地球星人 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101257136

作品紹介・あらすじ

恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活を送る34歳の奈月。夫とともに田舎の親戚の家を訪れた彼女は、いとこの由宇に再会する。小学生の頃、自らを魔法少女と宇宙人だと信じていた二人は秘密の恋人同士だった。だが大人になった由宇は「地球星人」の常識に洗脳されかけていて……。芥川賞受賞作『コンビニ人間』を超える驚愕をもたらす衝撃的傑作。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『工場』の部品でしょうか?

     (*˙ᵕ˙*)え?

    私たちは社会の中にそれぞれ一人の人間として生きています。人間が集団社会の中で生きる生き物である以上、そこには社会に適応していくことが否が応でも求められます。特にこの国は他人の目を意識する傾向が強い社会だと感じます。自分が何かをしたいと思っても、まずはそのことが他の人からどう思われるかを意識してもしまいます。

    また、そんな社会ではそれぞれに求められる役割というものがあるようにも思います。例えばこんな感覚でしょうか?

     『一つは、お勉強を頑張って、働く道具になること』

    どことなく言わんとすることはお分かりいただけるのではないかと思います。私たちには自由があります。しかし、集団社会の中ではこのように一定の役割を求められてもしまう現実があるのです。

    さてここに、『私は、人間を作る工場の中で暮らしている』と思う一人の小学生が主人公となる物語があります。そんな主人公が父親の実家のある長野の山里でいとこと大切な時を過ごすこの作品。そんな先に三十四歳になった主人公の姿が描かれてもいくこの作品。そしてそれは、「地球星人」という強烈な書名の数段上をいく驚愕の内容に”クレイジー紗耶香”の極みを見る物語です。
    
    『大丈夫、貴世?お姉ちゃんは山道に弱いからねえ』と『姉の背中を摩る』母親を『バックミラー越しに』見ながら『無言でハンドルを握』る父親は故郷である長野の秋級(あきしの)へと車を走らせます。そんな中に『おばあちゃんの家は、宇宙に近い』と『窓の向こう』を見るのは主人公で小学五年生の笹本奈月(ささもと なつき)。『家族には話していないが、私は魔法少女だ』と思う奈月は『折り紙で作った魔法のステッキと変身コンパクト』の入ったリュックを抱きしめます。その一番上には『これらの魔法道具を与えてくれた相棒のピュートが座ってい』ます。『地球に危機が訪れていることを察知し、任務をうけて地球にやってきた』という『ポハピピンポボピア星の魔法警察であるピュート』から『魔法少女になってほしいと告げ』られた奈月は『変身道具を渡』されて以降『魔法少女として地球を守ってい』ます。その『秘密を唯一知っている』という『毎年お盆にしか会うことができない』『いとこの由宇(ゆう)』に早く会いたいと思う奈月は、そんな由宇のことを『私の恋人だ』と思います。『私たちが正式に恋人になったのは、小学三年生のときだった』と過去を振り返る奈月は、『田んぼの前に流れる小さな川』で『水着になって遊んだ』ことを思いだします。二人になった時、『あのね、私は本当は魔法少女なの』と語る奈月に、『僕も奈月ちゃんだけに言うね。僕、もしかしたら宇宙人かもしれないんだ』と告げる由宇は、『いつか迎えがくると思う』と語ります。それに、『自分の星に帰るまででいいから恋人でいてほしい』と懇願する奈月。そして『恋人同士』になった二人。そんな中、車は到着し迎え入れられた家族。奈月はすぐに由宇のことを探し『皆が屋根裏と呼んでいる部屋』へと赴き二人は再会します。しばらく滞在できることを喜んでいた奈月でしたが、姉が体調を崩し翌朝帰途につかざるを得なくなります。そんな中、『お願い、私と結婚して』と由宇に迫る奈月。『また来年まで会えない』、『結婚してくれたら我慢できる。おねがい』と言われ『わかった。奈月ちゃん、結婚しよう』と同意した由宇。そして、『ピュートが牧師を』務める中に結婚した二人。そんな中、由宇は『夫婦の決まり事をつくろう』と言い出します。『なにがあってもいきのびること』とメモ帳に書く由宇。そして、帰途に着き『私は恋と魔法の中にい』ると思う中に日常に戻った奈月は『私は、人間を作る工場の中で暮らしている』と思いつつ毎日を送ります。『私たち子供はいつかこの工場をでて、出荷されていく』、そして『出荷された人間は、オスもメスも、まずはエサを自分の巣に持って帰れるように訓練され』、やがて『つがいになり、巣に籠って子作りをする』と思う奈月。ある日、そんな奈月が塾へと行くと『私によく用事を頼む』『大学生のアルバイトの伊賀崎先生』から作業を頼まれます。『奈月ちゃんは姿勢が悪いよね』と『シャツの裾から』『入ってきた』先生の手が『背骨を直接撫で』たかと思うと『ブラジャーを掠め』ます。それに『強張』る奈月に『奈月ちゃん、下着はね、濃いピンクじゃなくて白がいいよ』と言う伊賀崎。『わかりました』といそいで塾を後にした奈月は『伊賀崎先生はすこしだけおかしいような気がする』と思います。やがて六年生になった奈月は、伊賀崎に呼び止められ『空き教室』へと連れて行かれます。そして、『これなんだけど』と『白く小さな包み』を出した伊賀崎。『これはね、さっき奈月ちゃんがトイレで捨てたものだよ』と伊賀崎が言うその包みは『生理用ナプキン』でした。捨てる時の『巻き方』の『お手本を見せてあげる…』と続ける伊賀崎に従う奈月。そして、家に帰り『魔法、魔法、勇気が出る魔法。心の中で呪文を唱え』る奈月は『塾の伊賀崎先生が、変なの…』と今までのこと全てを母親に話します。しかし、『そんなこと考えている暇があったら勉強しなさい!』と相手にしてくれない母親。そんな中、『なにがあってもいきのびること』という『由宇との誓い』を思い浮かべる奈月。『もうすぐ夏休み。由宇に会えるまで、あと30日だ』と思う奈月のそれからと、大人になった奈月の衝撃的な未来が描かれていきます。

