- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101259628
作品紹介・あらすじ
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレータ ー八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!
感想・レビュー・書評
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原田マハさんの作品は、「楽園のカンヴァス」に続いて2作目にトライしてみました。
ニューヨーク近代美術館に勤務する日本人女性キュレーターが主人公です。楽園のカンヴァスの主人公、ティムがおっさんになって登場しており、なんだか嬉し楽し感を味わえたのは前作読了者の特権です(笑
ピカソのあの名作「ゲルニカ」にまつわる壮大な物語。ピカソの反戦を願う強烈な意思をこの物語から理解しましたし、同時に奔放な女性関係にも驚きました。さすが天才画家です。超有名人ですが彼の人となりなどは知る機会がなかったので本書で知ることができてよかったです。今後、美術館などでピカソの作品を見ることもあるかもしれませんが少しは見え方感じ方が変わるかもしれません。
「楽園のカンヴァス」があんまりにも面白くて、期待値マックスを突き抜けた状態で本書を読み始めてしまったんで、期待外れとは言わないもののストーリー展開の部分で何となく物足りなさを感じてしまいました。
とはいえ素晴らしい小説であることは間違いないです。
これから読まれる方は、「楽園のカンヴァス」から続きで読む場合は、期待値ゼロにして読んでもらうとめっちゃ楽しめる作品です(笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アートの力を感じさせる物語
熱い想いを感じました。
ストーリとしては
9.11で夫を亡くしたMoMAのキュレーター八神瑤子は自分の企画「ピカソの戦争」展でゲルニカを借り出そうと奔走しています。
さらに、国連本部のゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられた状態で、イラク攻撃を宣言する米国務長官。
誰が暗幕をかけたのか?
さらにゲルニカが描かれた時代、ピカソの恋人のドラ・マールの視点で、ピカソの生き様が語れます。
どこまでが史実でどこからが創作なのかさっぱりわかりませんが、この時代をしっかり理解することができます。
そんな瑤子の時代とピカソの時代が交互に語られ、この二つのストーリから、「ゲルニカ」に対する想いが熱く胸に残ります。
そして、ラストの展開
熱いものがこみ上げてきました!
この物語を通して、ゲルニカをしっかりと見るようになりました。そして、ゲルニカから伝わるメッセージを理解できるようになりました。
まさに、アートが人の心を、世界を、変えれるということなのだと思います。
とってもお勧め-
原田マハさんは、結構振り幅が大きいきがしますが、良い作品はストーリーも提供される情報もともに満たされます。原田マハさんは、結構振り幅が大きいきがしますが、良い作品はストーリーも提供される情報もともに満たされます。2022/12/24
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そうですね。??といった作品もありますが(笑)、原田マハさんは好きな作家さんです。この物語もぐっと来ました。
そうですね。??といった作品もありますが(笑)、原田マハさんは好きな作家さんです。この物語もぐっと来ました。
2022/12/24
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y yさん
こんばんは(๑・̑◡・̑๑)
イラク空爆前夜、ゲルニカのタペストリーが暗幕で隠されていたんですね?
いやあ、もう何が本当で何...y yさん
こんばんは(๑・̑◡・̑๑)
イラク空爆前夜、ゲルニカのタペストリーが暗幕で隠されていたんですね?
いやあ、もう何が本当で何が作り話で、ってわからなくなります 笑
yyさん、大原美術館に行かれたんですね!
