- 新潮社 (2021年3月27日発売)
本棚登録 : 99人
感想 : 9件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784101256634
作品紹介・あらすじ
蔦屋重三郎は肚の据わった出版人だった。謎の絵師「写楽」の売出しも、発禁覚悟の秘密企画。御公儀に悟られぬよう、関わる者を数名にとどめ密談を重ねた。どこまでも慎重に大胆に。重三郎は何食わぬ顔で知恵を絞った――。大仕掛けは大成功、だが裏で軋みと綻びが生じる。「写楽」はなぜ突然誕生し、不意に消えたのか。蔦重一世一代の大仕事を描く歴史ミステリー。『大名絵師写楽』改題。
感想・レビュー・書評
-
読みえ終えるのに4週間かかった。面白くないわけではない。面白い。写楽正体の新しい説だ。あまり細かいところはわからないが、写楽は正体だけではなく作風の変化など色々な謎がある。そこをうまく説明できている。先に読んだ島田荘司の説(どこまで説にしたいのかは不明だが)の方がぶっ飛んでいて面白かった。そこまではぶっ飛んでいないにしても、飛んでいるが島田荘司説より有り得そうに思う。
これは小説である。ノンフィクションではない。解釈に穴があってもこれはフィクションですから、と逃げられる。と同時に史実に疎いものとしては、どこからがフィクションなのか線引ができない。
フィクションの形をとったノンフィクションとして書かれたものか、ノンフィクションをイメージさせるフィクションなのか判別がつかない。という状態なので、考えながら読んだし、ノンフィクションの要素が入ってくるので理屈っぽい解説が多く、人間関係も複雑で、読み解くのに苦労して、小説として楽しめなかった。色恋沙汰がないのも、周辺が描かれていなので登場人物に人間味がない、立場だけの人物にしか見えないのもワクワクしなかった要因だろう。
面白い。ノンフィクションとして読んでしまい、でもワクワクしなかった。そんな小説だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ノンフィクションならではの楽しい写楽誕生から活躍までのからくり記。
日本の話なのに、人名が江戸時代なので、あの貴方はどなた様?と登場人物の相関関係が脳内に組み上がるまでちょっともたもたいたしました。
いや、それにしても面白い。新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、そしてソーシャルメディアがあったらきっとうまくいかなかったお話し。新幹線ではなくて、夜行列車や夜行バスでもなく、てくてく歩く旅だったからこその時間の流れもまたよろしいようで… -
特徴ある浮世絵デフォルメ満載の「役者絵」の作者「写楽」が何者か、謎に包まれていたのですね。その謎を逆手に取って、謎をますます深めたフィクションです。
江戸時代中期、「出版社」の蔦屋重三郎がある人の絵の芸術性に惚れ込んで、役者絵を描かせて売り出そうと画策しました。その人とは身分高き元藩主。江戸時代、お殿様の趣味となれば、匿名希望はもちろん、プロ意識はどうだろうかとか、身分への遠慮など障害がたくさんあったでしょうけど、側近を巻き込んで「東洲斎写楽」という名で世に出そうとします。果たして成功するのか、という趣向です。
これは浮世絵の話ですが「読み物」とて同じでしょう。趣味が高じだ人の作品を売りに出すのはリスクを伴います、並大抵ではありません。
浮世絵や江戸時代の出版事情(版画ですもんね)が作者の豊富な知識の語りで解ったり、物語の謎と駆け引きがなかなか面白かったです。ちょっと説明が饒舌すぎたところもありますが。
ある作品が売れ、もてはやされるか、真に芸術的価値があるもか、興味尽きないものです。
時代を経てしまうと作者が誰だろうと、作品が光っていれば永遠に残っていくものだなあと思いました。 -
写楽を描く人に絵を描いてもらうのに別の人を介して依頼するほど謎の人にするのは相当の苦労があったようです。
-
写楽に特段興味ないけどな、と思って読み始めたが、巧みな文章にすっかり夢中で読んでしまった。キャラクターが立っていておもしろい。さすが野口卓。
-
謎の画家、写楽の誕生から消滅までを内側から書いたお話。もともと私は写楽に詳しくなかったので、写楽の作品の特徴や絵の変遷など、新しく知った内容も多く、知的好奇心がかきたてられる本だった。このエピソードは一つの写楽誕生の仮設なんだろうが、私には展開に無理がなく、とても自然に思えた。写楽伝説について他の本も読んでみたい。
著者プロフィール
野口卓の作品
