した分類。類型として大きく5つに分類されています。
    早速この本で紹介された話を、わたしの独断と偏見で振り分けてみました!

    ①オリュンポスの神々の伝説
    「貞淑なアルクメネ」
    「恋はエロスの戯れ」
    「闇のエウリュディケ」
    「アリアドネの糸」
    「パンドラの壺」
    「星空とアンドロメダ」

    ②アルゴー丸遠征の伝説
    「狂恋のメディア」(悲劇詩人エウリピデスも書いてますよ)

    ③英雄ヘラクレスの伝説

    ④テーバイの伝説
    「オイディプスの血」(悲劇詩人ソポクレスも書いています)
     
    ⑤トロイヤ戦争の伝説(ホメロス『イリアス』、『オデッセイア』の舞台)
    「トロイアのカッサンドラ」
    「嘆きのアンドロマケ」
    「幽愁のペネロペイア」
    「古代へのぬくもり」(古代遺跡発掘家シュリーマンのお話)

    ということで阿刀田さんでおおいに楽しんだ後で、ギリシャ神話や悲劇に深~い興味をもたれた方は、ホメロスだけではなく、ぜひ現存する貴重な悲劇作品を丁寧に丁寧に拾い上げた、『ギリシャ悲劇』をお薦めします。3大悲劇詩人のアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスです。いや~おもしろい、訳もすばらしい。惚れぼれするほど格調高い♪

  • 著者、阿刀田高さんの作品、ブクログ登録は8冊目。

    阿刀田高さん、どのような方か、再確認しておきます。
    ウィキペディアには次のように書かれています。

    ---引用開始

    阿刀田 高(あとうだ たかし、1935年1月13日 -)は日本の作家、小説家。「奇妙な味」の短編で知られる。1993年から1997年まで日本推理作家協会会長、2007年から2011年まで日本ペンクラブ会長を務めた。文化功労者。山梨県立図書館名誉館長。

    ---引用終了

    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    聖書と並ぶ古典中の古典、ギリシア神話は、世界の思想、芸術、文芸に多大の影響を及ぼしている。本書では、多彩豊富な物語の膨大な枝葉を巧みに整理し、著名なエピソードを取りあげてわかりやすく解説する。エロス、オイディプス、パンドラ、アンドロメダ……
    神話中のヒーローとヒロインの運命を、作家的想像力で興味深く語ったこの一冊で、あなたはもう“ギリシア神話通"。

    ---引用終了

    この中で印象深かったのは、 アリアドネの糸、 パンドラの壺など。

    ●2023年4月9日、追記。

    超簡単な、一言メモ。

    ・ゼウスは、「浮気者」。
    ・アルクメネは、「貞淑」。



    ●2023年5月30日、追記。

    ゼウスは、白い牡牛に化けて、エウロペーを誘拐した。

    1 ひときわ美しい乙女エウロペー
    2 ゼウスは、白い牡牛に変身
    3 「なんと優しそうな牡牛でしょう」
    4 エウロペー、クレータ島の王家の母に

  • ギリシャ神話をよく知るようになったのは大人になってらかで
    子供の頃から親しんでいたという記憶はあまりありません。
    きっと星座の成り立ちなんかをどこかで聞いたことはあったのでしょうけれど
    その場ではへぇ...!と驚くものの、すぐに右から左へと受け流していたんじゃ
    ないかと思います。だってややこしくって....(特に登場人物の名前)笑

    そのややこしさだけは、ギリシャ神話によく巡り合うようになった今でも
    なかなか克服できず、何度聞いて(+読んで)もふんふん...なるほど....
    そうそう...と頷いてはその場限りの一瞬を楽しむだけで精一杯です。

    白鳥座の成り立ち(「三軒茶屋星座館」挿入:柴崎竜人著)や
    アネモネの花の名前の由来(「下鴨アンティーク」挿入:白川紺子著)
    そして、最近観た絵画の一場面になっていたセイレーン(怖い絵展)に
    あらすじだけはなぜか知っていたオイディプス王のお話などなど...

