荻窪 シェアハウス小助川 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2014年7月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784101277448

感想・レビュー・書評

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  • 沢方佳人(さわかた よしと)19歳。
    中学一年の時に父を交通事故で失い、その後、忙しく働く母に代わって、家事のほとんどと三つ下の双子の弟妹の世話を引き受けてきた。
    高校卒業後も進学はせず、近所の酒屋のバイトを続ける。
    “やりたいこと”のはっきりしている弟妹に大学進学の機会を与えてあげたいと思ったからだ。
    ある日、母から切り出される。
    「今の佳人の世界は狭い家の中だけ。今まで本当にありがとう」そして「巣立ってほしい」と。

    佳人は子供の頃かかりつけの医院だった「小助川医院」をリノベーションした「シェアハウス小助川」に住むこととなる。
    タカ先生は、一緒に開業していた両親を亡くした後、まだ50代なのに医院をたたんでしまった。
    寂しい独り暮らしをしていたタカ先生と、それぞれ心に秘めたものがある住人達は、どう関わっていくのか。

    「特にやりたいことが見つからなくて、フリーターをしている」
    佳人の状態は一見、頼りない若者のように見えるが、気を付けて読めば、彼は最初から一つも揺らいでいないことに気づく。
    『家事が好き』『人の世話をして喜ばれたら嬉しい』
    仕事にできるような趣味もなくて…と言うけれど、それは世間一般が佳人の得意なことを仕事と認めないだけである。

    シェアハウスや共同生活、または昔ながらの下宿をテーマにした作品に興味がある。
    ともすれば家族との関わりもうまくできない自分にとって、他人と暮らすという勇気に驚いたりもする。
    なんてことはない日常が延々と描かれても、ぜんぜん退屈しないのだ。

    最初、家主のタカ先生は、気力を無くして心を病みかかっているのではないかと思ったが…
    いや~、よくしゃべるようになりました(笑)
    自分の信条などを語る相手を持ったことで、生き生きとしてきた。
    身体の“内科”の先生ではあるが、人間の“内面”も診る。
    他人とかかわり、自分と違う考え方、生き方に触れることは、面倒ではあるけれど、一番の刺激であり、生活のスパイスであり、心のカロリーでもある。
    作者の言いたいことは、タカ先生によって語られ、佳人によって検討され反芻されて行く。

    理解できない考え方をする人間とはどう関わるか、または関わらないか、というのは永遠のモンダイ。
    先生の意見、しっかり者の恵美里の主張も、うんうんとうなずいてしまう。

    そして、ついに、佳人の「才能」を「仕事」に結びつける道が開ける?
    急に話が上手く転がった気もするけれど、今までの佳人のコツコツ積み上げた努力が報いられたと考えるべきか。
    期待に満ちたラスト。ぜひ、続きが見たい。

  • シェアハウスというものに憧れていながらも自身は住むことはないと思いつつ本で経験したいと考え手に取る。
    人物構成は微妙だが、男の自分としてはとても羨ましい限り。物語として成立させるにはそこそこ交流がなければならないし、語り手である主人公も含め、女性にギラギラしない男だけで構成しなければうまくいかなそうですね。それでも恋愛要素が控えめでそこは好感です。語り手を変えて、住人それぞれの目線の章立てで読んでみたかったかも。
    全編を通して大きなエピソードがマッチ事件と放火だけで変化がなく少し物足りないかな。家主であるタカ先生による人生観が深いが、後半は食傷気味になり少し面倒臭かったです。
    終盤はなんだか迷走したけど将来に向けて上手く収めた感じ。
    もう少し悪役を登場させてもいいのでは、と感じた。

  • 引退した医師・タカさんが大家として日々健康相談にのってくれる男二人、女四人のシェアハウス生活。

    初めましての小路さん。
    こちらとっても良かったです!!
    心に響いてくるメッセージの数々。人情にホッと和むし安心して読んでいられる。
    読みながらタカ先生のカウンセリングを受けているような気分になりました。
    会話にさりげなく相手への気遣いがあって心を軽くしてくれる人生のよき先輩。こんな人がそばに一人いてくれたら心強いし安心だろうなぁ。
    料理上手で優しい佳人くんもいて、いいなー、私も仲間に入りたい。

    住人同士の距離が少しずつ近づいていく感じや人間模様、謎、ちょっとした事件もあったりしておもしろかった!
    あちこちにタカ先生の名言がたくさん。
    みんなで囲む食事シーンが楽しそうでした。
    主人公の佳人がとにかく優しくて良い子。

    登場する人がみんな良い人ばかりで読後感も温かい。疲れたとき、何かに迷ってるときに読むと元気がもらえる一冊。
    素敵な初読み本でした♪

    『固まってしまった思いが解けていくためには時間が掛かる。だが、自分はこれでいいんだと思えることが少しずつ増えていけば、必ず解ける瞬間がくる』

    『いい思い出は、生きる力になるんだって』

    『どんなにくだらないことでも、何でもないことでも、嫌なことでも、経験しておけばそれは身体の中に溜まっていく。蓄積されていく。いつどこで役立つかはわからんが、何もないよりはマシってもんだ』

