レインツリーの国 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2009年6月29日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784101276311

感想・レビュー・書評

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  • この本をはじめて手に
    とったのは十八年前。

    トリノで荒川静香さん
    が金メダルをとった年。

    そうそう思い出した♪

    中学生のときにおなじ
    ラノベを読んでた二人
    が、

    ブログで出逢いメール
    でやりとりするんだ。

    そうそう女の子は聴覚
    に障害があるんだった。

    そうね、同情で優しく
    されたくないよね。

    普通の女の子でいたい
    よね。。

    いやいや私はまだまだ
    わかってない。

    そう、聞こえないって
    どういうことか。

    初対面の方に話しかけ
    られて、

    なにがなんだかだけど
    ニッと愛想笑いする私。

    怪訝な表情で去ってく
    彼や彼女たち。

    そんな場面を想像して
    どんな気持ちかしら?
    と考えてる自分がイヤ。

    私が彼女だったら私の
    前に立入禁止の黄色い
    ロープを張る。

    同情で優しくされたく
    ないよね、

    普通の女の子でいたい
    よねってさっき自分で
    言ってたよね?って。

    服が可愛いとか彼氏は
    いるのかな?とか、

    まず、そういうことを
    思ってほしい。

    普通の女の子に接する
    ってそういうことじゃ
    ないの?って。

    でもね、男の子の方が
    けっこう押しが強くて、

    そんな女の子の思いを
    いい意味で無視するの。

    黄色いロープもなんの
    その。

    あたしなんかどうせと
    うつむく女の子の腕を、

    ほとんど乱暴と言って
    いい感じに掴んで強引
    に引っぱってくタイプ。

    まあこれはこれで相性
    ◎なカップルかと♪

    それにしてもあれから
    十八年も経つんですね
    ・・・( ゚ー゚)・・・

  • 健常者の彼と中途失聴者の彼女の交流の中で
    障害者の社会的環境、その中で生活していく心情を 現実的に描かれます

    有川さんの「図書館戦争」の『図書館内乱』と内容がリンクされた作品とのこと。
    その中で難聴という障害を抱えた人達の純粋な恋愛小説となっています。
    出会いが素敵です。
    中学生の頃読んだライトノベルが忘れられず、ネットで書き込みを探す。同じような感想を持つ同じ年頃の人を見つける。
    この時点で本好きなら共鳴してしまいます。
    障害を持っている方の気持ちを踏み込んで
    そしてそれにきちんと向かいあっていく素敵な二人に成長していきます。

  • 有川ひろさん(1972~)の作品、ブクログ登録は6冊目。

    本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    きっかけは1冊の本。かつて読んだ、忘れられない小説の感想を検索した伸行は、「レインツリーの国」というブログにたどり着く。管理人は「ひとみ」。思わず送ったメールに返事があり、ふたりの交流が始まった。心の通ったやりとりを重ねるうち、伸行はどうしてもひとみに会いたいと思うようになっていく。しかし、彼女にはどうしても会えない理由があったー。不器用で真っ直ぐなふたりの、心あたたまる珠玉の恋愛小説。

    ---引用終了

  • ひとみさん、伸さん、こんにちは。
    読みました。作者宛てではなくて、主人公のお二人に「メール」することをお許しください。

    お二人のことは、聞いていました。9年ほど前に図書館戦争シリーズ第2弾「図書館内乱」を読んだ時に、図書特殊部隊小牧幹久と中澤毬江の2人の恋の行方と、「レインツリーの国」という「架空の本」とがシンクロしているのは知っていました。映画ではブレイク前の田中圭とバリバリ新人の土屋太鳳が演っていましたね。ので、内容はほぼ察しがついていました。わざわざ読む必要がないかな、と読む候補に入れていなかったのです。コロナ騒ぎで、遠出することもなく近所の散歩をしていたら、個人のガレージの前に青空古書店という小さな10冊ほどの本が並べてある店があって(多分私ぐらいしか買わないだろうな)と思って手に取ったのがこの本でした。やっぱりずっと読みたかったんだと思いました。

