何者 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 851
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269313

作品紹介・あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 時代のガジェットを使った作品はいつの時代にもあるが、Twitterをそう使うのか。そして相変わらず若者特有のあの世界観を描き出すのがうまいよなぁ。同年代のはしゃいでいる感じを斜に構えて眺めている主人公。拓人。これがなんかいやーな奴で「お前は何様じゃ」と突っ込みたくなる。一生懸命が空回りするリカもあれだし、その彼氏もそれだけど。それでも、なんかどこかに爪痕残そうとしている若者独特の傲慢さとか青臭さとかそんな感じで若いねぇ。と眺めていられる。何が正解かなんてわからんけど、動いてるだけまだマシなんかもね。

  • 就活した事がないけど、おおおぉ。。。となった。
    始めに皆のツイッターのプロフィールが載ってて面白い。本音、自意識、不安、逃げ道、愛、嫉妬、ぐちゃぐちゃぐちゃ。光太郎だけ最後まで純粋でこーゆーひといるよなー。
    最近評価制の事が増えた。若い女の子の下らない必死さ見てこの小説を思い出した。

  • 学生時代の就活を思い出しながら。
    めちゃくちゃ入り込んで最後の数ページは苦しかった。
    が、さすが直木賞。素晴らしいかった。
    朝井リョウ作品目が離せん。

  • 大学の就活をテーマにした小説で、昔の就活中の自分を思い出しました。自分はそんなに大した大学生活を送ったわけでもないのに面接では、「どう頑張ってきたのか?」「何をしていたのか?」などの面接対策に奮闘していました。
    参考書を見ても例文が経歴・経験が凄い人ばかりしか書かれておらず、自信を失ったときもあったし、どうすれば良いかもがいていました。
    就活というものは、自分自身を再発見するはずが、ほかの人と比較するばかり考えてしまい、自分を失っていくことが思い出されます。

    この小説でも登場人物の心情がリアルに描かれているなと思いました。また、人間の闇の部分を垣間見たように感じました。その反面、みんな似たような悩みを持っているんだとちょっとホッとした自分もいました。
    もし、就活中にこれを読んでいたら、ちょっと疑心暗鬼になったかもしれません。それほど胸に響いた作品でした。
    それだけでなく、ちょっとしたどんでん返しもあって、面白かったです。一度放ったブーメランは、いつか戻ってくるんだと考えさせられました。様々な人物が登場しますが、自分の周りに誰か一人似たような人がいるのではと思います。

    読んでいて、胸が痛いですが、色んな心情がわかるので、読んで損はないかなと思いました。

  • ◯朝井リョウ先生は天才ですね。大変面白かったです。
    ◯ストーリーと描写が完全に合っているというか、小説自体の完成度というか、かちっとハマって美しいです。
    ◯そして相変わらずの、グループ内の心理描写の巧みさはさすがとしか言いようがありませんね。悲しいくらいに心に肉薄してきます。


    ◯何者にもなれていない学生という状況の、社会人になるという段階に対する「不安と焦燥」を、SNSが強く煽っている。それが実に巧みに描かれている。
    ◯現在と昔で学生が置かれている立場が変わったわけではない。
    ◯小説で語られているとおり、 SNSという新しい自己表現のツールを通して、演出された少ない言葉による過度に装飾された自己を、不特定多数・世界を舞台に発信することで、個人の自己顕示欲が満たされる。
    ◯学生という期間であれば仲間内だけ満たされていた関係だが、いざ実体社会と相対した時、そういったコミュニケーションしか知らない状況に陥っていることに気がつく。◯それは、実は自分が何者でもなかったという空虚さを露呈し、SNSによって何かができるという錯覚をもたらしていたことに気がつくことになる。
    ◯コミュニケーションが複雑になり、言葉が選ばれ捨て去られていく状況について、小説家として思うところがあったのか、とも思った。

    ◯そして、そういった状況の中で、過剰な自己顕示欲に囚われている登場人物たちにいは悲しさを感じる。
    ◯ただ、悲しいだけでなく、それぞれ全員に共感できる部分があり、自分のこととして考えさせてくれることが、この小説がいいものである証左だと思った。

  • 物語は面白かったし、色々考えさせられた。
    登場人物の人柄や関係が分かりやすかったが、その分役割を与えられたキャラクターにも感じてしまった。

    ただ、少し前に読んだ「高慢と偏見」は凄いと感じたが、「何者」は作り方が上手いと感じた。

    今後も朝井リョウさんの本を読みたいと思った。

  • まだこの物語を読んでいない人に言いたい。ぜひ読んでほしい。
    そして読み始めた人に言いたい。絶対に最後まで読んでほしい。
    さらに読み終えた人に言いたい。読んでよかったよね!

    この物語は朝井リョウさんがある程度のリスクを背負いながら書き上げたものだと思う。なぜなら前半から中盤にかけて、読むのがしんどくて仕方がなかったからだ。
    (初めて読むけど、朝井リョウって意地が悪いのかな。)
    他人の噂話をしてヒクヒク、人を馬鹿にした笑いを浮かべる若者の姿が幾度となく思い浮かんだ。
    ページをめくる指先がだるい。本当に直木賞かよ、とさえ思う。中盤までは何かに支配されているような気がして、身動きが取れない感じがした。一言でいうと、納得がいかない、という言葉に集約される。

    ところが。

    そのモヤモヤが、ラストで一気に解消された。
    視点が変わったことで息がつまりそうだった狭い部屋から出られた気がした。ああ、朝井リョウさんは、はじめから全て俯瞰しながら書き進めていたんだな。そして、全ての登場人物に救済と愛情を注ぎ、肯定しているんだな。
    そう思うと、この朝井リョウという作家に対する気持ちは、リスペクトへと置き換わった。

    星4つにとどめたのは、まだ見ぬ彼の作品に5つ星に値する作品があるに違いないという希望的観測があるからだ。

  • 面接官を経験して思うのは、社会人になって色々わかって自分が大事にしていることと、学生が誰かに教えてもらってアピールしていることは表面的には似ているが本質的に違う場合が多い。無理もない事だけど、でもたまに、自分の言葉で話し、不器用ながら本質に迫っていて、今すぐチームのメンバーにしたいと思う人がいる。専攻や部活動や海外留学はあまり関係ない。それは何なのかな。機会があったらまとめてみたい。

  • 意識高い系の人の描き方が優れていて、主人公と同じように小馬鹿にしながら読んでいると最後にやられた。率直に面白い小説だった。
    ギンジの描写が少なかったのが残念だったので、何様も読みたい。

  • 懐かしかったですな。大学時代。いっぱい飲んだ。朝まで下らない話で盛り上がった。何にも縛られないで、自分の思いつくままに時間を使っていた。そして、就職活動は嫌だった。周りを見て焦り、合同説明会に行き絶望し、まだ社会へ放り出されたくないのに結構必死に『就活』をした。嫌々自分を見つめ直し、ありもしない長所を見つけようとした。自分が『何者』かも分からないのに、『何者』かにならなければならなかった。
    自分が『何者』かなんて今でも分からない。でも無理矢理にでも『何者』かにならなければ家から出ることができない。そのくせ『何者』を意識すればするほど自分を作っている感覚が尖る。
    この小説は自分が『何者』かを問い質されているようでパワーが要りましたよ。人間なんて弱いから、色んな手段を使って不安定な心のバランスをとっている。客観的に見ると卑怯に映ったり、見てられなく映ってもみんなそれなりに必死に生きている。どんな姿でも一生懸命を笑ってはいけない。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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