これはペンです (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 599
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101257716

作品紹介・あらすじ

叔父は文字だ。文字通り。文章自動生成プログラムの開発で莫大な富を得たらしい叔父から、大学生の姪に次々届く不思議な手紙。それは肉筆だけでなく、文字を刻んだ磁石やタイプボール、DNA配列として現れた――。言葉とメッセージの根源に迫る表題作と、脳内の巨大仮想都市に人生を封じこめた父の肖像「良い夜を持っている」。科学と奇想、思想と情感が織りなす魅惑の物語。

感想・レビュー・書評

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  • いつも通りの変態的なメタ小説。タイトルから察しはつくが「書くこと」について書いた小説で、OjiがMoji。ユーモアが冴える。セルフリファレンスエンジンの時はむちゃくちゃ笑えたが、しかし今作はそれだけではなく叙情的でもあり、世界とか空気とか、そういうものが味わえる小説になっていた。表題作「これはペンです」は白眉。もうひとつの「良い夜を待っている」もかなり良くてラストはむちゃくちゃ好きだが、ちょっと雑な感は否めない。難解な議論や問題を引用するのがいいが、いちいち「ややこしい部分は専門家に任せるが、」みたいな注をつけられるとさすがに鬱陶しい。

  • ■「これはペンです」
    叔父は文字だ。文字通り。

    ■「良い夜を持っている」
    目覚めると、今日もわたしだ。

    それぞれの書き出しだが、短く端的で膨らみがある。
    そこから始まるのはどちらも物語というよりは、徒然なレポートのようなもの。
    叔父や父といった近親者が、妙に遠く、特殊な存在である。
    自動文章生成の叔父、
    超記憶のため二重写しの街に心漂わせる父。
    飄々と孤高に生きることをしている。
    さらにスポットは語り手自身の意識にも亘る。
    最終的には書くこと考えることについての小説になっている。
    やはりこの作者の書くものは素敵だ。

  • 自分は、モノを読みたいという欲求がわりと強い方だと思う。
    反面、モノを、何かを書きたい、という気持ちにはてんでならない。
    なぜかなぁ、そのふたつはたぶん近しいのになぁ、と感じていたけれど、この本を読んで、なんとなーく納得。

    ものを書くとはなんと不思議な営みなのだろう。それはあまりにも謎めいた行為。だって、「書く」ということは、こんなにも複雑で、曖昧で、困難で、破壊的。
    とてもじゃないけどそんなこと、自分にはできませんやね。

  • 表紙と題名がすてきで購入しました。最初は理解できなくとも、この本がもつ匂いや雰囲気、醸し出す空気を感じることができれば良いんじゃないかと思います。

  • 表題作『これはペンです』、『良い夜を待っている』の2篇を収録。どちらも文庫本で100ページほどと、さほど長くはない。
    円城塔は不思議な作家で、純文学ジャンルから見ると非常にSF的に見え、SFジャンルから見ると逆に純文学のように見える。この本に収録されている2篇は前者だと感じた。
    『これはペンです』もユニークで面白いのだが、どちらが好きかと言われると『良い夜を待っている』。『超記憶能力』の持ち主である『父』が描く画は、ちょっと『アルヴァとイルヴァ』を思い出した。

  • 円城塔の初期短編。奇妙な叔父と姪とのやりとりが展開する「これはペンです」と超記憶症候群の父を回想する男を描いた「良い夜を持っている」の2話。今現在の円城塔よりも分りやすい物語で文章の美しさもこの頃が一番好みです。円城塔で一番好きな話はどれか、と聞かれたなら間違いなく「良い夜~」と言うくらいにこの物語には惹かれました。

  • 父のエミュレーション叔父のエミュレーションときて姪の代で本能に辿りつけるのか楽しみだなあと思いました

  • 私には合わなかった。
    評価が高い人もいるので、好みの問題だろう。
    物語のほうが好きなので、論評みたいな本はいまいちでした。

  • 「良い夜を待っている」は再読
    かんねんてきなSFの中でも登場人物が語り手という手段である面が多く
    随筆ふうな小説
    そのことがらをさまざまな言いようで言い表すことを繰り返して表現するということが
    小説や評論とか随筆などを含む文章表現というものなのだ
    といった感じを包むような世界

  • 2014-3-17

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著者プロフィール

円城塔(えんじょう とう)
1972年、北海道生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。複数の大学で研究員を務める。34歳の時、研究を続けることが困難となり、2007年にSEとして一般企業に就職。2008年に退職、専業作家となる。
デビューのきっかけは、研究のさなかに書いていた「Self-Reference ENGINE」。各所で認められデビュー作となった。2007年『オブ・ザ・ベースボール』で第104回文學界新人賞、2010年「烏有此譚」で第32回野間文芸新人賞、2012年『道化師の蝶』で第146回芥川賞、同年『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で第31回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門をそれぞれ受賞。他にも2012年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)、2017年「文字渦」で第43回川端康成文学賞をそれぞれ受賞している。
その他代表作に『これはペンです』『エピローグ』などがある。「新潮」2016年5月掲載号で川端康成文学賞を受賞した短編小説、『文字渦』が2018年7月に発売された。

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