死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101277615

作品紹介・あらすじ

ほとんどの人は死を前にすると後悔するという。では、人生の最期にどのようなことに後悔するのか――? 1000人を超える末期患者と正面から向き合い、その死を見届けた緩和医療専門医が、それぞれの患者が吐露した“やり残したこと”を25に集約。それらを参考にすれば、今から悔いの少ない人生を送ることができるのでは。「生き方」のヒントを教えてくれる大ベストセラー、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は、終末期医療に関わる緩和医療医。本書は、著者が36歳のときに発刊されたものらしい。いくら医療に携わっているとは言え、人が死に向き合うときの「後悔」について語るのには、少々若すぎるのではないかとも思える。

    しかし、「1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた」と書かれているように、様々な人生を歩んだ多くの人の最期に接することができる特別な環境にいた著者ならではの経験から書かれたものであること、特にその経験を通じて見られた「共通」を記したものであること、という点で興味を持って読んだ。

    取り上げられた「(死ぬときに後悔する)25項目」について、著者が「おわりに」でも触れているように、「そうだな」と思うものもあれば、「そうかな」と思うものもある。

    最初に第一章「健康・医療編」として書かれている部分では、医師としての立場から書かれたものであるが、やや上から目線の表現が「若気の至り」を感じさせる。医師である自身を富裕層の所属と位置付けたうえで、「一般庶民は~」と述べている。ここは、本書の大きなマイナスポイントで、著者のちょっとした「死ぬときの後悔ポイント」となるかもしれない。

    しかし、それに目をつむって読み進めれば、これからの生き方の参考になる点も多い。

    5つめに「自分のやりたいことをやらなかったこと」という項目がある。これは、本書のすべての項目を総括する項目でもあると感じた。
    「14 美味しいものを食べておかなかった」
    「15 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかった」
    「16 行きたい場所に旅行しなかった」
    「17 会いたい人に会っておかなかった」

    全ては健康な時にやっておかないと、あっという間に体が思うように動かなくなってしまい、その時になって後悔しても「アトの祭りだよ」「後悔先にたたずだよ」という視点のアドバイスだ。

    病弱になってから散歩を趣味として始めた患者さんが、「散歩で自然の美しさに”初めて”気づけた」とか「季節の移り変わりの素晴らしさを知った」という話はよかったが、これは「思い立てばいつでも始められる」という教訓でもあると思う。

    何でも「やろう」と意識した日が吉日だ。それも躊躇せずチャレンジしてみること、心の枠を超えてみることは、死に接した時期でなくでも、同様の達成感を味わえそうだ。

    「22 自分の生きた証を残さなかったこと」
    これは、なんとなくわかる。自分の人生は何だったのか?どういう意味があったのか?

    中間地点を歩んでいる今を振り返ってみても、人生の意味を問いながら歩んでいるように思う。芸術作品や弟子を残した人のことが書かれていた。確かにそういう人は、生きた証を後世に残せているのだろうと感じる。

    興味深く読んだのは、「死に様」に関する記述。終末期医療従事者ならではの記述部分。

    ・「死を前にすれば、貴賤や地位の高低等全く関係ない」
    ・「”マイ哲学”を持っている人は、死を前にしても堂々たるもの」
    ・「実際に今、死と直面している人たちの試練と比べれば、自分の悩みなど如何ほどのものでもないと感じる」

    著者自身は、特別な信仰はしていないようだが、ケア現場における宗教の力を実感されているようで、特に「まがい物の宗教」と「人生の支えとなる宗教」との違いは明確であり、それらをちゃんと見極める意味でも、正しく宗教を学習することを勧めていた。ユニークな視点であると思う。

    最後に「愛する人に”ありがとう”を伝えなかったこと」の項目では、最期になって、ギリギリそれができた人の感動のドラマを紹介している。

    これも普段から常に「感謝」の気持ちをもてるようにとの教訓である。著者が25項目の中で、最大に力点を置いて書いていたのはここであったと思う。

  • 末期がん等の緩和医療専門の医者である筆者の、近い死に向き合った患者の後悔について、語ったエッセイ。

    死を目の前にした場合の切実な後悔がつづられていて、それぞれ、確かにそうだろうなと思う。人生を満足に、生ききっている人はそうはいない。ただ、その捉え方として、後悔がない人と、後悔だらけの人はいるかも知れない。欲の個人差もあるだろうし。

    最後の章の、愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと。が非常に印象に残った。頑固な元大学教授の話。医者と患者の関係のむずかしさ、肉親の愛情の深さ。ドラマチックな話だった。

    後悔の内容は様々だが、基本的に信頼し合える人間と信頼し、満足できる感情の交流ができたか、自分が安定できる気持ちになれたかが幸せであり、後悔が少ないということなのではないかと思った。

