常設展示室 Permanent Collection (新潮文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 新潮社 (2021年10月28日発売)
3.85
  • (455)
  • (869)
  • (553)
  • (69)
  • (18)
本棚登録 : 10829
感想 : 654
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784101259642

作品紹介・あらすじ

いつか終わる恋をしていた私。不意の病で人生の選択を迫られた娘。忘れられないあの人の記憶を胸に秘めてきた彼女。運命に悩みながら美術館を訪れた人々の未来を、一枚の絵が切り開いてくれたーー足を運べばいつでも会える常設展は、今日もあなたを待っている。ピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷……実在する6枚の絵画が物語を豊かに彩る、極上のアート短編集。

みんなの感想まとめ

人生の選択や思い出を描いた短編集が、実在の絵画と共に心に響く物語を紡ぎます。各短編は、ゴッホやフェルメールなどの名画を背景に、女性たちの人生の様々な側面を掘り下げ、感情の深い部分に触れます。特に「道」...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 図書館本

    ずっと読みたいと思っていた本
    短編それぞれにゴッホ、フェルメールなどの絵が出てきます

    その中でも1番好きなのが
    「道 La Strada」
    この短編の絵描きさんは鈴木明人
    主人公の昔別れてしまった兄でした
    ずっと会えていなかったのに、絵を見た瞬間に思いや感覚が蘇る感じがとても伝わりました
    短編と思えない感動でした

    原田マハさんの文章はとても洗練されています
    アートに詳しくない私でも、美術館に行って本物を見たくなりました

  • さて、皆様。アートなクイズのお時間がやってまいりました!次のヒントを読んでその絵のタイトルと画家の名前をお答えください。

    ・ヒント1: 『若くきれいな女性の肖像画で、彼女は全集の中に登場するほかのどんな女性とも違っていた』。

    さてどうでしょうか?『女性の肖像画』と言われても流石にこれだけの情報ではわかりませんよね。では、

    ・ヒント2: 『目が覚めるような真っ青なターバンを頭に巻き』、

    はい!はい!…と何名かの方はピンときたかもしれませんね。一方でえっ?というそこのあなた。そんなあなたに次のヒントです。

    ・ヒント3: 『真珠のイヤリングが光を集めて揺らめいている』。

    あらら、もう決定打ですね。『真珠のイヤリング』と言ったら、そう、あの有名な作品ですよね。

    ・ヒント4: 『こぼれおちそうなほど大きなうるんだ瞳をじっとこちらに向けて、何かを懸命に訴えようとしている』。

    はい、皆さんお分かりですね。この作品は、

    ヨハネス・フェルメール作〈真珠の耳飾りの少女〉

    でした。確かに『真珠のイヤリング』など、分かりやすい特徴がある絵ではあるのだと思います。しかし、たったこれだけの文字数の中に読者を惹きつけるような見事な文章表現をもって、一枚の絵をまるで読者の頭の中に浮かびあがらせるかのように説明するというのは誰にでもできることではありません。それには、一枚の絵の中に、画家が託したメッセージをしっかりと受け止めて、文字に表現していく天賦の才能が求められるのだと思います。

    さて、そんな見事な文章表現をもって主人公の心を動かしていく絵画がさりげなく描写される作品がここにあります。「常設展示室」というこの作品。それは、さまざまな境遇の中でそれぞれの人生を必死で生きる主人公たちが、それぞれの胸に宿る一枚の絵と対峙する様を見る物語です。