  • メシがうまくて腹いっぱい。ついでに心もポッカポカな話ですね。小路さんらしいテーマです。

  • 小路氏がこのタイトルで書いた作品に対して期待した通りの内容でした。
    登場人物それぞれに事情があるものの、基本的に皆善人で、前を向いて生きようとしている。若い頃なら一度ぐらいこんな環境で暮らしてみるのもいいかなと思いました。

  • 病院を改装したシェアハウスに集まった女性 茉莉子、亜由、今日子、恵美里と男性 佳人、大吉の6人。大家で、元医院長のタカ先生と、将来の夢が見つかっていない、フリーターの佳人が副管理人となり、ほど良い距離感をキープしつつ生活を送っていく。
    ある日の出来事を境に、それぞれがシェアハウスや今後の事を考えることとなり、佳人も自身の進む道を見つける。
    途中、タカ先生周辺の人間関係や若干の色恋沙汰
    、住人の抱える闇を巡り、共に解決しようとあれこれ協力し合うシーンが良かったのと、
    タカ先生が人との付き合い方を語るシーンが印象的だった。

  • このまま終わったらもったいない。シリーズ化してほしい。少なくとも、佳人がフランスから帰ってきてからのお話が、読みたいです。恵美里との恋愛の様子も読みたいです。

  • 小路さんらしい優しく暖かな物語でした。
    シェアハウスという他人同士の集合体の物語ですが、若くして医者をやめシェアハウスの大家になった小助川さんが父親、住人で最年長(40歳)の歯科衛生士の茉莉子さんが母親、37歳の大吉さんが叔父さん、3人の若い女性陣が姉妹、そして主人公の佳人が気の良い弟とする一つの家族のようで、一種のホームドラマの感じがあって、その辺りも小路さんらしいところです。
    チョッと説教臭いところがあって出来過ぎの話ですが、それぞれの成長が心地良い物語でした。

  • 小野寺史宣に出てきそうな佳人。ちょっと説教くさいが、その語りが心地よい小助川先生。それぞれ魅力ある物語を添えるシェアハウスの住人。とても心地よい物語でした。

  • ほんわか。未来への希望に溢れてて素敵なお話でした。シェアハウス憧れるなー

  • 軽く読めそうだなーと思って手に取ったものの話はなかなか面白く今の自分の人生にもいくつかヒントが...読書にも偶然はない。

  • 大家である元医師のタカ先生が良き相談役であって、読んでいて心温まり、励まされました。すごく居心地のよさそうなシェアハウスで、人間関係であって、仲間に入りたくなります。読んでいて仲間に入りたくなるのは、この作家さん独特のような気がします。目標を見つけて、前を向いて頑張ろうとする姿がとてもよかったです。

  • これは深面白いなー。タカ先生の言葉がいちいち深い。為になるから、まとめたいぐらい。主人公の成長も感じるし、暖かい内容だし読んで良かった。
    人は誰しも闇があるよね。闇の深さはそれぞれだけど。闇が病みにならないようにしないと。

    それと、1人が好きな自分にはシェアハウスなんて絶対無理だな。と思った。

  • シェアハウスというよりは、佳人の成長物。
    佳人の苦労の部分があまり描かれてないので、夢物語的内容にも見える。

  • 【あらすじ】
    十九歳春、佳人(よしと)のシェアハウス生活が始まった。地元の人々を診てきた医院を閉院し、リノベーションした「シェアハウス小助川」で一つ屋根の下に暮らすことになるのは、年齢も職業も様々な男女六人。自室を持ちながらリビングや台所や風呂を共有する生活だから価値観の違いも見えてきて……。そして家主のタカ先生をはじめ皆が抱える人生に触れながら、佳人は夢に辿り着けるのか。

    【感想】

  • 2015/4/18

  • 主人公の佳人君の観点で進むんですが、穏やかなマイペースな雰囲気が読んでいて和みます。だんだんと仲間、家族になっていく皆んなと、
    成長する佳人君の話し。
    皆んなそれぞれ、何かがある。
    タカ先生の人生論がお勉強になります。
    重くなく、優しい雰囲気で最後まで読めました。

  • 閉院した個人医院をシェアハウスにして、そこで暮らす人のお話。
    主人公は、その医院に小さい頃受診していた佳人。父親が亡くなり、母親の代わりに家事や双子の弟妹の世話をしていた家事のプロフェッショナル。


    なんか楽しそうな生活で、家族とは違う家族みたいな。料理が得意な男子はいいね。


    2015.5.16 読了

  • 優しい物語。
    一人は気楽だが、何だか淋しい…
    そんな想いを抱えている人々のお話

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著者プロフィール

一九六一年旭川市生まれ。札幌の広告制作会社に14年勤務。退社後執筆活動へ。
二〇〇三年『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』(講談社)でデビュー。著書に『HEARTBEAT』(東京創元社)、『東京公園』(新潮社)、『東京バンドワゴン』シリーズ(集英社)など。ほかに『うたうひと』(祥伝社)、『空へ向かう花』(講談社)、『brother sun 早坂家のこと』(徳間書店)などがある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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