    (一応は..)知っているというお話を、阿刀田高さんのユーモアのある優しい
    語り口でお話解説頂けたことが何よりうれしくて、うきうき上機嫌になって
    読みました。硬すぎず、反対に砕けすぎることもなく、穏やかに受け止める
    ことができた阿刀田版ギリシャ神話は、とても心地よく体内へと入り込んで
    私には丁度よく相性のあう良本でした。表紙カバーと12の章の、ギリシャ神話に
    纏わるお話の初めに描かれた和田誠さんの素朴なイラストも好みです。

    オイディプス王の娘アンティゴネのお話と、トロイア戦争についてのお話は
    さらにもっともっと深いところを知りたいと思いました。

    阿刀田さんはギリシャ神話の他にも「知っていますか」シリーズとして
    「聖書」や「源氏物語」や、幾つかお話くださっているようなので
    これからまた順々に読んでみたいと思っています。

    いつかギリシャ神話のなにかひとつくらい
    あのね...と、誰かに語って聞かせられるようになりたいな...。

  • しばらく前に、よし、ひとつギリシア悲劇を読んでみよう、と思って手にとった『オイディプス王』。
    ……ここだけの話、ちょっとピンと来なかったんですよね(笑)。
    確かにオイディプスの行動の一つひとつが彼が望まない真実を裏付けていく有様は、迫力があったのですが。
    オイディプスは何も悪いことをしたわけではないのに、あんまりじゃない? とか。
    ところどころに登場するコーラス隊がちょっと唐突すぎじゃない? とか。
    いきなり本丸を攻めるのはまだ早すぎたのかも、という反省から手にとったのが、この一冊です。

    本書は、直木賞作家でもあり、国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続けた阿刀田高(あとうだたかし)による、ギリシア神話をめぐるエッセイ集。
    「トロイアのカッサンドラ」「パンドラの壺」のように、ギリシア神話の代表的なエピソードをとりあげ、個々に解説を加えながらも、通読することで膨大なギリシア神話の全体像をわかりやすく伝えてくれています。

    特に印象的だったのが、「闇のエウリュディケ」の中の、次の一節。
    「もとよりギリシア神話はいつもなにか教訓的な示唆を私たちに与えようと意図してそこに存在しているわけではない。すべての神話と同様に自然に発生し、一つの物語として淘汰されて今日に伝えられたものだ。」
    私なりに著者の意図をまとめると、ギリシア神話は諸民族の中で発生した膨大な伝説群が淘汰されて今に残ったもので。
    その伝説自体がなにかメッセージを発出しているというよりは、時代をへて作家がどのように解釈し表現したか、が大切であると。
    エスプレッソが、牛乳で割るとカフェラテになって、フォームミルクでで割るとカプチーノになり、はたまたアイスクリームにかけても美味しい……みたいな感じでしょうか、いや違うか。

    恋愛をめぐるエピソードの一部分、特に著者の女性観については、うーんん、そうかなあ、と感じてしまう箇所もあったのですが。
    そのこと自体、ギリシア神話は時代や受け手によって様々な解釈の余地があることの表れ、と思えば納得。
    和田誠さんの挿画と地図(贅沢!)もあいまって、異国の地への憧れが膨らんだ一冊でした。

  • 膨大な数のギリシャ神話の中から代表的な話をピックアップし、そのエッセンスを軽妙な語り口で解説した本。著者は様々な文芸に通じており、ギリシャ神話をモチーフにした演劇や映画などのエピソードも豊富だ。

    それにしても登場する神々のなんと自由奔放なことか。美女を見つけたら本人がいやがっていようがお構いなし。愛する夫の姿に化けて人妻に夜這いをかけるわ、意に沿わなかった者には呪いまでかけてしまうわ、やりたい放題でとんでもなく人間臭いのである。ギリシャの人々にとって神々は畏れ多いが身近な存在であったのだろう。

    私が一番印象に残っているエピソードは第一章の「トロイアのカッサンドラ」である。
    美しく聡明なトロイアの王女だった彼女は、神の一人であるアポロンに見初められ、予知能力を手に入れる。しかし関係を持つ前に、アポロンにみじめに捨てられる自分を予知してしまい、アポロンのもとを逃げ出してしまう。その結果、アポロンに「誰にも予言を信じてもらえない」という呪いをかけられてしまうのである。
    有名な「トロイアの木馬」では、木馬を城内に引き込もうとした兵士たちに必死でやめるよう忠告したカッサンドラだったが、誰にも信じてもらえることはなく、トロイアは火の海となった。
    神に見初められたがために悲惨な運命をたどったカッサンドラがなんともあわれで哀しい。古代ギリシャといえば明るくて自由なイメージを持っていたが、女性にとっては決して生きやすい時代ではなかったのかもしれない、と思う。