    回りくどくて、ごめんなさい。
    そしたら、とっても素敵な始まり方で、一挙に貴方たちの世界に引き込まれていきました。ブログの中にある本のレビューを巡って、メールのやり取りをすることで、お互いを知り合ってゆく。そういう出会いでした。

    一冊の本について、それは一つの映画についてでもいいのだけど、思う存分語り合えて、それでもまだ2人の意見に違いがあって、それでもお互い尊敬しあえて、時が経つのを忘れていた。という経験ほど、人生の中で豊かな時間はないと思う。それが男女だったら、恋愛感情が生まれない方がおかしいって、私も思いますよ。ひとみさん、伸さん。

    2人の恋が悪い方に行かないことは想定内です。それでも、こんなにもドキドキしてしまいました。それは、ほとんどの場面が、2人のメールのやり取りで構成されているとは知らなかったからです。正直言って、お二人は凄いです。メールなのに、あんなにも行間を読んで!そして、正直に何でも言える仲に急速になって!実際に直に会った時も、あんなにもきちんとフォローして!‥‥そうです。自分の経験と照らし合わせています。もうこれ以上は、恥ずかしくて具体的には書けません。

    お二人の直メールアドレスが有れば教えてください。私の、とっておきのバカな話をさせてもらいます。その後のお二人のことも知りたいし(^^;)。お二人の未来に幸あれと願っています。

  •  本書を一言で表すならば、学びのある小説とったところでしょうか。聴覚障害を持つヒロインと、明るい健聴者である主人公の恋愛は一冊を通してうまくいかないことも多く、喧嘩やすれ違いが多い印象ですした。しかし、その喧嘩の言い分がどちらも社会の真理をついているようなものに感じ、痴話喧嘩というよりはディベートのようでした。
     難聴の人はこんな苦労をしている。どうして健聴者はそれがわからないのかという点に対し、主人公は耳にハンデは無いけども健聴者である自分にも君とは別の苦労がある。君だけが被害者のようにしないで欲しいと、言い過ぎなようにも感じるけど確かにそのとおりだと思いました。
     本書は涙が溢れ出ることもなければ、衝撃のラストというオチもありません。ですが、読んでよっかったと思える一冊でした。
     有村さんの作品は初めて読みましたが、読みやすくメッセージ性も高いので、また1人好きな作家さんが増えて嬉しかったです。

  • 文庫化してすぐに読んだけど、
    ワケあって再読。

    自分が好きな本の結末を
    他のみんなはどう受け止めてるのか?

    感想なんて人の数だけあっていいし、
    自分が感じたことがすべてだと思ってるけど
    ほんの稀に他人の書評が
    妙に気になることがあります。
    (特にあまりに衝撃的な結末だった場合)

    そして他人の感想を読んで
    その人と話してみたいと思うことって
    意外とあるんですよね。


    中学の頃に読んだライトノベルのシリーズの書評を通して
    伸とひとみは
    メールのやりとりを続けながら
    少しずつ少しずつ距離を縮めていく。

    しかしひとみには
    会うことに積極的になれない
    ある秘密があって…



    読書というのは
    あくまで個人的な行為で
    自ら孤独の中に浸り
    自分自身と向き合う時間。

    だからこそ書評には
    素直な思いが溢れているハズだし、

    選ぶ言葉や言い回しや文体には
    その人自身の思想や
    生きるスタンスまでもが表れるものだと思うのです。

    そういう意味で
    ネットから恋もありえること。

    ネットって言葉がすべてだから
    解り合うためには
    じっくりと真摯に
    言葉を尽くさなきゃならないし、

    好きなものを通じて
    ものの考え方や
    言葉にまず惹かれているわけだから
    見た目から入る恋愛よりも
    実は深いところで結びついている強みって
    少なからずあるんですよね。


