東京湾景 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1874
感想 : 205
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287515

作品紹介・あらすじ

「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 2022.12.31

    寒さも本格化する12月、急にこの本を読み返したくなって、再読。
    当時は無理やり用事を作って出掛けていた、この小説舞台でもある品川ー台場に、今や週3ペースで通っているなんて。

    ワタシ、この本相当好き。
    同じ本を読み返すことなんてふだん全くと言えるほどないのに、これは読み返したすぎて、本屋で買い直した。

    アーバンでロマンチックで、でも人間らしさも垣間見えて。ワタシの求めている恋愛物語です。
    吉田修一さんと恋愛小説の相性って、本当によい。





    2020.2


    吉田修一さんの腕を見せつけられた気がします。
    男女の恋愛を描いた小説で、ここまで考えさせるのはすごいです。
    起承転結ハッピーエンドチャンチャン!
    みたいな恋愛小説じゃなくて、それ以上に深みを感じました。
    亮介と涼子の男女をお台場と品川埠頭で比喩しうまく格差を描いているところ。
    それの例えが上手だし、何より粋だなと思いました。
    また、何だかんだロマンチックな亮介が、小説らしいですよね。先生への純愛が彼をロマンチックな男性へ成長させたのでしょうか。ステータスから勝手に野生的なんじゃないかとおもいきや、女心をわかってるし色気と最低限の清潔感のある健康的な男性なんだなと思いました。結局そういう人はモテますよね。女の心を動かすのはやはりそういう心理に働くところなんでしょうね。
    あと恋愛は例え関係に終わりがあってもくだらないものじゃないなと思いました。亮介の先生にしろ、涼子の同級生にしろ、終わった恋も彼ら彼女らを成長させた、決して欠かせないものでした。だから恋愛は面白いし、人生に彩りを与える一番効率的かつ手軽で身近なものだと思います。そして、亮介と涼子をみると、そういう出会いは行動すれば誰にでも訪れるって物語ってるように感じました。出会い系サイトで出会うという近代的な方法で出会った彼らですが、これは始めるのは抵抗はあるもののできるかできないかでいえばだれでもできるものです。身近で誰にでもできる出会い方であったことから読み手にも人生を彩る、平凡な日々に何かを与える出会いや出来事はすぐ近くにあって、希望を感じさせるなと思いました。

    でも心理的なところにつっこむとしたら、涼子が亮介を本能的に好きだと思った理由は、亮介の過去の火傷からそれほど愛した人の姿を見てそんな人間的なところに惹かれたというか、守ってあげたくなったとかそういうのもあるんじゃないのかなと思った。女は男の弱い部分に、弱い。
    まあ、吉田修一さんはそういう心理をかくというより表現が巧みでそういうところに私は魅せられています。

  • 久しぶりの恋愛小説だが、私の中では二人は子供すぎたかな。
    こんな二人が切ない…私の場合は、2人が恋愛に信じられなくなった過程と、自己中で周りの関係を持った人が可愛そうと思った。しかも2人の世界でしかない小説だからしょうがないけど、恋愛ってものはそうなんだろうなとも思うけど、私は周りに迷惑かけないように心がけようと思う。この本の中では佳乃とゆうこが良かった。私はこんな人と付き合いたい笑

  • 面白かった!!

  • 図書館で借りて読んだ。

    面白いには違いないのだが、バブル時の連ドラを思わせるストーリーに白けてしまう。三ツ星をつけたが、実際は2.5。

  • 東京湾に面した品川の倉庫ではたらく主人公。
    出会い系サイトで出会った女性と会いお茶をするがそれきりとなる。
    新しく彼女もできたが、ふと例の女性を思い出しメールをすると会うことになり、彼女と別れることになる。
    新しく関係を築き始めた2人だが、それぞれの気持ちがすれ違っていく。

    たいして面白いと思わないのになぜか一気読みした。
    読んだ後に思ったのは、この作家さんの代表作である「悪人」に似てるということ。
    どちらの話も出会い系サイトで知り合い、お互いにのめり込み、破滅的な面を持ち合わせ、ハッピーエンドではないが希望もなくはない終わり方。

  • 7月24日通りを検索した時に、この商品を買った人はこんな商品も買っています。って出てた中にあったので買ってみた。で読んでみた。そしたらガチガチの恋愛小説だった。けどすごく良かった。Amazon恐るべし。

    私は恋愛に駆け引きなんて必要ないと思ってるので近づききれない二人の距離感になんだかイライラしたけれど、でもまぁ恋愛ってそんなもんかもね。色々あってこそが恋愛なのかもね。なーんて大人な目で読んでしまったのだけれど、最後は絶対に海を泳いで渡って会いに行って欲しい。と切に願いながら読み終えたそんな素敵な一冊でした。

  • 02年ぐらいにフジのいわゆる月9ドラマの原作になったらしいが、なんか不自然で陳腐な感じ。マンガや

  • マッチングアプリが今ほど婚活感の様相を呈していない時代にネットで出会った男女の恋物語。他人を好きになるには、まずは自身を受け入れ、見返りを求めない姿勢が肝要であることを覚えた。

  • 3.5 ドラマとは全然違うストーリーにびっくり。原作の方が深くて面白かった。

  • 感情移入はできなかったけど、出てくる言葉には共感したって感じで、読後感はあっさりだけどモヤモヤって感じ。

    失恋直後だったら最後に出てくる信じる信じないとかそれによって愛し愛されるとかグッとくるかも。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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