レインツリーの国 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.68
  • (1983)
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本棚登録 : 29404
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101276311

作品紹介・あらすじ

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった-。

感想・レビュー・書評

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  • ひとみさん、伸さん、こんにちは。
    読みました。作者宛てではなくて、主人公のお二人に「メール」することをお許しください。

    お二人のことは、聞いていました。9年ほど前に図書館戦争シリーズ第2弾「図書館内乱」を読んだ時に、図書特殊部隊小牧幹久と中澤毬江の2人の恋の行方と、「レインツリーの国」という「架空の本」とがシンクロしているのは知っていました。映画ではブレイク前の田中圭とバリバリ新人の土屋太鳳が演っていましたね。ので、内容はほぼ察しがついていました。わざわざ読む必要がないかな、と読む候補に入れていなかったのです。コロナ騒ぎで、遠出することもなく近所の散歩をしていたら、個人のガレージの前に青空古書店という小さな10冊ほどの本が並べてある店があって(多分私ぐらいしか買わないだろうな)と思って手に取ったのがこの本でした。やっぱりずっと読みたかったんだと思いました。

    回りくどくて、ごめんなさい。
    そしたら、とっても素敵な始まり方で、一挙に貴方たちの世界に引き込まれていきました。ブログの中にある本のレビューを巡って、メールのやり取りをすることで、お互いを知り合ってゆく。そういう出会いでした。

    一冊の本について、それは一つの映画についてでもいいのだけど、思う存分語り合えて、それでもまだ2人の意見に違いがあって、それでもお互い尊敬しあえて、時が経つのを忘れていた。という経験ほど、人生の中で豊かな時間はないと思う。それが男女だったら、恋愛感情が生まれない方がおかしいって、私も思いますよ。ひとみさん、伸さん。

    2人の恋が悪い方に行かないことは想定内です。それでも、こんなにもドキドキしてしまいました。それは、ほとんどの場面が、2人のメールのやり取りで構成されているとは知らなかったからです。正直言って、お二人は凄いです。メールなのに、あんなにも行間を読んで!そして、正直に何でも言える仲に急速になって!実際に直に会った時も、あんなにもきちんとフォローして!‥‥そうです。自分の経験と照らし合わせています。もうこれ以上は、恥ずかしくて具体的には書けません。

    お二人の直メールアドレスが有れば教えてください。私の、とっておきのバカな話をさせてもらいます。その後のお二人のことも知りたいし(^^;)。お二人の未来に幸あれと願っています。

  •  本書を一言で表すならば、学びのある小説とったところでしょうか。聴覚障害を持つヒロインと、明るい健聴者である主人公の恋愛は一冊を通してうまくいかないことも多く、喧嘩やすれ違いが多い印象ですした。しかし、その喧嘩の言い分がどちらも社会の真理をついているようなものに感じ、痴話喧嘩というよりはディベートのようでした。
     難聴の人はこんな苦労をしている。どうして健聴者はそれがわからないのかという点に対し、主人公は耳にハンデは無いけども健聴者である自分にも君とは別の苦労がある。君だけが被害者のようにしないで欲しいと、言い過ぎなようにも感じるけど確かにそのとおりだと思いました。
     本書は涙が溢れ出ることもなければ、衝撃のラストというオチもありません。ですが、読んでよっかったと思える一冊でした。
     有村さんの作品は初めて読みましたが、読みやすくメッセージ性も高いので、また1人好きな作家さんが増えて嬉しかったです。

  • 文庫化してすぐに読んだけど、
    ワケあって再読。

    自分が好きな本の結末を
    他のみんなはどう受け止めてるのか?

    感想なんて人の数だけあっていいし、
    自分が感じたことがすべてだと思ってるけど
    ほんの稀に他人の書評が
    妙に気になることがあります。
    (特にあまりに衝撃的な結末だった場合)

    そして他人の感想を読んで
    その人と話してみたいと思うことって
    意外とあるんですよね。


    中学の頃に読んだライトノベルのシリーズの書評を通して
    伸とひとみは
    メールのやりとりを続けながら
    少しずつ少しずつ距離を縮めていく。

    しかしひとみには
    会うことに積極的になれない
    ある秘密があって…



    読書というのは
    あくまで個人的な行為で
    自ら孤独の中に浸り
    自分自身と向き合う時間。

    だからこそ書評には
    素直な思いが溢れているハズだし、

    選ぶ言葉や言い回しや文体には
    その人自身の思想や
    生きるスタンスまでもが表れるものだと思うのです。

    そういう意味で
    ネットから恋もありえること。

    ネットって言葉がすべてだから
    解り合うためには
    じっくりと真摯に
    言葉を尽くさなきゃならないし、

    好きなものを通じて
    ものの考え方や
    言葉にまず惹かれているわけだから
    見た目から入る恋愛よりも
    実は深いところで結びついている強みって
    少なからずあるんですよね。


