超常現象: 科学者たちの挑戦 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.27
  • (6)
  • (24)
  • (41)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 341
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101283807

作品紹介・あらすじ

これほど科学が発達した現代社会においてなお、常識では説明のできない事象は確かに存在する。超常現象──。例えばイギリスの古城に姿を現す、ハンチング帽を被った男の幽霊。前世の記憶を詳細に語る子供たち。死後の世界を垣間見た人や、C I Aにその能力を認められたユリ・ゲラー……。人類はどこまでその正体に迫ることができるか。「本物」は存在するのか。最先端の科学で徹底検証する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • NHKスペシャル「超常現象 科学者達の挑戦」の書籍化。普段、読まない種類の本なので、私の知らない世界を知れるのか?と期待して。

    心霊現象(幽霊・死後の世界・生まれ変わり)
    超能力(ユリゲラー・テレパシー・透視 などなど)
    について、科学者が真剣に検証しようと試みます。
    結論は想像の範囲内ですが、今後、量子学等でもっと証明されるかも。アメリカの国防省がUFOの存在を認めたのも、この本の発行後ですし、ね。

    最近読んださくらももこさんのエッセイの中で、凄く忙しく多くの仕事をこなしている時、一人でやったと思えず、字も少し違う時があると言っていた。
    まだ説明できない何かはあるんでしょうね。

  • 2014年に計三回にわたってNHKで放映された超常現象を追った特番の書籍化。2021年の新潮文庫100冊のうちに選ばれているのを書店で目にし、選書の意外さもあって気になったので読んでみた。

    「第一部 さまよえる魂の行方 心霊現象」「第二部 秘められた未知のパワー 超能力」に分けてそれぞれのテーマに沿った取材の過程をつぶさに伝える。まえがきで「"人間とは何か"という命題に迫」ることを課題に掲げており、UFOのような直接人間に関わり合いのないテーマが除外されているのはこのためである。

    前後半それぞれ4つのエピソードによって構成されており、「幽霊」「臨死体験」「前世の記憶」「超能力とトリック」「テレパシー」など、大きなくくりのなかに詳細な項目が設定されている。取材地はアメリカとイギリス、そして日本が少しばかり加わる。いずれも各地で心霊現象や超能力について研究しているか過去に携わっていた専門家を訪ねて聞き取り、ときには実験を催したりイベントにも参加する。本業では高名な科学者も多く本格的な研究とあってオカルト色は極力廃されている。研究者たちによると超常現象と報告されるものの99%は説明がつくが、残りの1%は現代科学でも説明できない不可思議な現象とのことだ。

    通して読んでみて意外だったのは前半の「心霊現象」と後半の「超能力」にたいする取材者の温度差が見られる点である。取材前から先入観によってスタンスが異なっていたわけではなく、各パートの調査の結果として同等には扱えなくなったということだ。まず「心霊現象」については、巻末に収められている小説家との対談でも明かされるように取材の責任者は「心霊現象は存在しないのではないか」という心境に落ち着いている。実際、前半に登場する心霊関係の事象のほとんどは「脳の錯覚」として片が付いているようにも見える。一方、超能力については意識が量子に影響を及ぼしているのではないかという可能性が示され、超能力は科学的に未解明なだけで実在するのではないかという期待もうかがわせ、「心霊現象」とは扱いに差が生じていた。

    超常現象を科学的に解明することがコンセプトなので予期してはいたが、実際の実験・調査はあまりカラフルなものでもなく、はっきり言って地味である。予算の都合もあるだろうが、全体として深掘りするでもなく駆け足に終わってしまった印象は否めない(取り組み方によってはユリ・ゲラーの検証だけでも一冊として成立するだろう)。ひとつ、本書の現実的な効能をいえば、幽霊に対する怖れが薄れるかもしれないということは挙げられる。

