ゼロからのMBA (新潮文庫 さ 80-1)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101275918

作品紹介・あらすじ

貯金なし、経済知識なし。MBA(経営学修士)からもっとも遠いところにいた著者は、漠然と相談に行った留学予備校の先生のすすめで、留学を決意した。目指すは世界の名門ビジネススクール。怒濤の試験勉強から金策、入学後の宿題地獄や名物授業の再現、そして波乱続きの就職活動まで。元NHKディレクターが留学の末に得たものとは? 読む人すべてに勇気が沸く留学体験記。

感想・レビュー・書評

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  • 本屋で何気に手にとった一冊ですが、著者のアグレッシブな行動力に感服です。
    NHKからの転身で、MBA予備校を経て、コロンビア大学のビジネススクール、ボストンコンサルティングと華麗な経歴です。
    著者には、元々東大卒というポテンシャルがありますが、いざ決断するや、徹底的にやり切る行動力と諦めないWILLは、素晴らしいと思います。
    アメリカの、ビジネススクール事情や外国人の考え方やメンタルなど、かなり参考になりました。

  • MBAとわたくしの関はりは、一切ございません。かつて本屋にゐた頃に、MBA関連の書籍を売場の棚に並べてはゐましたが、どれ参考のために一冊目を通しませうか、などといふ気分には全くなれず、まあ機械的に「商品」として扱つてゐたわけです。
    そのくせ、客から「どの本が良いですか?」などと問はれると、各書の特徴を滔滔と述べ、貴殿のやうな目的だとこの本がお薦めである、或はそのシリーズがよろしからう、などと平気で応対してゐました。不思議ですなあ。これは一体どういふ訳ですかな。

    それはそれとして、佐藤智恵氏著『ゼロからのMBA』であります。MBAがどうとかいふことではなく、いろんな人の「勉強法」を拝見するのがわたくしの好みでして。
    恥かしながらわたくしは存じ上げませんでしたが、佐藤氏は作家・コンサルタントとして活躍中で、著書も多数ございます。その佐藤さんが、MBA取得を思ひ立ち、見事に本懐遂げるまでの約四年間(たつたの四年間でとは驚きです)の奮闘ぶりを披露した一冊であります。

    1997年、当時27歳の佐藤さんは、既にNHKディレクターとして第一線で活躍中でありました。しかるに彼女は、かねてより米国留学をしたいと願つてゐたのであります。この時点ではことさらに「○○になりたい!」「絶対に△△を実現するんだ!」みたいな具体的なものはなかつたと言ひます。
    で、留学のための予備校(があるんですね)で相談したところ、MBAを強く勧められます。その気になつた佐藤さんは、超短期決戦での取得を決意。予備校では、「課題エッセイ」の指導を受けながら、TOEFLとGMATの点数を上げることに腐心します。なかなか合格レベルまで上がらず、焦つたり。こんなにデキル人でも苦労はあるのですね。

    予備校で担当してくれたデバリエ氏の指導のお陰もあり、見事コロンビア大学のビジネススクールに入学が決定します。次なる関門は、お金。約一年半の留学期間中、何と「家一軒分のお金」が必要なのだとか。卒業後の高給取りが約束されてゐるとはいへ、おいそれと出せる額ではありません。金策に走りますが、結局は足りず、万策尽き最後は親から借金して何とか準備するのでした。
    そしてNHKに籍を置いたままでは行けないことが決定し、退局を決意します。まあ双方「の言い分が分かるだけに切ないですなあ。

    入学後は怒涛の学習漬け......だと思ふのですが、本書ではどちらかといへば楽しいことを中心に記述されてゐます。「チーム・ヒッキー」で交流したり、不人気の先生をクビに追ひ込んだり。同時に就職活動もするのだから、それはハアドな日々だつたでせう。
    これほど苦労して取得したMBAでも、就職にあたつては万能ではないのですな。
    何はともあれ無事に卒業し、就職活動も実つて数社から内定をもらひ、最後は占ひ(!)でボストンコンサルティンググループに決めるのでした。