    読書好きだからこそ分かる、
    自分が書いたものに対して
    反応が返ってきた時の
    驚きと喜びの心理描写の妙。
    (繋がったっていう感覚、ブクログのみんななら分かるよね)

    伸とひとみのように
    趣味がある程度カブっているのに
    視点が自分とは微妙に違うパターンだと特にテンション上がるのも頷けるし(笑)、

    ネットやリアルに限らず
    本当に失くしたくない縁だと思うなら
    解り合う努力を簡単に放棄しちゃいけないってことを
    改めて思い知らされた気がします。


    お互い違う環境で育った二人だからこそ
    惹かれ合うんやし、

    そもそも人は違うからこそ
    解り合いたいものなんやもん(笑)


    できることなら
    一歩だけ前へと歩きだした
    伸とひとみの行く末に
    あたたかな光を。

    この小説が
    報われない愛の前で立ちすくむ
    誰かのバイブルとなりますように。

    • ゆりさん
      この本は有川さんの作品の中では2番目に読んだんですが、面白かったな~。
      繋がったって感覚は言い得て妙だと思うし、みんなに言ってるんですが、伸...
      この本は有川さんの作品の中では2番目に読んだんですが、面白かったな~。
      繋がったって感覚は言い得て妙だと思うし、みんなに言ってるんですが、伸君が格好いいです!!
      関西弁萌えだ!!と改めて思いました。
      あ、なので、円軌道さんの記事も、いいなぁ、関西弁。と思って読んでますww
      2013/08/13
    • 円軌道の外さん

      遅くなりましたが
      ゆりさん、初のコメント
      ありがとうございます!

      コレ、健常者と障害者の恋って括りで
      論じてる人もいるけど...

      遅くなりましたが
      ゆりさん、初のコメント
      ありがとうございます!

      コレ、健常者と障害者の恋って括りで
      論じてる人もいるけど、
      自分はすごく普遍的な
      普通の恋愛を描いてるな〜って思うんですよね(^_^)v


      どんな状況の恋でも
      違う環境で育った他人同士なんやから、
      衝突したり
      意見のくい違いは当たり前やと思うし。

      他人だからこそ
      相手を知ろうという姿勢と
      分かり合いたいっていう思いと、

      誠を尽くすことこそが
      人の心を動かすことを
      有川さんは伝えたかったんじゃないかなって、
      俺は思います(^_^;)

      特にネットからの恋愛は
      言葉がすべてやから
      誠意がないと
      もろに伝わっちゃいますもんね(笑)


      あはは(笑)
      関西弁萌えって、
      関西人としては
      ホンマに嬉しい言葉です(^O^)

      うるさいとか
      コワいとか
      おちゃらけてるとか、
      アホやとか(笑)
      だいたい世間一般では
      そういうイメージで捉えられてるんで(笑)


      また良かったら気軽に
      コメントしてくださいね。

      自分もまたあとで
      お返しに参ります(*^o^*)


      2013/08/18
  • ロシアの文豪との格闘で疲れ切った脳みそをリセットしようと思って、軽く手に取った本書。文庫本として分量も手軽だし、はずれのない有川浩の恋愛ものなら、間違いないだろうと思って読み始めました。

    なになに、出会ったことの無い若い男女が、好きな小説についてネットで盛り上がったって話か・・・いいねえ。
    で結局、最後まで会わずに、最後の最後で出会って幸せになるって話かなと思ってたら、あれ、第二章でいきなり会っちゃうじゃないのこの二人。

    想像と違うなと読み進めると・・・。
    え、そっち系のテーマなの!重い!全然、軽くない!

    脳みそを休める為に軽い気持ちで手に取った本だったけど、全然休まらない(笑)。
    本書のテーマを十分に知っている人から見たら、僕のこの本の選び方は笑止千万だろうけどね。

    結論的には、ものすごく楽しめた一冊でした。
    有川浩は「図書館戦争シリーズ」と「旅猫レポート」しか読んだこと無いけど、本書は図書館戦争シリーズでも出てきてるんですね。完全に忘れてました。

    図書館戦争シリーズを読んでいる時は、有川浩先生が女性とは知らず(当然、名前の読み方も『ひろし』だと思ってましたw)、「男のくせに、『白馬の王子様』の描き方上手いなあ!」と感動しながら読んでました。

    本書も、大きく言えば『白馬の王子様』系のお話ですね。

    「私みたいな超面倒くさい女の子を好きになってくれる彼」

    もう、この一文で、もう多くの女子はメロメロなんじゃないでしょうか。

    実際、女子にとってはこの主人公の向坂伸行は理想の男性なんだろうな。
    完璧とはほど遠いけど、自分に一途になってくれ、自分のありのままを受け止めてくれる。そして、受け入れるだけじゃなく、建設的な意見も言ってくれる。

