ヤクザが店にやってきた―暴力団と闘う飲食店オーナーの奮闘記 (新潮文庫)
- 新潮社 (2009年8月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101284712
作品紹介・あらすじ
額に汗して稼いだ金で飲む-。客のそんな一夜のささやかな楽しみを守るため、一人の男が立ち上がった!ヤクザを撃退し、その営業方針を貫いて長年飲食店を経営してきた著者。「ぶっ殺してやる」と脅されながらも、熱い信念を曲げずに闘い続けるのはなぜか。ヤクザに絡まれそうになったとき、どうすればいいのか。深い洞察と手に汗握るエピソードに彩られたノンフィクションの傑作。
感想・レビュー・書評
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川崎市で飲み屋をやって45年、一貫して「暴力団お断り」を掲げて営業してきた一人の経営者のドキュメンタリー。
言う易し行なうは難しの極みのようなことをずっと続けてきた点は驚愕に値する。
なんせ相手が相手なのでその対応は相当な困難を要すると想像できる。
面と向かって対応するにも、まず相手の雰囲気に飲まれて言いたいことも言えない状態に陥りそうであり、まずはそれに打ち勝つ胆力を持っていないとこんな営業方針は掲げられないだろう。
毅然とした態度で話をする事ができても、そう簡単に引き下がる相手ではないはずで、その後の戦略を常に考えながらの受け答えは薄氷を渡るようでスリリング。
並みの人物には到底不可能なことをやっている。
では一般人がトラブルに遭遇したら?その対応法も書かれているので一読しておいて損はない本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんとはなしに借りた本。
川崎のキャバレーを営んでいる作者の本。
暴力団お断りをモットーに商売するための秘訣? 心意気?
そんな感じの実録本。
とはいえ、ヤクザものは出入りしてくるし、あくまでもお店としては暴力団お断りなだけで、付き合いがないわけではない。
今のご時世的には、そのスタンスができるかは不明ですが、飲食店系をこれから行おうとする人には、ある意味参考になるのでは? -
ヤクザと一体不可分と思われてた水商売のオーナーでありながら、川崎市という特異な地域でヤクザお断りのスナックを営業し続けた作者の実体験に基づく物語。
作者は麻布十番に焼肉店も持っており、幾多の苦労を乗り越えて、成功されたのだなと実感した。
みかじめ料という名の下に、ヤクザが集りにくる水商売。実はその裏には警察との密なつながりもあり、警察ーヤクザー水商売の奇妙な三角関係もうかがえる。
いずれにせよ実体験に基づく撃退劇は迫真に迫るものがあり、非常に興味深い内容であった。
一方で、カタギという体裁ではあったが、実態はヤクザの大物との付き合いもあり、ヤクザお断りとは?と疑問符もついてしまった。
そうした清濁併せ呑むことが必要な世界なのかもしれない。 -
【要約】
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【ノート】
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全力でおススメ
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よくヤクザと戦い抜いたなぁ、と思う一方で、川崎で飲食店を営むことの困難さを感じました。そこまでして続けるのはどうしてなのでしょうか?
いくら減ったとはいえ、まだまだヤクザやそれに準じた人(もつと組織的ではないタチの悪い人)はいるわけで、望まなくとも接点が出てくるでしょう。飲食店でなくとも参考になることはたくさんありました。
最初が肝心
現地を取られないようにする
すぐに駆け込む
録音する
しかし九州太郎はヤクザだよね?線を引いてるとは言え、思いっきり付き合ってんじゃん!!とみんな思ったはず… -
著者が水商売の店を経営する中で暴力団と戦ってきたドキュメント。表紙の図案は想像ができないほど内容は「怖い」ものだ。著者が体を張って自分の店、そして経営方針を守る姿勢がすごい! また、ヤクザよりたちの悪い一般人にも迷惑をかけられた話を読むと、著者に限らず客商売の難しさを垣間見る思いだ。最後の九州太郎との逸話は、著者のポリシーに反する面はあろうが、温かみを感じた。
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相手の弱点をとことん追求する、自らの力をとことん見せ付ける。強者弱者の論理は社会の日常の中にある。自分自身をしっかり見つめ自信を持って生きることができればなー。
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暇つぶしの読み物としては面白かった。任侠ものやチンピラものの物語で読んできたシーンを店主側から見るとこうなるんだな。暴力団お断りって、きっと物凄く難しいことだと思う。市井には色々偉い人がいる。
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ノンフィクション。著者の男臭いひたむきな情熱と強い信念を感じた。恩義に厚いところが似ているとは言え、真逆の世界に生きる親分と親交を深めることになるのがドラマチックだった。ストーリーは違うのだけど、昔見た映画ヒートとなんとなく印象が重なった。男の美学みたいな感じが。