    『朝、目覚めると、世界が窮屈になっていた』と、『天井の一点をじっとみつめ』るのは主人公の美青(みさお)。そんな美青は『枕もとのリモコンを手にして、テレビをつけ』ますが『テレビ画面がやけに小さい』と感じます。『また視力が落ちたのかと』思う中、テレビ画面には『メトロポリタン美術館が、新しい教育プログラムとワークショップの開催を発表し』たニュースが流れています。『知的障害を持つ子供たちや、聴覚障害を持つ子供たちなど』『障害の内容を考慮しながら』『担当キュレーターがコレクションを解説する』と説明するのは上司のアネットでした。そんなニュースを見終えた美青は、仕事へと出かけるのに階段を降りようとしたところ踊り場までずり落ちてしまいます。隣人に助けられるも『階段が急に狭くなっちゃった』と呟く美青に隣人は『いつもの階段だけど?』と不思議がるのでした。そして、職場の『メトロポリタン美術館』へと着いた美青。そんな美青は過去を振り返ります。『採用募集はなかなかかからない』という美術館のポスト。『サンフランシスコ近代美術館』の教育部門に運良く採用された美青は、『メトロポリタン美術館』の教育部門に勤めるキャロラインと交流を深めます。そんなある日、『メトロポリタン美術館』のディレクターから電話があり、キャロラインの急逝と後任を打診されました。そして『メトロポリタン美術館』のポストを得た美青。そんな美青が職場に着くとニュースの内容に対して問い合わせが殺到していました。『障害者とのコミュニケーションを専門とするスタッフもいないのに、この企画を公にして』大丈夫だろうかと不安に思う美青の一方で、上司のアネットは次の取材のことばかり気にしています。そんな時、美青は『ドアにぶつかりそうになって、立ち止まってしま』い、『気分でも悪いのか?』と『印象派・近代部門のキュレーター』のアーノルドに声をかけられます。『視界が欠けている…ちゃんと見えてない』と説明する美青にアーノルドは『目は君にとっていちばん大事だ』とドクターに診てもらうよう勧めるのでした。一方で『障害児向けのワークショップ』の準備を進める美青。そんな美青がワークショップ開催に向けて駆け抜けて行く物語が描かれていきます…という最初の短編〈群青〉。自らの身体の不調を感じる中に大好きな絵画への思いの丈を精一杯仕事に向けていく美青の姿が印象に残る好編でした。

    「常設展示室」という六つの短編から構成されたこの作品。そんな作品の帯に”この本は美術館への招待状だ”と〈解説〉の上白石萌音さんが書かれている通りこの作品は原田マハさんのアート小説の一つです。原田さんのアート小説は多々あります。代表作とも言える「楽園のカンヴァス」のような長編にはアートの世界にどっぷりと浸れるたまらない魅力がある一方で、「ジヴェルニーの食卓」のような短編にも複数の画家に光が当たる中にバラエティ豊かなアートの世界を楽しめる魅力があります。そんなアート小説では、画家の人生に光を当てていくものが多いように思います。フィクションとはいえ、ゴッホやピカソなど、絵画界の巨人が生を得て会話をする描写はまるで自身が、そんな画家が生きていた時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。一方でこの作品はあくまで現代社会に生きる私たちが目にすることのできる絵画を物語の中にサラッと登場させる中で、そんな一枚の絵画が主人公の人生に何らかの影響を与えていく、そんな物語が描かれています。

    では、そんな六つの短編について、取り上げられる画家の名前とその内容をご紹介しましょう。

    ・〈群青〉: 『メトロポリタン美術館』の教育部門に勤める主人公の美青。障害のある子供たちに『担当キュレーターがコレクションを解説する』というプログラムの開設に立ち合いますが、『世界が窮屈に』感じる身体の異変に気付きます。★ピカソ

    ・〈デルフトの眺望〉: 『父が最期の時を過ごした施設〈あじさいの家〉』へと赴いたのは主人公の七月生(なづき)。そんな七月生は『世界中の富裕層を相手に』絵画の取引で飛び回る中、父の介護は弟に任せきり。そんな七月生が入院先を見舞うと、そこには父親の衝撃的な姿がありました。★フェルメール

    ・〈マドンナ〉: 『あのね、湯呑みが割れちゃったのよ』と母親からの電話を受けたのは主人公の橘あおい。そんなあおいは『バーゼルで開催されている』見本市で『アラブ系の大富豪』の相手をしている真っ只中でした。席を立ってしまった『大富豪』。そして…。★ラファエル

    ・〈薔薇色の人生〉: 『どなたの色紙ですか?』と『パスポート窓口』を担当する主人公の柏原多恵子に訊く中年の男。自身の背後の壁に飾られていた色紙を振り向くも答えられない多恵子。そして、そんな男が気になり出す多恵子に男は自身がIT株で得た巨万の富を持つことを話します。★ゴッホ

    ・〈豪奢〉: 『三十五歳にして総資産は百億円を超える』という『IT起業家』の谷地哲郎と情事に耽る日々を送るのは主人公の下倉紗季。『六本木にある現代アートのギャラリー』に勤めていた紗季は、谷地の呼び出しにすぐ応じられるよう勤めを辞めてしまいます。そんな紗季が谷地に誘われパリへ赴きます。★マティス