    伸行は美容院の実家で育っているので、女性が髪型や化粧、服装で全く変わってしまうことを子供のころから知っており、女性の外見にはあまり執着していない。

    そして彼の放つ必殺のセリフ
    「俺が好きなのは、君の頭の中身だから」

    こんなこと言われたら、男の僕でも「お前!!本当に格好いいよ!!!!」って、泣きながら抱きしめて、彼の背中を両手でバンバン思いっきり叩きますよ(笑)。

    という訳で、頭のなか完全にリセットできたので、ロシアの文豪やっつけてきますね。
    ありがとうございました。

  • H29.4.11 読了。

     聴覚障害者の女の子と関西出身の男の子との恋愛小説。
    出会いから付き合うまで、様々な障害が待ち受けている。
    メールでのやり取りでは本音トークが際立っていた。

  • ネット上で同じ本で共感しあった伸とひとみ。メールでやり取りするうち、伸はひとみに会いたいと思うようになる。
    今の時代(と言ってる自分が古い人間のようだが)こういう出会いは意外とあるのではないだろうか。ネットの向こうは虚像、とはいえこの人はどんな人だろうと思うことはあるから。
    ここもわかる、(最近人にメールを送ることも中々ないが)来たメールに速返事を書いたとして、直ぐに送信したら引かれるだろうと、一日寝かすところとか(笑)。

    会うことをひとみはしぶる。ひとみには聴覚障害のハンデがあった。
    途中、読みが滞った。対話形式(メール)の部分が多く、なぜかそういうのに苦手意識があったから。対談形式とかも。
    最初のデートで、伸はひとみに不自然さを覚える。ひとみはハンデを隠していたから。事情がわかった時の伸のぶつかりようは複雑。伸のような多弁な男性、男子は私のごく身近にいないから。
    男がそうそう、傷ついた、とか、自分も家族の(父親)の病気のことで辛い思いをしてきたとか。出会って間もない女の子に言うんですかー。ひとみに「見かけが残念、素材が生かされてない」のようなことを言ったり。女性なら傷つきますよー。正直というか体当たりというか。でも聴覚障害のことをちゃんと調べて、ひとみをフォローし、障害と向き合っていこうとしてるから。結果的にはhappyで良かった。
    文中にもあるが、ひとみが障害を隠そうという(あえて表に出さない、出したくない)気持ちはほんとにわかる。実際嫌な辛い思いをするのは本人なのだし、スルーできるものならさらっといきたいのは本音だろう。恋愛小説でありながら、聴覚障害者の苦悩も描かれている。
    ひとみは決してめんどくさい子なんかじゃない。
    相手に障害があるときどう向き合うか。殻に閉じこもる気持ちもわかる、ひとみには伸のように引っ張り出してくれる男性が良い。

    あとがきで、著者は女性と知った。てっきり男性かと思っていました。それを知っただけでもイメーじは変わるものですね。

  • 難聴者と健聴者の恋。

    多くの問題にぶつかりながらの恋愛。
    有川氏の代表作「図書館戦争」にも出てくる本。

    有川氏らしい、詳細な取材の中での作品。
    心温まる、有川ワールドでした。

  • ネットで知り合った20代半ばの男女の恋愛もの。
    聴覚障がいを持つ彼女の事情も含めて、丁寧に描かれます。

    かって愛読した作品のラストが気になっていた伸行。
    高校生が活躍するSFアクションもののハチャメチャな楽しさにはまっていたら、彼女が彼との別れを選ぶという結末にショックを受けたのだ。
    仕事にも慣れてきた頃、ネットで感想を検索してみたら、「レインツリーの国」というサイトを見つける。
    ひとみというハンドル名の女性が書いている感想に興味を持ち、伸のハンドル名で書き込むと、互いに好印象で、3日とあけずにラリーが続くようになった。
    会いたいという願いを最初は拒んだひとみだが、紀伊国屋で待ち合わせることになる。

    重たそうな髪の少し野暮ったい彼女。
    それは想定内だったが、ところどころ不審な点があり、しまいに伸行は爆発してしまう。それは誤解だった‥
    彼女は補聴器をつけていて、それでも聞き取れない場合があったのだ。
    障がい者枠で就職していたが、身近な社員の理解を得られず、実は孤立している苦しみがあった。
    いちいち説明なんかとてもできないと思ってしまいがちだけど、ほんとは説明したほうがいいことも‥そのへん、下手なところがあるんですね。

    時にはぶつかり、行き違いを重ねつつも、また手を差しのべあう二人。
    聴覚障がいについても適度に説明されていると思いますが、障がいに限らず、育ち方の違いやコンプレックスのあり場所などで、互いにこういった問題はよく起こるものと感じられます。
    メールのやり取りがリアルでちょっとイタイ‥遠い昔に~身に覚えが‥?
    そういう意味で、恋愛として普遍的なものを感じました。
    彼にちょっと近づく女の子も、恋愛至上主義にしてはさばさばしていて、有川さんらしい。