    読書好きだからこそ分かる、
    自分が書いたものに対して
    反応が返ってきた時の
    驚きと喜びの心理描写の妙。
    (繋がったっていう感覚、ブクログのみんななら分かるよね)

    伸とひとみのように
    趣味がある程度カブっているのに
    視点が自分とは微妙に違うパターンだと特にテンション上がるのも頷けるし(笑)、

    ネットやリアルに限らず
    本当に失くしたくない縁だと思うなら
    解り合う努力を簡単に放棄しちゃいけないってことを
    改めて思い知らされた気がします。


    お互い違う環境で育った二人だからこそ
    惹かれ合うんやし、

    そもそも人は違うからこそ
    解り合いたいものなんやもん(笑)


    できることなら
    一歩だけ前へと歩きだした
    伸とひとみの行く末に
    あたたかな光を。

    この小説が
    報われない愛の前で立ちすくむ
    誰かのバイブルとなりますように。

    • ゆりさん
      この本は有川さんの作品の中では2番目に読んだんですが、面白かったな~。
      繋がったって感覚は言い得て妙だと思うし、みんなに言ってるんですが、伸...
      この本は有川さんの作品の中では2番目に読んだんですが、面白かったな~。
      繋がったって感覚は言い得て妙だと思うし、みんなに言ってるんですが、伸君が格好いいです!!
      関西弁萌えだ!!と改めて思いました。
      あ、なので、円軌道さんの記事も、いいなぁ、関西弁。と思って読んでますww
      2013/08/13
    • 円軌道の外さん

      遅くなりましたが
      ゆりさん、初のコメント
      ありがとうございます!

      コレ、健常者と障害者の恋って括りで
      論じてる人もいるけど...

      遅くなりましたが
      ゆりさん、初のコメント
      ありがとうございます!

      コレ、健常者と障害者の恋って括りで
      論じてる人もいるけど、
      自分はすごく普遍的な
      普通の恋愛を描いてるな〜って思うんですよね(^_^)v


      どんな状況の恋でも
      違う環境で育った他人同士なんやから、
      衝突したり
      意見のくい違いは当たり前やと思うし。

      他人だからこそ
      相手を知ろうという姿勢と
      分かり合いたいっていう思いと、

      誠を尽くすことこそが
      人の心を動かすことを
      有川さんは伝えたかったんじゃないかなって、
      俺は思います(^_^;)

      特にネットからの恋愛は
      言葉がすべてやから
      誠意がないと
      もろに伝わっちゃいますもんね(笑)


      あはは(笑)
      関西弁萌えって、
      関西人としては
      ホンマに嬉しい言葉です(^O^)

      うるさいとか
      コワいとか
      おちゃらけてるとか、
      アホやとか(笑)
      だいたい世間一般では
      そういうイメージで捉えられてるんで(笑)


      また良かったら気軽に
      コメントしてくださいね。

      自分もまたあとで
      お返しに参ります(*^o^*)


      2013/08/18
  • ロシアの文豪との格闘で疲れ切った脳みそをリセットしようと思って、軽く手に取った本書。文庫本として分量も手軽だし、はずれのない有川浩の恋愛ものなら、間違いないだろうと思って読み始めました。

    なになに、出会ったことの無い若い男女が、好きな小説についてネットで盛り上がったって話か・・・いいねえ。
    で結局、最後まで会わずに、最後の最後で出会って幸せになるって話かなと思ってたら、あれ、第二章でいきなり会っちゃうじゃないのこの二人。

    想像と違うなと読み進めると・・・。
    え、そっち系のテーマなの!重い!全然、軽くない!

