- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101286525
作品紹介・あらすじ
へんくつなじいさんと会話を楽しみ、ガンコなばあさんとも笑顔でつきあう-そんな介護ができる秘策は?老いに直面するじいさん・ばあさんたちの実情と、彼らを愛してやまない介護者の日常を綴りながら、現場を知る第一人者が、介護者の気持ちも楽になる全く新しい介護のコツを伝授します。「老い」とは新しい価値観との出会いです。じいさん・ばあさんとつきあえれば、老いても楽しく過ごせます。
感想・レビュー・書評
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R1.11.4 読了。
2025年問題。超高齢化社会を迎えようとしている日本。そして認知症患者も急増するといわれている。年を重ねて老いることは、社会悪で不幸せなのかと不安にも感じてしまうことも正直あった。
この本の中では、認知症や脳梗塞の後遺症などの障害がある人でも関わり方次第で生き生きとしてくる姿が描かれていた。
またこの本が書かれた1998年と比較して、自分の周りの老人介護の現場は劇的には変化していないと思う。自分は高齢者とどう向き合っていけばいいのだろうか?まずはNPO法人のディサービスなどを見学してみようかなと考えている。
でも、こういった介護現場の現状を示してくれるエッセイは貴重だと思った。
・「人間が丸くなるどころか、人格が完成するどころか、年をとると個性が煮つまるのだ。まじめな人はますます真面目に、頑固な人はますます頑固に、そしてスケベはますますスケベに。」
・「看護の3Kは権威主義、管理主義、科学コンプレックスではないか、なんて皮肉をいったこともある。」
・「この仕事のほんとうの大変さは、そのきつくて、臭くて、汚い仕事をとおして、老人をダメにする力も、逆に生き返らせる力も持っているということなのである。その怖さがあることが、大変なのである。」
・「企業の良し悪しを知りたければ、社長の語る理念ではなく、その企業の下請けや納入業者の声を聞けばいい。」
・「いくらいい家族に囲まれていても、家から1歩も出ないという生活をしていると、人間は元気がなくなるものなのだ。」
・「人が元気を出すには仲間が必要なのだ。自分と同じように年をとっており、同じように障害を持っている人との、横の人間関係が必要なのである。」
・「老人のゆったりしたペースに私たちが合わせるとき、老人たちはの目は生き生きとしてくる。逆にこちらのペースで老人に関わるとき、老人たちの目は虚ろになってくる。」
・「老人たちは、私自身のこれから訪れる老いとの付き合いかたをも教えてくれたし、老いる前に、老いを内包した生き方をも考えさせてくれたのである。だから多くの介護職たちは、老いと出会ってよかった、という。」詳細をみるコメント1件をすべて表示-
チモシーさん読んでみたくなりました読んでみたくなりました2020/02/10
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著者をはじめ、登場する様な看護師さんやら保健婦さんのお陰で今の介護システムが確立されてきたのだと知る事が出来た。
特に、使命感に燃える若手の新人介護士さん達は机上の理論だけで、介護は済まされないという事を知るには良い本かも知れない。
ただ時の流れは早く、ここ数年家族も介護のプロも人手不足、介護される身は独居という現状は如何ともしがたい。人生100年時代、長生きしたら自分の80.90代はどうなってしまうんだろ? -
老人介護の仕事をしている著者が書いた介護の話。ユーモアも交えて書かれているので読みやすい。老人が長く自力で身の回りの事ができるようにサポートするのは大切なこと。ただ介護を経験した者にとっては介助は、すごく大変。難しい問題だと思う。これから老人になる年代は、健康に気をつけ大病をしないように、けがをしないようにするしかない。「年を取ると人間丸くなるどころか個性が煮詰まる」は激しく同意。
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経験から語る老人との関わりのエッセイ。若い世代との比較で、「若さを失う」という価値観から、「若さから解放される」「老いを獲得する」という見方は目からウロコ。2017.2.16
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長年介護にかかわってきた著者の思い描く「介護」とは。
まったくの素人から介護にかかわり、その後、資格をとり、第一線で活躍している方。
老いたとき、こういった介護を受けたいとは思います。
この方のいう、ヘルパーや施設に入りたいとは思います。
賛否両論なんじゃないでしょうか。
三好氏の言っていることはすごくよくわかるし、皆そういう理想を掲げたいでしょう。
そうありたいと、願うでしょう。
でも。
たとえばある施設でボランティアが入っている。というのがあるんですが、そもそも(運営に)ボランティアが入っている時点で、もう経営としては破たんしていると思うのです。(レクとかでボランティアが来てくれた、なら、わかりますが)
今、ボランティアで介護施設で働きたいと思う主婦って、どれだけいるんでしょうか?