  • takewoodyさん推薦

  • ホスピス病棟での、死を待つ人々の後悔集?みたいなものを以前読んだが、それとは大きく違った。
    長らく終末期緩和医療に携わる筆者が、その経験や知見から人が終末期に迎えるにあたって後悔するであろうことが25選ばれている。それを具体例をはさみながらも筆者のフィルターを通して的確に描かれているので、ただの”悲しい話”に終らず、示唆に富んだ話となっている。
    全部ではないが、多くは老境に入りつつある自分にとっても、またそろそろ見送る相手が出てきた昨今だけに、身につまされるものがある。
    文章もとても分かりやすいながら品格があり、これは手元に置くべき一冊だった。

  • ▼死ぬ時に後悔する25のこと
    1.健康を大切にしなかったこと
    2.たばこを止めなかったこと
    3.生前の意志を示さなかったこと
    4.治療の意味を見失ってしまったこと
    5.自分のやりたいことをやらなかったこと
    6.夢をかなえられなかったこと
    7.悪事に手を染めたこと
    8.感情に振り回された一生を過ごしたこと
    9.他人に優しくしなかったこと
    10.自分を一番と信じて疑わなかったこと
    11.遺産をどうするかを決めなかったこと
    12.自分の葬儀を考えなかったこと
    13.故郷に帰らなかったこと
    14.美味しいものを食べておかなかったこと
    15.仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
    16.行きたい場所に旅行しなかったこと
    17.会いたい人に会っておかなかったこと
    18.記憶に残る恋愛をしなかったこと
    19.結婚をしなかったこと
    20.子供を育てなかったこと
    21.子供を結婚させなかったこと
    22.自分の生きた証を残さなかったこと
    23.生と死の問題を乗り越えられなかったこと
    24.神仏の教えを知らなかったこと
    25.愛する人にありがとうと伝えなかったこと

  • 読むのは2回目となる。自身九死に一生をえる大事故から生還したため、これからの毎日を全力で生きていくため、もう一度読んでみようと思う。

  • 人生の幕を閉じる日が近づいていく終末期患者の後悔。
    医者である筆者は、それらの生の声を25個取り上げている。人それぞれ、後悔の内容や数は異なる。しかし、最後を迎える多くの人々が口にする主要な後悔である。
    決して後悔しないための方法論としてのメッセージではない。
    「私たちより先に"その時"を迎えた先輩から、人は何に後悔するのかを学ばせて頂く本」
    「「死ぬときに後悔することはなんでしょうか?」それを自らに問い、それに応えようとする心の声にしっかりと耳を傾け、真剣に考えて頂きたい」
    という筆者と先人からのメッセージだ。

    25の後悔を自分の人生に当てはめて考えるうえで参考にすること。自分が後悔するであろうことを先に認識し、その後悔が訪れないよう日々を送ること。自分の人生を意味あるものにするため、人生のゴールから考え、やりたいことを実践することが大切だと気づかせてくれた本だ。

  • すごい為になる本だった。
    為になるばかりでなく、最後の25話目は感動した。

    どんな強者も寿命には抗えないし、だからこそ生きているうちに何をするのかをよく考えることがとても大事なんだよと説く話。

  • 終末医療に関わっている医者が、人間が死ぬ間際に後悔してきたことを患者のヒアリングを通してまとめた本。

    ◎メモ
    ・健康でないと遊びも仕事もできない。後悔しないためにも、何よりもまず健康のことを考えて毎日生きる。健康なうちから健康のために投資する。
    →バランスの良い食事、定期的な運動、毎日7時間30分以上の睡眠

    ・やりたいことをしないと必ず後悔する

    ・人に対して優しくできる人は後悔が少ない

    ・故郷に帰らないと後悔する
    →月1顔を出す
    →温泉旅行へ

    ・仕事ばかりでなく、趣味や家族の時間もしっかり取る

    ・行きたい場所へ行かないと後悔する

    ・生き方は多様的だけど、結婚して子供を育てる経験をしないと後悔する人が多い

    ・生きた証を残さないと後悔する

  • 全てに共感するわけではないけれど、、

    まだ死が身近に感じれない今だからこそ読んでよかった本でした。できるだけ後悔なく生きることができたと思えるような人生にしたいきたい。

  • 「やりたいことをやらねば最期に後悔する。やりたいことはさっさとやるべきなのだ。」旅行も食べたいものを食べることも、年齢を重ねてくると億劫になってきていることを感じる。健康には気をつけているつもりだけど、推奨されるタイミングでがん検診を受けることは大切だと改めて感じた。家族との平凡な日常が一番大事で幸せ。