    “恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活を送る34歳の奈月。夫とともに田舎の親戚の家を訪れた彼女は、いとこの由宇に再会する。小学生の頃、自らを魔法少女と宇宙人だと信じていた二人は秘密の恋人同士だった。だが大人になった由宇は「地球星人」の常識に洗脳されかけていて…”と内容紹介にうたわれるこの作品。そんな作品には”芥川賞受賞作「コンビニ人間」を超える驚愕をもたらす衝撃的傑作”と読者を煽るような宣伝文句も付されており、その書名の「地球星人」、さらには頭が地球のような姿になった人間が中央に鎮座するという強烈な表紙もインパクト絶大です。本というものは買ってもらってナンボであり、それを売る側があの手この手で読者の購入意欲を掻き立てます。そんな中には煽りに負けて買ってみたもののなんだこりゃと肩透かしにあった残念な作品も多々あります。しかし、この作品は違いました。読んでいる途中に吐き気を催しそうになり、読後に呆然となり、さらには読書中に頭に浮かんだ光景がいつまでも消えない読後を迎えるという強烈な感覚を味わうことになりました。

    そう、この作品凄いです!強烈です!小説とは言え、もう絶対あり得ない、あってはならない場面の登場に、ゲロゲロされる方もいらっしゃるかもしれません!

    私は今までに800冊以上の小説を読んできましたが、この作品には、その中でもエベレスト級のインパクトを受けました。ネタバレしないようにそんな作品を三つの視点から見ていきたいと思います。

    まず一つ目は物語前半にゆっくりと描かれる奈月の父方の実家の描写です。『長野の険しい山道』を越えた先にある秋級という山里には都会が失ってしまった光景が残っています。

     『不意に草むらに手を伸ばし、何か小さな草を千切った』由宇は、『ぱくりとそれを口にし』ます。『これ、すいこっていって、食べられる草なんだって』と説明され『おそるおそるそれを口に』する奈月。『わ、すっぱい!』、『すっぱいけどおいしいよ』と会話する中に『並んで座って食べ』る二人。

