幕末史 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101271811

作品紹介・あらすじ

嘉永六年(一八五三)六月、ペリー率いる米艦隊が浦賀沖に出現。役人たちは周章狼狽する。やがて京の都はテロに震えだし、坂本龍馬も非業の死を遂げる。将軍慶喜は朝敵となり、江戸城は開城、戊辰戦争が起こる。新政府が樹立され、下野した西郷隆盛は西南戦争で城山の地に没す-。波乱に満ち溢れた二十五年間と歴史を動かした様々な男たちを、著者独自の切り口で、語り尽くす。

感想・レビュー・書評

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  •  映像を見たわけではないのに、幕末を描いた大河ドラマを見たような読後感だった。ペリー来航から大久保利通の死までの、講義12回分をまとめたもの。登場する人物たちの言葉や行動が、詳細に、眼に浮かぶように語られる。自分が知識として持っていた出来事と出来事が、必然性を持って繋がっていったような気がした。う~ん、それにしても「錦の御旗」の威力はすごいなぁ、とか、大久保利通の非情さや壮絶な最期から、明治があるのかぁとか…。他の幕末のものを読むときに、また読み返したいと思った。

  • 長かった〜。けど楽しかったー。

    「薩長土は略奪行為だ」と知り、
    坂本龍馬好きの私にとっては目から鱗。

    「勝てば官軍負ければ賊軍」
    今まで積んできた幕末の知識は勝った側の視点だったようだ。

    私の生まれ故郷の偉人、勝海舟。
    彼は立派な人だったんだなぁ。
    誰か向島に博物館でも作ってあげてよ(笑)

  • 2021年4月再読。

    この本で扱っているのは、1853年のペリーの浦賀来航から、明治維新を経て1878年、明治10年の西南戦争の終わりまでである。
    鎖国を続けていた徳川幕府が、開国を要求されたことから歴史が急展開する。江戸城の無血開城、大政奉還を経て明治維新により、天皇・朝廷を抱く明治政府が出来る。もちろん、そういった事がスムーズに進んだ訳ではない、というよりも、本書に示されている通り、それはいくつもの意味での権力闘争の果てに、「そういうことになった」とも解釈できる。
    ともあれ、侍が支配していた日本が、近代国家となった。ここから日本は、幾つもの戦争に突入していく訳であるが、それは別の話である。

  • 『昭和史』(前半)から間が開いてしまったが読了。
    筆者が主張しているように、世の中にまかり通っている、薩長史観にモノ申したいというのがこの本。薩摩・長州出身者たちが理念を掲げて新しい国家を築いていった。明治維新とはそんな輝かしいものなんだ、という考え方は違うのだと。そんなに単純でも美しいものでもない。「維新」ではなく徳川家の「瓦解」であり、言ってしまえば「革命」である。多くの人が犠牲を強いられ、血を流した。その血は必ずしも必要でなかったかもしれない。
    とはいえ、それまで政治などの経験がない素人集団が(大久保利通という生粋の政治家などがいたにせよ)、大した理念もビジョンもなく新しい国家の礎を築いていったものだなと思う。
    右往左往しながらも、結局は勢力争いであり、自分たちの利権のことしか考えていなかったかもしれないが。山川の教科書を見返すと、さも理屈づけられてストーリーになっている。

    今更ながら、教科書の一行一行のあいだには数々のドラマがある。この本でもそれが大いに描かれている。
    特に新たな発見があったのは、徳川慶喜、大久保利通、勝海舟。
    どの人物も、歴史が、その当時の日本が必要としていた人なのかもしれない。

  • 講座か何か聞いているような、とてもわかりやすい幕末史。
    こんなに読みやすい幕末から明治までの本あったのか!と思ったくらいに読みやすかった。
    あとがきに書いてあった「明治維新は明治革命だ」と言っている。
    これには私も同感だ。
    維新という言葉1つで片付けれないくらい紆余曲折ありの
    全く関係ないであろう、私情にもつれた明治最初に
    たくさんの人の血は流れたのは間違いない。
    薩長が近代社会を築き上げたんだ!さすがすごいぜ!と教育された人もいることでしょう
    ただそれは美談として語られることではなく。というね。
    この明治から大正昭和と続き国を作ったと言われてはいるが
    結局のところ長々と続いた、そんな薩長で固められたお偉いさん集団が終戦とともに
    国を終わらせたようなもんだ。とも思う。
    まぁ人それぞれ考えることは違うだろうけども。
    戦争なんてやってもロクなことないな!

  • 黒船来航から西郷の死までを解説してある一冊。

    難しいことを、わかりやすく簡単に説明できるのが、本当に頭のいい人、というのは真実だな。
    幕末の状況が、少し理解できた。でも、やっぱりややこしい。
    幕末から明治初期にかけてまとめられている一冊なんだが、そこから大正、昭和と歴史は続いていて。
    この明治初期のころから、軍事優先国会への道を歩んできている選択してきた、という締めが、その後の日本の歩みを考えるとなんともやるせない。繋がっているんだな、、、。
    基本的にとても興味深く面白く読めたのだが、新撰組(近藤とか土方とか)あまり出てこなかったのは残念。
    とは言え、今まであまり知らなかった、勝海舟、木戸孝允、西郷隆盛辺りのことが盛りだくさんで良かった。
    手元に置いて、読み返したい本。

  • なんとなく学校で、主要な出来事が何年に起こりました、ということを学んだにすぎない幕末から明治初期にかけての出来事を、非常に詳細に、また語り口調でわかりやすい言葉でまとめられた内容でした

    とても勉強になりました

    ペリー来航から西南戦争までの内容です

    徳川幕府の終わりと明治政府の始まり、その間がいかにドタバタで革命的であったかがよくわかりました

    よく、200年以上続いた徳川幕府の時代からあそこまで一気に時代が進んだなぁと、一気なんやけど、意外にもビジョンはなくて権力闘争の成れの果てだったのは意外でした

  • 左に偏りすぎてる。作者の思想がかなり強く出ていることが最初の数ページで伺えたので、本編は流し読み、捨てました。
    作者の方は共産党員だったのですね。事前に調査しなかった私のミスですが、あくまで中立な本が読みたかったので、残念です。同じ思想を持つ方々にはいいのかもですが、文章も読みづらかったし、高評価なのが不思議です。

  • 幕末の初心者に是非!

  • 生涯学習講座の講義録をまとめたもの。
    歴史は苦手だけど、令和3年1月に著者が亡くなり話題になっていたことから、幕末史をおさらいする気持ちで購入。軽妙な語り口調で読み進みやすく、大河ドラマ「晴天を衝け」とも時代が同調していて、相乗効果でとても楽しく読み進められた。
    反薩長史観の幕末史。「御一新」ではなく「御瓦解」、薩長が徳川から政権を奪取したに過ぎず、この国のかたちが大きく変わったわけではないという見方には共感。実際、政策の実務は旧幕臣無くしては成り立たなかったことは大河でも描かれていた。木戸孝允らが書簡で、戊辰戦争に勝ってうかれた連中が今後の日本をどうするかを考えずエコイムズだけで政府にあれこれ申し立てている、幕府は倒したけれど、あとの青写真は持たず、だれも責任をもって職責を果たそうとせず、勝手を言っているだけ。これでは崩れるしかなく、我々が一生懸命やってきたことは何だったのか、と嘆いている。
    何となく民主党政権時代の混乱を思い出してしまったが、今の日本の政治は薩長の明治からどれだけ進化しているのだろうと思ってしまった。
    半藤氏の作品にもっと触れてみたいと思う。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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