  • この人の文章は上から目線を強く感じて、本当に嫌いです(個人の感想です)。

  • 私は死ぬときには後悔しまくりそうな気がしてるのでかなり刺さった。

    特に、17歳で病気で亡くなった少女の手紙に胸を打たれた。

    少しでも後悔なく生き抜いていきたいと思わせられた一冊。

    死ぬまえにもう一度読みたい。

  • 日本最年少のホスピス医だった筆者が緩和医療の現場での経験に基づき、終末期の皆が後悔することを、関係するエピソードも交え25にまとめた1冊。人生は同じものは一つもなく、生き方や境遇、考え方・価値観等によって、後悔することも人それぞれだと思うが、概ねこの25に集約されるのだろう。死を意識して初めて、生きることを意識するのと同じように、どんなことに後悔するのかを知っておくことは、より良く生きるためにとても意味のあることだと思う。

  • 全ての項目が全ての人に当てはまるわけでは無いけれど、人生の中で、こういう選択をすることができるんだ、ということを確認できる本。

  • 正直「死にたくない」よ。
    でも、必ずみんな死ぬ。
    だからもっともっと日々大切に!
    わかっているよ本当にわかっているよ!
    最終編は読みながら泣きました、自分にも怖くて人間的に素晴らしい兄貴がいます。こんな風に最期に出来たらいいなぁと思いながら涙が出てきて・・・。
    大病しているので、兄貴より先かなぁ~・・・

  • 当たり前だと思っていることは当たり前じゃないと気付かせてくれた本。何度も読み返したい

  • 実家の本棚にあった本。
    自分が死ぬときに後悔することなんて考えたことなくて、よくある映画のようなイメージしかなかった。
    読んでいくことで、文字に書いてあることで、自分も25のうちのどれかを必ず後悔するんだろなと考えたけど、それを無くすために人生をもっとやりきらないとね、今読んで良かった。

  • S図書館+本要約チャンネル
    夢をかなえるゾウ4の参考本

    《今回刺さったもの》
    ・健康を大切にしてこなかったこと
    ・やりたいことをやらなかったこと
    人生はあっという間
    他人のためにいきる人生は辛い
    真面目すぎて鬱が多い
    自分に嘘をついて生きていないでしょうか
    自分の本音にフタをして生きていないでしょうか
    我慢し続ける人生になっていないでしょうか
    もう少し好き勝手に生きてもいいかも
    やりたい事はさっさとやれ

  • 約千人の死を見届けきた緩和ケア医の著者が、終末期の患者が後悔していた代表的な25の悩みを紹介。
    本書で紹介される25の後悔はどれも常識的なものばかりでこれを読んで目を見開かされたということはなかったが、「行きたい場所に旅行しなかったこと」、「会いたい人に会っておかなかったこと」など、総じて、やはり若く元気なうちにやっておきたいこと、やっておくべきことは後回しにせずやっておいたほうが良いと認識した。また、「自分の生きた証を残さなかったこと」というのが特に大事な点だと感じた。
    各論的な感想として、「健康を大切にしなかったこと」において、医者である著者が「早期発見」が一番大切であり、「きちんとした人間ドックを毎年一回受けること」を強調しており、肝に銘じようと思った。
    また、「夢をかなえられなかったこと」について、「考えてみると、死ぬ前に後悔するのは、夢がかなわなかったこと、かなえられなかったこと、そのものよりも、むしろ夢をかなえるために全力を尽くせなかったことにあるのかもしれない」と指摘されていたのが印象的だった。
    そして、タナトフォビアの自分には「生と死の問題を乗り越えられなかったこと」という項目がずっしりと響いた。「マイ哲学」を確立することは容易ではないと感じるが、模索は続けなければと思った。
    それにしても、著者は、本書執筆時には33歳だったということだが、多くの人の死に見届けてきたためか、すごく老成しているなと感じた。

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著者プロフィール

早期緩和ケア大津秀一クリニック院長。茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。緩和医療医。2006 年度笹川医学医療研究財団ホスピス緩和ケアドクター養成コース修了。内科専門研修後、2005年より3年間京都市左京区の日本バプテスト病院ホスピスに勤務したのち、2008年より東京都世田谷区の入院設備のある往診クリニック(在宅療養支援診療所)に勤務し、入院・在宅(往診)双方でがん患者・非がん患者を問わない緩和医療、終末期医療を実践。2010 年6 月から東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンターに所属し、緩和ケアセンター長を経て、2018年8月より現職。遠隔診療を導入した日本最初の早期からの(診断時や治療中から。対象をがんに限らない)緩和ケア専業外来クリニックを運営し、全国の患者さんをオンライン緩和ケア相談している。全国相談可能な『どこでも緩和』ネットワークを運営。著書に25万部のベストセラー『死ぬときに後悔すること25』(新潮文庫)、『死ぬときに人はどうなる 10の質問』(光文社文庫)、『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33』(幻冬舎)などがある。

「2021年 『幸せに死ぬために 人生を豊かにする「早期緩和ケア」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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