私の本棚 (新潮文庫)

制作 : 新潮社 
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101274713

作品紹介・あらすじ

本棚は、すでにいっぱい。ほしい本は、まだまだある。――夢、憧れ、苦労、奮闘。23編の名エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 本棚の本の「天」を、人差し指でついっと引いて本を傾け、取り出す仕種が好きだ。
    手にした本をペラペラとめくり、本の匂いと風を感じながら、それが今読むべき本か、そうでないかを、あれこれと考える時間が大好きだ。
    本棚のそばに寝っ転がって、本の背をじっくりと眺めながら、それがどんなに感動的で、衝撃的で、私に未知の喜びと知識を与えてくれるか、想像しながら眠りにつくのもいい。

    そうして選んだ本は極上の幸せを与えてくれるときもある。

    ※※※

    100%ORANGEさんのレモンイエローの表紙が可愛らしいこちらの本は、作家やイラストレーターなど、本周りの職業の方々が歴代の『私の本棚』について綴ったエッセイ。

    こちらの本を読書中思ったことは、みなさん、自身の恋人遍歴を語っているみたいだなーということ。
    あふれんばかりの愛情と、自慢と。
    ちょいと鼻白むときもあったけれど、これが楽しい。

    映画監督の西川美和さんの‘(略)本を「持ち、しまっておく」ことはできても、その内容を自分の内側に「所蔵」できないまま、私の蔵書は増えつづけたのだ。広辞苑よ、ほんとにそれを「蔵書」と呼んでいいのか。’には大きく頷いたし、アートディレクターの祖父江慎さんの『ピノッキオ』『坊ちゃん』『南総里見八犬伝』各専用本棚があるお宅には憧れた。

    本棚について語るみなさんは、とても嬉しそうだ。

    ※※※

    ちなみに私の本棚のひとつはネットで買った自分より大きいカラーボックス。
    一生懸命自分で組み立てて、完成!と喜んでいたら、重要な部品を取り付け忘れていたのに気づいた。
    気にせずどんどん本を放り込んでいったら、だんだん中板がたわんできてしまった。
    これからどうなるか、恐怖だ。

    教訓:家具はちゃんと説明書を見て組み立てよう!

    • nejidonさん
      5552さん、こんばんは(^^♪
      ああ、嬉しいな!
      私もこの本を少し前に読みましたよ。
      鹿島茂さんの「愛人に少し稼いでもらう」で、上手...
      5552さん、こんばんは(^^♪
      ああ、嬉しいな!
      私もこの本を少し前に読みましたよ。
      鹿島茂さんの「愛人に少し稼いでもらう」で、上手いこと言うなぁと笑いながら読みました。
      面白いところがいっぱいありましたよね。
      5552さんのレビューも楽しいです♪
      ところでカラーボックスの未来が心配(+_+)
      壊れないように、一生懸命念を送っておきますね。
      2020/10/23
    • 5552さん
      nejidonさん、こんにちは!
      こちらの本はnejidonさんのレビューを拝見して読みたくなったんですよ。
      いつも興味深い本のレビュー...
      nejidonさん、こんにちは!
      こちらの本はnejidonさんのレビューを拝見して読みたくなったんですよ。
      いつも興味深い本のレビューをありがとうございます。
      鹿島茂さんは、面白いこと考える方だな、と。
      言い方もまた、「愛人」って(笑)
      まあたしかに、お金も場所も時間もいりますけど!
      でも、私の家の「愛人」じゃ、お金は取れないでしょうね(笑)
      磯田さんの文章も読みやすく面白かったですし、赤川さんの高校生のころのお話も、切なかったです。でもよく本自体を嫌いにならないでくれたな、と思います。

      カラーボックスはちょっと失敗しました(^-^;
      いろいろと吟味を重ね、結局安さと大容量に惹かれて買ったのですが、組み立て方間違えたら元も子もないですね。
      壊れないように慎重に使いたいと思います。

      コメントありがとうございました。


      2020/10/24
  • 体調が優れず軽読書が続いている。
    この本も「おそるおそる」開いたものだ。
    アスペクト文庫の「作家の本棚」がビジュアル的に美しかったこともあり、文章で語る本棚というものに気乗りしなかったせいもある。
    ところが、目からウロコの面白さ。声を上げて笑う箇所あり、時に切なくもなり。

