何者 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 1443
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269313

作品紹介・あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 就活の話かと思いながら読んでいたところ途中くらいで主人公・二宮拓人が人が発する言葉や行動を心の中で分析して批判していることに、流石に後半は『またか…』という思いになり、腹立たしく感じるようになった。それでも最初は、「『演劇』をしている人はよく人を分析してるなぁ」と、その設定に作者の力量に感心する。

    ニュースなどでSNSの便利さと恐ろしさは話題に上がっているが、情報の取得、配信を利用した犯罪。犯罪にならなくても人の心部を侵してしまう誹謗をつぶやき、呟やかれた側だけでなく、つぶやいた側に人間の汚い感情を浮き上がらせてそれが正当であるように錯覚させるような感覚を助長する。上手く言えないが、嫌な気持ちにする力と嫌な気持ちにさせられる力…そんな力を改めて感じた。

  • なりふり構わず何かに必死になる人、それを離れたところから見て馬鹿にして笑う人。どちらもいるなぁ。就活生に限った話ではないなと感じた。
    裏アカって、怖いなー。

  • 自分は「何者」なのか「何者」になれるのか、苦悶する若者達。
    就職活動というリアルな側面から、彼らの本音や自意識を掘り下げる。

    若者の多くは、SNSでも自分を粧飾する。朝井リョウ氏の巧さは、短文のTwitterの中でも冴える。
    飾られた発信の中に ギンジの本音をも交える。
    【何者】と【備忘録】の痛ましさまで感じる本音。

    なんだろう、作品が完成度が高くて感想がない感。
    「何者」にもなれなかったけど、本読んでます。

  • 『何者』朝井リョウ著

    1.購読動機
    ツイッター読書垢の方に、朝井リョウさん好きの方が、比較的多く観察できました。
    そこで、初読書にいたりました。

    2.初読書の感想
    何者 の小説のゆえんだからでしょうか?
    それとも、朝井さんの物語力の本質なのでしょうか?

    登場人物の語る言葉から、頭と心のふたつに『衝撃』をくらいました。
    衝撃を紐解くと、
    1.本質に共感 
    2.本質が言語化されたときの怖さ
    というものです。

    3.『何者』が私たちに問う、託すメッセージ
    「生きていく。自分の線路を一緒に見守る人数が変わっていくこと。」

    「発信しやすくなったからこそ、語られない言葉の方が、その人のことを表している。」

    「想像が足りないひとほど、他人に想像を求める。」

    「自身は何者にもなれない。』
    (自身は、自身のいまをがむしゃらに、格好悪いも受け入れて生きる。)

    4.最後に
    主人公が面接官から就職活動である問いを投げ掛けられました。
    「あなたは、最近、何に心を動かしましたか?」

    私は、毎朝、ルーティンで、心のメモを起こしています。
    その時間に向き合うことが、日常を私なりに歩める気持ちがするからです。

    心動かされる何か。

    それは、見慣れた街の街路樹の紅色の訪れかもしれない。
    はたまた、仲良く会話する家族づれの風景かもしれない。

    目に映る光景に、心を配るその時間を忘れないでいたいものです。

    朝井さん、ありがとうございました。

    #読書好きな人とつながりたい。

  • なんだろう。
    素面で読めない。あとオシャレなカフェとかでも読みたくない。
    この本に感想を書くこと自体が何かへの挑戦のようでとても嫌なのだが、書かないのも逃げてるようで嫌になる。

    就活をする5人の男女による群像劇で、全員よくいる感じの大学生だ。共感できるというよりも、ああ〜いる、こういう奴いるわーという感じの。
    それぞれの就活模様とツイートが、少しずつ人物を浮き彫りにしていく。

    就活もSNSも、自己を発信する側なのに振り回される方が多い気がする。
    この本を読んでいると目の前を覆いたくなる。おかしくない様に、わざとらしくない様に、丁寧かつ無造作に貼り付けた虚飾を、目の前で一枚一枚剥がされる様な気まずさがある。

    この作品が直木賞を受賞したのが2012年。
    就活、SNSといかにも「現代の若者」の話に見えるけれど、8年後に読んでみて風化した感じはしない。
    当時と今で様相が大きく変わらないからというよりも、やはり人間を書くのが上手いからだと思う。
    もともと就活の現状を書こうとしたわけではないんだろうが、今の就活を知らなくてもSNSをやってなくても、こういう奴いるわーと思えるくらい、一人ひとりに立体感というか説得力がある。
    SNSじゃなくてもいる。ちょっと話しを盛る人、斜に構えた発言ばかりの人。頑張ってる、苦労してる。家と会社で別の顔を持っている、コミュニティでキャラが変わる。
    圧倒的に「今」の話なのに、人間の「普遍」的な部分が書かれている。
    そんなところが審査員との世代を超えて直木賞を受賞した一因だろうか。

    実はこの作品を読むのは長いこと避けていた。就活の話とか傷を抉るものを読みたくないというだけでなく、朝井リョウの就活小説ということで。
    自分は作者と比較的年が近いのだが、朝井リョウのイメージとは、「同世代で有名大学に進学して在学中に作家デビューしてベストセラーで映画化で直木賞で大手就職のリア充作家」というものだった。朝井リョウの就活とか高みの見物だろうという。
    あー、恥ずかしい。この本を読んだ後だと特に恥ずかしい。
    でも似たような偏見持ってた人いただろう!と思いながらも、そんな馬鹿自分だけかも、とも思う。こういう時だろうか。ネットで暗い検索をかけてしまうのは。
    『何者』にはそういうことが全部見透かされている気になる。

