傷だらけの店長 街の本屋24時 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2013年8月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784101278711

みんなの感想まとめ

本屋を経営することの苦悩と希望が交錯する物語が描かれています。書店員や店長のリアルな体験を通じて、現代の書店が抱える厳しい現実が浮き彫りになります。販売データに振り回され、書店が次第に消えていく中で、...

感想・レビュー・書評

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  • 『桜風堂ものがたり』で触れられていた一冊。

    思っていたよりも、傷が深い(苦笑)
    本屋を経営することの、楽しさよりも苦しさが、苦しさが詰まった怒りまでもが込められていて、分かる、けれど辛いなと思った。
    そこに希望や笑いを見出してよいのか、文章からは分からなくて、読んでいるのが苦しかった。

    書店がどんどんなくなっていく。
    そこに、沢山の書店員の怨嗟の声を聞くのかな。

    ネットで買うからだよ、という声も聞く。
    けれど、ネットに出品している業者だって、そこに商機を見出し、食い繫いでいる人たちだ。
    中古本の価格なんて、たかが知れている(ものがほとんどと言える。ある種の古書の価値とは別に。)
    私たちが比較検討し、安くて良い状態のものが手に入るのなら、それが悪いこととも思わない。

    さらに本そのものの売れ行きが落ちていることは、最早流通だけの問題でもない。

    ふと、この先何十年かして、自分が老年を迎えたときに、近所に本屋は残っているのかなと思った。
    外出の範囲が限られる老人が増えるのなら、また、町の本屋さんが日の目をみることはないのだろうか。

    レビューから逸れてしまったけれど、せっかく手元に残る本だから、辛さよりも、この店長さんが抱いてきた意地のような何かを知りたかった。
    本屋には携わらない、と決めながら、この本を残した思いに触れたかった。
    それは言わなくても込められてる、と言われればそうなんだろうけど。
    自分も本に携わる人間だから、辛かった。

  • とある町の書店店長の苦心の記録。
    理想と現実の間で、かせられるノルマ、
    限界を超えた作業量、信じられないくらい安い給料。
    それでも心血注いで理想の書店を作り上げようとする中
    近くに大型書店が開店し…

    かなりネガティブなのと過剰な反応が多いのが
    読んでいて辛いです。それは逆に言うとそれくらい
    追い詰められているからで…
    作者の店長さんは社員で責任も重く
    本に対する思い入れが本当にあるからこそ
    ここまで追い詰められたのだろうな…と思います。
    なのでこの感想は同じように大変とはいえ
    まだ責任が軽いパートの立場からの感想だと
    お思い下さい。

    店長さんが憤っていることは
    書店員ならば心当たりがあることばかり…
    ゆっくりとお客様の相手をしたい、
    売り場に手をかけたい、と思っても
    終えなければならない仕事量が多すぎて
    本当に精神的余裕が削られていくのを感じます。

    私は地元の小さな書店と作中で言うところの
    ナショナルチェーンの書店、両方で働いた事があるので
    どちらの気持ちもわかるというか…
    地元書店の時はお客様の欲しがる人気新刊の
    配本がなく平謝りし
    かといって大手書店では販売ノルマに憤慨したり
    別にお勧めでもなんでもない本を
    本部命令で「書店員イチオシ」などと
    展開しなくてはならないし。

    ただ、大型書店が人も十分にいて、妥協して展開し
    金太郎飴のようで書店員の思いいれも
    何もないみたいに書かれていますが…
    確かにそういった書店も多いは多いです。
    この店長さんのように思い入れを持って
    棚を揃えてあるのは素敵な書店だと思います。

    ただ、今は本当に本が読まれない時代です。
    電車に乗った時に周りを見渡して
    本を読んでいる人の少なさにどきっとします。
    私はネットやスマホ、いくらでも時間を潰す方法がある中で
    本を読んでいる、本を買ってくれるだけでも
    ありがたいと思っています。
    一般的な売れすじ、超人気作が店頭になければ
    「この本屋行くのやーめた、ネットで買おう」に
    なるだけなんです。

