豆の上で眠る (新潮文庫)

著者 : 湊かなえ

• 新潮社 (2017年6月28日発売)

感想・レビュー・書評

[Marikoさんの感想 · 2021年10月1日]

過去と現在を何度も行ったり来たりの描写で、とても読みにくく、あまり内容が入って来なかった。
行方不明になった万祐子が戻ってきてからは話の展開が面白くなり、どんどん読み進めることができたが、あまり納得のいかない最後だった。
モヤモヤが残る作品。

[奈央さんの感想 · 2021年8月22日]

『豆の上で眠る』湊かなえさん

【感想】
こんな終わり方！？ってなった。
結局誰も幸せにはならなかった。

血が繋がってるから家族？一緒に過ごしてきた時間が長いから家族？血ではない何か特別な繋がりかあるから家族？本ものの家族とは一体なんなんだ。

ネタバレまでは、読むたびに怖くなる。人間不信になりそうなストーリー。そこまで表現できるのが凄い。

誰かのため、自分のため、それぞれの思いや目指したい幸せが見事にズレたことが分かるラストだった。


【背表紙のあらすじ】
小学校一年生の時、結衣子の２歳上の姉・万佑子が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に探す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微かな違和感を抱き続けている。お姉ちゃん、あなたは本物なの？辿り着いた真実に足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー。

頽れる:1.気力が抜けて、その場に崩れるように倒れたり、座り込んだりする
2.気落ちする
3.体力や思考力が衰え弱る。衰弱する。

[ひだまりさんの感想 · 2021年7月27日]

あらすじ見て面白そうだなと思って珍しくミステリ。
結末は大方予想できるのにハラハラドキドキしながら読んだ。めちゃくちゃ続きが気になっちゃって、結末を知るまでまさに豆の上で眠っている気分だった。
でもなんか、だれも幸せにならない終わりでしんどい。ゆみこは本ものとは何かをずっと探し求めるだろうし、帰ってきた後の方のまゆこは複雑な気持ちだろうし、両親もこれからどう子供たちと接していくのだろうか…

[れもんさんの感想 · 2021年7月7日]

面白かった。想定よりもすぐ終わってしまうほどの一気読み。

ずっとハラハラドキドキさせられ、結末というか真相も尻すぼみになることなく、読むことができた。
細かい伏線も回収していたし。

誰も幸せにならない、典型的なイヤミスだが、ずっと考えさせられる内容だな…

[mioさんの感想 · 2021年5月22日]

湊かなえさんなだけあって、良い意味で後味が悪い。

[madoromi72さんの感想 · 2021年4月18日]

やっぱり湊かなえさんの本は
ざわざわするね
　
二年間の失踪後
戻って来た姉の違和感
ずっと背中に当たっている小さな豆のように
疑いが拭えない

ならこの子は誰なのか
何故両親は疑わないのか

母親の狂気
妹の苦しみは
読み手にとっても
真実の解明を渇望させる　

回想と現実の唐突な切り替えに戸惑いつつも
瞬く間に読み終えてしまった

[van613さんの感想 · 2021年3月24日]

今までに読んだ湊かなえさんの本の中ではイマイチだったかな。ラストの話にいろいろと無理があり過ぎるし、前半はいろいろと意味が分からず読むのが苦痛でした＾＾；。

[SUMI(R)Eさんの感想 · 2021年3月21日]

大人は、子供に言ってもわからないからという理由だけで、どうしようもなく雑に真実を言わないことがある。本当に子供のためだと思っているのか。自分達の都合のためではないのか。

そのせいで子供は、無意味に小さな違和感を抱えたまま大人になっていき、その過程で全てに気づいても、諦めて折り合いをつけて生きていくしかない。

湊かなえらしく重たい黒い霞がかかったような物語。

散りばめられた大人の都合。
子供の嘘。
猫の死。

母親は、姉が赤ちゃんの時から自分の子供ではないと感じていたのでは？
父はいつから気付いていた？
祖母は真相に気付いていたのにそれを正さずに亡くなってしまった。

みんな豆の上で浅い眠りについているのではないか。



答えに窮してしまう問いかけでピシャリと物語の幕が閉じる。
この終わり方が小さな劇場の戯曲のようでとても好き。

[ねむりねこさんの感想 · 2021年3月11日]

衝撃の姉妹ミステリー

姉の失踪から2年。姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で結衣子は豆の上で眠るような違和感が拭えないでいた。-お姉ちゃん、あなたは本物なの？

印象に残ったセリフ
｢血の繋がりを超えるほど、本ものの万佑子ちゃんにあって、私にはないものって何？結局、これ。いつも、いつも、いつも、みんな、みんな、みんな、みんな｣

[mamaさんの感想 · 2021年2月15日]

帯の『誘拐された姉が戻ってきた。別人になって。』
この一文を見ただけで読まずにはいられなかった。
結末が気になって久しぶりにあっという間に読み終えたほど。湊かなえさんらしく、一緒に推理しつつも最後には読み手の自分自ら問いかけられているかのようなゾッとする感覚になりました。切ないけどでも『本もの』とは何なのか。私にも分からない。

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』（『望郷』に収録）で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。