何様 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269320

作品紹介・あらすじ

生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる──。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く 6 編!〈解説・若林正恭(オードリー)〉

感想・レビュー・書評

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  • ファンディスク
    言葉のチョイスがおしゃれ よくもあぁ感情を間接的に形容する表現をこんなにも連発できるものだ。 
    文書に惚れる 朝井リョウ大好きだわ
    解説の若様。ANN聞いてるがやはり感性が凄い!
    卑屈精神のバイタリティは、説得感があって主張に惹き込まれます。山里亮太とは違った天才

    『水曜日の南階段はきれい』
    純粋な恋愛 美しい 胸を締め付けられぐっときます。
    ホテルのテーブルランプは、光が強い。だけど、あの子の赤い文字は、その光にも飛ばされない。

    『何様』
    人が人を評価する難しさ
    たった数分の面接で何がわかる?はい!分かりません!!
    浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』を思い出す

  • 最初の3作にはテーマを意識しすぎて無理があると感じて読むスピードが進まなかった。
    しかし後半の3作には考えさせられて、すぐ読み終わった。「君だけの絶対」はそれぞれの行動の[意味]を問う。当事者の拾い上げるもの。それが人を形づくる。
    「何様」は、わたしも一時期会社で大学生の面接をしていたこともあり、考えさせられた。厳しい目で面接に向かっていたが、私を含め横に並ぶ面接官にそんな資格があったのか?当事者意識のない人間が、借り物の仮面で何がわかるのか?その反面、それが人間なんだと君島の最後の言葉で救われる。
    全編を通して、当事者としての意味をどう捉えるかを問われる傑作だと思った。ちなみに「何者」はそうとう昔に読んだので、全く覚えていませんでした。

  • 6話構成。
    「何者」を先に読んだ方が楽しめるぽい。
    私は読んでないが、だいぶ前にアマプラか何かで、佐藤健つながりで見たような、、笑

    ★1話目、水曜日の南階段はきれい
    キュンとくる素敵なお話

    2話目、それでは二人組を作ってください
    朝井リョウ特有の人間の裏側がみえるお話

    3話目、逆算
    2話目同様に、そんな!?こと考える人いる!?みたいな。

    ★4話目、きみだけの絶対
    同じ世界を生きて、同じものを見ていても、拾い上げるものは人によって違う。
    花奈ちゃん健気で素敵な印象

    5話目、むしゃくしゃしてやった、と言ってみたい
    これも特有の裏側の気持ち、、いやーな。

    ★6話目、何様
    なんたかんだ良い話と感じた。1秒の誠実
    最後君島さんの印象変化!
    6話目の何者

    そして、解説がオードリーの若林さん!
    これまた凄い良いっ!!めちゃくちゃ共感!
    今度若林さんの本も読んでみようと思った。

    • おびのりさん
      なんなんさん、こんばんは。
      おびのりです。いいねありがとうございます。
      今日は、私も朝井さんを読みました。
      ちょっと、嬉しいですね。
      “何者...
      なんなんさん、こんばんは。
      おびのりです。いいねありがとうございます。
      今日は、私も朝井さんを読みました。
      ちょっと、嬉しいですね。
      “何者”は、なかなか楽しめましたよ。
      是非、どうぞ。
      2022/06/16
    • なんなんさん
      おびのりさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます!!
      たくさんレビュー読まさせてもらってます★

      朝井さん同時読書✨なんか嬉しいです...
      おびのりさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます!!
      たくさんレビュー読まさせてもらってます★

      朝井さん同時読書✨なんか嬉しいです!
      朝井さん、独特な引き込み方というか、普段封印されてるけどわかるわかる的な気持ちとか、なんだかんだ結構好きです。

      何者も、他も、全部読みたくなります笑
      2022/06/17
  • 何者アナザーストーリー 短編6編
    そんな触れ込みだったけど 登場人物達のアナザーストーリーではあるけど、作品としては別の物語。
    何者から4年後の発刊。朝井さんはどういう手順で構成しているのか、現実の様な収まり。
    「水曜日の南階段はきれい」は、光太郎君の出版社志望の伏線回収。少女コミックばりのきゅん。
    「それでは二人組を作ってください」は、ちょいイタイ系里香さんと宮本君の馴れ初め。私は、里香さんキャラを応援したいのだけど、朝井さんが、イタぶるんですよ。彼女は頑張り屋さんなんです!
    何者からの主要人物は、この2作。
    「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」
    これが、小説として一番好み。瑞月ちゃんはケータイの待ち受けのみの登場。苦しんでいたパパを少し許してあげて欲しい。
    主人公だった拓人は、触れられない。そして、全ての短編で彼らの結末は描かれない。何という読者への背信よ。
    何卒、続編などお待ちしてます。