    多少納得がいかなくても一般的な売れすじを揃えた上で
    こだわりの本をお勧めする形ではだめだったのでしょうか…
    私も、正直「なんでこの作家さんが売れてるんだろう」
    という本や「人気アイドルが主演でドラマ化
    したから売れてるんだろうなぁ」と思う本が
    どんどん売れます。昔は嘆かわしいなどと思っていましたが
    今はとにかく売れて欲しい。このままだと
    金太郎飴のような書店すらもなくなってしまう…
    それくらい切羽詰ったところにいるのでは
    ないかと思うのです…

    偉そうなことを書きましたが
    本が好きで面白い本を勧めたくて本屋で働き始めたのに
    忙しくて疲れきって気づけば好きだった本を
    全く読めず、むしろ本をみるのも嫌になる…
    私自身、一度その状態、激務に耐えられず
    本を嫌いになる前に辞めたい、と書店を辞めました。
    しかし違う職種についてまた書店に戻った身なので
    周りから「なんでまた書店に?」と聞かれたものです。
    色々考えてやっぱり本が好きだから、かなぁ…としか
    答えようがないのです。

    こだわりのある地元書店さんと
    幅広く提供できる大型書店とが共存できるシステムが
    あったらよいのですが…
    …発売日に書店から万引きされた新刊が
    新古書店に並び
    ネットでクリックすれば本が買える時代では
    それも難しいのでしょうか…

  • 本と書店を愛する村山早紀さんの「桜風堂ものがたり」の参考文献としてあげられていた一冊が、本書。

    本を愛する青年をめぐる物語、桜風堂物語が参考にしたのは、販売データに振り回され棚を作るようになった、現代の書店。そして、その店長の姿。
    本を愛するあまり、書店でのアルバイトをはじめ、そのまま書店員となり、そして現実に押しつぶされていった、書店員、店長の事実の物語。
    興味深かったけど、辛いわ。
    でも、それが多分真実。

  • 読んでよかった!!4年間、書店でバイトをして、今も版元で働いている身としては、他人ごととは思えない、この業界の実態。客注品が2週間後に書店に届くなんて当たり前、行方不明になることも時に有り、わざわざ書店で注文するのがバカらしくなるこの流通システム。増えていく大型書店、消えていく街の書店・・・。CCCの台頭、中途半端な電子化、脆くなってきた再販制。新文化によると、ブックオフすら2013年度の実績は、買い取りが4億2813万冊、販売が2億7525万冊らしい。9年連続で前年割れしている出版物の推定販売金額。それでも、本が好きな人たちは、傷だらけになりながらも、戦っていくんでしょう。わたしも。

  • 書店で働いたことがあるので
    自らの傷をえぐるような読書体験。
    読み始めて、何で読んでいるんだろう。
    私は読まなくてもよく知ってる世界じゃないですか・・
    でも、店長がどうなるのか読み続けた。

    みんながみんな、こんなじゃないんだろうけど
    書店で働いたら、「あるある~」ということも多いんじゃないだろうか。
    「本屋は楽でいいね~」とかありえないし・・
    そして万引き・・やめて。
    本屋だけじゃないけど、万引きて言葉のせいで、軽く考えているのなら大間違いです。
    やめて、本当に。
    万引きをやったことがある人、万引きを軽く考えている人、読まないだろうな~。読んで欲しいなあ。


    本が好きすぎるだけの人は書店員以外の職がいいと思う。
    図書館員もしかり。

  • ホームページに感想を書きました。
    「全然面白くないけど凄く面白い!!」
    http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage182.htm

  • 書店で働く人達には本当に尊敬の念を感じる。
    本が好きだからという思いが根底にあるが、それだけでは駄目なんだと考えさせられる作品だった。

  • 書店で働くのは、ましてや店長ともなると、さぞや楽しいに違いない。などと思っていたのだが、現実はとてもとても厳しそうだ。本好きが高じて本屋の店長となった人物の奮闘記。現実の社会でも、品揃えのよい大型店と、眺めるだけでも楽しい特色ある地域の小さな書店が、共存していく方法があればよいのに、と思いながら読んだ。