    めんどくさい女の子の気持ちを理解したいと思う寛大な伸。
    その真っ直ぐさがまぶしい~!
    何の苦労もしていないからではなく、彼にも人にはわかりにくいかもしれない経験がある。
    それを乗り越えた後だからの知恵の回り方。
    「理屈っぽい」という理由で今まではフラれていたというのが笑えるけど。
    お似合いなのね~ふふふ♪
    用心して距離を置いていたのに、いつの間にか彼に甘えている彼女が、一歩ずつ成長していく甘~いお話です☆

    図書館シリーズの2作目からのスピンオフ作品。
    内容はこれだけで独立しているので、恋愛物が読みたいときにどうぞ!

  • 『図書館戦争』読んで以降、次作を手に取ることなく本作を手にしてしまったが、逆に良かったかも! 伸とひとみの遣り取りは映像が浮かんじゃうくらいリアルで、心情描写も微に入り細に入り見事! 「相手の立場に立って考える」という言葉ほど無理難題を暗に押しつける無責任な言葉だと再認識。さて、そろそろ自身の宿題も終わらせるかね。

  • ブクログのオススメ女流作家10選。
    原田マハさんの「キネマの神様」に続いて
    二作目。
    有川浩さんの作品なので
    かなり期待して読みました。

    聴覚障害のある彼女との恋愛のお話。
    関西弁のポジティブ伸くん。

    役者さんなら
    桐谷健太くんなのかなぁ?とか思いながら
    サラッと読めてしまいました。

    あとがきで
    作者の書きたかったのは
    「しょうがいの話」ではなく
    「恋愛の話」だと述べておられるので
    少し重いテーマにもかかわらず
    そう思えたのかもしれません。

    ただ、これも作者があとがきで述べておられますが
    「自転車のベルが聞こえない人に対してイラッとする」
    という感覚
    私にも覚えがあり
    ひょっとしたら、私も知らない間に
    そういう方と遭遇していたかもしれない、
    と思いました。

    これからは
    いろんな場面で
    この本のことを思い出して
    ゆとりのある態度をとれたらいいな、
    と思います。





  • 甘い往復書簡を読んでるみたい!
    と、恋気分で読んでたのも束の間…。

    お互いを想う気持ちはたくさんあるのに
    自分が自分がの自己主張が少しずつ降り積もって
    大きな溝になったり、歪になったり。

    恋の感情だから超えられること、
    恋だからこそ超えられないこと。
    でも、こんがらがりすぎた糸も
    言葉を届けあうことで時間をかけて解いていく。
    互いを分かるための労力を惜しまないことは
    大切に繋がっていくために何よりも大事なことだと思う。

    恋は成就することよりもその後お互いに
    幸せな気持ちを交換し続けられることが大変。
    最初すごく簡単に思えることほど本当は難しい。

    レインツリー=ネムノキの花言葉は
    「歓喜」「胸のときめき」。
    たくさんの辛い思いをぶつけあってもなお
    一緒にいたいと願った2人の未来が幸せだといいな。

  • 現代らしくネットでの交流から発展する恋愛を描いた小説ですが、シリアスな現実問題にお互いが葛藤するという大きな流れがあり、メール、チャット、ブログなどを通しての会話や、主客転換など、様々な技法も織り交ぜた意欲作といえるでしょう。
    ただ、あまりにも展開がベタすぎるせいか(笑)、普通、そういう思考やふるまいはしないだろうとか、設定ありきの前振りが露骨すぎて、いまひとつ自分には馴染めなかった。そもそもの発端である小説のラストで、普通そこまで根に持つ内容かなあ?(笑)とかそういう感じです・・・。
    ブクログのレビューを迂闊にも先に読んでしまって、前半のミステリアスな部分をネタバレされてしまっていたことも悪影響しているかもしれません。(泣)
    まあ、さらりとした知識提供があったり、プラスマイナスの心情の対置がきれいに描かれていてラストも落ち着いた風でしたので、その辺は良かった。

    • まろんさん
      図書館戦争シリーズ第二作の『図書館内乱』で
      小牧と毬江ちゃんのエピソードとリンクする作品なので
      ミーハーな私は、「わ~い、『内乱』の表紙に『...
      図書館戦争シリーズ第二作の『図書館内乱』で
      小牧と毬江ちゃんのエピソードとリンクする作品なので
      ミーハーな私は、「わ~い、『内乱』の表紙に『レインツリー』の表紙が出てる♪」
      と、うきうきしながら読みました(笑)