いいなあ〜(*'▽'*)
私も行きたいです、大原美術館
それと願わくば地中美術館も
セットで行けたらいいな、と今真剣に企んでいます
予備知識持って美術館に訪れるのって、本当に楽しいです
そして一冊の本のことで、話題を共有出来てとても嬉しいです、このコーナー
今更ですが。。。(o^^o)
2023/10/15 -
こんにちは♪
私もじっくり時間をかけて読めば良かった〜と思いました笑
一気に読むにはなかなか濃い1冊ですよね
同じ女として…とても分かりま...こんにちは♪
私もじっくり時間をかけて読めば良かった〜と思いました笑
一気に読むにはなかなか濃い1冊ですよね
同じ女として…とても分かります(´-`)
ゴッホと比べてしまったというのも同感いたしまさた。2023/10/19 -
あびきなこさん
私はあまり読むのが速くないので、どちらにしても時間が掛かってしまいます
あと『泣く女』の絵が、本当に悲しそうで気になって仕...あびきなこさん
私はあまり読むのが速くないので、どちらにしても時間が掛かってしまいます
あと『泣く女』の絵が、本当に悲しそうで気になって仕方がありません笑
そして、ピカソってもっと変わった人なのかと思っていました
2023/10/19
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今年の1月にMOMAで開催されたピカソの展示会に参加し、すごく感銘を受けたので、本作が気になって手に取りました。ただひたすらに作者の平和に対する強いメッセージが伝わってくる圧巻の作品だったと思います。
本作は2つの時代の物語が書かれており、1つは「ゲルニカ」誕生とアメリカに展示されるまでの物語。もう1つは、こちらがメインのお話になるのですが2000年代の物語で、ワールドトレードセンターでのテロ事件を発端とした物語となっております。テロ事件後、アメリカがイラクへの侵攻を表明します。その放送の際、なんと本来映るべきはずの反戦の象徴である「ゲルニカ」に暗幕がかけられていました。それに憤りを覚えた主人公がピカソのメッセージを伝えるため、奔走するというお話。
本作の魅力としては、物語の発端となる事件のリアリティだと思います。当時の私はまだ幼く何が起こっていたか定かではなかったのですが、あとがきを読むと、実際に「ゲルニカ」に暗幕がかけられていたそうで、これを見てショックを受けた作者が本作を執筆することにしたとのことです。そういう背景を踏まえると、こうしたリアリティのある展開はすごく反戦に対するメッセージに重みを持たせてくれているように感じました。
私はそもそも芸術に疎かったこともあって、幼少期以来、「ゲルニカ」を見たことがなかったのですが、本作を読みながら「ゲルニカ」の写真を何度も見ました。すると幼少期には感じられなかった禍々しさやおどろおどろしい様子、阿鼻叫喚の情景が感じられ、改めて戦争の悲惨さを感じることが出来たと思います。
本作の読了後に思ったのは、やはり「ウクライナ戦争」のことで、一刻も早く戦争が終結してくれることを願うばかりです。 -
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ヒボさん
おはようございます
初コメです(๑・̑◡・̑๑)
マハさんの2大アート作品にかける熱い想い、ただただ共感するのみですヒボさん
おはようございます
初コメです(๑・̑◡・̑๑)
マハさんの2大アート作品にかける熱い想い、ただただ共感するのみです2023/10/23 -
ハッピーアワーさん、おはようございます♪
(勝手に省略m(_ _)m)
コメントありがとうございます!(´▽`)
大好きなマハさん作品の中...ハッピーアワーさん、おはようございます♪
(勝手に省略m(_ _)m)
コメントありがとうございます!(´▽`)
大好きなマハさん作品の中で、購入後大切に温めていた2作品をようやく読み終えました(笑)
ハッピーアワーさんもマハさん作品結構読まれていますよね。
これからもいろいろ語り合えると嬉しいです⸜(*ˊᗜˋ*)⸝
2023/10/23 -
ヒボさん
お返事ありがとうございます♪
いえいえ、私はまだまだ歴史が浅く、読んでいない作品は山程あります
こちらこそ、一緒に語り合って頂けた...ヒボさん
お返事ありがとうございます♪
いえいえ、私はまだまだ歴史が浅く、読んでいない作品は山程あります
こちらこそ、一緒に語り合って頂けたら嬉しいです
よろしくお願いします*\(^o^)/*2023/10/23
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ピカソという芸術家とゲルニカの凄さについて知ることができてよかった。現代と戦前戦中の二つのストーリーがが平行して進行し、後半クロスしていく展開でした。原田作品ならではでやはり面白い。