    各エピソードは作者の想像で肉付けされており、読み物としておもしろい。ギリシャ神話への興味を持つきっかけとして良い本である。

  • 10歳の次男が、ギリシア神話をモチーフにした児童文学「パーシージャクソンとオリンポスの神々」シリーズを学校で借りてきて今も読み進めている
    ギリシア神話について知りたいというので、子供にも分かりやすい本をいくつか借りてみたんだけど、せっかくなので私も読もうと阿刀田さんの知っていますかシリーズを。
    なお、次男にもちょっと読ませてみたが「子供が読んじゃいけないことが書いてあった~~。(><)。」と言っていた(笑)まあゼウスが○○に変身して女性を妊娠させ~とか、戦争で負けた女性は敵国に連れ去られて…とかそういう描写は多いですからね。


    西洋文学、映画、美術を読んだり観たりするに当たり、聖書やギリシア物語やシェイクスピアはある程度分かっていないと理解しづらい。
    シェイクスピア悲劇が「人間個人が生み出した悲劇」だとすれば、ギリシア悲劇は「人間個人ではどうにもできない宿命としての悲劇」だとかいう考察を聞いたような。
    たしかに「オイディプス王」なんて運命の所為というか、本人は(そんなに)悪くないだろう、とは思う。

    ギリシア神話には、
     神様だけの話
     人間だけの話
     人間と神様が混在した話
    がある。
    神様の騒動が人間に被害を及ぼすものだと「神様同士で話を付けてくれませんか?!」と思ってしまうんだが、
    トロイ戦争のように実際の人間の歴史に神々をエピソードとして配置したものだと不謹慎ながらよくできているなとは思う。そして神様が絡む分まあ他人事と言うかソフトな印象にはなっているが、実際にはもっと凄愴だったのだろうとも思う…。

    『トロイアのカッサンドラ』
    トルコ領の北の端、海湾に位置するトロイアの町。小さいけれど地理的に好条件で、大国ギリシアとも渡り合えるくらいの力を持っていた。

    時の王はプリアモス王。息子の一人にパリスがいた。国を破滅させると予言され、殺されるはずだったところを部下により密かに育てられたパリスは、家畜の世話をしながら気ままな日々を送っていた。
    ある日三人の女神、大神ゼウスの妻ヘラ、知恵の女神アテネ、愛の女神アフロディテとの間の美女争いの審判を委ねられる。
    パリスは交換条件として「世界一の美女」を約束したアフロディテを選ぶ。
    ギリシア神話に置いて「産まれた時不吉な予言をされた子供が殺されるはずだったところを助かり…」というパターンでは、その予言は必ず実行される。

    中国古典では預言された息子が父を説得し、ますます栄えたみたいな話になることもあるんですけどね。ギリシア悲劇は「本人ではどうしようもない根本的命運的悲劇」なのだからここは国が滅びないと。

    この章のヒロインのカッサンドラは、プリアモス王の娘の一人。
    カッサンドラは、アポロンから口説かれたときに予言の力を授かるが、それを得て逃げ出してしまったというある意味契約不履行に怒ったアポロンが「必ず当たるが誰にも信じてもらえない予言」となってしまう。ヤル事だけヤリたかったアポロンからか弱い娘さんが逃げ失せたんだから「よくやった!」といいたいが…神を怒らせて倍返しされてしまいましたね…。

    さて。色々あって王子と認められたパリスは父プリアモス王の使いとしてギリシアに行くことになる。
    そしてその強国ギリシアには絶世の美女ヘレネがいる。母のレダは、白鳥に化けた大神ゼウスにより身籠った。
    このパリス、そしてその使いを果たさなかったばかりか、世界一の美女ヘレネを連れ去ってしまうんだから全くお気楽者だ。
    こうして10年に及ぶトロイ戦争が起こった。
    ギリシア悲劇が「個人ではどうしようもない悲劇」だとしても、このパリスはあくまでも「個人が悲劇を招いた」だろう…。

    現代でも心理学用語で「カサンドラ症候群」という用語がある(医学用語ではない)。
     「夫または妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的・精神的症状を表す言葉」
     「世間的には問題なく見えるアスペルガーの伴侶への不満を口にしても、人々から信じてもらえない。その葛藤から精神的、身体的苦痛が生じるという仮説」(wiki写しました)