      私は、読んだお話のラストが悲し過ぎたり納得できなかったりすると
      勝手に空想の中でお話を作り替えたりしてしまう子だったので
      (たまに、どれが本当のラストシーンだったのかわからなくなったりしますが。。。)
      ラストに拘りを持ち続けて、同意見の誰かと意気投合!みたいな感覚は
      ちょっとわかるような気がします。

      障碍を外から見る視線と、障碍を持つ側からの拒絶というのは、
      有川さんがどうしても書きたかったテーマなんだろうなぁ、と思いました。
      2012/06/10
    • mkt99さん
      コメントありがとうございます!m(__)m

      自分は残念ながら未読ですが、著者ご本人の「あとがき」によると『図書館内乱』とのリンクはかなりこ...
      コメントありがとうございます!m(__)m

      自分は残念ながら未読ですが、著者ご本人の「あとがき」によると『図書館内乱』とのリンクはかなりこだわりを持った企画だったようですね。違う出版社ですがお遊び感覚があって良い企画ですね。(^o^)

      ラストの拘りの話は自分も「えー?」ということがあるので、誰かと語りあいたい気持ちはよくわかります。(笑)読んだ者同士でないとわからない感想の一体感もありますしね。ただ、彼女が彼氏を慮って別れるというラストはそれほど違和感がないのでは・・・と思ったものですから。(>_<)

      「障碍を外から見る視線と、障碍を持つ側からの拒絶」というテーマを描きたかったというのはまさにその通りで、お互いの気持ちのバトルが凄いと思いました。

      ラストシーンを自分で空想してしまうとは!著者さんにも伝えてあげたいところですね。(^o^)
      2012/06/10
  • 再読です。

    私に〝言葉にこだわる〟という軸をくれた作品です。
    〝聞く〟と〝聴く〟の違いは意識しています。

    私は〝偏見〟というのは「なくすもの」ではないと思うんです。「自分の中に偏見はある」と自覚することが大切だと思うんです。

    例えば「元殺人犯の人」を「殺人をしたことがない人」と一緒にはできないじゃないですか。
    やっぱり〝知ってしまえば〟偏見は生まれてしまうと思います。

    それでも、
    「元殺人犯の人」ではなく、「(元殺人犯の人)Aさん」として向き合うことが大切だと思うんです。

    これは極端な例えですね。

    身近だと、「店員さんに態度が悪い人」は自分の常識ではあり得ないです。
    でも、たまたまそれを見たからって「あの人はこういう人間だ」って思ってしまうのは怖いことです。

    6面のサイコロは1面だけ赤い。
    たまたまその部分を見てしまったのかな。って思うようにするのが私のコツ。

  • すぐに友人にオススメしました!

    短いから読みやすいし2日で読み終わった!恋愛ものだけど人間らしさが描かれててフィクションだけど物事が思う様に進まない辺りや同じやりとりの繰り返しが現実というかご都合主義ではなくて考えさせられることも多かったし、ストーリーの男性も綺麗すぎな感じじゃなく人間らしさがでててね。
    なんかこの本に出会ったときの自分に少し2人の気持ちがリンクするとこもあって良かった、話の取っ掛かりとかは今時ぽいかもだけど。

    本を読む人なら誰にでも忘れられない本てあるじゃない?それが子どもの時に読んだ本でも、急にふとしたときに思い出すみたいな。
    それで本のレビューをみて
    自分と似た感性の人がいる!って彼は嬉しくなりヒロインの彼女との本の感想などのやりとりがメールで始まるんだけど
    彼女には会えない理由があるの。

    私この本を読むまで聴覚障害の人は
    手話を使えるってイメージがあったけど
    中途失聴とか聾とか伝音、感音ってあるのを知ってさ自分なんも知らないんだなぁって思った。

    深く考えた。

    彼は自分と感性が似てるけど少し違う見方もする彼女に惚れたんだなってこの男の子もさ
    少女マンガのヒーローて感じじゃなくてさ
    ヒロインを傷つける言葉をいったり自分の意志の強さがあったりストレートでさ
    感性が似てる人と出逢うっていいなぁと思ったよ。

    私がこの本の中で
    印象に残る言葉があって
    痛みにも悩みにも貴賎はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。
    彼女は彼女たちは耳が不自由な分だけ、言葉をとても大事にしているのだ。第一言語として自分たちに遺された言葉を。その言葉を大事に使って、真摯に理屈を組み立てる。だから伸行はひとみの言葉に魅かれるのだ。あれほど真摯に使われる言葉はまたとないからだ。自分と似ていて少し違う心地よさ、それはひとみが言葉の限りある愛おしさを知っているからだ。
    その言葉で大切な思い出の本を語られたら、魅かれない奴はいないだろう。


    私もこんなに自分とぶつかってくれる人にいつか出逢いたいな。
    僅かな願望(笑)