かなりハイレベルなものが高い調和を保って描かれているのがピカソの作品なのだそうです。ピカソは物事の本質を一瞬で捉え、絵にしてしまうともあります。何がすごいのかわからない自分にもわかりやすく伝えてくれました。
本書を貫いているのは「戦うべきは戦争、憎悪、暴力」との強いメッセージです。市井の人々が手を取り合って実現しなければと迫ってきます。そんな普遍的とも言える主題をアートを通して伝えられるのは原田マハさんならではですね。
今もウクライナ戦争など世界では紛争が起きています。最近新宿を歩いていたら、ウクライナの人たちが支援者の人たちと反戦を訴えていました。また、日本の周りだってかなりキナ臭い。人々が心の中に平和の砦を築かなければいけません。
このようにアートを切り口に、メッセージ性ある作品でした。
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池上彰氏の後書にもあるように、アートにはどれだけの力があるのか、戦争を阻止する力はあるのだろうかという、芸術に対する希望であり、原田さんが描こうとした可能性。
1930年代後半から世界大戦終焉までの、ピカソと愛人で写真家のドラが、作り上げた「ゲルニカ」
ニューヨーク多発テロ後の2001年から2003年、キューレターの瑤子と、今また焦点を当てたい「ゲルニカ」
ゲルニカ制作当時の戦闘下と、アメリカがテロとの戦いを明言した当時が並行して描かれます。この時、国連のゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられた国務長官の記者会見。これに衝撃を受けての執筆とのことでした。
アートには、戦争を阻止する力はないのかも知れません。しかし、暗幕をかけたという事実は、そのアートのメッセージ性を認めているということかと思います。暗幕を掛けなければならないほどの力はあるのですね。
両時代に登場するパルド。恋人を戦争で失い、その代替のように、ゲルニカを守る。守る事を彼の戦闘とする。フィクション部分と知っても、彼のような役割を果たした人物がきっと居たはずと思わずにいられない。 -
誰にでも自分の中で好きな、もしくは強く印象に残っている絵というものがあると思います。私にとってそのひとつが、ピカソの『ゲルニカ』、まさしくこの作品で取り上げられている絵です。中学の美術の授業でこの絵を初めて見た時、ちょうど歴史の授業で習った広島、長崎への原爆投下のイメージが重なりました。それ以来、私の中では原爆と聞くとこの絵が真っ先に浮かびます。そして大人になり、この絵をどうしても見たくて、スペイン・マドリッドへと赴きました。「楽園のカンヴァス」の感想では同じマドリッドにある他の絵について触れましたが、主目的はこの絵を見るためでした。『ソフィア王妃芸術センター』を訪ね、この絵が飾らせている部屋に入った時の衝撃は未だもって新鮮です。見たこともない巨大なモノクロームの世界に息を飲みました。しばし呆然と立ち尽くしました。圧倒される絵の迫力に言葉を失いました。結局、その翌日も再度絵の前に立つことになった私。強い印象は何度見ても変わらずでしたが、それは帰国後も同様でした。しばらくの時を経て、この絵を見たいがために再度スペインを訪れているほどです。そんな一方で、半年前に読書を始めて、原田マハさんという方を知り、今日この作品を手にしました。二度の旅行で三度の実視を経て、今度は文字で『ゲルニカ』を見る瞬間の到来。読書を始めて良かったなと実感したこの作品、主人公・瑤子が『ゲルニカ』に対面するシーンからスタートします。
『瑤子たち一家は、休日ごとに、マンハッタンにある美術館を訪ね歩いていた』という主人公・八神瑤子。訪れたMoMAで『目の前に、モノクロームの巨大な画面が広がっていた』という光景を前にし『磁石に引き寄せられた砂鉄のようにそこから動けなくなって』しまいます。大人になった瑤子は『イーサンと結婚したこともあり、いまではアメリカの永住権を取得』しました。そして、再びの『ゲルニカ』との出会いにより『自分は、生涯をかけてパブロ・ピカソという芸術の巨人を追いかけ、寄り添っていこう』と決意します。一方で時を遡り1937年、パリのアトリエで『今日は私、ポーズをとる必要がある?』と聞く女性・ドラ、それに対し『そうだな』と短かく答えるのはパブロ・ピカソ。『いいかげんに下絵に取りかからないと、もう間に合わないでしょう?』とドラが気にするのは、近く開催されるパリ万博のスペイン館に展示予定の『とてつもなく大きな仕事』という『およそ縦7メートル50、横8メートル』の壁面に飾られる壁画の依頼でした。