  • 書店員としての仕事のきつさ、給料の安さ、万引犯への憎さ。そして本に対する想いが十分に伝わる一冊でした。書店員に対するメッセージにはしんみりした。

  • 現実と信念。折り合いをつけながら過ごす毎日。書店員さんの特殊能力を知らなかったことが、すごくもったいない気がした。著者は幸せなのか、不幸なのか。自分は、、、

  • 本屋の店長の、やり甲斐と言う名の苦労話の数々。
    本当に大変なんだなぁ〜と思う。
    本が好きで本屋に就職したのだけど、本を読む事と本屋を経営する事は別世界。
    大型書店に太刀打ちも出来ず、それでも本に対する未練を断ち切れない。
    なんか辛い。頑張れ!と応援したくなる。

  • 先日読んだ村山早紀さんの「桜風堂ものがたり」
    参考文献としてこの本が記されてて・・・そりゃ読むよね?w

    伊達さん、もう本屋業からは足を洗っちゃったみたいだけど、ホントに本が好きなんだな~、こういう人の居る本屋さんで本を買いたいよね、という感じ。

    でも、ホント、あぶないから・・・万引き犯と闘うの、やめて欲しい・・・ドキドキ。
    ボッコボコにしてでもとっちめないと気が済まないって気持ちはわかるけど、命の方が大事だよ。個人のお店でもないのに・・・と、奥さんと同じように心配する。

    本屋さん、大変だな。楽しんで働けてる人は、幸せね。

  • 読みながらこっちも傷だらけになる、書店員経験者は特にそう感じるのでは。

  • H29.02.04 読了。

    インパクト大なタイトルに興味を惹かれ、図書館で借りてみた。

    書店員さんて大変なんだと初めて知った。
    確かに楽そうなイメージだったので意外。

    どんな仕事もやはり大変なんだ、としみじみ思った。
    伊達さんのその後ももっと読んでみたい。

  • 著者は書店チェーンで、店長を務めた人ださうです。いかに本屋の勤務が過酷であるかを述べた一冊。まあ著者の狙ひは本当は違ふのでせうが、結果的に「俺がどんなに苦労したか、解つてくれよ。いや解らなくてもいい。とにかく吐き出させてくれい」みたいな内容になつてゐます。
    わたくしも、複数の書店チェーンで店長を長年やつてましたので、その苦悩ぶりは実によく分かるのであります。
    少ない休日に長時間労働、恒常的なサービス残業、能力を超える絶望的な作業量、クレーマーや万引対策、社内営業を強ひられる「本部」対応...とてもぢやないが、本と人が好きでないと勤まらないのであります。

    しかし伊達雅彦さんはまだいい。どうやら書店物販専業のやうで、夜10時には閉店できるやうですから。本人もいふやうに、閉店後に自分のやりたい仕事が出来ます。別段過酷さを競ふ訳ではありませんが、わたくしの勤務した店は書籍雑誌のみならず、CDやDVDのレンタルや販売、中古ゲーム、古本、文房具など取扱部門が多く、すべてを店長が面倒を見なくてはなりません(むろんそれぞれに担当者はゐますが、結果責任は当然店長が負ふ)。
    いきほひ営業時間は長くなり、早くても夜の2時、これにネットカフェなんかが併設されてゐると、24時間営業が当り前なのであります。例へ休日でも緊急時には呼び出しがかかり、電話での指示で済まないこともあるので、実際に出動することもあります。休日だからといつてうつかり酒も呑めないのであります。たまたま友人と酒を呑んでゐた時に呼び出され、仕方なくタクシーで店に向つたことも。

    ああ、いかんいかん。どうしても後ろ向きの話ばかりになります。『傷だらけの店長』に救ひはないのか?
    著者は常に理想を求め、志が高いからこそ現状との乖離に苛立ち、もがくのであります。すこぶる優秀な人材だと推測されるのですが、チェーンストアでは求められるスキルが違ふのでせう。