    読後、友人に力説しました(笑)

  • 読後はさわやか青春菌。
    図書館戦争に出てきた本で気になっていたのだが、やっと読めた。
    でもまあ、こんないい男はいないんじゃ?(笑)
    有川さんは言葉を大事にしていることを言葉で表現してますよね。
    個人的にはボリュームが足りなかったかなあ。もうあと2つ3つエピソードがあって、仲良くなる過程を見たかったかなあ。まあ、それも読者の想像に任せたい、という一つの表現なのかな。
    この本のおかげで、人の書評を読みたくなり、ブクログエントリー。

    • HNGSKさん
      urarintyoさん、初めまして。あやこといいます。
      わたしも、伸のようないい男は、この世にはまず存在しないのでは・・・と思いました。
      有...
      urarintyoさん、初めまして。あやこといいます。
      わたしも、伸のようないい男は、この世にはまず存在しないのでは・・・と思いました。
      有川さん作品にでてくるすべての男子について言えることかもしれません。(笑)
      2012/11/15
    • urarinchoさん
      コメントありがとうございます!
      ネー。有川さん作品の男どもはカッコよすぎて、現実の男子はつらいっす(笑)
      コメントありがとうございます!
      ネー。有川さん作品の男どもはカッコよすぎて、現実の男子はつらいっす(笑)
      2012/11/15
  • 久々に良い本に出逢えました。価値観の合う人って恋愛において大事なポイントだしそれが好きな書籍について共感しあえるなんて本当に素敵だと思う。私は最近読書に目覚めてまだ読んだ本も少ないけど、私が良かったと感じた1冊が当サイトを通じて名前も顔も勿論知らない誰かも同じように同調して貰えた時は本当に嬉しかった。
    健聴者と障害者の恋愛がテーマってよく有りがちなドラマ仕立てが多いけど、現代的だけど奥ゆかしくてでもストレートで。最後の最後まで二人の距離が縮まる行程が青春菌満載で爽快でした。
    この本、凄く好きです。

  • 通じ合うのに中々通じ合えない。
    現実は、そうだよね。
    理解し合うためにはお互いに傷付き合いそれを伝えて、また自分が相手を傷つけている事も互いに理解しようとしなければいけない。
    恋愛小説としてだけではなく、人との関わりも教えてくれる。
    傷つく事にも逃げない2人がこれからどうなるのか、続きも知りたい。

  • ライトノベルがきっかけで、ネットを通じて知り合う男女の物語。
    女性は聴力障害を持っており、それゆえの自己主張か、あるいは我儘か、お互い相いれない思いをぶつけつつも愛し合う気持ちを重ねていくという、ハートフルな話である。

    有川さんの物語は『空の中』にも見られた、最後にほっこりするハッピーエンドになっているのが素晴らしいと思う。が、個人的にはどこかギスギスした人間関係が噴出して、ゴタゴタしつつも一つの答えに辿り着く方が「物語としては」楽しいなと感じてしまう。スレた大人のやさぐれだろ?と言われるとその通りなのですが。

  • 今日は時間がまだあるし、薄そうだしもう一冊読むか、と手に取った本。
    そうそう、本で共感できると仲良くなれるよねーって思いながら本の貸し借りをした高校時代の彼女のことを思い出してしまいました。
    さらさらと読めてしまってそのまま終わるのでちょっと物足りなく感じて、星3つ。

  • 有川浩。これまでに読んだ3冊がどれも素敵な作品で・・・、
    近年、好きな作家になったうちの1人。そんな有川さんの4冊目読みとなる本作。

    いきなりガツンとガッカリさせられた。

    だって・・・・冒頭が・・・・ライトノベルがうんたらかんたらっていう始まりなんだもの。ライトノベルについて熱~く語り始める主人公。ヒロインと思しきキャラまでも、それに輪をかけた熱心ぷりなんだもの。昭和生まれにはどうにもこうにも馴染めない設定。

    でも・・・・・・・・・。

    だのに・・・・・・。

    物語が動き始めて以降は、ぐんぐんとその世界観に引き込まれっ放しだった。
    「伸さん」の、なんと一途な恋心。こんな青年に想いを寄せられたヒロインが、羨ましいと感じた。(自分、男だけど)

    障害がうんぬん・・・については、深くは語れない。しかし、筆者のあとがきにもあるように、これは障害者への偏見だとか社会制度だとかではなく、(たまたま障害がある女性がヒロインな)恋愛小説なのだろう。

    こんな素敵な物語を読ませてくれた有川さんに、感謝。

    ★5つ、9ポイント半。
    2019.12.14.新。

    ※マイナス0.5ポイントは、冒頭の「ラノベ」うんうんの分。ライトノベルファンへの偏見かもしれないけれど・・・読まず嫌いかもしれないけれど・・・どうにもこうにも違和感が拭いきれず。。
    作品としては、文句なしに「大好きな一冊」のうちの一つにエントリー♪

