葬送の仕事師たち (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101263939

作品紹介・あらすじ

誰にでも、いつかは必ずやってくる人生の終わり。旅立ちの手助けを生業とする人たちがいる。葬儀社社員、湯灌師、納棺師、復元師、エンバーマー、火葬場職員……。なぜこの職業を選んだのか。どんな思いを抱いて働いているのか。忘れられない経験とは。著者は、「死」と向き合うプロたちの言葉に耳を傾け、葬送の現場を見て歩く。光があたることのなかった仕事を描破した感動のルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 葬儀に係わる人たちについて書かれた本。
    例えば、病院で亡くなった場合家まで業者が連れ帰ってくれるのだが、そのまま葬儀の話になったりする。
    身近な人が亡くなると心がいっぱいでよく考えられなくなるし、言われるままに葬儀を執り行ったりする場合もある。
    しかし必ずしもその葬儀社で頼む必要はないのだ。
    葬儀の形やサービスなど、業界の仕組みをこの本で少し知ることにより、家族や自分の葬儀をどうしたいか話すのも必要なのではないかと思う。

    まずは葬儀に関する専門学校の学生インタビューから始まる。
    人が亡くなるとどういったことが行われるのか、どういった人々がかかわるのかがわかりやすい。
    今と昔の葬儀社の違いや、東と西の風習の違いなども面白い。
    感染症のことなども知らなかったので参考になった。

    湯灌・納棺・復元師。
    亡くなった人を綺麗にして棺に納める。この復元師というのがまたすごかった。
    状態が悪い人を見られるように、その人らしく整えていく。

    復元とはまた違ったエンバーマーという職業も初めて知った。
    エンバーミングとはアメリカの南北戦争で遺体を長距離輸送するために開発された技術だそうだ。
    特殊な薬液などを使い防腐処理を施すらしい。
    日本では死亡してから50日以内に火葬しなければならないとのことだが、その期限いっぱいまでまるで眠っているかのように保存しておくことが可能らしい。

    火葬場についての記述もあった。
    特に裏側は知ることはないので、興味深く思った。
    火葬方式に違いがあること、東と西では拾うお骨に差があること、従事する人に対する世間からの目や遺族からかけられた言葉などがあった。

    どの職種の人も、この本に出てくる人は皆亡くなった人に寄り添い遺族に寄り添う。
    東日本大震災にかかわった人の尽力なども描写されている。
    本編にはなくあとがきに霊柩車の運転手の方の話しもあった。
    文庫版のあとがきには、最初の単行本から3年たったこともあり、現在のことが補足されていた。

    改めて自分がどういう葬儀をのぞむのか、家族をどうやって送りだしたいのか考えるきっかけになった。

  • 読むのがしんどかった。
    こういう方たちがいてくれるおかげで、遺族が少しでも落ち着けるのだなぁ、、。

  • 人をお看取りするまでが我々の勤めであるが、きれいに亡くなる方ばかりではない。
    病気のために亡くなった方でも痩せてしまったり顔色が異なる様となってしまった方を戻す技術、また遺族と亡くなった方を繋ぐ技術と思いがあることを学んだ。
    読み返す度8/10

  • 癌になりたくはないけど癌になるかもしれない、その時、治療するのかしないのか、するとしたらどの程度か、自分が決断すること。死にたくはないけど死は避けられない事、自分が死んだとき、どんな葬儀を希望するのか。そんなことを考えながら読了しました。井上理津子 著「葬送の仕事師たち」、2018.2発行です。葬儀のプロを志す若者たち、それぞれの葬儀屋稼業、湯灌・納棺・復元の現場、エンバーマーたち、火葬場で働く人々、超多死社会に向けて の6章立てです。余談ですが、葬儀業界市場は1兆6千億円、ペット関連市場とほぼ同じとか。

  • 会社にある本。
    朝早くいって10分ぐらい読み進めている。
    志望校だった学校が出ていて、身近に感じた。またそこに書かれている授業内容もほぼ初めて知ることが多く参考になっている。
    葬儀業界の見本市が描かれている。湯灌についての記述があり、最近あった御体の状態が悪い個人様とご家族を思い出した。ご家族は、湯灌前後の変化に大変喜ばれていたのが印象に残った。エンバーミングを実施できる施設は日本で数か所ほどとベテランの社員に聞いた。日本ではなくなってから火葬するまでの日にちが少なく、エンバーミングの必要性は低いかも知れない。しかし、外国の方で亡くなった場合長期輸送に耐えられるようにエンバーミングをする必要がある思う。外国人労働者の増加に伴い需要は今後増えていくのではないだろうか?
    火葬場の話も参考になった。
    本の中で今後の未透視について、市場は縮小するのではないかという内容があり、確かにと思った。