    これは、”酸葉(すいば)”と呼ばれる植物のことのようです。”イタドリ”と呼ばれる植物とも似た味がするようですが、『草むら』に生えている植物を『ぱくり』と食べる光景は都会ではあり得ないことであり幼い奈月には大きな衝撃だと思います。しかし、こういった事ごとが子どもたちの心に強く残っていくものであると思います。では、次は 印象的な行事の風景です。

     『今日は迎え火だからね』と言われ川へ向かう奈月。『昼間と違って飲み込まれそうに黒かった』という『秋級の山』を背景に『藁の束を川辺に置いて火をつけると、皆の顔がぼおっとオレンジ色の光に照らされ』ます。『ご先祖さまご先祖さま、どうかこの火のところにおいでください』と声を合わせる面々。『藁からそっと提灯へと火がうつされ』、『「火を消すなよ!」というおじさんの言葉に従って用心深く、家まで提灯を持って』帰ります。『あの火を目印についてきてくださってるんだよ』と語るおじさん。

    毎年お盆に秋級の里へとやってくる奈月一家。都会ではお盆だから何?というくらいにその存在感は薄くなってしまってもいますが、この『迎え火』の場面はとても印象的です。のどかな山里の中に伝統として受け継がれてきた行事の風景が描かれる物語前半。この”静”とも言える光景があるからこそ、物語後半の”動”という一文字だけではとても言い表すことのできない強烈な展開がより活きてくるのだと思います。これから読まれる方には、是非このノスタルジックな雰囲気感に満ち溢れる場面をじっくりと味わわれてください。そうすればそうするほどに、後半の怒涛の展開への落差が激しくなります。そう、素直に村田沙耶香さんの術中にハマってしまいましょう!(笑)

    次に二つ目は『魔法少女』の登場です。村田さんは書名に堂々と言葉の入る「魔法少女ミラクリーナ」でも『魔法少女』を作品に登場させています。『魔法少女』と言っても読者の年齢(笑)によって何を思い浮かべるかは異なると思いますが、この作品では『小学校に入った年に駅前のスーパー』の『ぬいぐるみ売り場の端っこ』で出会った『ピュート』を奈月が『お年玉で買ってあげた』ことが起点となります。『ポハピピンポボピア星の魔法警察で』あり『地球に危機が訪れていることを察知し、任務をうけて地球にやってきた』という『ピュート』は奈月『に魔法少女になってほしいと告げ、変身道具を渡してくれ』ます。そして、『それ以来、私は魔法少女として地球を守っている』という奈月は『折り紙で作った魔法のステッキと変身コンパクト』をリュックに入れています…と、もう”ナニイッテルカワカラナイ”ことがスラスラと書かれていきます。私は「魔法少女ミラクリーナ」を既読であり、村田さんの作品で『魔法少女』と言われても思わずニンマリとなるだけですが、初めて村田さんの作品に触れられる方には、ついていけない…という思いに苛まれる方もいらっしゃるかもしれません。村田さんは作家さん仲間の間で”クレイジー紗耶香”と呼ばれることもおありのようですが、この吹っ切れ感はハマるとたまりません!そうです、こんなところで違和感を感じている場合ではないのです。

    そして三つ目は書名の「地球星人」という言葉です。物語では、奈月の『いとこの由宇』が『僕、もしかしたら宇宙人かもしれないんだ』と奈月に語りかける場面があります。またまたあ…と思う場面ですが、この言葉が全体としての起点となって物語の核が描かれていきます。それこそが、幼い奈月が思うこんな感覚です。

     『私は、人間を作る工場の中で暮らしている』。

    『工場』とは何なのか?この作品ではこの『工場』という言葉が全編にわたって象徴的に使われていきますが、それこそが奈月が『私はこの街で、二種類の意味で道具だ』と思い詰めてもいく次のような言葉の中に浮かび上がってきます。

     ・『一つは、お勉強を頑張って、働く道具になること』

     ・『一つは、女の子を頑張って、この街のための生殖器になること』。

    『働く道具』、『この街のための生殖器』という強烈な表現が登場しますが、一方で奈月は『どちらの意味でも落ちこぼれなのだ』と自身のことを思います。私たちは”社会の歯車になる”というような言い方をすることがあります。かなりネガティブに人生を言い表す表現だと思います。この作品に記される『工場』とは、その意味合いに似たものだとも思います。

