日本文学100年の名作 百万円煎餅 (第5巻 1954-1963) (新潮文庫)
- 新潮社 (2014年12月24日発売)
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感想 : 15件
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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784101274362
みんなの感想まとめ
多様な作家による16の中短編が収められたこの作品は、新しい時代の風を感じさせる魅力があります。1954年から1963年にかけて書かれた作品群は、時代特有の雰囲気を持ちながらも、普遍的なテーマが巧みに描...
感想・レビュー・書評
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16の中短編はどれも個性的で、新しい時代を感じさせるものでしたね。楽しく読みました。
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ひとつの時代に書かれた短編を集めていて、時代の雰囲気と作家の描く普遍的テーマが見えてくるのが面白かった。
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1954年から1963年まで。16人の作家。そのうち今回初めて出会ったのは8人。そういう出会いがあるのがこのシリーズの楽しさ。
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森茉莉 贅沢貧乏のみ。かつてお嬢様だった人が貧乏になり、奇妙な少女趣味を贅沢と称している話。
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「洲崎パラダイス」を読んでみたかった。
写真で見たネオンが印象的。
宮本常一の「女の民族誌」に家出のことがあった。
田舎から出てくると、そのような仕事につく人が多かったようだ。成瀬巳喜男の映画で銀座のお店の田中絹代が思い浮かぶ。そこでも、お金をせびりに来る男がいる。女性は概してたくましく描かれる。 -
10年間、それで本当にこれだけなのか。だとしたら、あまりにも実りが少ない。
いくつかはいい作品もあるのだが、それ以外があまりにひどすぎる。 -
第5巻。敗戦から10年が経過した1954年から1963年に書かれた中短編16作品をセレクト。戦後間もなためか、セレクトされた作品に明るい未来を感じた作品は無く、今のこの瞬間を精一杯に描いた作品が多いように感じた。
梅崎春生『突堤にて』。太平洋戦争の初期に毎日、防波堤の突堤で釣り糸を垂れる『僕』。そこで体験した小さな出来事。まるで、これからの戦乱を暗示するかのような平穏無事な日常。
芝木好子『洲崎パラダイス』。戦後の赤線地帯を舞台にした男と女の物語。いつの時代でも女性の方がしたたかなのか…現代で言うところの肉食系女子と草食系男子のような…
邱永漢『毛澤西』。寓話的な物語…毛澤東と一字違いの偽名を名乗る無許可新聞売りの毛澤西。何度か警察に捕まり、裁判を受けるうちに…
吉田健一『マクナマス氏行状記』。舞台は戦後。日本に暮らす怪しげな不良外人のマクナマス氏のしたたかさと逞しさを描く。マクナマス氏の術中に見事に嵌まる日本人…
吉行淳之介『寝台の舟』。精根尽き果てかけていた女学校教師の私が、踏み入ってしまった怪しい性の世界。独特のリズムの文体で綴られる挫折感。
星新一『おーい でてこーい』。第5巻にして初めて収録されたSF短編。突然、現われた『穴』に人びとはあらゆるゴミを捨てていくのだが…現代社会への啓示とも取れる諷刺的な作品。
有吉佐和子『江口の里』。何故かいまひとつ、しっくり来ない作品だった。
山本周五郎『その木戸を通って』。不思議な物語。平松正四郎の前に突然現われた若い女性は何者なのか…やがて正四郎は女性に惹かれていくのだが…
三島由紀夫『百万円煎餅』。倹約家の上に病的なまでに潔癖で、計画的な夫婦。夫婦が百万円煎餅を囓りながら、ひと時の娯楽を楽しんだ後に会った人物は…解説を読んで、やっと意味が分かった。
森茉莉『贅沢貧乏』。主人公の牟礼魔利は森茉莉自身。貧乏の中、僅かな贅沢に嬉々とし、夢想する日々…
他に井上靖『補陀落渡海記』、河野多惠子『幼児狩り』、佐多稲子『水』、山川方夫『待っている女』、長谷川伸『山本孫三郎』、瀬戸内寂聴『霊柩車』を収録。 -
日本文学100年の名作、第5巻。
1954年〜1963年に発表された短編を収める。収録作家は吉田健一、吉行淳之介、星新一、有吉佐和子など。表題作は三島由紀夫の短編から。
前巻は時代的に戦争をテーマにしたものが多かったが、本巻になると徐々に戦争の影は薄れているなぁ、という印象。逆に表題作『百万円煎餅』に見られるように、徐々に暮らし向きが豊かになって行く萌芽が見られる。この『百万円煎餅』、巻末の『読みどころ』で『憂国』との共通点が指摘されているのだが、言われてみれば確かにそう。それでいて読後感はまったく異なるのだから、正に『鬼才三島にのみできた高度な文学遊戯』だったのだろう。
吉田健一の短編から『マクナマス氏行状記』を、というのはけっこうマニアックなセレクトじゃないだろうか。吉田健一はエッセイとも小説ともつかない短編を大量に書いたが、その中でも軽妙洒脱でとっつきやすい短編。但しあまり知名度はない……と、思う。
星新一の『おーい でてこーい』の発表が1958年だというのは驚いた。もう少し後かと思っていた……。あまりにも有名な作品だが、切れ味の鋭さは流石。
森茉莉の『贅沢貧乏』、こちらも有名。果たして小説と言っていいのかは解らないが、森茉莉が築いた独自の境地を最も象徴しているように思う。
全10巻ということで、本巻が折り返し地点。第1巻からずっと買っているが、この第5巻が今のところ一番ユニークな構成になっているのではないだろうか。収録作が幅広いのもいい。
この先、どんな作家が収録されるかは解らないが、倉橋由美子、金井美恵子、笙野頼子はぜったいに選んで欲しいな〜。でも、これで半分読んでしまったのだと思うとちょっと寂しい。
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