    ・〈道〉: 『時代の寵児になりつつあった』という上り坂の人生を闊歩する主人公の貴田翠は、腐敗していた『新表現芸術大賞』の審査委員長に抜擢され改革に乗りだします。三十に絞られた最終候補作の審査の中で、ある絵の登場に翠は『不思議な感覚』に囚われてしまいます。★東山魁夷

    物語の中に登場するそれぞれの絵は決して物語を支配したりはしませんし、数多の絵の中で特別というわけでもありません。これが、原田マハさんの代表作群との違いです。例えばピカソの〈ゲルニカ〉に徹底的に光を当てる「暗幕のゲルニカ」や、アンリ・ルソーの〈夢を見た〉に隠された秘密を探す「楽園のカンヴァス」では、その絵自体が作品の中で準主人公のような大きな位置を占めます。一方でこの作品に登場する絵画はあくまで脇役です。〈解説〉の上白石萌音さんが語られる通り”地下鉄の駅に大々的にポスターが貼られているような企画展ではなく、その美術館が所有している作品をいつでも見ることができる展示室のお話”がこの作品の特徴です。私たちが美術館に足を運ぶ時、それは何らかの企画が開かれることがきっかけとなる場合が多いと思います。確かに企画によって絵を見る需要は喚起されます。しかし、そのような企画の絵画と常設されている絵画に上下があるはずはありません。人によって自分が”特別”に思うものは、特別室に飾られている絵画とは限りません。この作品では、『ふとした瞬間に、心に浮かぶ風景がある』というその先に、主人公たちの心の奥底に強く印象づいている、それぞれの人にとっての”特別”な絵画の存在が語られていました。

    例えば〈マドンナ〉に登場する主人公の母親は病院の事務職として長年病院の受付で働いていました。絵に対して興味が全くなかったという母親ですが、たまたま『待合室に置いている古雑誌』にあった一枚の絵が気になり切り抜いて机の前に貼ったと言います。主人公の あおいがその絵について訊いても『なんだかわかんない』と笑う母親。それを、やがて絵に関わる仕事をするようになった あおいはラファエロの〈大公の聖母〉だと気付きます。『なんだかわかんない絵』、『一枚の切り抜き』というその絵。母親はそんな絵を描いた画家のことも、絵の名前も知ることはありませんでした。しかし『七十歳で退職するまで、事務机の前の壁から母を励まし続けた』というその一枚の切り抜き。この短編に象徴される通り、この作品には、私たちの普段使いの感覚の中にある絵の存在が柔らかく描かれています。この作品は原田さんの数多あるアート小説の中では決して目立つ作品ではありません。「常設展示室」に、ある意味忘れられたように飾られている”普通”の絵画たち。しかし、それぞれの登場人物たちにとっては、”特別”な意味を持つ絵画たち。そんな絵画たちの存在が優しく描かれていくこの作品は原田さんのアート小説の中でも一つの新境地を描いた作品ではないか、そんな風にも感じました。

    『こちらのチケットではこの展覧会はご覧いただけませんが、常設展の入場券がついておりますので、よろしかったら、そちらをご覧ください』というように、私たちが美術館へ訪れるきっかけは特別室で展示される企画が起点となる場合が多いと思います。しかし、特別室に展示されるものがその人にとっての”特別”であるかは別物です。何かおまけのような印象も受けかねない「常設展示室」に飾られる作品たち。この作品では、そんな私たちの感情の中にそれぞれ存在する”特別”な絵の存在に光が当てられていました。

    わかりやすい筆致でそれぞれの絵が読者の眼前に浮かび上がるかのように描かれていく安心感のある物語を見るこの作品。それぞれの主人公が見る”特別”な絵画に、共に思いを馳せることのできる優しさに満ち溢れた作品でした。

  • 上質な短編が6篇
    「群青」ピカソ・盲人の食事

    「デフォルトの羨望」フェルメール・真珠の耳飾りの少女

    「マドンナ」ラファエロ・大公の聖母

    「薔薇色の人生」ゴッホ・ばら

    「豪奢」マティス・豪奢

    「道」東山魁夷・道

    それぞれの絵になぞらえて女達の人生を切り取った珠玉の短編集といった感じです。
    老いた親との最期、平凡な日常で知り合った魅力的な男性、病に侵される女性…
    最後の「道」が好き。
    これには泣かされました〜
    嗚咽が。゚(゚´Д`゚)゚。

