日常生活の中のほんの些細な、しかし言われてみればなるほどと唸らずにいられない、モチーフ選びが絶妙すぎるパスティーシュ小説10篇。
学生時代、清水作品に大ハマリして貪り読みましたが、10年20年経ってから読み直すとまた味わい深い。こんな小ネタがあったのか!なんて発見があったりして。
以下、自分のための覚書。
【空腹姫】自称ダイエット中の女子大生の意思薄弱っぷりがリアル過ぎてイラ立ちすら感じました……。
【ダイヤの花見】落語「長屋の花見」をそのまま列車や新幹線に置き換えたもの。って事に気付いた時の驚きは相当でした。
【平成×年竹林館占】高島暦のパロディ。あの独特の文章をなぞりつつ茶化し倒すとは。本書の中では異色の、しかし一番心躍った逸品です。
【栄養伝説】ますますヒートアップする健康ブームに冷や水を浴びせる、シニカルな笑いが。
【服を買う】デパートに洋服を買いに行くはめになった中年男の悲哀。イヤなんだろうなあ。怖いんだろうなあ、自分のセンスが笑われるの。ってか、中途半端に意地張ってないで、マネキンごと買っちゃえばいいのに。
【トライアル・アンド・エラー】パソコン様にかしずく人とかしずかない人。機械オンチとしては全く笑えません。
【果てしなき覚醒】再読した今年がたまたま2013年でちょっと嬉しい。
【こだわりの旅】これまた、「秘境」「知る人ぞ知る」「こだわりの」が大安売りされている旅行ブームを冷やかす趣。
【味覚戦争】日々食卓に並ぶおかずが尽く子ども用の味付けである事にパパもう我慢できーん、ってなる所から始まる味覚戦争。笑い話だけど微妙に笑えない。いいから黙って出されたもん食えや。
【戦時下動物活用法】有事の際には愛玩動物をも有効に活用しませう。無理やり感もなきにしもあらずですが、牛の活用法(敵地を片っ端から耕させて水田化する)に不覚にも和んでしまいました。