    ※筆者のあとがきと巻末の解説文を読み、過剰・・・というか、どこかズレた人権意識によるメディアの自主規制問題に憤りを感じた。

    ・・・その流れで言うなら、十代最後の夏に夢中になって観ていた連ドラ「愛していると言ってくれ」も、現在なら放映できない作品だったのかも?と思ったら余計に。


    ※ライトノベル寄りな雰囲気(匂い)が漂ってくるために人気作なのは知っていても敬遠していた「図書館戦争」も、読んでみようかしら・・・・と思った。

    • moboyokohamaさん
      この作品を読んで、いわゆる健常者の無知を知らされてショックでした。
      今コロナ禍の中、マスク着用が必須になりマスク警察なる人達まで出てくるよう...
      この作品を読んで、いわゆる健常者の無知を知らされてショックでした。
      今コロナ禍の中、マスク着用が必須になりマスク警察なる人達まで出てくるようになりましたが、マスクのせいでリップリーディングできずに困っている聴覚障害者がいる事を知っているのだろうか?
      2020/08/29

  • 私は周りより辛い現実にいると思いながら生きていました。それが自分をさらに苦しめていることに気付かされる作品でした。

    この本に出会ってよかった。

  • わたしは幼い頃から右耳が聞こえません。
    この本を読んだのは小学生か中学生、友達や両親とのささいなすれ違いで、おそらく人生で1番自分の難聴を恨んだ時期(未来のことはまだわかりませんが)だったように思います。右耳にだけ、ピアスを何個もあけました。軟骨にも自分でニードルを刺して、痛みを感じること、まだ神経が通っていることに安心した苦い思い出もあります。
    作中の伸さんの言葉は、長いことわたしの中にあったわだかまりを軽くしました。世の中には伸さんのような人もいるかもしれない、わたしが思うよりもずっとたくさんいるかもしれない。この一冊は当時のわたしにとって、“希望”でした。
    素敵な作品を世にだして下さった有川浩さまにこの場を借りて感謝申し上げます。

  • 知り合ったきっかけがなんであれ、近づいていくプロセスがどうであれ、この2人は「出会うべくして出会った2人」。
    お互いにつらい過去を抱え(片方のはこれからも抱えていかねばならない性質のものだけど)、かなった恋も一筋縄ではいかないだろうけど、そんな2人だからこそ乗り越えられると信じたい。
    『阪急電車』を読んだ時も感じたが、有川浩は会話のテンポが実に心地よい。会話を通して、ストーリーにぐいぐい引き込まれていくんだなあ。

  • この本が出たころ、友達に「とてもいいから読みなよ」と勧められたことがありました。
    でも難聴者の話だと知って読むのを躊躇して、何年も経ってしまいました。どうせ薄っぺらいんだろう、と。
    いま読むに至ったのは、図書館戦争の映画化がきっかけです。おもしろそう、原作を読んでみようかなと思ったことからでした。
    図書館戦争の第2巻「図書館内乱」では、途中失聴者の女の子が出てきます。その女の子についての説明や、その女の子が感じていることは、とてもきちんとした取材の上でなされているように感じました。
    そこから派生した物語なら、「聴覚障害」だけが軸の物語じゃないんだろうと。

    わたし自身も聴覚障害を持っています。生まれつきの難聴者。聾でもろうあでも途中失聴でもなく。
    図書館内乱、そしてレインツリーの国でもう一文だけ付け加えて欲しかったとすれば、「生まれつきの難聴者」でも「口話を第一言語」としている人がいるということ。物語中で説明してくださった聴覚障害の人の中に、その真ん中の人間がいるんだということを書いてほしかったなあ、なんて、ワガママですが。

    口話での生活でほとんど苦労しない私ですが、主人公の気持ちにはとても感情移入することができました。途中で何度も泣きました。
    この物語に出会えてよかったと思います。

  • 今までにない衝撃を受けました。
    ただのラブストーリーだと思って読んでいた私にとって、この本の核となる部分は重かったです。
    いつもなら
    おもしろかったー、とか
    切ない…
    で終わる私のつたない感想ですが、なんだかこのおはなしはそんな簡単な言葉で終わらせちゃいけないような気がして、このレビューを書きながらも戸惑っています。
    ひとみさんもいうように『深く刺さって抜けない棘のよう』な作品になりそうです。
    私は、ひとみさんの前に自信を持って立てるのでしょうか。
    伸さんみたいに、真正面から向かっていくことができるのでしょうか。
    そんなことを読み終わってからずっと考えて、そして涙があふれてきます。
    ストーリーに感動して、という理由もありますが、自分に対するやるせなさ?みたいなもので。
    すごくすごく心が揺さぶられました。
    いつもの私なら、オススメの作品はみんなに紹介して回りたい性格なのですが、この作品はそうじゃなくて、私がひっそり書いたこのレビューをうっかり見つけてくれた人が、興味を持って手にとってもらえればなあという思いです。