    23人の作家さんたちが書いた本棚エッセイと聞くと、皆さんは何を想像されるだろう。
    蔵書の収納と積読本の始末、それらの悲喜こもごもの苦労談だろうか。
    いやいや、そこはプロですから。こちらの想像のもうはるか上を行くんである。
    度肝を抜くスケールの話は鹿島茂さん。
    そのタイトルは「愛人に少し稼いでもらう」。
    古書を買うお金を稼ぐため、いつしか山のような借金を抱えることになる。
    加えて、蔵書空間を遍歴することにも。
    そうしてたどり着いた先は「愛人に稼いでもらう」というただならぬ結末だ。
    「さんざん苦しめられてきた古書には自分自身で稼いでもらおう。ひと言で言えば、古書の独立行政法人化である。愛するあまり憎しみが募ってきていた愛人が自分のマンション代くらい自分で稼ぐと言いだしたようなものである」
    重厚な書斎イメージが欲しいという人にレンタルしているというこのスペースの、何と豪華なこと。問い合わせ先まで載っている。

    一点ものの貴重な写本を、なんとしても火災から守りたい一心で、「キッチンに壁紙を張りたい」という奥様を新婚早々泣かせた磯田道史さん。
    赤川次郎さんは、書店員だった頃の話がそれは切ない。
    両サイドに新設した本棚の一番奥に仏壇を置いたという、赤瀬川源平さん。
    約2万冊という蔵書から目当ての本を探すのに10日かかるという、農学博士の小泉武夫さん。
    少女小説で育った内田樹さんは「ほとんどものを考えない」少年小説がどうしても好きになれずにいた。ところがケストナーの「飛ぶ教室」で初めて、「内面を持つ少年」に出会ったという件があり思わずガッツポーズをした私。

    井上ひさしさんの「本の力」も、情けなくも失笑がもれる。
    「本はふしぎだ。まるで生き物のように、まわりの人間たちの思惑なぞかまわずに、自分で自分の運命を切り拓く力を持っている」・・さて、それはどんな運命だったか、読んでみてね。
    ちなみに井上さんのエッセイの初めは、本で床が抜ける場面から。本当にあるのね、それ。
    好み優先で読むという手法をとったので、始めは酒井駒子さんから。
    次は荒井良二さん→児玉清さん→祖父江慎さんという順だった。
    モノクロだが、作家さん自身が撮った本棚写真もある。

    小野不由美さん、椎名誠さん、赤川次郎さん、赤瀬川源平さん、児玉清さん、
    南伸坊さん、井上ひさしさん、荒井良二さん、唐沢俊一さん、内澤旬子さん、
    西川美和さん、都築響一さん、中野翠さん、小泉武夫さん、内田樹さん、
    金子國義さん、池上彰さん、田部井淳子さん、祖父江慎さん、鹿島茂さん、
    磯田道史さん、酒井駒子さん、福岡伸一さん。    
    以上23人。さて、どこから読まれますか?

    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、こんにちは(^^♪ コメントありがとうございます!
      はい、言われる通り「超急性期ではないけど安定期ではない」時期です。
      急...
      佐藤史緒さん、こんにちは(^^♪ コメントありがとうございます!
      はい、言われる通り「超急性期ではないけど安定期ではない」時期です。
      急性期が来ないように、今が大事なわけです。
      年単位でお待ちいただけるなんて、うれし泣きですよぉ。。
      調整が難しくてね、動けるうちに少しでも何かしておかなくちゃという気持ちと、相反する気持ちがあります。
      どうかそのあたりをご理解くださいませ。
      でも佐藤史緒さんのアドバイス、しっかり記憶しておきますね。

      内田樹さんの言葉は、少年小説に抱いていた違和感を見事に言い表していて、私も吹きました(^^;
      「ハックルベリー・フィンなんかに対しては、もう少しためらうといったことをキミはしてもよろしいのではないかという不満を抱いていた」というのです。笑えます。
      ケストナー信者の私には、本当に嬉しい記述でした。
      鹿島茂さんの本棚も、ぜひのぞいてくださいませ!
      それから、遅咲きのブルーベルが今朝開花しました。
      手間いらずのわりに綺麗に咲くので大のお気に入りです。
      お仕事、どうか無理なさいませんように。そうもいかないことだらけでしょうが。。
      2020/06/06
    • 佐藤史緒さん
      やはりそうですか、そして治療と生活のペース配分については、こればかりは当人でないと分からないところですよね。
      ですが、くれぐれもご無理なさ...
      やはりそうですか、そして治療と生活のペース配分については、こればかりは当人でないと分からないところですよね。
      ですが、くれぐれもご無理なさらぬよう…
      あとお気遣いありがとうございます、私はいま申し訳ないくらいゆる〜い働き方しかしてないので気遣われると返って恐縮なのですが、それでも嬉しく思います。