     ・『私たち子供はいつかこの工場をでて、出荷されていく』。

     ・『出荷された人間は、オスもメスも、まずはエサを自分の巣に持って帰れるように訓練される』。

     ・『世界の道具になって、他の人間から貨幣をもらい、エサを買う』。

     ・『やがて、その若い人間たちもつがいになり、巣に籠って子作りをする』。

    強烈なマイナス感情のオンパレードだと思いますが、主人公の奈月は、『早く工場の一部にならなくては。世界に栽培されるままに脳を発達させ、身体を成長させなくては』と思い詰めていきます。そして、『世界は工場で、自分は宇宙人だって』という言葉の先に書名である「地球星人」という言葉、概念が登場していきますが、この畳み掛けるような展開は実に見事です。また、物語では『工場』の意味合いがこんな風にも記されていきます。

     『皆、「工場」を信じ、「工場」に洗脳され、従っている。身体の中の臓器を工場のために使い、工場のために労働している』。

    この作品を読まれる方は嫌でも『工場』という概念と、その先に来る「地球星人」という言葉に苛まれるような読書の時間を味わうことになると思いますが、そこに村田さんが込められた深い意味合いにこの作品の奥深さと闇を強く感じました。

    そんなこの作品は、小学生の奈月と三十四歳になった奈月という二つの時代が描かれていきます。小学生の奈月は、『家族には話していないが、私は魔法少女だ』という一見無邪気な姿を見せますが、その実は『自分がいなくなると三人は、すごく家族っぽくなる』という時代を過ごします。『「消える」という魔法をピュートに習っている』という奈月は、『息を潜めて気配を消す』、そのことによって『三人は三人家族になって、幸福そうに寄り添う』と健気に思います。そして、上記した通り、物語冒頭には、塾講師の伊賀崎に”イタズラ”をされ、それを母親に訴えても耳を貸してもらえないという時代を過ごします。そんな中に奈月の心の支えとなるのが、長野の秋級で毎年お盆に再会する『いとこの由宇』の存在でした。『お願い、私と結婚して』と思い詰める奈月に『わかった。奈月ちゃん、結婚しよう』と応じた由宇。そんな二人は『なにがあってもいきのびること』という誓いを交わします。そんな先に展開する由宇との関係、そしてその先に続く三十四歳の奈月の人生。そこには、内容紹介にうたわれる通り”恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活”を送る奈月の姿がありました。そして、この『二十三年が経過』した先を描く展開への切り替えが極めてダイナミックに行われます。しかし、不思議と二十三年の経過に違和感は感じません。何故ならばそこに二十三年前から続く同じ思いに苛まれる奈月の姿があるからです。

     『いつまでも続く懲役の中で、私は、「工場」の部品になることを望まれ続けた。私は、「工場」の部品にうまくなれないであろう自分を感じていた』。

    それは、内容紹介に記される言葉にも繋がります。

     『私の身体は故障したまま、大人になっても性行為はできなかった』。

    そんな三十四歳の奈月の人生が描かれていく物語後半は、劇的に展開していきます。まさかの展開によって前半ののどかに描かれた物語世界が全く別物に変容してもいきます。そして、そこには、人によっては吐き気をもよおす他ない描写が連続していきます。これには、驚いたというより強いショックを受けました。ネタバレになるのでここではその詳細には触れませんが、一体この物語はどこに行き着くのだろう、どこに着地するのだろう、読者を強い不安に晒す、「地球星人」という書名を強く感じる強烈至極な人の狂気が描かれていくその展開。そんなまさかの狂気の先に物語は静かに幕を下ろしました。

     『私は、人間を作る工場の中で暮らしている』。

    そんな思いの中に小学生の日常を生きる主人公の奈月。この作品ではそんな思いに苛まれながらも『いとこの由宇』と交わした『なにがあってもいきのびること』という誓いを胸に生きる奈月の姿が描かれていました。物語前半と後半のあまりの落差に唖然とする他ないこの作品。そんな落差の中に主人公・奈月の人生の背景に描かれる深い世界観に魅せられるこの作品。