働くからには、(正当な)賃金がほしいと思うのは当然じゃないでしょうか?
働く、働いてもらう、賃金を支払う。そういったうえで、ある程度の利益があり、継続し続けることができる。
そういう実績を見せてくれた上で、理想を掲げてほしい。
もちろん、ギリギリの賃金で構わないと思う人もいるでしょう、理想を高くあげるために、質素な生活で構わない、と。
でもそんな人ばかりじゃないし。
大事なことがいっぱい書いてあると思います。だけど、ちょっと古い本だから仕方ないのかもしれないけど、「今」に合ってない気がします。
あと、医療関係者(看護師とか)、これ読んで、いやな気持ちになったりしなかったのかな。看護師の方に、聞いてみたいです。
個人的には好きです。
好きですよ?
でも、素敵だな、と思う一方、片隅に苦いものがこみあげてきます。 -
医療エッセイとしてはいい本。医療の現状の知識を得る目的では、ちょっとずれてるかも知れない。
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痴呆老人同士の会話が集団的独語のようだ。それでも人間関係を結べるという点が面白い。西洋的個の発想に基づく介護ではなく,日本ならではの集団的自我に基づく生活を維持する介護という考えが,研究のアイデアに結びつく。人間という存在が他者を前提にしていることが浮き彫りになるところも面白い。
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老人力を本音で理解できている中年以下ってなかなかいないよなー、と実感させられました。
幼児もそうなんだけど、世の中のペースが加速一方で、結局弱者側のことは我慢しているだけで、存在が納得できるような仕組みになってないんだなー、と。 -
【本の内容】
へんくつなじいさんと会話を楽しみ、ガンコなばあさんとも笑顔でつきあう-そんな介護ができる秘策は?
老いに直面するじいさん・ばあさんたちの実情と、彼らを愛してやまない介護者の日常を綴りながら、現場を知る第一人者が、介護者の気持ちも楽になる全く新しい介護のコツを伝授します。
「老い」とは新しい価値観との出会いです。
じいさん・ばあさんとつきあえれば、老いても楽しく過ごせます。
[ 目次 ]
[ POP ]
岡田マサさん。
84歳。年相応に目も見えなくなり、指先も震えているから、白髪染めなどとても出来るとは思えないのに、頑として「やる」と言ってきかない。
「白髪は年寄りみたいだから」
八十過ぎて、「年寄りみたい」とは、なんてチャーミングか。
この本には、そんなすてきなお年寄りがたくさん出てくる。
老人介護という「ウンコ・オシッコの世界」を歩いてきた著者による「くそリアリズム」の作品だから決してきれい事ばかりではない。
それどころか、人間、年取ると丸くなるどころか、頑固な人はより頑固になるなど個性が煮詰まってくるという。
現場は大変だ。
でも、老人相手の仕事では〈効率よく仕事をするほど効率が悪くなる〉という著者は、相手の個性や生活習慣を尊重し、老人の歩調に合わせて介護する。
だからこそ、老人がすてきに見えるのだろう。
〈あなたは自分の老いと付き合えるだろうか。老人が嫌いだという人は難しかろう。
だってそれは自分の未来が嫌いだということだから〉。
この言葉、かみしめたい。
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
長年介護の現場にたずさわってきた老人介護のプロ、
三好さんの自伝的エッセイである。
訳あって高校を中退し、いろいろな職を転々とした後、
特養で介護職員として働いてきた三好さんはかなりの反骨の人で
本書ではユーモアにくるまれた反骨精神が随所にみられる。
世の中の権威的なものに対する批判はずいぶんと容赦がない。
“よく医療の専門家は「高齢のため適応力に乏しく」
なんて高齢者のケース報告をしているが
適応力に乏しいのは病院のほうではないか”
私がぐっときたのは次の一文。
“老人が変えようとしない性格や行動、生活習慣を
専門家が無理やり「正しい」ものへと変えてしまうことで
老人をダメにしていることが圧倒的に多い”
これは認知症高齢者の家族にもあてはまること。
自分たちにとっての「正しいこと」を押しつけても
きっとうまくいかないのだよね。
三好さん、ちょっとファンになってしまったな^^