- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101257716
作品紹介・あらすじ
叔父は文字だ。文字通り。文章自動生成プログラムの開発で莫大な富を得たらしい叔父から、大学生の姪に次々届く不思議な手紙。それは肉筆だけでなく、文字を刻んだ磁石やタイプボール、DNA配列として現れた――。言葉とメッセージの根源に迫る表題作と、脳内の巨大仮想都市に人生を封じこめた父の肖像「良い夜を持っている」。科学と奇想、思想と情感が織りなす魅惑の物語。
感想・レビュー・書評
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第145回芥川賞候補。選考委員の石原慎太郎が全否定した作品。何故か自分は石原慎太郎が強くけなす作品を好きになる傾向がある。
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難解な2作品収録
表題作「これはペンです」
自動筆記について。姿を見せない叔父と姪の往復書簡。叔父は実在するのか?姪の手紙で綴られる姪の行動や会話は事実か?分かったような分からないようなストーリー。
とりあえず叔父の筆記バリエーションを楽しむ
「良い夜を待っている」
超記憶能力を持つ父についての話。認識した世界の尽くを瞬時に記憶し途切れることの無い人間の知覚する世界について。こちらも設定の緻密さ独特さを楽しんで終わり…という印象。自分は正しく理解出来ていない… -
短編集あるある、表題作より併録されている方の作品の方が好きになる。
今回のもそれで、というかそもそもそっち目当てで9,8年振りに手に取った本書。小説のために書かれた小説(のために書かれた小説)。
自動小説生成装置がもしもあるとするなら、それに反抗していきたいというのが著者のスタンスらしい。前半はそれこそAIが書いたかのような、文法だけ正しくて内容は支離滅裂な文章が続くが、終盤に至るにつれ比較的物語としてわかりやすい展開となっていき、コントラストで無理やり感動させられてる感、いや実際、謎にとても感動する。
著者のブログには小説の書き方のポイントがまとめられていておもしろい。曰く、「2人の登場人物が、時空的に離れた場所で、それぞれモノローグする(なんかわからんが泣ける)」、「特定のジャンルものとしてはじめ、ある地点でジャンル自体をひっくり返す(エロ漫画と思ってたらハードSFだった、みたいな?)」、「理詰めで押し続けるように見せて、限界に達したところで破綻させる(感情を喚起しやすい)」など。
まんまとハメ手にハメられた。 -
「良い夜を待ってる」 再読必須
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「叔父は文字だ。文字通り」の書き出しに惹かれて読んでみた。磁石だったりDNA配列だったり血文字だったり、その気になればどんなものでも書けるのだが、では「書く」とは何だろうとなり、姪と一緒に叔父ワールドでさまようはめになる。2話目はサヴァン症候群の気配が漂うが、これを読むと表題作である1話目に戻っていける。そしてこの2話目は、自分には恋愛小説に見えた。どちらにしても、内包されているものが一読しただけでは消化しきれないので、いつか機会があれば再読したい。
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何について述べているのか、何がどうなるのかなんともわからないままひたすらページを捲り、本も後半になった頃急にわかった!と思った次の瞬間、やっぱりよくわからんとなりました。
他人の頭の中はよくわからないことを久しぶりに思い出し、他人を無理に理解しようとするのはよくないなと再認識出来た一冊です。 -
比較的読み易かった。「これはペンです」:叔父の正体はちゃんと分かったし、「良い夜を待ってる」:あらゆることを記憶し忘れないという父の主観を文章にする手法が面白かった。ボルヘス好きなんだろうなぁ
著者プロフィール
円城塔の作品





