老人介護 常識の誤り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101286518

作品紹介・あらすじ

老人と介護者を支え、介護を変える、革命的な本。

感想・レビュー・書評

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  • 老人介護 常識に誤り(新潮文庫)
    著作者:三好春樹
    長い人類史上で、一分刻みの時間に追われる三歳児というのは、この20世紀後半の先進国だけに生じた異常な現象ではないかと。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 2019/1/2 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1219.html
     
    親のこと、家族のこと、自分のこと・・・。
    この本を読むと 目からうろこだったり、力づけられたりします。

     老人が本来もつパワーを引き出してこそ「介護」なのに、逆のことばかりしていないか。
     老人を受け身的対象から、生活の主体にするための具体的方法とその考え方を述べる。

    2014/11/19 予約 11/30 借りる。12/1 読み始める。12/29 読み終わる。

    内容 :
    老人と介護者を支え、介護を変える、革命的な本。
    介護の現実をよく知る専門家が、必要で大切なことを教えてくれます!
    老人が本来もつパワーを引き出してこそ「介護」なのに、逆のことばかりしていないか。
    老人を受け身的対象から、生活の主体にするための具体的方法とその考え方を述べる。

    著者 : 三好/春樹
    1950(昭和25)年、広島県生れ。高校中退後数々の職業の就き、24歳で特別養護老人ホームに生活指導員として勤務。
    31歳で理学療法士の資格を取得。35歳で独立し、「生活とリハビリ研究所」を設立。
    各地の通所施設や在宅訪問に関与しながら、現在年間200回の講演活動を行っている
    (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
     

  • 主体性と生活行動を維持することを目的にする介護。介護者との協同において決して介護者が主体にならないという点は教育発達領域においても同様だろう。関係の中に自己が位置づいているという表現はマーカス北山論文のままでおもしろい。生理メカニズムの活用もおもしろい。人間の生活はその生理メカニズムにそって作られている。筋肉や反射の仕組みをうまく利用する。

  • 父が急激に要介護状態となり、再読。病院を、早く退院させなければと思える。

    (2017/8/24了)
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    『We』182号で話を聞いた丸尾多重子さん(まるちゃん)が、介護中に三好春樹の本を知り、追っかけになったという話を聞いて、私も久しぶりに三好本をひもとく。

    私が三好春樹の本をどこで知ったのか記憶は不確かだが、最初に読んだのは、医学書院から出ていた『介護覚え書』か、『老人の生活リハビリ』か、とにかくこの2冊がはじめだった。いまから20年くらい前、91年か92年のころだ。学生だった私は赤鉛筆で線を引いたりしながら読んでいた。母の病気のことが、わかった頃だったかもしれない。

    まだ三好春樹の本はそんなにたくさん出ていなかったが、私はその後も三好本を見つけては読んでいた。そして、たしか96年だったと思うが、三好春樹の講演会が近所であるのを私がせっせと三好本を読んでいたのを知っていた友だちが教えてくれた。私ははりきって聞きにいき、「ブリコラージュ」もすぐ申し込んで、10年くらい購読していた。96年には、母はもう車椅子を使っていた。

    まるちゃんが最初に読んだ本だという『老人介護 常識の誤り』を私も久しぶりに読んで、やっぱりこの人おもしろいなーと思う。そして、あらためて読んで、三好春樹は、生きる「主体」は誰なのかということを、言ってるんやと思った。

    この本の6章では、「老人が主体の新しい介護技術」についての解説がある。初めて三好の本を読んだときに、立ちあがるときに頭はどう動くのか、飲み込むときに身体はどういう位置にあるかと、自分の身体を意識したことを思いだす。

    立ち上がりの移乗動作の介助のときに「体を密着させて介助しないと腰を痛める」と介護教室では教えられているだろうが、それは誤りだと三好はいう。

    ▼体を密着しろ、という指導は、老人を"物"として見ているのである。"物"なら体に近づけて持ちあげるほど楽になる。赤ちゃんでもそうだ。でも老人は"物"でも赤ちゃんでもない。老いと障害があっても、少しでも自分の足で体を支えようとしている主体なのである。その"主体"を生かせば、介護も楽になるのである。(p.272)

    この"常識"をひっくりかえした話に、たぶんまるちゃんはほれたんやろうなーと思う。もっと早くにこのことを知っていたらと、力任せにやっていたという介護のことを、まるちゃんは悔いていた。