    脳みそを休める為に軽い気持ちで手に取った本だったけど、全然休まらない(笑)。
    本書のテーマを十分に知っている人から見たら、僕のこの本の選び方は笑止千万だろうけどね。

    結論的には、ものすごく楽しめた一冊でした。
    有川浩は「図書館戦争シリーズ」と「旅猫レポート」しか読んだこと無いけど、本書は図書館戦争シリーズでも出てきてるんですね。完全に忘れてました。

    図書館戦争シリーズを読んでいる時は、有川浩先生が女性とは知らず(当然、名前の読み方も『ひろし』だと思ってましたw)、「男のくせに、『白馬の王子様』の描き方上手いなあ!」と感動しながら読んでました。

    本書も、大きく言えば『白馬の王子様』系のお話ですね。

    「私みたいな超面倒くさい女の子を好きになってくれる彼」

    もう、この一文で、もう多くの女子はメロメロなんじゃないでしょうか。

    実際、女子にとってはこの主人公の向坂伸行は理想の男性なんだろうな。
    完璧とはほど遠いけど、自分に一途になってくれ、自分のありのままを受け止めてくれる。そして、受け入れるだけじゃなく、建設的な意見も言ってくれる。

    伸行は美容院の実家で育っているので、女性が髪型や化粧、服装で全く変わってしまうことを子供のころから知っており、女性の外見にはあまり執着していない。

    そして彼の放つ必殺のセリフ
    「俺が好きなのは、君の頭の中身だから」

    こんなこと言われたら、男の僕でも「お前!!本当に格好いいよ!!!!」って、泣きながら抱きしめて、彼の背中を両手でバンバン思いっきり叩きますよ(笑)。

    という訳で、頭のなか完全にリセットできたので、ロシアの文豪やっつけてきますね。
    ありがとうございました。

  • H29.4.11 読了。

     聴覚障害者の女の子と関西出身の男の子との恋愛小説。
    出会いから付き合うまで、様々な障害が待ち受けている。
    メールでのやり取りでは本音トークが際立っていた。

  • ネット上で同じ本で共感しあった伸とひとみ。メールでやり取りするうち、伸はひとみに会いたいと思うようになる。
    今の時代(と言ってる自分が古い人間のようだが)こういう出会いは意外とあるのではないだろうか。ネットの向こうは虚像、とはいえこの人はどんな人だろうと思うことはあるから。
    ここもわかる、(最近人にメールを送ることも中々ないが)来たメールに速返事を書いたとして、直ぐに送信したら引かれるだろうと、一日寝かすところとか(笑)。

    会うことをひとみはしぶる。ひとみには聴覚障害のハンデがあった。
    途中、読みが滞った。対話形式(メール)の部分が多く、なぜかそういうのに苦手意識があったから。対談形式とかも。
    最初のデートで、伸はひとみに不自然さを覚える。ひとみはハンデを隠していたから。事情がわかった時の伸のぶつかりようは複雑。伸のような多弁な男性、男子は私のごく身近にいないから。
    男がそうそう、傷ついた、とか、自分も家族の(父親)の病気のことで辛い思いをしてきたとか。出会って間もない女の子に言うんですかー。ひとみに「見かけが残念、素材が生かされてない」のようなことを言ったり。女性なら傷つきますよー。正直というか体当たりというか。でも聴覚障害のことをちゃんと調べて、ひとみをフォローし、障害と向き合っていこうとしてるから。結果的にはhappyで良かった。
    文中にもあるが、ひとみが障害を隠そうという(あえて表に出さない、出したくない)気持ちはほんとにわかる。実際嫌な辛い思いをするのは本人なのだし、スルーできるものならさらっといきたいのは本音だろう。恋愛小説でありながら、聴覚障害者の苦悩も描かれている。
    ひとみは決してめんどくさい子なんかじゃない。
    相手に障害があるときどう向き合うか。殻に閉じこもる気持ちもわかる、ひとみには伸のように引っ張り出してくれる男性が良い。

    あとがきで、著者は女性と知った。てっきり男性かと思っていました。それを知っただけでもイメーじは変わるものですね。

  • 難聴者と健聴者の恋。

    多くの問題にぶつかりながらの恋愛。
    有川氏の代表作「図書館戦争」にも出てくる本。

    有川氏らしい、詳細な取材の中での作品。
    心温まる、有川ワールドでした。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

有川浩の作品

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