    読んでいて嫌になるところは本当にたくさんあるのだが、一番嫌なのは、特に何も言ってこないところだ。
    新卒一括採用の功罪とか、SNSによる自意識の煽りとか、カッコ悪いことを認めていこうぜとか、読者に押しつけられるものは何もない。
    ただプロフィール欄は記入自由であると分かるだけだ。
    これは文句たらたらで⭐︎5。

  • 何者というのが就活を通して自分が何者になるか、なれるのかを自問自答していく話だった。

    主人公は他人を俯瞰し、観察し自分で答えを出してカッコ悪いとsnsに書き込んでいた。

    だか1番カッコ悪いのは自分で、自分も就活をしている当事者なのにカッコつけていた結果2年経っても内定がもらえなかった。

    それを肯定する為に人を俯瞰でみて解説していた。
    自分に置き換えるとがむしゃらに頑張ってそれでも結果出ないことがあるがその時にカッコ悪くても再び立ち上がらないといけないと考えさせられた。

    傷つかない為に頑張ってないからできていないだけど自分を保護するほうがカッコ悪いと感じた。

    最後主人公が面接の際に長所を
    「自分のカッコ悪いということを認めることが出来たところです。」

    これが本当にかっこいい人であると刺さりました。

  • やってくれたなぁ。

    そんな感想!笑

    就活、友情、恋愛、青春。

    いやいやいや!
    そんな展開あんの⁉︎

    面白ろかったです。

  • 「自分は自分にしかなれない。痛くてカッコ悪い今の自分を、理想の自分に近づけることしかできない。」という理香の言葉と「十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと点数さえつかないんだから。」という瑞月の言葉が重なる。
     就職をひかえた5人の物語。それぞれの就活の中に、個々のツイートが挟まれる。事実とは異なっていたり、自分の努力したことだけを書くツイートは、なかなか内定をもらえない自分自身を、せめて自分が認めて励まそうとしているように思えた。
     光太郎が言うように学校を卒業した後は「自分で動かないと自分の名前って変わんない。」それに、「観察者」の視点で周りを見下していては「何者」にもなれない。「カッコ悪い」自分を認めて、それを人前にさらす勇気を持つことから、すべてが始まっていくのだなと思った。

  • 今も昔もsnsがなくてもあっても、他者を見て自分の立ち位置を無意識に確認している。自分もいつの間にか思い込みをしていて間違いに気がつくときがある。たまに自分自身を客観的に見るようにしないと。
    本に映画化の表紙がもうひとつ付いていて、理香役が二階堂ふみさんです。
    映画は見てないけどラストでふみさんにたたみ込まれたら、やはりぐうの音も出ないだろうな。

  •  現代の就活に挑む大学生たちの姿を描いた群像劇。

     この小説のテーマは就活から浮かび上がる「かっこ悪さ」そしてそれとどう向き合うか、ということだと思います。

     なぜ就活とかっこ悪さが結び付くかというと、あくまで個人的な見解ですが「就活ほどかっこ悪くならないとできないことはないから」です。

     何がかっこ悪いって、社会的には何の実績もないのに、面接になると「自分はこんなに立派な人間ですよ」「学生時代こんなに頑張りましたよ」と相手がどれだけ本気で聞いてるかも分からないのに、アピールしなければならないこと。

     自分の就活を振り返ると思い出すのは、とある面接で最近読んだ本を聞かれ、その感想を述べると「それは大変大事なことに気づかれましたね。仕事にもつながってくることだと思います」と言ってもらったのですが、その面接は落とされたことです(笑)。

     落とされたのはまあいいとして、面接してくれた人はあの言葉はどういう気持ちで言っていたのか気になります。本心から言っていたのか、それとも内心「何言ってんだこいつ」とせせら笑っていたのか…。そして、そんな面接官の言葉に対し少しだけ手ごたえを覚え「これはもらったな」と思った自分の気持ちを思い出すと……、そんなかっこ悪いことを延々と続けなければなりません。

     自分の面接やエントリーシートに書いたことを就活を終えた今、振り返る勇気はありません。もし面接の様子を録画していたDVDなんてあったら粉々にして散骨よろしく海にでもばらまきますし、エントリーシートはシュレッダーにかけてから、燃やします(苦笑)。それだけ恥ずかしく、かっこ悪く思ってるのに、就活をする以上そうしたものは避けては通れないんですよね。

     作中の大学生たちの就活の様子、そして心情はとてもリアル。作者の朝井リョウさんも近年の就活体験者、ということもあるのだと思います。就活や就活生のかっこ悪さをしっかりと描き切っています。

     しかし、この小説の一番の読みどころは、ラスト近くのどんでん返しとたたみかけ。自分の就活を思い返しながらそれまで作中の就活生のかっこ悪さを、そして過去の自分を嗤っていた僕に、まるでブーメランのように返ってくる言葉の数々。そして最後に本当にかっこ悪かったのは誰なのか気づかされるのです。その場面は作中の登場人物のように自分のライフもゼロになりそうでした。

     ほとんどの人は今の自分とは違う、もっとカッコいい”何者”かになりたいんですよね。そして、それが敵わない場合どうするのか、それを就活とSNSという現代のテーマを使って見事に書かれていたと思います。

     たとえどんなにかっこ悪くても、そんな自分を受け入れてあがき続けなければならないのは就活でも、そしてこれからの人生でもきっと一緒のハズ。これから長い人生を歩む自分に改めてそうしたことを気づかさせてくれた小説でした。

     血反吐を吐きそうになりましたが(笑)、就活を終えたタイミングで読めて良かったです。

    第148回直木賞

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年『チア男子!!』で高校生が選ぶ天竜文学賞し、13年『何者』で直木賞、14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞した。

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