母性 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 458
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101267715

作品紹介・あらすじ

女子高生が自宅の庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が入り混じり、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。

感想・レビュー・書評

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  • 湊かなえさんの本だわぁ~!!
    読み始めてすぐにそう感じました。

    母性って…
    本文中に辞書によるとと書かれていたのが
    ”女性が、自分の生んだ子を守り育てようとする、母親としての本能的性質”
    うん、うん、そうでしょ~。
    「母性とは?」と問われるとほとんどの人がそう答えるんじゃないの?と思ってしまう。

    登場人物が母と娘というのはもちろんですが、この二人はずっと”母”と”娘”として登場します。
    他の登場人物にはちゃんと名前があるのに。
    主人公の二人が、〇子などの名前をもつ特定の人ではなく、”母”であり”娘”であることが、この本の大切な部分なのだと思うのです。

    ラストで二人の名前が出てきます。
    そこで初めて二人は”娘の母”と”母の娘”になったような気がしています。

  • 女子高生が住宅の中庭で倒れているところを発見されたという記事で幕開け。事故か自殺か。母親は「愛能う(あたう)限り大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」とコメント。以降、「母の手記」と「娘の回想」がそれぞれの一人称で交互に語られます。いったいどういう結末に落ち着くのかが気になって、先へ先へと読み進めることになりますが、あとがきで蔦屋書店の方がおっしゃっているとおり、とにかく語り手が信用ならず、不愉快な思いが拭えません。ものすごくできた人間であることを自分でアピールしている母親。なのに娘は虐待を受けているのではないかと感じさせる部分もいくつか。嫁いびりに精を出す姑と小姑の存在も不愉快で、そのまま最後までまっしぐら。が、本作に関してはこの不愉快さが面白い。母性とは何かをしばし考え込んでしまいました。最後まで読み、最初の頁に戻ってしばし呆然。もしかすると思いきり騙されていたのかも。

  • 主要人物の各々の気持ち、考えを表しながら
    やがて想いが。。

  • ※文庫化される前に単行本で読んだときのレビューです。ご了承下さい。<(_ _)>

    相変わらずの“イヤミス”感をじんわりと漂わせる湊かなえの最新作。
    読み進めるごとに、背筋がぞわぞわと落ち着かない。この文章が彼女の持ち味だ。
    どこまで、この一人称告白形式の路線で突っ走るのだろう。
    この文体に拘り、ひたすらこの形で書き続けていくのだろうか? 非常に興味深い。

    能うる限りの愛情を母より授けられてきたと信じる娘。
    その娘が母となり、自分の娘に同様の愛を与えようとするものの、思うように伝わらない葛藤。
    母と娘。親と子。
    娘はいつまでも母の子であるが、自ら産んだ娘にとっては自分がその子の母親なのだ。

    嵐によって引き起こされた突然の母の死。そのとき、自らの死を犠牲にしても母が望んだこととは?
    母の死によって、娘と子は複雑に入り組んだ家族生活に引き込まれ、後悔、懺悔、苦悩、いくつもの感情が、思いと裏腹に二人をねじれた未来へと導く。
    愛を与えたがる者、愛を欲しがる者、二人とも同じベクトルの上にいるはずなのに。
    互いに相手を思いやりながらも、些細なすれ違いが不安・不満を呼び、疑心を抱かせ、苦悶する親子。
    二人の思いのすれ違い、ボタンの掛け違いは悲劇を招くが、最終的には寸前のところで救われ、ようやく互いの存在がそれぞれに幸福をもたらすことに気付く。
    子は親を選べない、親も子を選べない、という当たり前の事実にあらためて深く考えさせられる。

    母性とは、いったいなんだろう?
    簡単には曰く言い難いその本質に迫る作品である。
    男である私には、その深さに迫ることも実感することもできない。
    あるべき母性とはどういうものなのだろうと問いかけることさえできない。
    ただ、この作品は“母性”が一義的なテーマではあるが、“親子”あるいは“父性”というものまで訴えかけてくる。

