- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101277622
作品紹介・あらすじ
普通の偉人12人の物語――。彼らは時代の波に翻弄されるも、様々な苦難にそれぞれの立場で懸命に向き合い、幸福に満ちた最期を迎える。死を目の前にしても幸せで、人に感動さえ与えて逝くという死生観とは、どのようなものなのか。1000人を超える患者を見届けた緩和医療医が、まるで小説を思わせる感動的エピソードを書き綴った感涙の書。『感動を与えて逝った12人の物語』改題。
感想・レビュー・書評
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朝 起きて、身体痛くない時には、今日は「幸せ」と、思いながら、身体を起す。
人生100年には、まだまだ、あるけど、年齢を重ねるごとに、薬の副作用も加えて、身体に痛みを感じる事が、多くなって来た昨今。
図書館へ行って、この本を見つけた。
「人生の〆方」
誰でも たった一度だけの〆切が、あることに、・・・
11人の方たちの〆方が、著者 大津秀一氏が、この本で記載されていた。
はじめに と、最初に書かれていた中学時代の彼女の死。
私も高校時代の友達が、韓国籍であったのは、後で、知ったのだが、韓国の大学の入学通知も授与した後なのに、焼身自殺した!と、聞いた時の衝撃は、なんとも言えなかった。
いつも、ひょうきんな言葉を言ったり、笑顔ばかりしていた彼女だったのに、何が、どうしたの!と、・・・
沢山の友人に囲まれていたのに、誰にも言えなかった事が、あったのだと、・・・・
今、凡庸に過ごしている私は、この彼女の苦悩が、未だに解らずにいる。
エピソード1から、著者の初めて病院への赴任の出来事から描かれている。
採血技術についても、よくわかる。
私も、看護師泣かせの血管の持ち主であるため、採血時には、大変である。
入院で、手術と、なった時には、前夜から絶食の為に余計に血管が、浮かび上がらない。
これは、著者だけでなく、みんな人それぞれの身体だから、ここだ!と、思う場所から採血が、採れない事だと思う。
私も、毎月の採血で、看護師さんに、1度で、採血して貰ったら、感謝して言葉にしている。(笑)
エピソード2になると、寡黙な男性が、苦しい、つらい、等と言う事も無く、「今日も変わりません」と、言って過ごし、最後に、医師に感謝の言葉を残して、あの世へと行ってしまった。
我身を実験台にして、未来への医学の進歩へと、託している姿に凄い人だと、思ってしまった。
エピソード3は、著者の回診で、「自分の住むところに今度一度 来てみて下さい」と、・・・・
ステロイドの使用方法も、個人差が、あるだろうけど、医師の薬の選択にもよるだろう。
普通だったら、今度来て下さい!と、社交辞令でも言っていても、訪れる機会があるのに、この病院ヘ入院したら、戻れない事も自覚している所が、辛い。
エピソード4 辛い人生を過ごしていても、最後まで、「幸せ」と、口癖になる迄、言い続けて過ごした老婦人。
私も、これから、「幸せ」と口癖になる迄、言い続けてみよう!!!
エピソード5 間接性肺炎の病気に冒された かって要職の男性。
一生を仕事に費やし、炎を燃やし続けた男性。
だけど、部下の人達や職場の友たちに慕われていた事が、凄い人だったのだと、わかる終わり方だった。
エピソード6 昔は、美人で聡明な人だっただろうと推測される80歳台の老婦人。
医師は、礼儀正しく謙虚で、・・・と、
そして、人間の人生は、大木の如し・・・と
禅の庭の引き算の美学の境地。
まだまだ、断捨離も出来ない私には、この境地になれないでいる。
エピソード7 自殺を図った男性。
本当は、一度死んだはずだったのに、永らえたロスタイム(?)に家族は、心の準備も出来、そして、その男性は、残りの人生の過ごし方を穏やかに新しい病棟で、生まれ変わったように過ごし死へ向かって行った。
エピソード8 90歳の元住職の妻だった老婦人。
再婚という事で、住職の妻になるには、子どもと別れて過ごした波乱万丈の人生。
そんな苦労の一片をも、見せないで、逝ってしまった。
エピソード9 着物についても アメリカで、ショーもし、勉学にも優秀だった男性。
自分が、一番!と思って人生を過ごして来たけど、自分が1番ではない事に気付く。
人生の先取りを見つめる男性の哲学的指摘に、とても優秀な方だったのだと、・・・
最後の著者である先生への言葉も 心を打つ。
エピソード10 大腸がん末期の60代の女性。
抗がん剤をしなくなって、7カ月も経つのに、未だ症状は、お腹が、膨れてきている事位であった。
著者の長期生存への挑戦でもあるかのように・・・
エピソード11 40代の腎臓がんの男性。
母親は、80歳。
素敵な息子であり、その母である。
どちらも、気遣いをして、笑顔で、墓場まで自分だけの秘密として、もっていくつもりであることも。
みんなを微笑ましくさせる様子も、末期である事を忘れさせるような話である。
みんな、一人づつ 人生のドラマがある。
この本は、薄い単行本なのに、書くことが、多くなった。
12人の物語りであるが、エピソードは、11人まで。
エピソード12は、自分の物語り。と!
さてさて、この桜も、あと何回見る事が出来るのか?と、思いながら、1日を大切にしたいと思った本であった。 -
終末医療に携わる医師が経験した11のエピソード。人生何が幸せか、人生を全うした人の話は説得力がある。著者自身も生きがいを持っているのがよく感じられ、自分のことを振り返る機会となった。2015.2.19