- Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101263915
感想・レビュー・書評
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社員旅行で大阪に行ったとき、専務が「大人の社会見学だ」とか言って、タクシーで流してもらったことがある。4年前くらいかな。
もともと吉原とかに興味のあった私は、映画さながらの風景にそれはもう大興奮で、窓から身を乗り出す勢い。そうしたら「見んなや!」と、遣り手ばばぁに一喝された。
女である以上、客として店に行くことはできないし、どうしても中を覗きたければ店に立つしかない。
とはいえ、さすがに働く勇気もなく、それでもあの風景は頭の中に焼き付いて離れなかった。
そんな私にはうってつけの本。
私にとって飛田は、そこにあるものすべてが非日常で、だからこそ、その内情が知りたくなる。
賛否両論あるのでしょうが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あくまで自由恋愛、パチンコヤミ金、ホストクラブの存在意義、はじめて知ったなんやそれな仕組み。
自由恋愛やからこその、スレてない女の子が少なく態度が良い接客になるんか、効率的に稼げるから質の高い女の子が集まるんか、と納得。
飲食にしても小売にしても飛田にしても、サービスの質やホスピタリティで差別化しないと生き残れないんやな。
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1955年奈良市生まれ、人物ルポや旅、酒場をテーマに執筆されてる井上理津子さん、今回は「さいごの色街 飛田」、2015.2発行です。2000年から2011年まで12年間にわたる取材をもとにした力作です。女性の取材、なかなか難しいと言いますか、実態に迫るのは難儀だったと思います。昔の遊郭のような雰囲気、今の日本に江戸時代が。飛田は1918年(大正7年)から歴史を刻んでいるそうです。700m北には「新世界」、300m西には西成署。飛田は売春防止法の前も後も、「素人」の女性と一期一会の「恋愛」をする場所」だとw
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『色々試してみたら“飛田の人びと”と知り合うことができました』というタイトルに変えた方がよいのでは。
書店で『なぜ木村政彦は〜』と並び平積みされていた本書。
“飛田のことを詳しく知りたい”“アンダーグラウンドな世界にどっぷり浸りたい”といった好奇心に応えるものではなかった。
“古くからの売春市場”として広く認知されながらもある種ベールをまとったこの街に対して、あくまでエロを忌避して見ようとする作者の態度が、結果として“対象”を見失っている。
そのアプローチは、まさに袖擦れ合う程度のエピソードにしか辿り着けず、中学生が書くエロ小説のように、新住民が書く村史のように、浅はか。
目当てのものに手が届かずに、結局“街の風景”をいくつか取り上げて“フツーの街”に仕立て上げる。本末転倒ではないか。 -
一人の女性ルポライターの、大きなタブーに取り組む愚直なまでの一途な姿勢に、どんなに困難に思える仕事でも、コツコツ粘っていけば成果に繋がるよ!と、勇気づけられる一冊。
もう15年以上前のことだけど、ある仕事で同僚とあの町に足を踏み入れたことがある。ほかの女性も同様だと思うけど、今の時代の日本にこんな街があったのかと、ただショックを受けた。
もちろん著者のように、あの街並みをひとりで歩き取材をすすめる勇気なんて、私にはどこをさがしても無い。
私的には、女性著者のルポものとしては、家田荘子さんの『私を抱いてそしてキスして』と、がが~んと双璧になりました。 -
昔、仕事で飛田を車で通り抜けたことあります。店からおばちゃんが手招きして出てきて、店の中には、ピンクのライト浴びたお姉さんが座ってます、ここは何だろう、20代女子にはわかりませんでした。
ジェンダーレス社会でも、この手の本は、女性作家と男性作家では違ってくるのだろうな、男性目線の本も読んでみたい。 -
後半の女の子や店主へのインタビューが面白い。
過去は家の借金のかたになった女の子が、今は男かギャンブルで失敗した女の子が借金におわれて、飛田に入ってくる。それを店主、闇金、男客が搾取するという構造だということだ。
みんな自分を飾りたがる。女の子は嘘の過去を話をして、店主は自分は女の子を育てる仏だといい、男客は粋に情緒を楽しんでいるのだという。
陰鬱な気持ちになる。
しかし一方で、本当にそんなに暗い話ばかりなんだろうかとも思う。実態にはさまざまな事情があるのじゃないかと思う。著者に飛田は裏社会で闇であってほしいという願望が透けて見える。そしてそこから美談的なものを抽出したがっているように見える。ステレオタイプな視点は終始鼻についた。 -
某アニメに遊郭の話が出てきたことから、歴史的背景をこの国に住む限り知っておかなければならないな、と直感的に思って読みました。
とても丁寧な取材をされている作者さんです。
必読。