    書名、表紙、そして内容と”クレイジー紗耶香”の極みを見る、これぞ傑作だと思いました。

  • 村田さんは、常に地球星人達の、常識とか俗織を気持ちよく崩壊させてくれる。
    異質な物、を描く作家さんは多いけれど、村田さんは、パラレルワールドを創出する事もなく、夢オチに逃避する事もなく、病気設定をする事もない。
    一般的とするには、多少は理不尽な家庭から異質さが現れるけれど、地球星人と称される凡庸的な社会と同一線上で、異質感を堂々と描く。そこが、一層、不快さと異様さを際立たせる。
    私は、きっと、ポハピピンポポピア星からお迎えの宇宙船が来るんだろうと予測していたら、まっまさかの繁殖という想定外の終焉が待っていた。
    こんなレビューでは、なんの話かわからないね。
    個人の幸福感は、固定もされないし規定もない。それを強制されたり矯正しようとすることへ、異星人と思う事で自分を隔離するとかかなあ。

  • 僕たち皆んな妊娠してるんです。
    ポハピピンポボピア星人は最後にこう言った。


    街は工場だ。そして、私も工場の部品だ。
    私は魔法少女。
    そう考える主人公。
    彼女は地球星人に洗脳されたかった。
    ちゃんと工場の部品になりたかった。
    そんな主人公の話を夫は信じた。
    夫は工場から逃げたい人だった。
    そしていとこを巻き込んだ。

    彼らははポハピピンポボピア星人になった。

    信じるという心。それが人間を変える。
    それが地球星人を変える。
     

    凄く面白い作品だった。
    村田沙耶香にハマったのはこの本のおかげ。
    小さい時に考えていた、私は魔法少女!
    今世界を守るヒーローなの!っというのが
    蘇ってきて、もしかしたら私も……
    なんてことも考えてしまった。


    • mayutochibu9さん
      みどりのハイソックスの女さん

      読書の世界へようこそ!

      誰もが言いますが「本と本は繋がっていて、どんどん引き込まれます」
      ある作...
      みどりのハイソックスの女さん

      読書の世界へようこそ!

      誰もが言いますが「本と本は繋がっていて、どんどん引き込まれます」
      ある作家さんや音楽家さんほか、作品の裏の世界を知りたくてエッセーを
      読むと、人生を変えた1冊、この作品を創作した1冊などが紹介されると
      こりゃ読むしかないなと思うわけです。

      作家の間で、通称:クレイジー村田と呼ばれているのは皆、自分に創造できない世界観を持っていて、これまでの日本文学観を変える作品が凄いと
      言われています。決して、悪い意味でないです。驚愕、次元が違うという
      他の作家からの賞賛の意味です。

      「コンビニ人間」やこの本は漫画家にも影響を与えたような気がします。

      私は読後、読んだ感想や思い出した記憶などを徒然なるまま記載してます。その点はご了承ください。すぐ、読書仲間にポチされ、見えない仲間に役に立っているのかしらと思いながら、コメントしてます。
      たまに、コメント返信があり、ちょっとはいいのかなと。

      気が向いたら、また読んでくださいね。
      2022/02/11
    • みどりのハイソックスさん
      コメントありがとうございます。

      私は、エッセイも好きですが、
      "つくられたもの"というものに魅力を感じるのです。

      私は、はじめから"クレ...
      コメントありがとうございます。

      私は、エッセイも好きですが、
      "つくられたもの"というものに魅力を感じるのです。

      私は、はじめから"クレイジー"とは
      褒め言葉だと思っています。
      2022/02/11
    • mayutochibu9さん
      みどりのハイソックスの女さん

      齟齬が生じなくて良かったです。

      では失礼します。
      みどりのハイソックスの女さん

      齟齬が生じなくて良かったです。

      では失礼します。
      2022/02/11
  • ミステリー?サイコホラー?純文学?
    読後は衝撃で放心状態…
    「何があっても生き延びる」のは生命の本能
    世間に迎合するのは世を渡る処世術だが、
    選択したのはヒッピー以上にぶっ飛んだユートピア
    凄いわ 只々完敗です