  • 二年半ぶりの原田マハさん。
    最初に読んだのは「本日はお日柄もよく」だった。
    ――美術系ではない!
    ――でも、前回読んだのは「リボルバー」だった。


    短編集になっていて、六話入っている。
    実を言うと、この本は積読中の積読だった。最初の二話を読んで、そのままになっていた。図書館予約本がなくなり、この積読本を選んだ。



    私は、絵画に詳しくなどない。それでも美術館は好きだ。椅子に座って一枚の絵を、ボーッと眺める時が一番だ。
    また、行くことができれば、と思う。


         2024、12、30  読了


    ➰➰➰皆さん、今年一年ありがとう
    ございました!
    沢山のいいね、コメントも嬉しく
    思います!来年もどうぞよろしく➰➰➰良いお年をお迎え下さい(*^_^*)

    • aoi-soraさん
      この本も読みたいんですよね〜
      マハさんのは沢山読みたい作品があるけど、なかなか追いつかない(;^ω^)

      アールグレイさん
      一年間ありがとう...
      この本も読みたいんですよね〜
      マハさんのは沢山読みたい作品があるけど、なかなか追いつかない(;^ω^)

      アールグレイさん
      一年間ありがとうございました
      どうぞ良いお年をお迎えください(⁠*⁠˘⁠︶⁠˘⁠*⁠)⁠.⁠。⁠*⁠♡
      2024/12/31
    • アールグレイさん
      あおいさん、今年もお世話になりました!
      どうぞ良いお年をお迎え下さいね(*^_^*)
      あおいさん、今年もお世話になりました!
      どうぞ良いお年をお迎え下さいね(*^_^*)
      2024/12/31
    • アールグレイさん
      土瓶さんも良いお年をお迎え下さい~♪
      土瓶さんも良いお年をお迎え下さい~♪
      2024/12/31
  • 原田さんらしく、絵画を物語に織り込んだ素敵な短編集でした。
    ピカソ 盲人の食事
    フェルメール デルフトの眺望
    ラファエロ 太公の聖母
    ゴッホ 薔薇色の人生
    マティス 豪奢
    東山魁夷 道

    タイトル常設展示室そのものは、最後の「道」で魅力的に描かれています。そして、この短編6編は、絵画に関わって生活する女性達の仕事以外の物語。日常というには、特殊ですが、彼女らの人生を絵画を軸とした短編にしっかりおさめたなあと思いました。

  • アート小説の6編短編集
    アート業界で働く女性たちと家族への想いが描かれた物語
    それぞれの短編の読後感が良いです
    登場する絵画はピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷

    ■群青 The Color of Life
    ここで出てくる作品はピカソの「盲人の食事」
    https://www.musey.net/521
    まさに青の時代と言われた時の絵画とのこと
    初めて見た(笑)

    ■デルフトの眺望 A View of Delft
    フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」
    https://www.musey.net/416
    これ、日本に来た時見に行きました。
    素敵な絵でした。当時は武井咲さんが同じ衣装を着てプロモーションしてましたよ

    ■マドンナ Madonna
    ラファエロの「大公の聖母」
    https://www.musey.net/470
    暖かさを感じる作品ですね。
    同様に、この物語は暖かい

    ■薔薇色の人生 La tie en rose
    ゴッホの「ばら」
    多分、これのことですよね
    https://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0193.html
    この物語は、ちょっと悲しくも、正直面白い(笑)

    ■豪奢 Luxe
    マティスの「豪奢」
    https://www.musey.net/5730
    この絵はよくわからない(笑)
    そして、この物語はどちらかというと嫌い

    ■道 Strada
    東山魁夷の「道」
    https://p-art-online.com/artist/higashiyamakaii/
    シンプルな絵ですね。
    この物語が一番好きです
    そして、登場人物の一言
    「全部捨てた。そうしたら、道が見えてきた。この絵を見ていると、そんなふうに感じます」
    自分はそこまで感じませんでした(笑)

    とはいえ、この物語はぐっと来ます。

    お勧めです

  • アートにまつわる6つの短編集。
    マハさんなんで、安定的に楽しめる。
    新幹線の異動時間とかに読むのに、ちょうどいいんじゃないかな。
    ライトだし。

    上白石萌音さんの解説が素晴らしい。
    いい文章を書く人だな、と。
    素晴らしいお人柄が感じられる文章。
    僕は、モカだかモネだか、いまいち区別がついていないおじさんですが、素直に感動しました。