『政治的に利用されるのはきにくわない。それに、あんなに大きな壁画なんて手がけたこともない』と戸惑うピカソ。でも、『ゲルニカ空爆のニュースに触れた瞬間から、ピカソの中で激しく渦巻き始めた何か。憎悪、狂気、苦悩、憤怒。負の感情の爆発が、いま、芸術家の中で起こりつつある』と絵筆を進めるのでした。一方、2000年、瑤子はMoMAのキュレーターとなり初の企画展の準備を進めます。そんな企画会議の当日、9月11日、『マンハッタンの南端、まぶしいほど澄み渡った青空に立ち上る黒煙。それを目がけて、白い機影が上空を切り裂くように突っ切っていくのが見えた』『ワールド・トレード・センターに旅客機が突っ込む』という悲劇。そして『最愛の夫を失って、このさき、生きていくことにどんな価値があるのだろうか』と生きる意味を失ってしまった瑤子。そんな中、瑤子は『ゲルニカ』を思い出します。『私の運命を、人生を変えた、あの一作。あの作品を、もう一度、MoMAで展示することはできないだろうか。9.11の報復を名目にして武力に訴えるのがいかに愚かなことか』と気持ちを立て直します。そして『企画書のタイトルはピカソの戦争:ゲルニカによる抗議と抵抗』とし、再び前を向いて進んでいきます。
1940年前後、つまりピカソが生きた第二次世界大戦中のパリと、2000年にワールド・トレード・センターへの旅客機突入により『テロとの戦い』が叫ばれた時代の二つのストーリーが並行して紡がれるこの作品。その二つの時代を繋ぐもの。それが、ピカソの大作『ゲルニカ』でした。パリで製作され、パリ万博への展示、米国に疎開し、MoMAでの42年間の展示を経てスペインへと引き渡されたこの大作。実話と空想の世界を巧みに織り交ぜながら二つの時代を繋ぐこの大作を巡る物語が、それぞれの時代の史実をベースにしながら鮮やかに描写されていきます。『ゲルニカ』は、『縦・約350センチ、横・約780センチ』という圧倒的な迫力を持った大作です。これを原田さんは『ドラは一瞬息を止めた。そこには、驚愕し、もがき、のたうち回る、人間たちや動物たちの群像が出現していた』と表現します。あの絵を『ピカソは、ゲルニカが、空爆を受けたその瞬間をカンヴァスにて再現したのだ』と捉え、その上で、さらに、『見る者にも「共犯者」となることを強いる。それがピカソのやり方だ』と指摘します。そして『この作品で、見る者に「目撃者」となり「証言者」となれと挑発しているかのようだ』と説明します。この絵だからこそのその説得力に、この絵に潜在するただものではない力を強く感じました。
1939年のナチスによる古都『ゲルニカ』の空爆、そして2000年の『9.11』を始まりとした米国主導のアフガニスタン空爆。歴史は前者を絶対悪と記録しますが、後者は『テロとの「正義の」戦い』とされるこの違い。『武力を武力で封じ込めようとしても、苦しむのは、結局、名もない人々』と思い、自分に出来ることを考える瑤子。一方で、万博会場で兵士に『この絵を描いたのは、貴様か?』と問われたピカソはたじろぎもせずに答えます。『いいや。この絵の作者は、あんたたちだ』。ピカソの強い意思が垣間見れるこのシーン。『ゲルニカ』という絵に込められたピカソの思いを改めて感じました。
時が流れても悲しい歴史は繰り返されます。それを分かってか、『ゲルニカ』に込められ、託されたピカソの強い思いは不変のものでもあります。『スペインが真の民主主義を取り戻すその日まで、決してスペインには還さないでほしい』と語ったピカソ。そして今『ゲルニカ』は、スペインの地に還りましたが、世界は未だ不穏な空気に包まれたままです。『ゲルニカ』という絵に課せられた役割、果たすべき使命はまだまだ現役であり続けなければいけないのかもしれません。
原田さんのこの作品を通じて長らく私の中にあった『ゲルニカ』像が、言葉で描いたこの作品を通じて、新しい『ゲルニカ』像として上書きされました。500ページを超える大作。原田さん渾身の読み応えのある作品でした。 -
ピカソのゲルニカを巡る時代を超えた二つの話。
瑤子の奮闘とドラの葛藤が話の骨子と思う。
どちらもピカソを、そしてゲルニカを追い求めたが、瑤子は真の意味を追い求め、ドラは別れを告げる。
ミステリー仕立ての作り込みで読み易く、ピカソの絵をスマホで眺めながら読み進めた。原田マハの絵画の話は改めて芸術に触れられる良い機会になる。 -
原田マハさんの「絵に纏わる物語」はめちゃくちゃ面白いです。
この本は、ピカソのゲルニカをめぐる物語です。
史実とフィクションが折り混ざって出来ており、物語にグイグイ引き込まれてしまいます。
実際に美術館でキュレーターをされていた著者の経験と知識の深さに感心しました。
ぜひぜひ読んでみてください
著者プロフィール
原田マハの作品