    人から信じてもらえない、正しい予言を繰り返したカッサンドラは、トロイ陥落に際し悲劇的最期を迎える…。

    映画「トロイのヘレン」を見たことがあります。
    トロイ敗戦後にヘレネがギリシアに連れ戻されるところで終わり。彼女はギリシアで居心地が良かったのか悪かったのか。
    http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=16339
    カサンドラは、最初はヘレネに対して不吉な予言をして警戒しますが、何かのきっかけで「悪い運気は消えた」とか言って和解していたような。彼女は燃え盛る神殿で敵兵に拉致される場面で出番は終わり。

    さて。
    トロイ戦争と言えば、トロイの木馬、アキレウスとヘクトルの闘い、なかなか帰れないオデゥッセウス、などなどの数多くのエピソードがあり、それぞれが別の物語を紡ぐ。
    ギリシア神話は、神々の神話であると同時に、現代にも繋がる人間たちの辿った道のりでもある。

    『嘆きのアンドロマケ』
    十七世紀フランスの演劇ルールに「三・一致の法則」というのがあるそうな。
     ・時の一致⇒一つの芝居が始まってから終わるまで、二十四時間以内の出来事であること
     ・場所の一致⇒芝居が始まってから終わるまで、場面は一つの場所でなければならない。
     ・筋の一致⇒芝居が始まってから終わるまで、一つの筋を中心にして他のエピソードを交えてはならない。
    ラシーヌが書いたギリシア古典「アンドロマク」はまさにこの三・一致を守っているということ。
    そして私は劇団四季の「アンドロマク」を見たことがあったのでした。

    トロイ戦争でアキレウスに殺されたトロイの王子で智将のヘクトルの妻アンドロマケは、トロイが滅びてギリシアに連れ去られる。
    彼女を望んだのはアキレウスの息子のピュロス。だがピュロスには婚約者も同然のヘルミオネがいた。絶世の美女と言われトロイ戦争の引き金となったヘレネの娘であるヘルミオネは気位も高い。自分の物にならないなら愛するピュロスを殺そうとする。そしてヘルミオネに熱烈に想いを寄せる勇将オレステスにピュロスを殺害をさせる。

    要するに誰も報われない四角関係。
    ラストでは、ピュロスは死に、自分が望んだこととはいえ愛する男が死んだことを嘆くヘルミオネはオレステスを激しくなじり自害する。女心に振り回されたオレステスの嘆きで終幕。

    劇団四季で観た感想は「命も望みも保ったアンドロマク、望みは叶ったが命を喪たピュロス、命も望みも失ったヘルミオネ、とりあえず命は助かったねのオレステス」という感じだった(笑)
    しかし実際のアンドロマケの幼い息子は殺されている。大殺戮の痕跡の残るトロイで、城壁から突き落とされる幼い息子と略奪されるアンドロマケ。
    https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/91/Andromaque_Rochegrosse.jpg

    なお、オレステスの父は、トロイア戦争でも活躍したアガメムノンであり、こっちはこっちで別のエピソードにつながる。
    ギリシア神話の中でも「人間の物語」である。

    『貞淑なアルクメネ』
    ヘラクレスの母となったアルクメネ。
    父はゼウス。アレクメネの夫であるアンフィトリオンに変身してアルクメネと交わる。
    アンフィトリオンは、妻の”浮気”を叱らずむしろ大神の子供ということでヘラクレスを喜んで育てたらしい。
    ゼウスの浮気は大迷惑だが、女にとっては「だって夫に(または雨垂れに、白鳥に、雄牛に)変身されたんだからしょうがないじゃない」と言えるし、男にとっては「大神ゼウスの息子を我が子として授かったなら栄誉」だといえるし、人間にとっては案外都合が良かったのか。

    この章ではこの後ヘラクレスの冒険の解説となり、そしてヘラクレスの死後も母アルクメネは生きていた、と語る。

    『恋はエロスの戯れ』
    エロスの母は美の女神アフロディテ。エロスの持つ矢で胸を付かれた者は、たちまち恋に落ちてしまう。
    女神のアフロディテは美少年アドニスに、アポロンはうら若き乙女のダフネに…。
    それは本人たちにとっては大変迷惑な話だが、恋とは無邪気で残酷だということを「永遠に年を取らない無邪気な幼い神の気紛れで弓を得られたのだから人間は恋に苦しむかない」ということで表現したのだろう。(と、阿刀田さんは解析する)