    今日は会社の最終出勤日、さいごにこの本を読み終えてよかった。葬儀業界に就職して良かったと思った。

  • 「死を迎えたら、結局みんな平等」
    だからこそ生きている内に、微小で良いので何か後世に残る足跡を残したい。

  • 葬儀業界で働く人々を題材にしたルポタージュ。ハードカバーの頃から気になっており、文庫化は正に渡りに船。葬儀社、湯灌師、エンバーマー、火葬場…と様々な【葬送】の仕事に密着取材した全六章構成の本作。誰しもに訪れる【死】と365日向き合う精神的にも肉体的にも過酷な業務ながら、故人と遺族に対し真摯に向き合う【仕事師】たちの姿に目頭が熱くなるばかり。自殺者の遺体を前に「救えたかもしれない命」と語る復元師とエンバーマー両名に大きく心を打たれた。怖気が立つほど壮絶な仕事師たちのプロ意識を語る言葉を今の私は持っていない。

  • 前々ネットの書評を見かけて読みたいなーと思っているうちに文庫本が出てしまった。

    亡くなった人をあの世におくるために手を、心を尽くしている仕事師達を取材したお話。
    葬儀屋、修復師、エンバーマー、火葬場で働く方々等。

    なんて書けばいいんだろうな。
    すごく面白かった。興味深い話、知らなかった事、心揺さぶられる話がたくさんあって、でもそれについて何かを語ろうと思うと、どれも陳腐な気がしてうまく言葉にできない。
    とにかく読んでみて欲しい。

    死にまつわる仕事ということで偏見も多く、見下されたり心無いことを言われる事も多いという。そんな偏見はなくなれば良いな。
    正直私自身も葬儀屋の互助会の勧誘はしつこいとかそういう気持ちはあったけれども、今回この本を読んで、私が死んでもこんなに真摯に最期に関わってくれる人達がいるんだと知れたことはとても嬉しいことだった。

    そしてやっぱり東日本大震災のエピソードはほんとに胸が痛い。
    来る日も来る日もご遺体を洗い修復をする修復師さんの体験は想像を絶する。津波に流された母を探す家族に立ち会った際のエピソードが壮絶で、「あの日を忘れない」なんてスローガン、なんて空虚なんだろうと思った。そんなのは何も体験してない人間が言うことで、年々忘れていく私も、当事者ではあったけど、結局は何も知らない人間なんだと思った。
    あんな体験をしたら、忘れるとか忘れないとか、そういう次元の話ではないのだろう。

  • 葬儀社で働く人たち、湯監師、納棺師、復元師、エンバーマー、火葬場で働く人たちを取材したノンフィクション。
    現場に行き仕事師たちに密着。
    自死し、損傷が激しい遺体について、復元納棺師の木佐貫さんは「死にたいという人に言いたいんです・・・。
    あなたが、こんなになっても、お顔を見たいというご遺族がいる。
    あなたをなんとかしてさしあげたいと必死になる僕みたいなものもいる・・・一人じゃないんだって思えて、踏み留まれると思うんですよね」
    故人と遺族にそっと寄り添い仕事をされている。
    「火葬路の扉を越えたらみんな平等」
    小さなお子さんを亡くされたご家族の話に胸が痛んだ。
    読みながら亡父を思い出したり、読了まですこし時間が掛かったが
    「死を迎えたら、結局みんな平等」確かにそうだ。
    気持ちが軽くなった。

  • 葬儀に関わるいろいろな場面でお世話をしてくれる、その道のプロの人々へのインタビュー。

    昨年前半に自分と妻の親3名が相次いで他界し、連続で葬儀を行うこととなったのですが、その際に、葬儀社のスタッフの皆さんにはとても親身で細やかな心遣いをしていただいたことを思い出します。また、納棺師さんのプロ技にも感心しましたし、火葬場スタッフの方の対応や説明も分かりやすく丁寧でした。
    遺族・親族は大なり小なりオタオタしているので、こういう場で心強いプロの人々が支えてくれるのは、なんとも心強いものです。

    ・・・・・ま、しかし、戒名代はなぁ・・・(※宗派による ※個人の見解です)。

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著者プロフィール

1955年奈良市生まれ。タウン誌記者を経て、フリーに。長く暮らした大阪から2010年に東京に引っ越すも、たびたび帰阪している。
著書に『大阪 下町酒場列伝』『旅情酒場をゆく』(以上、ちくま文庫)、『新版 大阪名物』『関西名物』(ともに共著、創元社)、『遊廓の産院から』(河出文庫)、『さいごの色街 飛田』(筑摩書房/新潮文庫)、『葬送の仕事師たち』(新潮社)、『親を送る』(集英社インターナショナル)などがある。

「2016年 『関西かくし味』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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