      さて、ハックルベリー・フィンについては本当にその通り!
      トム・ソーヤーなどは今なら間違いなくADHDと診断されそうです。
      それに比べて「飛ぶ教室」は、ライトなBL小説なんじゃなかろうかと思うくらい心理描写が細やかですよね。
      私も好きな作品です。

      ブルーベル開花したんですね!羨ましい限りです(*゚▽゚*)♡
      ウチにも植えてみようかしら…
      2020/06/06
    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、再訪して下さってありがとうございます(^^♪
      ブルーベルは本当に手間のかからない良い子なんですよ。ぜひぜひ!
      我が家は大き...
      佐藤史緒さん、再訪して下さってありがとうございます(^^♪
      ブルーベルは本当に手間のかからない良い子なんですよ。ぜひぜひ!
      我が家は大きな鉢で育てています。
      今庭を占領しているのは、紫陽花とホタルブクロ(白と青と紫)。
      このホタルブクロが大層可愛くて(^^;
      ベル状の花の中に蛍を入れて子どもたちが遊んだというのが語源らしいのですが、そんな子どもがいるなら会ってみたいですよねぇ。

      トム・ソーヤーのADHD疑惑はまさしくその通り!
      児童書小説も時代とともに見方が変わりますね。その意味でもケストナーは素晴らしいです。BLですか?だははは。
      今回のコロナ禍は、感染症というものに対していかに無防備で生きてきたかを考えさせられました。。
      2020/06/07
  • 小野不由美、椎名誠、赤川次郎、赤瀬川原平、児玉清、南伸坊、井上ひさし、荒井良二、唐沢俊一、内澤旬子、西川美和、都築響一、中野翠、小泉武夫、内田樹、金子國義、池上彰、田部井淳子、祖父江慎、鹿島茂、磯田道史、酒井駒子、福岡伸一の23名の著名人が描いた本棚をテーマにしたエッセイ集。

    本棚に好きな本を並べ自分の好みの本棚を創る夢や憧れ、蔵書にまつわる苦労や悩みなどが、本棚の写真とともに綴られる。共感したエッセイもあれば、驚愕したエッセイ、興味深いエッセイもあった。23名に共通しているのは、本に対する深い愛情と情熱。

  • 僕は16歳から本を読み始めて、今41歳。最近読んだ本数えるようにして見たら年間で250冊前後の本を読んでいるようです。25年程読んでいるので年200冊位でカウントすると大体5000冊位の本を延べで読んでいると思われます。殆どの本は買って読んでいるのでこの数の本を保存しておくなんて不可能。今では常時300冊前後の本と生活しています。それでもかなり目一杯です。

    本好きであれば誰でも本棚に囲まれた生活を夢想します。でも現実にはとても難しく本の山に取り囲まれ悲惨な状態になる事が容易に想像出来ます。実際、引っ越しで運びきれない程の本の量になった時に諦めて、本は読んだらどんどん処分して行くようになりました。身軽になってとても生きるのが楽になりましたが、昔読んで面白かった本をまた読みたいと思って買う事が多くなってきました。出来れば殿堂入りと思われる本は手元に置いておきたいので、壁が全部本棚の部屋なんてのを作る事が出来たら幸せでしょうね。

    この本は本好きの著名人が本棚について語る本です。本の事も語りますがあくまで主役は本棚。皆本の収納には頭を痛めているようで、家の床が抜けたり、地震で本が散乱したりと悲喜交々。でも皆本に囲まれて幸せそうです。みんな自慢したいんでしょ!?
    たいへんだーたいへんだーって書きながら皆ウキウキしながら本書に寄稿しているのが目に浮かびます。
    この本を読んで分かった事は一つ。収納場所を広くしても結局本が増えて行くので一生解決には至らないという事でした。僕は今ぐらいでいいやあ(笑)

  • 私の部屋の床には本棚に入り切らない本が積み上がっていて、これはマズイと常々思っているのですが、この本を読んで「本が好きなら床に本が山脈を作っていてもいいのよ」そう肯定して貰えた気がしました。皆さん面白かったけど、本への偏愛っぷりが窺える児玉さん、本の重みで建売住宅の床が抜けた井上ひさしさん、棚にある本全部買ってしまった唐沢さんが特に面白かった。そして田部井さんの積読本の山を「まだこんなに読んでいない本がある!」と喜びに変える力に勇気を貰いました。