    私は今後も大人しく「工場」側の人間に就きたいと思います

  • 何と書いていいのか本当に分からない。怖かった…。コンビニ人間ってめちゃくちゃマイルドな話だったんだと分かった…。自分の感想読み直しても、同じようなテーマなんだろうと思うけど、怖くてそれどころではない。

    スマホを触りながらテレビを見る旦那の隣で、地球星人を読んでいる自分。読み終わって、思わず旦那も自分も触って、日常を確認した。いつもの自分なのか、なんか変な形になっているような気がして、もうただただ怖かった。虐待を受けた子どもたちの話だと思ったんですよ。それから智臣くんと二人で幸せに生きていく話だと思って。でも最後に向けて明らかにおかしい。でもこの世界を覗くことをやめられない。

    面白いし、おすすめだけど、この本を読んだということを知られたくないと思うような強烈な本でした。でも私はまた村田沙耶香さんの作品を手に取ってしまうでしょう。ああああー、こわかった……。。。

    追記。
    今日も一日地球星人で感じたいろいろなことが頭から離れない。
    「本当に怖いのは、世界に喋らされている言葉を、自分の言葉だと思ってしまうことだ。」
    この言葉がずっとぐるぐるしている。

  • この一冊に、これでもかという程テーマが詰め込まれて、分量はそこそこ多いが、文体は硬くないので簡単に読み進めてしまう。いや、彼女の評価が何故これほど高いか頷ける。何か壮大な伝記、昔話を読んでいるような錯覚に陥る。最後までポハピピンポボピア星人が覚えられずに終わる。既成の概念をひっくり返され、世界が歪む。思考のゲシュタルト崩壊が起きる。そして驚くべきは前半から後半にかけての展開で、個人的に合う合わないはあるにせよ、天才。人にお勧めはしないがこれが才能ってやつでしょうか。

  • いやー、すごい小説。心がざわざわしながらも、ページを繰る手が止められなかった。動揺と不安、幸福と心の充足。久々にこんな小説に出会えて嬉しい。
    100%でないにせよ、奈月に共感するところは多く、感情移入し過ぎて辛くなった。
    智臣は地球星人から見えればただのキチガイだが、故に奈月にとってはある種かけがえのない存在となっていたように思う。
    そう考えた時、普通や異常の基準とは、なんと脆いことかと感じる。
    「コンビニ人間」でもそうだが、何を以って「普通」とするのか、「普通」とは何なのか。
    人それぞれの普通が肯定される世界であって欲しいと願う。

  • 感じたことがないほどの、衝撃。
    受け入れられるはずないのにまっとうだとも思わされる。
    私は洗脳されているの…?
    人としての幸せ、モラル。
    そんなもの、社会のためのシステムに過ぎないと、認めざるを得なくなる。

  • タイトルに惹かれて手に取ってみたが、軽い気持ちで読むものではなかった。笑
    後から知ったけど「コンビニ人間」の著者だったとは…。道理で主人公の視点が独特且つ周囲の人も特徴的なわけだ。

    普段、私たちが意識している"普通"とは何だろうと考えさせられる。
    判断や意思決定がことごとく「あ、そっち?」となる場面が多かった。

    結果的にどんどんおかしくなっていっているので、きっと私の普通は世間一般の普通とはそれほどずれていないのだろうなと、少しホッとした自分がいたことも確か。

    文量的にもそれほど多くないので、続きが気になってサクサク読んでいるうちにあっという間に読み終えた。

  • 圧倒された
    はじめの方は主人公の気の毒な状況に移入して読めたけど、だんだん自分の感覚と離れたところに向かっていく主人公についていけなくなった。小学生の時点で、家の中では冷遇されがちな主人公が、姉や母より家の外でよい人間関係を築けているらしいのが面白い。母と姉が共依存関係になってるのすごーく納得。2人はとても似てるな…笑
    姉にはあまり移入できなかったけど、大人になってからの姉には共感するものもあった。恋愛は神様が許可した人間しかできないと思ってしまうというところとか…
    ラストが衝撃的すぎて。頭の中がはてな

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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