  • 6話構成。

    「逆算」が特に印象的だった。

    私は、つい最近まで何かのキッカケがないと行動できない病におかされていました。

    キッカケ待ちの人生は、どこか退屈で何のためにキッカケを待っているのかもわからなくなり、ばかばかしくなりました。

    「キッカケとか覚悟とかって、多分あとからついてくるんだよ」この言葉が私にとって大きな言葉となっています。

    こうやって、また、この言葉をキッカケにしている矛盾にうんざりもしています。(笑)

  •  本書は6つの短編ストーリーから成り立っています。そのそれぞれは時間軸も登場人物も終わり方も違っていたので、1冊で6つの味が楽しめました。

     本当に全て全く異なる結末になり、ハッピーエンドもあればバットエンドもありました。そして本書の特徴だと私が感じたのは、ハッピーエンドもバットエンドも自分の人生に起きてもおかしくないリアルな悩みだったことです。そういった意味ではホラー小説よりも「怖さ」はないですが「恐ろしさ」は高く感じました。
     本書を読むにあたり「しまった!」と思ったことがありました。それは登場人物の境遇がわからなくなったことです。本書は「何者」の続編であり、本書の登場人物の境遇がわかるとより楽しめます。


     最初の3編まではメインの登場人物なので伏線回収を楽しめましたが4編は瑞月の父が登場し、最後に至っては拓也の面接にいた人です。もはや最後は解説を読まないと誰が主人公になっているか、わかりませんでした。

  • 何者?だった登場人物が何様!になっていく流れに
    自分が重なっていき記憶の扉が開いた
    何者でもなかった自分がもがき苦しんだ末の今
    何様になった自分でも一瞬を丁寧に受け止めたい
    若林さんの後書きもおもしろかった!

  • 『何者』のアナザーストーリー。
    前作を読んでから間が空いたので、うろ覚えではあったが、なんとか本作と紐づける事ができた。
    『何者』の登場人物の過去やその後を知ることができて満足。

  • 「それでは二人組を作ってください」で、ん?とモヤモヤし。

    「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」で、ピーンときた。

    私、これ読んでるわ!
    と思って履歴を見たら、バッチリ三年前に登録されておりました。

    で、当時のレビューには「何様」では武田さん派、と書いているのだけど。
    改めて読むと、君島さん、いいじゃんって思った。
    面接をして、マルとかバツを付ける時の自分って、確かに「何様?」って感じる。
    人を見ようとするからこそ、「分からない」と正直に言う武田さんが、三年前は誠実に思っていた。
    でも、「分からない」ではなくマルかバツかを決める君島さんにも、きっと相応の覚悟がある。

    「面接してる自分嘘っぽいなーとか何様だよーとか私も思うけどさ、そんな中でも、あ、この学生のことをもっとちゃんと見抜かなきゃやばいとか、この学生採用すべきとか、そういうことを本気で思う瞬間みたいなのもちゃんとあるんだよね。その一秒からちょっとずつ拡張していくっていうか」

    この台詞に、素直に頷く。
    自分に自信がなくたって、相手より崇高な理念や学歴がなくたって、仕事は仕事だ。
    こういう思いもまた、数年後、十年後には変わっていたら、面白いな。

  • 自分にとっては遠い遠い青春時代、あるいは働き始めた初々しい時代の頃の話なんだけど、その頃を思い出したり、後悔したりしながら読んだ。
    特に「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」の正美の思いや、家族に対する考え方や生き方もすごく似ていて、共感しっぱなしだった。私も長女だからかな!?
    自分の妹や、自由に生きている(ように見える)人たちがいつも羨ましかったな、なんて思い出した。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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