幕末史 (新潮文庫)

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レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101271811

作品紹介・あらすじ

嘉永六年(一八五三)六月、ペリー率いる米艦隊が浦賀沖に出現。役人たちは周章狼狽する。やがて京の都はテロに震えだし、坂本龍馬も非業の死を遂げる。将軍慶喜は朝敵となり、江戸城は開城、戊辰戦争が起こる。新政府が樹立され、下野した西郷隆盛は西南戦争で城山の地に没す-。波乱に満ち溢れた二十五年間と歴史を動かした様々な男たちを、著者独自の切り口で、語り尽くす。

感想・レビュー・書評

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  • 『昭和史』(前半)から間が開いてしまったが読了。
    筆者が主張しているように、世の中にまかり通っている、薩長史観にモノ申したいというのがこの本。薩摩・長州出身者たちが理念を掲げて新しい国家を築いていった。明治維新とはそんな輝かしいものなんだ、という考え方は違うのだと。そんなに単純でも美しいものでもない。「維新」ではなく徳川家の「瓦解」であり、言ってしまえば「革命」である。多くの人が犠牲を強いられ、血を流した。その血は必ずしも必要でなかったかもしれない。
    とはいえ、それまで政治などの経験がない素人集団が(大久保利通という生粋の政治家などがいたにせよ)、大した理念もビジョンもなく新しい国家の礎を築いていったものだなと思う。
    右往左往しながらも、結局は勢力争いであり、自分たちの利権のことしか考えていなかったかもしれないが。山川の教科書を見返すと、さも理屈づけられてストーリーになっている。

    今更ながら、教科書の一行一行のあいだには数々のドラマがある。この本でもそれが大いに描かれている。
    特に新たな発見があったのは、徳川慶喜、大久保利通、勝海舟。
    どの人物も、歴史が、その当時の日本が必要としていた人なのかもしれない。

  • 講座か何か聞いているような、とてもわかりやすい幕末史。
    こんなに読みやすい幕末から明治までの本あったのか!と思ったくらいに読みやすかった。
    あとがきに書いてあった「明治維新は明治革命だ」と言っている。
    これには私も同感だ。
    維新という言葉1つで片付けれないくらい紆余曲折ありの
    全く関係ないであろう、私情にもつれた明治最初に
    たくさんの人の血は流れたのは間違いない。
    薩長が近代社会を築き上げたんだ!さすがすごいぜ!と教育された人もいることでしょう
    ただそれは美談として語られることではなく。というね。
    この明治から大正昭和と続き国を作ったと言われてはいるが
    結局のところ長々と続いた、そんな薩長で固められたお偉いさん集団が終戦とともに
    国を終わらせたようなもんだ。とも思う。
    まぁ人それぞれ考えることは違うだろうけども。
    戦争なんてやってもロクなことないな!

  • 2017年最後の読了。著者は反薩長史観と宣言する。龍馬も西郷どんも突出して活躍しない。しかし、幕末を正しく認識するには通史という認識が必要だ。維新が革命であったこと。そして、維新後は新政府が自転車操業的に皇国=日本国を築き上げていったことがよく理解できる。佐久間象山、久坂玄瑞、坂本龍馬、西郷隆盛などなど維新に散ったタレント達亡き後の、更に後に太平洋戦争を引き起こしたのが薩長出身の軍上層部だったなんて、歴史の悲哀を感じてしまう。

  • 半藤氏の作品を始めて読んだが、もっと早く読んでおくべきだったと後悔している。全ての日本人に読んでほしいと思った。

    私のルーツは会津藩で、祖父の頃に下北そして北海道へ移住してきた。本書の反薩長史観には目から鱗であった。

    現在もなお息づいている薩長史観、賊軍が祀られることのなかった靖国神社等々。目が覚める思いがした一冊。

  • 観劇に備え「るろうに剣心」一気読みから突如始まった「幕末祭」の一環。「攘夷」「薩長」だの改めて自分が幕末について無知なことを思い知り、手に取った本書。慶應大学で行った講義をまとめたものであるようだが、分かりやすくて、面白くて。一冊読んだあとの視界の開け具合といい、知識的なコストパフォーマンスが素晴らしい。ひたすら外国人嫌いの孝明天皇、考え方・態度を節操なくコロコロ変える慶喜にと、物語に出てくる役者(こういってはいけないのだが)のキャラ立ちにも過不足がない。個人的には、幕臣側で対極を見据え開城する勝海舟がカッコいい、と思った。幕末についてはもう少し読み進めていこうと思う。

  • <印象に残った言葉>
    ・戦争から学ぶ一番大切な点は「熱狂的になってはいけない」ことである。

    ・「歴史には意志がある」歴史の流れの中である一つの意志が働いて、こういう時にはこういう人がいいという適任者を用意することがある

    ・権力は戦って勝ち取る。そうすることで権力は確実なものとなり、強力なものとなる。

  • いわゆる反薩長史観で描かれる幕末史。

    著者の言うように1865年の時点で、幕府のみならず薩長においても尊王攘夷思想を掲げることをやめ、開国で一致したのであれば倒幕とは果たして何だったのであろうか。
    徳川慶喜が船中八策を受け入れていたことからも、薩長が政権を獲らなくても封建制度が続いたかどうかは分からない。
    最大の不幸は当時、幕府にも朝廷にも強いリーダーシップを発揮できる人材が皆無だったことである。

    そしてその強いリーダーシップを発揮した薩長を中心とした維新の志士たちには、その後の国家をどうするかといった具体的な構想を描いていた人物はいなかったのである。

  • 幕末から明治初期にかけての通史。軽妙な語り口で大変読みやすかった。冒頭に「「反薩長史観」となることは請け合い」とあったが、書きぶりはニュートラルで、期待したほどの過激さはなかった。

  • 幕末入門本かな?語りかけてくるような雰囲気で楽しく読める本でした、少し勝さん贔屓かなと思ったけれど、極端な佐幕寄りではなく、感情的でない所が良かったです。

    ○○の暗殺黒幕はアイツだ!と決めつけるのはどうかと感じたけれど(いつもながらの岩倉大久保なので)ご自身が「証拠は無いよ」とアッサリと仰ってるので、いいかwと思ったり。

  • 半藤さんの著書はどれも読後の満足度が高い。勝てば官軍的歴史観は維新に限らず多々あるが、公正な事実の検証と多面的な批評があって、初めて過去に学べる。と半藤さんはいつも教えてくれる。

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