    『オイディプスの血』
    テーバイのライオス王は「長じて父を殺す」と予言を受け、産まれてきた男児殺害を命じる。
    ギリシア悲劇ではこの予言が下された場合、その男児は密かに助けられ、長じてその予言を敢行することになる。まさにそれが「自分では避けようのない運命の悲劇」。
    さらにこの章では、オイディプスが国を出た後のテーバイの状況、オイディプスが死んだあとの子供たちにも降れている。
    この章の後半で語られてるのは国を出たオイディプスの世話をした娘のアンディゴネ。殺し合った兄弟を悼み葬ろうとしたことで罰せられる娘。芝居としての役割は、「現実的政治を行う姿勢者に対して、人間社会本質の矛盾を示唆する者」ということらしい。

    オイディプス王の物語は相当有名で、心理学用語でも、父を憎んで母を愛する男性心理を「エディプスコンプレックス」と名付けられている。
    ギリシア神話由来の「○○コンプレックス」は他にも多々ある。ギリシア神話は現代にも通じる人間心理の真相を描いている。

    そいえば私は蜷川秀樹演出、野村萬斎主演のオイディプスを観たことがあった。
    蜷川さん舞台は3作品しか見てないけれど、上からなにかがボタッと落ちてくる、出演者脱がせる、客席巻き込む、などなどなんかシュール。
    私が観た舞台では全体的に白を基調としてちょっと現実離れした感じになっていました。

    『闇のエウリュディケ』
    竪琴の名手オルペウスが死んだ妻エウリュディケを求めて黄泉の国へと赴く。「決して振り向いてはいけない」という教えをあと一歩のところで破ったため、エウリュディケを永遠に失ってしまう…。
    日本神話でも伊邪那岐の尊が伊邪那美の尊を求めて黄泉の国へ行くが叶わないという話がありますね。国が隔たっても人間の語る話の内容が似通うのは面白い。

    オルペウスは芸術家で妻を愛する優男のように感じてしまうが、昔はアルゴー船にも乗船してヘラクレスやカストールとポルックスのような勇者たちと共に冒険に出ていたのだから、彼自身も勇敢で人付き合いもうまかったのだろう。アルゴー船乗組員たちは、船長イアソンも含めて悲劇的な最期を遂げる者が多い(まあ悲劇的な者たちだけが語りつがているんだろうけど)。

    『アリアドネの糸』
    クレタ島の迷宮には、牛頭人身の怪物ミノタウロスが住んでいた。アテネの王子テセウスは、人身御供としてささげられるアテネの少年少女たちに交じってミノタウロス退治を目論む。
    テセウスを手助けしたのは、クレタの王女アリアドネ。テセウスに糸玉を渡し、それを辿り道標とさせた。
    首尾よくミノタウロスを倒して手に手を取って逃げ出したテセウスとアリアドネ。しかし酒と収穫の神であり暴れ者のディオニュソスの支配する島に立ち寄ったところ、アリアドネはディオニュソスに差し出されてしまう…。
    テセウスは一人アテネに帰った、そして別の姫を迎え、死んだ父の跡を継いだんだそうだ。
    いい気なもんであるが、まあ成功者の成功物語ってこんなもんさ。

    この話の枝別れの部分で、イカロスの失墜の物語がある。

    『パンドラの壺』
    知恵者のプロメテウスは、暗闇を恐れる人間に火を教えた。
    神々は人間が力をつけすぎることを望まず、この挑発者プロメテウスのもとに蠱惑の美女パンドラを送り込む。
    しかしパンドラと共に送り込まれた罠に嵌ったのは弟のエピメテウスの方だった。パンドラが持ってきた箱の中から飛び出したあらゆる不幸、しかしそれでも失われない希望。
    プロメテウスはその後、岩にくくりつけられ鷲に肝臓をついばまれ続ける罰を受けるが…、その後神々と和解。晩年はオリンポスの神々の助言者として平穏に暮らしたそうな。”平穏”という言葉はギリシア神話では聞きなれない(笑)

    『狂恋のメディア』
    コルキス王アイエテスの娘メディアはある若者に目を奪われた。
    青年はアルゴー船船長のイアソン。イオルコスの王位継承のために、コルキス王の所有する金色の羊の毛皮を獲らねばならなかった。
    敵の若者に目を奪われる娘が、父を裏切り若者の手助けをしてそのまま駆け落ち…というパターンは多々あるが、このメディアの場合は狂想っぷりが桁違いだった。
    彼女は父を裏切り弟を殺し、イアソンに王位を返そうとしないイオルコス王を謀殺する。さすがに彼女を怖れたイアソンが別の女性と親しくなるとその女性と父も殺す。
    メディアのその後はイアソンとは離れ、別の国の王妃になったようだが、策を弄するのは相変わらずで、ミノタウロス殺しのテセウスも殺そうする。最期は不明だが、彼女が殺せなかったテセウスが自国の王になった以上穏やかに過ごせたとは思えない、ということ。