    なーんて、偉そうなことを書いてしまいましたね。
    私も青春菌がうつったかも笑
    こうやってレビューを書いてる私にとって、二人の出会い方はすごく素敵で、憧れます。

  • 主人公の純粋でストレートな気持ちが、文章の1行1行に、爽快に描かれています。
    そのことが、一読者である私を、とてもわくわくさせました。


    「彼女は――彼女たちは、耳が不自由な分だけ、言葉をとても大事にしているのだ。」
    (p.184から引用)


    だからこそ、主人公の真っ直ぐで飾らない言葉は、彼女の心にきちんと届いたのだと、私は思います。


    言葉には、時に傷ついたり、逆に傷つけてしまうこともあるけれども、
    でもやっぱり、誰かの言葉に救われることが圧倒的に多いのですね。

    だからこそ、私は、ひとつひとつの言葉を大切にしていきたいし、
    できる限り、きれいな文章を書けるよう努力していきたいと思います。

    • まろんさん
      この本でも、『図書館戦争』シリーズでも、聴覚障害の世界を
      お涙頂戴に陥ることなく、真摯に綴った有川さん。
      見つめ合うだけで全ての想いが伝えら...
      この本でも、『図書館戦争』シリーズでも、聴覚障害の世界を
      お涙頂戴に陥ることなく、真摯に綴った有川さん。
      見つめ合うだけで全ての想いが伝えられるなら素敵だけれど
      そんな超能力を持たない私たちは、やっぱり、
      伝えたい気持ちをきちんと言葉にして
      相手に届ける努力を忘れずにいたい、と思わせてくれる本ですよね!
      bluebird-ryuryuさんのこのレビューの最後の4行、
      有川さんが読まれたら、きっと嬉しさがこみ上げるだろうなぁと思います。
      2012/10/13
    • HNGSKさん
      わたしも、ブルーバードさんが書かれているように、言葉を大切にしていきたいです。

      この本、読みます。
      わたしも、ブルーバードさんが書かれているように、言葉を大切にしていきたいです。

      この本、読みます。
      2012/10/13
    • HNGSKさん
      お久しぶりです。この本を読みました。言葉っていいですね。有川さんっていいですねー。
      お久しぶりです。この本を読みました。言葉っていいですね。有川さんっていいですねー。
      2012/11/14
  • きっかけは「忘れられない本」そこから始まったメールの交換。あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった。

    図書館戦争シリーズの「図書館内乱」から、出てきた本。
    とても、素敵なお話でした。

    聴覚障害者の方の大変さなどが、スムーズに書かれておりなるほど・・・と考えさせられる部分もたくさんありました。

    夏に読んでさっぱりする爽快ラブコメでした。


    有川先生らしい、終わりで私は好きです。

  • 小説の中の二人の会話、メールのやりとりに全てもっていかれてるって感じで、圧倒されてしまいました。
    障害をもつ女の子が登場するわりには、じめじめ感はなく、なかなかエキサイティングな恋愛小説でした。

  •  優しさとは何だろうか。
     これまでわたしは、優しさとは強さ、そう思っていた。その考えをここで否定しようとは思わない。ただ、優しさとは強さだけじゃない。すべての人と、対等でいること。それも優しさの一つなのではないか。そう考えるようになった。

     ひとみに向き合う伸行の姿勢に、自分を投影する。
     わたしだったら、こんな風に真正面からぶつかることができるだろうか。できないだろう。身体に障害のある相手に対して「自分だけが辛いみたいな顔すんなや」なんて、言えるだろうか。言えないだろう。わたしだって同じ人間、わたしだって生きるのが辛いことだってある、なんて口が裂けても言えないだろう。
     主人公、伸行のまっすぐで、あまりに純粋すぎるその心は、危険を孕んでいるように見えた。伝わるか、伝わらないか。紙一重だった。

     「身体に不自由があるから…」この一文に何かが続くのは間違っているのだろう。そもそも「…から」と、身体の不自由が何かの理由になることは決してあってはならないのだろう。

     それでも、そういった人と関わったことのないわたしは、あくまで遠くから見ているだけの存在に過ぎない。「そういった人」と、無意識的に自分と区別してしまっているわたしは、圧倒的に勉強不足の人間だ。
     
     頭でただ理解しただけのわたしは、きっと、伝わらないだろう。

  • ネット上でのやり取りでは、知り得なかった彼女のこと。
    障害を乗り越える純愛。
    有川浩さんの王道だろう。
    オバさんにもまだなんとか読めた!2016.5.2

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

有川浩の作品

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