  • 現在は科学的に説明できないことでも、検証を続けることで、将来は科学的に説明できるもしれない、17世紀に分かっていなかったことが沢山分かってきたじゃないか。

  • 超常現象のうち心霊現象と超能力の2つを科学的に研究、検証する試みを取り上げる番組を文庫にした本。

    未知の現象について、わからないことはわからないという中立的な態度をもって取り上げようというテーマ自体は面白いし真摯なものを感じたが、結局ほとんどは現象の主観的な観測とか例示に留まっていた印象。
    みんなが一つのイベントに意識を集中するイベントで乱数発生器が極端な偏りを示す実験などはドキュメンタリーやバラエティとしては面白いが、やはり説得力を感じなかった。
    「これをしたらこういう結果が出た!」というのはキャッチーだけど、出なかった例の方が多いだろうし、こういう理屈でこういう結果が生じるだろうという仮説を組み立てて検証する話でもないからだと思う。

    結局は「超常現象」というものの存否から入ってそれらしい現象を主観的に評価する側面が強いように思われる。
    一生懸命「それらしいもの」を探しているから「それらしいもの」の「それらしさ」への印象に寄ってしまっているのを感じた。
    「偶然の統計学」を読んだときの「近いは同じの法則」を思い出した。

    本書で超常現象の研究の弱点として挙げていた「数学で表現できない」というところが結局は全てを物語っていると思う。
    まだ、科学という土俵に上がる前なのだと思う。
    試みは面白いし研究者たちの熱意には頭が下がるが本とか番組で取り上げるには科学エッセイというよりはドキュメンタリーの域を出ていなかった。
    それが無意味とは思わないが、やはり1冊の本にするだけのものは私は得られなかった。

  • 昔の人々にとっては見慣れない自然現象も超常現象だった。何世紀後かの人々にとっては、我々が今超常現象と呼んでいるものも、違和感の無い常識になっているかもしれない。本書では、現代の科学を駆使して何が分かり、何がまだ分からないかにアプローチしており、オカルト要素から最も離れた立場で編集されている。テレパシーについては脳の研究が進み、近いうちに新発見が出てくるように思うが、前世の記憶の謎については、何か科学的に説明出来るオチがつくと思っていたら、今後真剣に研究する価値がありそうとの事で、一番興味深かった。意識が肉体から離れて存在する証拠など出てきたら、世の中が一変するだろう。とにかく超常現象という単語には、科学嫌いを科学の世界に引き寄せる力があるので、教育現場でもどんどん使って欲しい。それがかえって胡散臭いオカルトやエセ科学に騙されない人間を育てる近道の様に思う。

  • NHKスペシャル取材班が、2014年1~3月に3回に亘って放送した「ザ・プレミアム 超常現象」と「NHKスペシャル 超常現象 科学者たちの挑戦」の内容を書籍化したもの。2014年に出版され、2018年に文庫化。
    超常現象(paranormal phenomena)とは、「現在までの自然科学の知見では説明できない現象のこと」であるが、本書では、
    ◆心霊現象と言われる、①幽霊、②臨死体験、③生まれ変わり
    ◆超能力と言われる、①念力/サイコキネシス(意識の力で物を動かしたり、形を変化させたりすること)、②透視/クレアボヤンス(見えない物を透かして見たり、遠くの物を見ること(千里眼))、③テレパシー(離れたところにいる他者の考えが分ったり、意識が通じ合ったりすること)、④予知(未来の出来事を正しく感知すること)
    を取り上げ、最も幽霊に憑かれた城と言われる英国・南ウェールズのマーガム城、世界で最も有名な“超能力者”ユリ・ゲラー氏、冷戦時代に米国の国家プロジェクトのひとつであった元超能力スパイ、更に超常現象を科学的に解明しようとしている多数の科学者ら、世界の様々な場所・人々を取材している。
    そのスタンスは、NHKらしく、超常現象を無批判に煽り立てるものでも、超常現象を現代科学の視点から説明・否定するものでもない。最先端の科学で検証し、何がどこまでわかっているのか、そして、現代科学ではまだ説明できないことは何なのかを、ありのままに伝えている。
    私は基本的には、超常現象などは存在しないと考える現実主義者であるし、意識についても「人間の意識は脳という物質が生み出している」という唯物論的解釈を支持しているが、一方で、偶然やトリックでは説明できない現象が観察されていることも認めざるをえず、本書に挙げられた以下のような科学者の考えには非常に興味を惹かれた。
    ◆渡り鳥が長距離を正確に移動したり、サケが生まれた川に必ず戻ってくる能力は現代科学では完全には解明できておらず、似たような未知の能力(テレパシー?)を人間が持っていても不思議ではない。
    ◆量子論の世界では、ある人が量子を観測しようとすると、その行為が観測対象に影響を及ぼすという現象が知られているが、それは、量子の働きには「意識」が介在しているということなのではないか。また、二つの量子の片方に刺激を与えると、同時にもう一方の量子にも影響が及ぶ「量子もつれ」という状態は、二つの量子をどんなに遠く離しても維持されるが、それにより、脳は空間を超えて相互接続しているのではないか。
    超常現象を解くカギは「意識」にあるのかも知れない。。。超常現象を追って、現代の自然科学・人文科学に跨る究極のテーマ「意識(とは何か)」に行き着く。。。力作である。
    (2018年7月28日了)