  • 私の部屋にも、本が溢れている。
    大学入学以降自由にできるお金が一気に増えたせいか、はたまた古本屋という魔物に出会ってしまったせいか。
    ここ数年で蔵書は増えに増え、現在三千冊近くが部屋を占拠している状態だ。
    ホームセンターで入手した天井までの突っ張り本棚四つと、その間に棚板を渡してできた棚二つ分。
    そこにさえ収まらず、結局衣装ケースの上とベッドの下も、本が占領している。
    ついでに言うなら、文庫の棚は前後二列だし、並べられない分はすき間に詰め込んである。
    「もうすぐ引っ越すし」を口実にほったらかした末の惨状を横に(机に座り、左側の壁一面が本棚なのだ)、流石に「こりゃ汚い…」と漏らさずにはいられない。
    四月になればもう少し広い家に移るので、少しはましになるだろうけれど。
    漫画や雑誌は売りに出せても、その他の本は好き嫌い関係なく囲い込むタイプなので、きっとまたしばらくしたら同じ事を呟く羽目になるのだろう。
    だけど、そんな私にも、本棚一つで事足りていた時代があった。
    高校生の頃までの私にとって、「私の本棚」といえば、幼少時に親から買い与えられた重厚な木の本棚一つだったのだ。
    H.A.レイの『星座を見つけよう』や『せいめいのれきし』。
    エンデの『はてしない物語』やトールキンの『ゆきてかえりし物語』。
    私の聖書に等しかった実業之日本社の『世界の民話』やマルシャークの『森は生きている』、三田村信行の『ぼくが恐竜だったころ』。
    それから、ページがばらばらになるくらい何度もめくった、学研版『ジュニアサイエンス大図鑑』や、スーパー文庫の『宮沢賢治童話大全』。
    全て記すのは流石にやめておくが、並んでいる本のタイトルも多分その大体の位置も思い出せるくらい何度も何度も眺めた「私の本棚」は、本当に満たされていて、本当に美しかった。
    多少思い出の中で美化されているところもあるだろうが、余白がなくなった時点で足すことも引くことも許さない雰囲気を持つようになったそれは、施された装飾も荘厳で、よく意味もなくその彫りを指でなぞったものだった。
    「あまり本が入らないから」という理由で前の引っ越し時に処分してしまったことが、今更ながら悔やまれてならない。
    そのほろ苦い未練のせいか、それとも結局それが私の原点であり理想だからなのか、今度の引っ越し先を思い浮かべる度、私はあの「私の本棚」の復活を予感せずにはいられない。
    自分のことなのに、予感も何もないんだけどね。
    この本を読みながら、それぞれの本棚を眺めながら、そしてそれに「あなたは私か…?」となりながら、やっぱり行きつくのは私だけの「私の本棚」なのだ。

    • ありんこゆういちさん
      僕が自分の本棚で思い出すのは、家に有った食器棚を貰って初めて自分の本を並べた光景です。何度も並べ替えて好きな本を集めて眺めていました。同じシ...
      僕が自分の本棚で思い出すのは、家に有った食器棚を貰って初めて自分の本を並べた光景です。何度も並べ替えて好きな本を集めて眺めていました。同じシリーズが綺麗に並んでいる所なんかを眺めてうっとりしていた事を思い出します。
      それにしても3000冊は凄いですね。どれくらいの見た目になるのか想像もつきませんが、そんなに本に囲まれてみたいものです。うらやましい。
      2016/02/11
  • 本の収納、それは永遠のテーマ。
    本棚、それは自らの内面を見透かされそうでさらけ出すのに少しためらいがあるもの。
    でも他人の本棚は中身も含めて気になる。
    壁一面や部屋まるごと本棚なんて夢のようだ。

    作家たちはその職業柄かやはり蔵書が多い。そして本棚もすごい。
    本棚がテーマだけれど棚だけでなく本にまつわる話になっている人もいて面白い。
    こんなエッセイ集にも解説があるのがまた驚きだが、新井素子らしい解説でこれまた楽しめた。
    一般の本好きの人でもこのテーマで語らせたら面白いんじゃないだろうか。

  • ルサンチマンの塊である私にとって、
    有名人の愛書自慢・書物辟易エッセイは自尊心に触れてしまい、
    わかるわかるーでも結局自慢なんでしょ……と板挟みな感想を抱いてしまう。
    でもみんな切り口がよい。

  • 本棚に関する本は何故か買ってしまう。
    本棚に自分の本を並べてうっとりと眺めていたい。
    でも、私の本棚も許容量を超えて、前後二重に横に積み上げたりしている。部屋の床が抜けないかという心配も共通の悩みである。

  • 面白いけど写真が欲しい。

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