    • naonaonao16gさん
      えーーーー
      ナラタージュの主題歌を…!?
      全然知りませんでした!
      と、たぶん今わたしの脳内に浮かんでいるのはモカなのかモネなのか…(笑)
      えーーーー
      ナラタージュの主題歌を…!?
      全然知りませんでした!
      と、たぶん今わたしの脳内に浮かんでいるのはモカなのかモネなのか…(笑)
      2022/01/23
    • たけさん
      ちなみに、歌うときはadieuという名義だそうです。
      ちなみに、歌うときはadieuという名義だそうです。
      2022/01/24
    • naonaonao16gさん
      なるほどー!
      だから全然気づかなかったんだ…
      わたしもDJは違う名前でやってるしな(違)
      なるほどー!
      だから全然気づかなかったんだ…
      わたしもDJは違う名前でやってるしな(違)
      2022/01/24
  • 大好きな原田マハ作品を休日の午後に手にしてみました。

    6作の短編の中にはそれぞれを彩る6枚の絵画、ピカソ、フェルメール、ラファエル、ゴッホ、マティス、東山魁夷。

    短編なのにこんなに惹き込まれるのはマハさんの作品でしか体験出来ません。

    昨年最後に手にしたのがマハさんの「ジヴェルニーの食卓」。

    そこにも記しましたが、美術館に行きたい。

    個人的に「ゲルニカ」(ピカソ)が好きで部屋にも飾っていますが、本物のアートにふれたい(自分の目で見たい)。

    知識がない私でも美術館に行ってもいいんだと改めて思わせてくれた作品。

    私の「傑作」と出会いを楽しみに。



    説明
    ゴッホ、ピカソ、フェルメール。
    6枚の絵画と人生が交差する傑作短編集。
    いつか終わる恋をしていた私。不意の病で人生の選択を迫られた娘。忘れられないあの人の記憶を胸に秘めてきた彼女。運命に悩みながら美術館を訪れた人々の未来を、一枚の絵が切り開いてくれたーー。
    足を運べばいつでも会える常設展は、今日もあなたを待っている。
    ピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷……実在する6枚の絵画が物語を彩る、極上のアート短編小説集。女優・上白石萌音さんによる、文庫解説を収録。

  • 「盲人の食事」ピカソ
    「デルフトの眺望」フェルメール
    「大公の聖母」ラファエロ
    「ばら」ゴッホ
    「豪奢」マティス
    「道」東山魁夷

    6枚の有名な絵画が出てきます。
    一話に一枚登場し、主人公はその絵に心を動かされ前に進んで行く。
    珍しいフェルメールの風景画や都内で観ることの出来る絵もあり、選ばれた6枚の絵画は時代もジャンルも様々で面白い。

    絵自体は何も変わらないのに、私達はその絵に心を動かされ影響を受ける。
    観る時の自分の気持ちによって感じる事も違う。

    とりあえず上野に行こうかな、という気持ちになる一冊。
    そしていつだって、私にマティスは、難しい…
    _:(´ཀ`」 ∠):

  • 2023.8.6 読了 ☆8.2/10.0

    舞台は、企画展ではなく、常設展示室。つまり、その美術館が誇る宝物の数々が眠る部屋、いつでも私たちを待っていてくれる部屋のお話

    原田マハさんの描くアート作品をテーマにした小説は、今までたくさん読んできたけど、どれにも共通するのが、「作者以外のその絵に関わる人全ての描写の丁寧さ」ではないかと思います。

    絵を見つける人、所有する人、売る人、手に入れようとする人、その絵を見る人、人々に紹介する人など、一枚の絵を取り巻く環境全ての人を丁寧に描いている。

  • 絵を見る目がないので美術館に入り、これ!という絵画に出会う体験はなかなかできない。
    6篇それぞれで絵画との奇跡的な出会いをする6人の女性が羨ましくなった。
    出会えた絵画が常設展示なら、いつでも会いに行けるというのは素敵だなぁ。
    この短篇集は、1篇が短いし物語の印象はどれも薄め。
    全体的に切なく、しっとりと終わる。
    最後の「道」だけは毛色の違う話で、幼い頃の記憶と絵の風景が呼び起こす想いに涙が止まらなかった。

  • 美術館に行きたくなりますね!
    常設展示室、いつでも行けると思って行かなかったんですよね。
    この本読んでたら、「だからこそ、今行きたい!」と思いました。