    アルゴー船の冒険は、ギリシア神話の中でも英雄達の冒険談として有名ではあるが、関わった男も女も碌な死に方をしていない。

    『幽愁のペネロペイア』
    この章の冒頭では、男と女の恋愛観の違いなどを考察している。それは敵方に略奪された女性たちの心境を慮るためだ。
    そしてこの章のヒロインのペネロペイアは、珍しくも敵方には決して略奪されずに済んだ女性。
    夫はオデュッセウス。十年続いたトロイ戦争の勝利後、さらに十年間故郷に帰れなくなった。女性にとって夫がいないことは不安定だ。自分を狙う求愛者たちは好き勝手する、経済的にも困窮、このままでは息子のテレマコスの命も危うい。
    オデュッセウスが帰ってきたのは、ペネロペイアがついに求愛者たちの中から再婚者を選ばざるを得なくなったその日だった。冒険譚の大団円として、勝手な求婚者たちはオデュッセウスにより皆殺しになる。
    このエピソードがわざわざ残されるということは、女が夫を待ち続けるということが本当に難しかったのだろう。待ち続けた女の心と、略奪されつつ新しい暮らしに決して慣れようとしなかったり、または順応しようとした女たちの姿。

    『星空とアンドロメダ』
    星座の名前にはギリシア神話由来のものが多い。羊を飼いながら、海を旅しながら、星に物語を作ったのだろう。
    生贄のアンドロメダを助けたペルセウスの話も英雄譚の一つで、メデューサの物語など有名エピソードを含んでいる。
    ペルセウスとアンドロメダの物語が有名になった要因の一つとして、やはり星座になった人物が多いということもあるだろう。
    アンドロメダの母であるカシオペアなど、エピソードとしては「姫の母」というだけだけれど、冬になると非常に探しやすい星座としてついつい探してしまいますからね。


    『古代へのぬくもり』
    阿刀田さんのギリシア神話語りと、古代を感じることについてでこの本を締めている。

  • とても面白かったです。
    子どもの頃、星占いとか花言葉とか妖精とか好きだったので、ギリシア神話もその流れで児童書で読んでいたことを思い出しました。恋多きゼウスとか、敵の国の姫と駆け落ちするような勇者とか、その頃どう思っていたのか思い出せないけど、それでも魅力的な神話の世界に心ときめかせていたことは覚えています。
    その時の想いがぱぁーっと蘇りました。阿刀田さんのわかりやすい説明や、クスリと笑えるセリフなどのおかげで難しい神々の名前も、覚えられないまでも(笑)そうそうこの神のことね!とストーリーの中で理解することが出来ます。
    品行方正な神々よりも、人間味溢れるどちらかと言えばなんて奴だぁと呆れるくらいの神々の方になんでかな、惹かれますね。
    あと、シュリーマンの伝記はぜひとも読んでみたいです。

  • かなり丁寧にゆっくり読みました
    ギリシア神話は色々と物語の前提となっていたりするので、勉強しておこうと思った次第です

    神々の人物紹介的な最後の章の「古代へのぬくもり」を最初の章にしていないところに、
    著者の、神話を物語として楽しんでほしいというような気持ちを感じました

    • りまのさん
      あつしさん
      フォローに答えて頂き、ありがとうございます!
      阿刀田高は、好きな作家さんで、この本も、楽しく読んだのですが、本箱のカオスの中に、...
      あつしさん
      フォローに答えて頂き、ありがとうございます!
      阿刀田高は、好きな作家さんで、この本も、楽しく読んだのですが、本箱のカオスの中に、紛れ込んでいます。あつしさんの本棚を見て、思い出しました。
      それでは、これからどうぞよろしくお願いいたします♪りまの
      2021/01/23
    • あつしさん
      りまのさん
      コメントありがとうございます
      こちらこそこれからもよろしくお願いします
      本棚を参考にさせていただいて、世界を広げられたらなと思い...
      りまのさん
      コメントありがとうございます
      こちらこそこれからもよろしくお願いします
      本棚を参考にさせていただいて、世界を広げられたらなと思います。
      2021/01/23
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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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