    “イヤミス”感の充分漂う作品ではあるが、最後、微かな光明が射すことで、読後感は悪くない。
    難しい作品ではあるが、湊かなえ、さらに進化したと言ってよいのではないだろうか。

  • 衝撃作!一気読み。
    湊かなえさんってやっぱりすこまいと思った。

    最後の最後でこう繋がってくるんだというすっきり感というか納得感。
    りっちゃんってあの律子さんのことか。ヒデって英紀のこと。そして何故それが分かるのか…。

    母親の歪んだ愛情。母は母で一所懸命娘を愛していたのかもしれないが、それが娘に対しての愛なのか、娘を愛している母親自身を愛しているからなのか。

    結局、あなたは私が好きなんじゃなくて、私を愛してる自分が好きなんでましょ、って。

    分かるなぁと思いながら読んでた。

    あるいは、いつも「良い子」をしてしまう自分。
    「愛能う限り娘を大切に育ててきた」と答えたこの母親のように自分もなってしまうのかなという危惧も抱いたり。

    ハッピーエンディングという訳ではないけど、最後は穏やかに収まったのかなぁ。
    でも、母と娘の関係って難しいのかなぁ。
    なんて。

  • 母性云々より、イヤミス云々より、ただただサイコホラー。
    異常に純粋ないい人が、徐々に "異常" だけに傾いていくかんじにぞっとする。

  • 湊かなえサンのは毎回なんとなく警戒しながら読むw。

    「母性」ってなんだろうね。。。
    溢れる無償の愛?
    そんなに溢れてるもんかなぁ。

    子供を授かることが出来たなら、育て、社会に送り出すのに必死でw。
    その過程には、心身ともに犠牲にする部分もあるし、時間もお金も費やす。可愛いなーって思う時もあれば、鬱陶しいってなる時もあるわけで。
    常に慈しみ頭を撫でて抱きしめて・・・そうしないと「母性」じゃないのかしらねぇ。

    愛されてたかな?愛せてたかな?
    って疑問に思わないのは、愛されてないという不安が無かったってことかしら。
    (´ε`;)ウーン…自分自身はなんかサラ~っとした親子関係だったキガスルから、あまり共感は感じない内容でした。

    「母性」って、そんな神格化しないでイイんじゃないかしら。

    まぁ、感想がボンヤリしちゃったな。

  • 事故か自殺かという煽り文句つけといて『あ、それは関係ないんですよ!』はない。

  • 湊かなえの作品でタイトルが「母性」。読む前からなんだか怖い感じがする。案の定、心がざわざわする小説でした。
    母と娘の回想が交互に語られるスタイル。この母がなかなかのくせ者に感じました。
    結局、この人には母性がなかったってことなのかな。いつまでも自分の元の家族から抜け出せない。いつまでも大好きなお母さんの娘でいたい。
    そう、母になってもずっとこの人は娘なのです。母に褒められたい、というのがすべての言動の元にあって。母を亡くし、様々な試練を経てもなお。
    この人の娘がかわいそう。娘も常に母に認められたい、喜んでもらいたいと思っているのに、その思いは叶うことがない。
    母の母(おばあちゃん)はまっとうな人間で、本当に愛があふれていて、けっして歪んだ育て方はしていないのに、なぜこうなってしまったのだろう。
    愛されて育った子は愛を与えられる親になるというのが定説に思えるのに。「母性」が芽生えない人っていうのもいるのかな。
    私は娘を産んだ時から、母性がむくむくと湧いたタイプなので、この母に共感することはできず、ある意味こわい小説でした。
    もっと深く読めば、もう少し違った理解ができそうな気がするけど。一度読んだら疲れて、もう一度読もうという気になれなかった・・・

  • いつもありがとう、頑張ってるねって言われたい。
    家族の不仲は承認欲求の不満から起こるのではないだろうか。

    完璧な母親(お母さん)の娘(ママ)が完璧な母親になるとは限らないんだね。ママは傍から見るとよくやっている母親にしか見えないからより曲者。

    いやー怖い話でした!でもこの子はいい母親になれるのではないだろうか。

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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