    一応ここまでが「MBA成功物語」で、以降佐藤さんは転職を経験したのち、2012年には遂に独立を果たすのでした。
    それほどの苦労をしてお金を注ぎ込んで、価値のあるものですか?と訊かれることもあるさうです。確かにその通りだが、彼女はかう書いてゐます。「ただし、MBAは、人生に選択肢を与えてくれるのは、事実。ここで、人生を変えるか、変えないかは、「本人次第」なのだ。」と。
    だからと言つて、本書を読んだ人が「さうか、俺も、私も、MBAを目指さう!」となる必要はないと思ひます。未知の領域に挑戦する内容は、個々人でそれぞれ違ひますからね。ただ、何かを踏み出さんとして中中一歩が出ない人にとつては、背中を押してくれる一冊ぢやないでせうか。

    最後に、タイトルについて、色色批判があるやうです。この人、全然ゼロからの出発ぢやないぢやん。東大卒・帰国子女・NHKディレクター......さらに親に巨額の資金を「貸してよお。絶対に返すから」で借りれちやふ家庭は、普通の庶民では中中ありません。かなり恵まれた出発と申せませう。
    タイトルが誰の発案か分かりませんが、そこで反発を喰らふのは勿体ない。せつかくの真摯な奮闘記が、不知不識のうちに割り引かれて読まれる恐れがあります。

    ま、いまさらわたくしが心配しても詮無いことですが。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-572.html

  • NHK勤務だった著者のMBA留学体験記。ノウハウ本というわけではないですが、TOEFL・GMAT等の試験準備、予備校、願書の書き方、入学後の生活、就職試験と追体験ができるような構成。

  • 2014年4月27日に行われた、第14回ビブリオバトルin生駒で発表された本です。テーマは「応援」。

  • 140329 中央図書館
    類書と変わるところはないし、単なるラベル憧れ女子のエッセイにしか見えない。

  • 「なんちゃって帰国子女(ほぼ純ドメ)」の挑戦、ということで勝手に親近感を覚えた。。。
    やりたいことを見つけるのがいかに難しいか、が克明に描かれていると思う。

  • 著者の気力、行動力に感動。MBAって今は下火だけれど、どんなものか知らなかったので、全盛期のビジネススクール事情が分かって面白かった。

  • 著者がMBA留学を目指し始めるきっかけから、実際に取得するまでに経験した様々な事が紹介されている。特に留学準備や就職活動の部分は、MBAを本気で目指す人には役に立つかも。

  • 娘に読ませようと購入したがMBAの授業はキツいことがよーくわかった。私には無理だ。娘たちがこれを読んで勇猛果敢にMBAを目指す!と言い出す日を心待ちにしている。貯金しながらーー

  • 東大教養学部卒、元NHKディレクターの女性が、まったく畑違いのMBA(経営学修士)留学に挑んだ奮闘記。留学準備~留学~学生生活~就職活動~卒業までが書かれている。

    ずっと、留学ものの本を読みたいと思っていたので、今回、新潮の100冊の中にこの本を見つけて早速購入。
    留学のどの段階で、どこにつまずいたり困ったのか、段階ごとに具体的に書かれていてとても参考になった。さらに、学生生活の様子が詳細なのがよかった。クラスメートとの関係やクラスの雰囲気、そういった人間関係が会話文を入れ混ぜつつたくさん紹介されていた。まさしくここが気になる人は多いのではないか。

    全体を通しての印象は、受験も授業も就活も日常生活さえ、海外はどれもタフだなぁ、ということ。軟弱な自分を大きく成長させるには、やっぱり留学はいい機会に違いない。

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著者プロフィール

1998年3月 一橋大学法学部卒業
1999年8月 マールブルク大学(ドイツ)法学部公法・国際法専攻(LL. M)修了
2000年3月 一橋大学大学院法学研究科公法・国際関係専攻修士課程修了
2003年8月 マールブルク大学法学部公法・国際法専攻博士課程修了(Dr. jur)
外務省勤務,明治大学法学部専任講師・准教授等を経て,
2021年10月 明治大学法学部教授(現在に至る)

「2021年 『EU海洋環境法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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