百 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 304
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101270036

作品紹介・あらすじ

「おやじ、死なないでくれ-、と私は念じた。彼のためでなく私のために。父親が死んだら、まちがいの集積であった私の過去がその色で決定してしまような気がする」百歳を前にして老耄のはじまった元軍人の父親と、無頼の日々を過してきた私との異様な親子関係を描いて、人生の凄味を感じさせる純文学遺作集。川端康成文学賞受賞の名作「百」ほか三編を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 退役軍人の父親との親子関係をつづった私小説短編集。

    起きていることをあるがままに受け入れるということは
    実は大変なこと。でも、この親も、この子(著者)も、それ
    が出来てしまう。出来てしまうと言うよりは、そうする
    ("身幅で生きる")ことしか知らないと言った方がいい
    のかもしれない。

    逃げることなく、面と向かう。ただこれだけのことに凄み
    すら感じてしまう。

    苦くてざらついた小説。読み応え十分。

  • 色川武大 「 百 」 家族との関係を描いた私小説。

    この本で描かれているのは
    *劣等意識を基礎とした 著者の人と違う生き方
    *近すぎず遠すぎない家族関係、ただ在るだけの家族
    *死を描いているようで 徹底した生を描いている

    「小説は〜大きな道を歩いて造るもの〜お前は大きな道を歩いていない〜それじゃピエロになるだけだ」

    身の幅で生きる
    *身の内の自然に 出来るだけ沿いながら、得心し続ける
    *身の幅以外のものは 観念で、そういうものは信じない
    *内心を身の幅の中に入れて 自分の心にしている

    自分の内心が あまりに個人的な尺度を持ちすぎて 他人に通じる言葉にできない
    「僕の恐怖は 自分にこだわるわりには 自分を他人に主張する術がなくて 絶句して終わるしかないこと」

    他人に管理されて生きる=一兵卒になる

  •  私小説になるのだろう。
     色川武大とその弟、母親、父親、その他親族との関わり合いや愛憎入り乱れた葛藤を描いている。
     著者自身、ノーガードで自身のダメな部分や醜い部分を、あますところなく書いている。
     自嘲気味、という訳ではなく、割とドライに、それでもあまり俯瞰しすぎずに、程よい距離感を保って書いている。
     まさに色川武大その人そのものを読んでいる感覚に陥る。
     読んでいる間はずっと、作者と共に喜び、悲しみ、途方に暮れ、自己を嫌悪する。
     それにしても、なんて文章を書く人なのだろう。
     決して独特な言い回しでも、強い個性がある訳でもないのに、一行一行が、単語の一つ一つがこれほどまでに心地よく流れ込んでくる作家も稀だ。
     万人向けの作品ではないだろうし、もしかしたら排他的な印象を持つ人もいるかも知れない(思うに私小説って排他的な分野のように思える)。
     その分、好きな人にとっては、つまり色川武大という作家に思い切り肩入れ出来る人にとっては、たまらない魅力を持った作品だと思う(決してエンターテインメント的な魅力とはいえないが)。
     色川武大の人を見る目、人との付き合い方、人付き合いに対する彼なりの哲学、優しさとだらしなさ、自己に対する嫌悪と憐憫、それらすべてがとても愛おしく感じられる。
     僕にとって本書はそんな作品だった。

  • 親子関係・兄弟関係を描いた私小説。
    「ぼくの猿、ぼくの猫」は、幻覚と現実が入り混じった異様な作品になっている。

  • その昔は栞として茶色の細いひもがついていた!そのままの本。だよな~ あの紐がつかなくなったのはいつ頃だったんだろう... などとどうでもいいことを考えるのにふさわしい本だったヨw変わっていくお父上の様子が手に取るようにわかってそれは避けようのない切ないできごととして身にツマされた。

  • 図書館で。
    父と息子、母と娘ってのはなんだか言葉には言い表せない絆というか確執みたいなものがあるのかなぁ、なんてことを思いました。

    幼少時から早くに死ぬと思っていた親が結局96まで元気ってのは皮肉な話です。しかも定職にも付かず、働きに出ている妻に手を上げるとかホント、最低としか言いようがないけどこういう男性昔は多かったんだろうな。今なら即離婚されてるレベルだ。
    そして母親のはたらく店でお金を盗んでいたらそりゃあ経営者の娘に乞食扱いされても仕方ないのではなかろうかと。冷静に読むとマトモじゃない。

    割とマトモな方である母と弟に対し、父と自分は分かり合えるとか思っている辺りこの作者もどうなのかなぁと思いますが結局作者の方が先に亡くなったのではなかろうかとか思うと人生は皮肉ですね。

  • 色川武大さんの私小説『百』を読了。彼の別なペンネーム阿佐田哲也で書いた麻雀放浪記は読んだ事はあったが純文学系はなかったもだが伊集院静さんが書いた『いねむり先生』を読んだときに著者に興味を持ち買ってあった小説が『百』だ。色川武大さんと父親との確執をテーマにした小説二つとストレスの高いで家庭においての猫などのペットとの暮らしとその他に彼の目にだけ見える不思議な生き物との毎日を描いたものがひとつ、弟との不思議な絆に関しての小説一つを合わせた計4編を集めた小説集なのだが、読み終わって印象に残っているのはどんなときにでも主人公の脳裏からはなれない父親との関係であり、老齢期に入った父親との関係を主に描いてあるので歳をとった親と離れて暮らす自分の事も少なからず考えさせられた。そんあちょっと重たい年を取った家族との関係を描いた小説を読むBGMに選んだのはTony Bennettの"I left my heart in San Francisco". 50年以上も前のヒット作で、いまも現役なのがすごい。

  • 悪くなかった

  • 幼少の頃、近い過去、現在、そして幻想。ナルコレプシーをかかえているからか、時制が錯綜しているし、父親や弟について同じ事を何度も言及してて、物語として流れてなくて読みにくかった。これが味なのかも知れないが、一読しただけでは良さが分からなかった。

  • 20150602 何と無くムズムズする話。真剣に捉えれば誰もが体験することなのかも知れないが難しく考えるとこうなるのかも。考える人が減ってるような今日、この本の成果かためされると思う。

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