    6話あるうちの最後のストーリー「道 La strada」にグッとくるものがありました。

    ”ほんとうの感動は作品を見終わったあとについてくる。”(抜粋)

    特にこのフレーズには納得です。

    絵画以外でも、本でも映画でも、心に残るものって、観たり読んだりしている時よりも、終わった後にじわじわくることが多いです。
    そういった作品って、自分の経験・知識を越えたところにあるから、それを理解したくて頭の中に残っているのだと思います。
    ふとした瞬間、何の前触れもなく、頭の中で記憶と知識・経験がつながって消化できる。
    私の名作はそのような位置づけです。
    最近出会ったものの中では「車輪の下」と「コンビニ人間」ですかね。
    これは本当に考えたし、今でも記憶に残っている!未だに消化しきれていない。
    そういうものに出会ったことの積み重ねが、人生の大きな選択を決めると思うのです。
    夫の例で言うと、「昔見たガンダム(富野 由悠季監督の作った一番最初の!と、こだわりがあるらしい)がずっと心に残り続けていて、だから将来グラフィックデザイナーになると決意した」みたいな感じです。

    意外と観たり読んだりしている時に、「これは面白い!」って思ったものは記憶に残ってなかったりするんですよね。すぐ消化できてしまうからなのでしょうか。

    どのストーリーも切なくなるものばかり。
    過ぎ去った時間は戻らないからなのかもしれません。

    「デルフトの眺望」に登場するマウリッツハイクは老後に夫と行きたい!
    ”真珠の耳飾りの少女”を見るための空間演出を体験したいと思いました。

    それにしても美術館に行きたくなりますね!
    感想書いてたらますます行きたくなりました。
    有休とって一人で美術館をふらついてこようかな~。

  • 泣かされたー

    1話目の「群青」でさっそく泣いて、2作目の「デルフトの眺望」でうるうるきて…

    優しい文章で、優しく泣かされる。
    汚れた心が洗われるような感覚。。

    原田マハさんの作品てこんなに優しかったっけ?

    一番のお気に入りは「薔薇色の人生」。
    離婚を経験した化粧気のない女性が、素敵な男性と出会って女になっていく、少女漫画のようなドキドキストーリー。
    オチもしっかりあって面白かったです。

    原田マハさん作品、次はどれを読もうかな。

  • 素敵な短編集。特に最終話『道』は泣かせるなぁ〜。

    身近にありそうな色んな人生を体感できる小説の醍醐味でありました。(主人公は女性で、読んでるのはおっさんです)

    アートにまつわる短編集だし、同作者の『ジヴェルニーの食卓』とシンクロしてるのかも!凄い!と思ったら






    出版社ちげーし。

  • 短期入院中の読書、その4。
    美術館の絵画とそれを観る人の人生の交わりを描く短編集。
    例によって、物語に出てくる絵をスマホで検索しながら読んだ(絵と物語のつながりに肯ける話とそうでもない話が入り混じっていたけどね)。

    ■群青 (ピカソ「盲人の食事」)
    そんなに無理やり病気にしなくてもよいと思うのだけど、盲人を励ましたくてこの絵を描いたのだと、パメラとともに生まれて初めてこの絵を見たように絵に向かい合う美青の姿はちょっと良かった。

    ■デルフトの眺望 (フェルメール「デルフトの眺望」)
    病院に入っていると色んな患者さんを見る。自分は手術さえすれば退院の見込みは早晩たつような入院だったが、今は家族の面会も制限されているので一人でいつ終わるとも分からない病状に向き合わなければならない人はしんどいだろうな。
    この話のように子どもに看取られて死ねたらいいけどな。

    ■マドンナ (ラファエロ「大公の聖母」)
    「いいですよ、死んだらそれで寿命だもの。もう少し生きる寿命なら、生きて帰ってくるでしょ?」
    入院している最中にこんなフレーズに会うとドキッとするな。おっとりとしているけど、お母さん、腹が据わっている。
    だけど、こんな心境にはなかなかなれないぞ。

    ■薔薇色の人生 (ゴッホ「ばら」)
    あんな田舎のバツイチ女性相手にこんな手の込んだことをするかね?