    リアル書店は今後、総合大書店と一部のチェーンストアに収斂されてゆくと思はれます。実際、我家の近所にある大型書店は、平日の昼間から決して狭くない駐車場は満杯、道路が渋滞するほどの盛況ぶり。近所の本屋さんが次々と閉店するから、一人勝ち状態なのです。ますます、本好きの理想とする本屋は遠のくことでせう。

    「本屋になりたい」といふ人がゐたら、わたくしも著者同様、勧めません。本が好きならなほさらであります。それでも諦めない人には、本書を読んでもらひませう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-511.html

  • 書店の店長が抱えている悩みや苦労について、生々しくかかれている。あとがきを読んだら、著者はほんとに店長をされていたとのこと。それを知ってさらにリアルな書店の戦いを感じてしまった。。。
    楽しいことより辛いことが多い内容なので、読んでいてストレスを感じることも多かったが、それに立ち向かい最終的には店舗閉店で退職する姿を思い浮かべると、本に対する著者の思いがひしひしと伝わってきました。
    本は必ず本屋で買うと決めていますが、その心意気にももっと興味を持ってみようと思いました。 

  • 読了。
    書店の、出版業界の実状。
    純粋な気持ちだけではどうにもならない現実。
    実際、かなり薄暗いものがあると思います。
    しかし何故だかその薄暗い中でも光が完全に途絶える事は無いように感じてしまう。
    それはきっと、伊達さんはもちろん、自分も含め本を愛する人々が、書店を愛する人々が、消えることは決して無いというだけの、頼りない確信からなのだと思います。
    希望的観測と言われればそれまでですが。
    しかし私は伊達さんがどんな形でも、終わり方でも、例え自己満だったのだとしても、自らが望んで選んだ仕事に対して、陳腐な言い方ですが『一生懸命』働くことが出来た年月を心から羨ましく思いました。

    今この時期にこの本を手に取ることが出来て良かったです。

  • 『あなたは好きなことを仕事にしたいですか?』
    ……私はイエス。だからこそ足かけ6年、書店員をやっています。今でも本が大好きな気持ちはまったく揺らぎません。むしろ強くなりました。
    でも働いていれば、他の部分でうんざりする所も出てくるわけで。
    本書のリアルすぎる描写に考え込んでしまいました。

  • この本を軽い気持ちで買ってしまった私は、読みはじめてヤバい本を買ったなと思った。最初から作者の思い気持ちがのしかかってくる。でもこの現実から目を背けられず、一気に読んでしまった。仕事は自分の興味のある分野でできるに越したことはないが、もちろん趣味ではない。愛する本を業とする苦悩がとてもわかる。本好きが一度は憧れる書店員、本屋の経営、まだ子供のように憧れる私に現実がつきつけられた気がした。

  • 愛すべきコミック、「暴れん坊本屋さん」(久世 番子)で書店員さんの苦労は承知していたが、店舗を運営する立場にいた著者による本作はより現実的に書店経営の難しさを伝える。厳しい労働環境や競合店との攻防などの苦労話が多いが、本好きの常連客との交流や自身が薦める本が売れた時の喜びなど明るいエピソードには救われる。オンライン書店が確固たる地位を占め、電子書籍が台頭する今だからこそ本と書店を愛する店員さんがいる本屋さんには強い愛着を覚える。

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著者プロフィール

尚美学園大学教授
主な著書に、『映画で読み解く現代アメリカ2 トランプ・バイデンの時代』(共著、明石書店、2025年)、『ホロコーストと〈愛〉の物語』(共編著、彩流社、2024年)、『父と息子の物語—ユダヤ系作家の世界』(共編著、彩流社、2023年)、『現代アメリカ社会のレイシズム』(共編著、彩流社、2022年)、『ジューイッシュ・コミュニティ』(共編著、彩流社、2020年)、『ホロコースト表象の新しい潮流—ユダヤ系アメリカ文学と映画をめぐって』(共編著、彩流社、2018年)、『ゴーレムの表象—ユダヤ文学・アニメ・映像』(共編著、南雲堂、2013年)など。

「2026年 『ユダヤの創造力と集合的記憶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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