- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101283265
作品紹介・あらすじ
凄い小説を創り、凄い庭を造ることに後半生を賭ける-安曇野に住む孤高の作家が、自宅の改築を機に、究極の趣味に挑んだ。新しい家の邪魔になるシラカバや桐の木を切り倒し、バラ、シャクヤク、ボタンなど白色の花を基調に、内外の珍しい品種も植えて、気品のある庭をめざした。数年の試行錯誤を繰り返した後、執念の闘いは最初の区切りを迎える。ロマンと感動に充ちた記録エッセイ。
感想・レビュー・書評
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図書館で。
少し前にパラ読みした三浦しおんさんの本で取り上げられたので読んでみました。
なんて言うのか、典型的な昭和初期のオッサンって感じの思考と行動で自分には合いませんでした。まぁ年齢的にはオッサンじゃなくてもうオジイサンだろうけど。自分と違う意見を認めない姿勢もそうだし、気に入らない事はすべて「女や女のような男」の好みだと言いたい放題。いやぁ、こういう男性ばかりが幅を利かせてたんだから(今も幅を利かせてるだろうけど、今の方がまだマシな状況だと思うので)そりゃあ女性やマッチョな男性主張に同意できない男性は生きにくい世界だったんだろうなぁ、昔の日本って。そしてそれでもちゃんと妻帯者なんですよね。まぁ一昔前の人は結婚しない人間は大人じゃないぐらいの意識がありそうだけど。
と言うわけで簡単に言うと自分の自慢話ばっかりで、ああそうだ、自分がエッセイ苦手なのは人様の面白くもない自慢話ばかり読まされるのに辟易したからだったなぁと思いだしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『凄い小説を創り、凄い庭を作ることに後半生を賭ける』と言い切る丸山健二、修道僧の修行のようなエッセイ。
強い言葉はともかく、わかりやすい文章と毅然とした態度すがすがしい。夢中で読了した。
人手を借りず実寸350坪の庭を作る。しかも、白い気品のある花草、木々で埋め尽くすのだ。女性たちの派手なガーデニングとは程遠い。
何の説明もない巻頭の写真の2ページ目、庭全体の風景が目をむく。うっそうと茂った木々に咲く白い花々。圧倒された。
放浪のハードボイルド作家、好きなことをし尽くした後に田舎に引っ込んだ。文壇や世間と一線を隔して暮らす決心をする。試行錯誤の日々、肉体と頭を使って庭と闘い、自分の理想の庭を作る。
孤独が好きだ。といってもその時はまだ若かった、しょせんは仮の宿りとうそぶき、25年後には『どうせこの世は仮の宿りだもの』と悟る。
『自然に感じさせる不自然』
『美の追求とは残酷なものだ。加えるだけでなく、ときには引くこともしなければならない。無用と思った場合には、それ自体かなり貴重なパーツであったとしても、また、曰く因縁のある物であったとしても、容赦なく切り捨てなければならない。』
と、せっかく植えた貴重な木々、草々もばっさりと切り、ひっこ抜いて「白い庭」を作っていく。まるで小説書きの作業のように。
文学創作と庭作りが合体するあたり感動であった。庭つくりもハードボイルドなのだ。 -
豪快で清々しい生きっぷり。
庭は見事。情熱の結晶だ。
自然の奥深さも学んだ。 -
おもしろい。
丸山健二という人間そのままが、庭との対峙にあらわれている。
「女こどもの・・・」軟弱なガーデニングとは、まったく異なるという著者の庭造りは、趣味の域を超えている。
しかし、あくまでも生業との線引きをきちんとする姿勢がすがすがしい。
作品中、自宅の新築について書かれており、それに携わる職人に対する敬意、作家という生業に対する複雑な感情を垣間見ることができる。
一見すると、非常に偏っているようだが、実はとてもバランス感覚が良い。
著者の美学に触れて、丸山健二という人は、とてもチャーミングな人なんだろうと思った。 -
自嘲1割、自慢9割の庭造り&家造りエッセイ。自分の好みに合わぬ者や物については舌鋒鋭く批判。自分の行いについては、うまくいった時には手放しで感動し、まずいことをした時には前向きに反省する。不思議と嫌味はない。著者は幸せそうだ。うらやましい。皮肉でなく。庭木とすこしでも格闘したことのある人には共感できる部分も多いし、そんな経験が無くても楽しめる本だと思う。
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家を建てる前に読んでおけば良かった、読みながらそんなことが頭をよぎった。
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ビジュアルもほれた一因。
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<poka>
筆者の庭に対する執念が伝わってきます。
こんな庭を造ってみたいですね。
<だいこんまる>
家作り、庭作り、男の人がやるとたいていこういうことになります。 -
(2006年5月)。