    ■豪奢 (マティス「豪奢!」)
    「入場まで二時間待ちだって」「じゃあなおさら見たいよね、がんばって並ぼう」という気にならない私は、マティスのあの絵を見ても紗季のようには感じ取れない。
    「馬鹿だな、私」と思ったら、そこからやり直して欲しかった。

    ■道 (東山魁夷「道」)
    話の流れとして、お兄さん以外にはないと思いながら読んだ。

    主人公の女性たちが、ああでないと斯界で生きていけないのだろうけど、おしなべて肩肘張り過ぎて魅力に薄い。
    それぞれよく出来た話のようにも読めたが、私には全体的に作り話が過ぎた感が強かったように思えた。
    ★★★にしたけど、2.5くらいの気持ち。

  • アート系の短編6作を収録。
    「群青 The Color of Life」
    「デルフトの眺望 A View of Delft」
    「マドンナ Madonna」
    「薔薇色の人生 La tie en rose」
    「豪奢 Luxe」
    「道 Strada」

    アートを生業とする女性を主人公として家族の絆を描いた作品が多かった。6作の中では「道」が良かったかな。思わずウルル、と来てしまった。泣かせるの上手いな。

    ハーグのマウリッツハイス王立美術館で「デルフトの眺望」見たときのことを思い出した。いい絵だったなあ。係の人が、屋外で描いた当時としては珍しい絵だとかなんだとか説明してたっけ(英語だったので怪しい)。

    マティスの「豪奢」、スマホで見てみたけど、ヘタウマというのだろうか。こういう絵のよさ、全くわからん。美術の素養がないことを改めて痛感させられる(トホホ)。

  • あっという間に読んでしまった。
    推しのゴッホの章が読めればと思ってたけど
    最後の章は感動です。
    明日上野に行こうかな。

  • ブクログランキングで出会った
    原田マハさんの『常設展示室』

    美術館に行くと心が癒されたり、元気になる。
    どうしてだろう…。
    言葉に出来ないこの感覚を原田マハさんの
    『常設展示室』を見たら分かるかも!と思い
    手に取った。

    結果、
    6話の短編小説に感動して、
    泣いて、癒された。
    1話ごとに話の核となる絵画が登場する。
    登場人物の人生の分かれ道に背中をそっと押してくれたり、過去を振り返り、大切な事を思いださせてくれたり。

    各話を通して、原田さんのそれぞれの絵や画家に対する深い理解と愛情が伝わってきて
    本書に出てくる絵たちに実際に会いに行きたくなる。

    どのお話も好きだけど
    特に『道』が好き。
    文章から色をこんなに感じたのは初めて。
    幼い頃別れた兄とは知らずに
    主人公の翠が一緒に美術館に行き
    東山魁夷の作品『道』の感想を伝え合う場面が好き。
    妹と真逆の感想を兄は言う。
    『多くのものを捨てたんだと思います。』
    『全部捨てた。そうしたら道が見えてきた。この絵を見ていると、そんなふうに感じます。』
    もがいて苦しんで、それでも前に進み続けた人の言葉には深く重みがある。

    読後、美術館に行って絵画を鑑賞して
    元気になる理由が自分なりにわかった。
    納得した。
    そしてもっと絵画、美術館の良さを知りたくなった。上野のゴッホ展行きたかったなー!(涙)

  • ピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷…誰もが知る画家が描いた実在する絵画を題材にした6つの短編小説集。

    巻末の素晴らしい解説に勝る感想は述べられないのだけど、読み終えて浮かんだのは静かな展示室で絵画と向き合う時間は自分自身と向き合う時間なのかもしれないということ。
    特に印象に残った章は『群青 The Color of Life 』と『道 La Strada』で、静かなラストシーンに心が震えるような感覚。
    久々に美術館に足を運びたくなりました。

  • 美術館の常設室に展示されている絵画との"出会い"をテーマに、6つの短編が収録されています。

    ピカソ、ゴッホ、フェルメール…
    私が生まれるずっとずっと前に、はるか海の向こうで描かれた絵画が今も残っていて、
    美術館を訪れれば彼らの絵と出会うことができるのって改めてすごいことだと思いました。

    本書を読んでいると、
    美術館の静かな展示室に自分が一人で佇んでいて、誰かを絵をじっと鑑賞しているような感覚になります。

    原田マハさんのアート小説を読むと、美術館に行きたくなってしまうのはいつものことです(笑)
    本書に登場する6枚の絵。
    短編を読み終えるごとにもちろんスマホで検索はしましたが、是非一度、本物を見る機会があればいいなぁ…。

全580件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×