  • シリーズ超常現象の台本をそのまま書籍にしたような本。
    恐らく、映像で見た方が面白いと思う。
    著者の感想やら心情やらも事実と一緒に掛かれているので、どこまでが客観的事実なのか主観なのかが分かりにくく思う。
    心霊と超能力の大きく分けて二つに、科学の側面から挑んでいるが、着地点は「~かもしれない」なのでモヤる人は多いだろう。

  • 超常現象をあくまでも中立的な立場で検証した本。
    幽霊の目撃などの科学的に説明できる現象、生まれ変わりなどの科学的に説明できない現象があるらしい。興味深かったのは人の念?は機械の動きに影響を与えることもあるということ。脳の同期という現象にも驚いた。

  • NHKスペシャル取材班『超常現象 科学者たちの挑戦』新潮文庫。

    NHKが超常現象を取り上げたと話題になった番組の書籍化。幽霊や臨死体験、超能力など民放のスペシャル番組が取り上げそうなテーマが描かれるが、超常現象を肯定も否定もしていない。まるで国営放送は公正であって当たり前といった世間の心理を利用し、卑怯にも取材の立場を明らかにしていないように見える。

    ただただ取材した内容を羅列し、巻末に特別対談を収録しただけの作品。

  • 2014年に放送されたNHKのテレビ番組3本を基にした一冊。
    番組のスタンスは、超常現象を最先端の科学で徹底的に検証し、何がどこまで分かってきたのかを見極める。検証の結果、残された謎にも触れ、現代科学では「まだ」説明できない現象があったとしても、その事実を伝える。というもの。現代科学では説明できなくても、いずれ説明できるのではという考え方が興味深い。人、自然、物理現象には解明できない点が多くあるということか。実際、人の脳はほとんどが使われていないと言う話も聞くし。

    番組はまず、130年の歴史を持つ心霊研究協会(SPR)とともに、イギリスの古城で起きる現象に挑む。夜中に突然冷気を感じるのは、恐怖を感じた人の身体が反応して体温が下がった可能性、磁気異常とともに発生する不気味なオレンジ色の光は電磁波の影響で幻覚を見た可能性が指摘された。

    次のテーマは臨死体験と前世の記憶を話す人たち。これも脳の動きがカギだと指摘される。いろいろな情報から無意識に前世の記憶を作り出す「偽りの記憶」の可能性が挙げられている。しかし、それでは説明できないケースもあるらしく、これは未来の科学に解明が託された。

    続いてはスプーン曲げ、ユリゲラーも登場。アメリカなどでは軍用に利用できないか、透視能力や念力?などが研究された時代があったらしい。遠く離れた、見たこともない敵の施設を透視した例もあるとか。最後にテレパシー、よく言われるのは双子など近い関係の二人で意思が通じ合うケース。何らかの不思議な力があるようだが、これも解明には至らず。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

NHKスペシャル取材班の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
遠藤 周作
恩田 陸
劉 慈欣
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×