女たちの避難所 (新潮文庫)

著者 : 垣谷美雨
  • 新潮社 (2017年6月28日発売)
4.04
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  • レビュー :17
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269528

女たちの避難所 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。だがそこは“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。

  • 読みながら、怒りで何度も拳を握りしめてしまったので、なんか肩こった。
    当時マスコミで報道する被災地には「美談」しかなかったような印象だが、ある文芸誌に多くの小説家が寄稿した「震災」についての文章は、まったく色合いが違っていた。
    支援物資の分配の不平等や、避難所によっては、危険な感じのリーダー出現でとんでもない「自治」状態だったこと。思いのほか多くの文化人(かな?)が放射能を避けて海外や遠方に避難したこと。

    あれから6年もの年月が流れ、別のところで起きた大地震や様々な事件の奥に記憶は薄れがちだが、まだ全然終わっていないし、当時起きた問題が解決されたわけではない。

    この本では避難所を舞台に女性に対する差別的因習が語られているが、それは過去からあったものが表に出ただけ。
    そう語って新たな世界に飛び出していった三人の姿に、ホッとした思いで本を閉じた。
    希望がある結末でよかった。

  • 一気読み。最初から最後まで、目が離せなかった。

    男に生まれてごめんなさい・・・と、ここに描かれた男どもとは全く違う(はずだと信じる)けれども、無条件に謝りたくなってしまうような非道が、この作品世界内にはまかり通っていた。

    3人が最後に見つけた“決断”には、フィクションならではの救いがあって読者としては安堵したものの・・。

    ここで描かれたような“現実”は、きっと本当の現実の中にも星の数ほどあったのだろうし、
    作中の3人のような“救い”を見出だせないままだったヒトたちもいるのだろう・・・。

    物語としてはフィクションに違いないが、狭くて広い我が国、日本の現実を知るためにも、読んで損が無い一冊だと感じた。

    いや、一人でも多くの人に読んでもらいたい一冊だ。


    ★4つ、9ポイント半。
    2018.03.08.古。

    ※方言の描写・・・当然っちゃ当然だけれど、こういう形に活字におこされると、方言を揶揄されている気がして少々不愉快に感じたのは・・・きっと、上京当時に自分も東北のイントネーションを指摘されて笑われた経験からくるコンプレックスなのだろうな。

    自分の故郷は、イントネーションの訛りこそあれ言語的には標準語とほとんど変わらない地域だったにもかかわらず。


    ※避難所でのリーダー交代の一幕は、男の目線からも胸がすく心地よさだった。

    ※避難所での、女性の性的被害・・・も、大きく報道されてはいないけれどかなりの発生件数がある、と何かの記事で読んだ記憶がある。同じ日本人として恥ずかしくて仕方がない。

  • 私も五十年後ぐれえには、そっちさ行ぎますがら。
    (漆山遠乃)

    東日本大震災で被災した避難所が舞台。
    九死に一生を得た55歳の専業主婦は避難所で将来を不安に思うが、ごくつぶしの夫が行方不明になり、少し安堵している。
    夫を亡くし、生後6ヶ月の息子と生き延びた28歳の美人お母さん。しかし、避難所で傲慢な舅や義兄に支配される。
    40歳のスナック経営のシングルマザーは震災で母を亡くし、息子が行方不明になり、避難所を巡る。
    しかし、この3人が避難した避難所はダンボールの仕切りがない男尊女卑の監視社会。“絆”というフレーズで縛りあげ、授乳するにもままならず、ボランティアは高圧的な態度、意見をするにも田舎の風習で味方はいない。


    読んでいて怒りと不快でたまらなかった。
    ずっと不快、怒り、不快、怒りで少し希望が!と思ったとこにまた不快と怒り…

    「私たち被災者は家族同然なんです。これからも協力して生活していかなければなりません。互いに絆と親睦を深めましょう。 ーだからね、我々に仕切りなんてものは要りません」
    これが現実にあったっていうのが驚いた。

  • 避難所で段ボールの仕切りを作る。
    そんなんじゃとても完全にプライバシーなんて保てないけど、それでもないよりは絶対にマシだと思う。
    生活する上で絶対必需品。

    この話にはその仕切りを「私たちは家族同然なんだから」と使わせないようにする、避難所のリーダーが出てきます。
    読みながら私は「いや、これは創作でしょ? ま、まさか本当にこんな人、いなかったよね……」と思っていたのですが、あとがきを読んでビックリ。
    現実に、いたとは……。

    そんなこと言える人って、全然周りが見えてないんだろうなぁ。
    どんなところでもそうだけど、リーダーにどんな人がなるかって大切。
    福子みたいに話しやすいおばちゃん、みたいな人が一番適任かも。

    遠乃に関しては、「役所に行けば、なんか姻戚関係を失くす、みたいな手続きできるよ!!」とそればかり思っていました。

  • 913

  • さまざまな理不尽に腹が立って腹が立って、ほぼ一気読みでした。前回読んだ『嫁をやめる日』もそうですが、最終的には女性たちが現状から外へ踏み出す(精神的・物理的に)、でも大団円のエンディングではなく、まだまだ問題はあって、あとは本人の頑張り次第!というところが、かえってスカッとしていて好きですわぁ。

    今回は小5の少年、昌也くんが大活躍でしたね。いるいる、こういう「理解してしまう」利発な子ども。そして、そんな昌也くんを尊重して、その時々に合った言葉をかけてあげられる福子さんも素敵でした。

  • 2017 12/30

  • 請求記号:913.6||Ka 26
    資料ID:C0038298

  • あの震災の美談報道ばかりの中で実態はこんなにも違っていたのかと慄いた。確かにダンボールの仕切りがある避難所と無い避難所があるとの報道は見たけれど単にダンボールが届かなかったんだとばかりお気楽に思っていた。避難者の中からリーダーが選ばれその資質による避難所の暮らしやすさに差が出ていたのか。しかもやはり感じる不便も危険度も男女では大分違っている。今の日本ではいついかなる時にどこに暮らしていても避難所に避難しなくてはいけない事態が起こるか分からないのだから、そういう時の為にお役所には避難所の運営のハウツーを是非きちんと整備しておいていただきたいとも思った。

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