ギンイロノウタ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 350
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101257112

作品紹介・あらすじ

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。

感想・レビュー・書評

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  • こわい。でも読みたくてたまらなくなる。心地よいわけではないのに読み進めたくなる。そんなに面白いのかと問われると、面白いのかわからない。

  • 表題作と「ひかりのあしおと」の中篇2作。どちらも、両親に愛されず、他者と上手く交われず、内側に狂気を抱え込んでしまう少女の話。精神状態が良好なときに読まないと、巻き込まれて一緒にウツになりそうな読後感。「わかる」ということは作品としては上手いし、とてもよく書けているのだけれど、共感しすぎるとしんどくなるというか、こういう10代をやっと乗り越えてこの年齢まで無事に来たからには、もう戻りたくないという無意識の拒否反応も同時に起こってしまう。救いが全くないわけではないけれど、精神的な痛みのほうが勝ってしまうので、よほどドMでない限り、2回は読めない本でした。

  • 好き好き村田沙耶香さん五冊目。
    どの本を読んでも、印象的なことば使いやシーンが必ずあって引き込まれてしまいます。(以下、例〜)

    ・「アカオさん」←!!!
    ・愛菜ちゃんが崩壊するトカゲのシーン
    ・彼に「安全な席を確保するため」始発で学校に向かう主人公

    あとがきの人も書いてるけど、健全すぎる蛍くんも相当な人だよね。(となると、わたしの愛するしろいろ〜の伊吹くんも実は結構やばい人なのかな…)
    あと、村田さんの小説によく登場する「私だけの歌を唄う」みたいなことが、わたしにはまだ理解できずにいます。主人公たちより、ずっと歳をとっているというのに!

    あとあと、前に「本の雑誌」のインタビューで村田さんが好きだと言っていた本に空気感が似ている部分もあってそれもおもしろかった。
    小川洋子さんの「妊娠ダイアリー」の姉と、「ひかりのあしおと」の愛菜ちゃんの気持ち悪さとか。食欲に対する捉え方?とか。
    山田詠美さんの「ベッドタイムアイズ」のスプーンにとっての銀色のスプーンと、「ギンイロノウタ」の主人公にとっての指揮棒とか「授乳」の中のぬいぐるみに依存してる女の子とか。

    気づけばまわりの音が聞こえなくなっているくらいに読ませる、村田沙耶香さまの文章が大好きです!!!

  • またもや病んでる少女の話が二つ。『授乳』に続いて読んだが、テーマは同じ方向か。ただ、『授乳』の時よりももっと言葉が大きな塊となって感情に直接訴えてくるような感じがする。

    自分の中の狂気をコントロールできるようになる事が大人になるという事なのかな?その狂気に多少なりとも心当たりがある人は、この小説の投げかけに対して、好きとか嫌いではない「無視できない」感情をもってしまうんだろう。

    ユング心理学でいう強い自我による自己の抑圧(だっけ?)に悩む少女が自分と向き合えるようになる過程を描いたものとも取れるのかな?ただその表現方法は独特で何とも言えない読後感の悪さも…そこが村田沙耶香ワールド!かなり癖になってきてます。

  • 面白かったですが、苦しい読書でした。どこかおかしい、狂っている人物の描写に心が塞がって、とても苦しくなります。でもどこか、光を感じるところもあって。光を感じるなんてわたしもどこかおかしいのだろうとも思いますが。排斥はされなかったものの、教室の真ん中にいるキャラでもなかったことをしみじみと思い出しました。村田さんの小説世界は好みなのですが、この2つのお話はそこまでなかったです。

  • 狂気とは突然落ちるものではなく、緩やかに、いつの間にか落ちているものなのかもしれない。

  • はじめて読んだ著者でしたが、全体的に比喩がとてもうまくて、内容は切ないものでした。
    子供の豊かな想像力と、小説家の豊かな表現力で、おそろしさ、切なさ、理不尽なことなどがみっちりと埋め込まれていて、すごい世界観です。
    なんだか不思議なのですが、ありきたりな内容ではないところもとても気に入りました。他の本も是非読んでみたいと思いました。

  • 再読。このなかでは、「ひかりのあしおと」がいちばんすき。村田さんの作品はすきな雰囲気があるんだけど、もっともっと狂気に落ちる瞬間の描写にゾッとしたいなあとおもう。細部、てか使われている小道具はいいのになんか落ちるところだけありきたりになるというか。

  • <ひかりのあしおと>
     あしおとを漢字で「跫」と書くと、「恐」の一部が入っていて何やら怖いイメージがある。この小説でも、主人公を狂気へと誘う「跫」がひたひたと迫ってくる。
     「ひかり」と言うと明るいイメージもあるけれど、病室の天井の「光」、無菌室にあるであろう光は、主人公の母のような不気味な印象を受ける。

     「熱気が今のも破裂して、私をずぶ濡れにしてしまいそうです」という冒頭の一文からしても、この小説からは「飲み込まれる」という感覚を常に受け続けていたように思う。
     自分が逃げていたはずの狂気は、いつの間にか自分を包み込み、知らず知らずのうちに自分自身が狂気の構成員になっている、そんな感じ。

    <ギンイロノウタ>
     後日加筆

  • 2つの物語。2つとも、主人公の少女が病んでいます。世の中で起きるびっくりするような事件は、このような病んでいる人々が自分の世界観を完結させるために起こしているような気がします。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた さやか)
1979年、千葉県印西市生まれ。二松學舍大学附属柏高等学校、玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。
2003年『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー作となる。2009年『ギンイロノウタ』で第22回三島由紀夫賞候補及び、第31回野間文芸新人賞受賞。2010年『星が吸う水』で第23回三島由紀夫賞候補。2012年『タダイマトビラ』で第25回三島由紀夫賞候補。2013年、しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。2014年『殺人出産』で第14回センス・オブ・ジェンダー賞少子化対策特別賞受賞。2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞。
2018年8月末、『地球星人』を刊行。

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