    ▼介護とは、単に高齢者の数が増えたから必要とされるようになったのではなくて、人々の抱える問題が多様化、個別化した現代に、その多様で個別的なニーズに応えるために必要とされているのである。
     つまり介護とは一人一人の個別の状態を把握し、個別のニーズを把んで、マニュアルなんかに頼らない個別のアプローチを創り出していくものなのである。
     私が介護に必要なのは二つのソーゾーリョク、つまり想像力と創造力だ、と言い続けてきたことの理由はここにある。(p.24)

    そのソーゾーリョクは、生きる「主体」のことをわかろうとして、わからなくても思いをはせるところで、いかされるのだと思う。

    (2013/1/9了)

  • <印象に残ったこと>
    *自分のことを、元気だ、と胸を張って言える人が少なくなっている
    *自分の精神が傷ついていると思い、こまたはやりのこと言葉でいえば、癒しを基めている
    *一人の人が身体障害と慢性疾患を併せ持っていたりもする。老人となればなおさらでいくつもの問題を抱えているのである。この多様性と個別性を持った人たちのニーズに、安静看護という画一的な方法が通じるはずがない。
    *逆に介護の必要なケースに自立の方法を押し付けては、それは「介護」ではなくて「いじめ」になってしまう。
    *長い人類史上で、一分刻みの時間に追われる三歳児というのは、この二〇世紀後半の先進国だけに生じた異常な現象ではないかと。
    *シロウトこそ介護に向いている
    *老人を支える介護の質を決めるのは家族であるということに築いてきたのである
    *制度が充実して介護の社会化が進んでいくほど、家族の介護に対する考え方や姿勢が大切
    *「慢性期」という言葉に代えて「生活期」という表現を提案してきた。
    *病気によって生活が剥奪されるのはしかたがない。しかし、その生活の剥奪を前提として作られた医療や看護の方法論が、逆に老人の生活を剥奪してしまう危険性を持っているのである。
    *生活の主体を創るどころか、訓練によって主体として最も大切なプライドを根こそぎダメにしてしまっているだけではないか。
    *シトウロこそが生活の専門家だろうか。老人の生活の専門家はまず老人自身であろう。そして、その老人の生活を一番良く知っている
    家族がそれに次ぐ。

  • 老いは時に死より人生のヒントになる。
    死に伴う美化作用のない、衰え萎え退き呆けた状態。ピンピンコロリではなくズルズルダラリの最終章。老人介護から見える生きるヒント。
    介護には具体性と理念が必要、だから本書を書いたという。「具体性がなければ通用しない。理念がなければただの作業になってしまう。」ハードボイルド映画のセリフにも負けない格好よさ。
    「生活障害」「関係障害」という切り口で初めて見えてくる本当の問題と取り組むべき課題、目指すべき方向性。
    本書は谷川俊太郎の推薦どおり「実用書であると同時に思想の書」。
    数十年後の自分、十数年後の親世代、現在進行中の祖父母世代、全ての人に必要な本。

  • 素直に面白かった。
    これから介護を始める自分にとって、価値観を変える一冊になった。

  • 「生活リハビリ」を提唱している
    三好春樹の著。

    e-Bookoffで購入。

    以前に、この著者の
    『介護覚え書―老人の食事・排泄・入浴ケア 』
    を読んだときは、
    まさに目からウロコという感じで、
    その理論がとても新鮮に感じた。

    本書でも同様の理論を展開しているので
    目新しさはなかったが、
    自分が今後、どのようなスタンスで
    介護の仕事をしていくのかという指針を
    ここからつかめた気がする。

  •  介護というのは、言ってみれば「転ばぬ先の杖」のようなものだ。そこに求められているのは、「自分が杖になる覚悟」であろう。もちろん、「杖」は道具であり手段である。だからこそ、「無私」の人でなければ務まる仕事ではない。たとえ、ヘルパーであろうと、同居家族であろうともだ。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20081023/p4" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20081023/p4</a>

  • 介護現場は今も、「安静介護」「安静看護」の考え方にしばられて、本当は歩ける人を車椅子に乗せています。
    そんなジレンマに、明解に答えてくれる1冊。具体的な説明もあるので、総論だけではなく、各論にも触れられます。

    つまり、この本ではただ単に、「人間がしている当たり前の行動をしろ」と言っているのではないでしょうか。当たり前の行動をもう一度見つめなおすことで、新たな介護の方法が見えてくるのかもしれません。

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著者プロフィール

1950年、広島県生まれ。特別養護老人ホームに生活指導員として勤務後、31歳で理学療法士の資格を取得。35歳で独立し「生活とリハビリ研究所」を設立。近年は、生活リハビリ講座を全国各地で主催する傍ら、年間100回以上の講演活動を行っている。一般社団法人「考える杖」代表理事。

「2023年 『関係障害論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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