東京湾景 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 189
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287515

感想・レビュー・書評

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  • いつか終わる事を感じながらする恋愛。いつも諦めを持ち続ける人生。愛なんていつか終わるなら存在しないんじゃないかっていう気持ち、共感する。そこを乗り越えられるかどうかなのかな。亮介の仕草ひとつひとつに色気があって、女性が感じる男の色気をよく書けてるなと思った。一気読みしてしまう恋愛小説だった。とても楽しめた。

  • 美緒の人物設定が魅力的だった。乾いた気持ちが徐々に濡れてくる。背景描写もとても具体的で絵が浮かぶ。ハッピーエンドになりそうで、ならない最後の裏切りもよかった。読後感は、やっぱり悪人に似ている。

  • 吉田修一の恋愛小説。

    亮介は品川埠頭で働く港湾労働者。
    真理という彼女がいるが出会い系サイトで知り合った「涼子」という女に夢中になる。
    が、「涼子」の足跡はふっつりと消えてしまう。

    「涼子」の本名は美瑛。品川埠頭の対岸のお台場の高層ビルで働くエリートOL。
    亮介との関係は嘘だらけの「虚構」だったが、
    そんな彼との関係に救いを感じている自分もいた。

    東京の湾岸地区を舞台にしながらも
    本来なら知り合わないはずの2人の「関係性」を軸に
    紡がれていく物語は驚くほどスタイリッシュだ。
    いろいろとひっかかってくる部分もないではないけど、
    いろんなものがそぎ落とされた「東京」はやっぱり魅力的なのだ。

  • 東京湾を挟んで向かい合う品川埠頭とお台場。
    品川埠頭の船積貨物倉庫でコンテナの積み下ろし作業をする亮介と、台場の石油関連会社の広報で働く美緒、出会い系サイトを通じて嘘と隠し事で始まった、二人の切ないラブストーリー。。。
    といっても、主な舞台がいかにもお洒落で作り物めいたお台場の方ではなく、品川埠頭側にある貨物倉庫や窓からモノレールの見える安アパートなのがいい。
    恋愛に正面から向き合えない二人が、自分をさらけ出してぶつかっていくあたりは、苦しさと切なさが押し寄せてきて止まらなかった。
    亮介にはやっぱり、東京湾を泳いで渡って来て欲しい。

  • 共感は自分の中にあるものと対比して発生するので、破滅的かつ自己憐憫に満ちた若者の恋愛には共感は湧かないです。
    しかし、この感じというか雰囲気にはどこか覚えがあります。ずっと居られないと思いながらも何故か離れる事ができない屈折した感情。非常に文学的ですね、するとわたくしの若かりし日にも文学的な香りのする破滅的で自己憐憫的な時期があったんですねぇ、しみじみ。
    甘ったるくないけど、どこか崩れた若者の恋愛小説好きならばおすすめできます。

  • 多分初めて読んだ吉田修一さんの作品。と思ったら昔に悪人というのを読んでたんだ。全然覚えてないが…

    何がきっかけが覚えてないが、この本は恋愛もので、本当に好きな人のこともいつかは飽きてしまう日が来るのか?というのがテーマかな。最終的にはハッピーエンドっぽい終わり方だけど、やっぱりこのテーマは考えちゃうなぁと思った。どうなんだろう。とても読んでいて面白かったし、別の作品も読んでみたいなと思ったので☆4つで!

  • 人を好きになることは簡単だけど難しい。身体だけのつながりなのか。心のつながりを持つことができないのか・・・。

    会えば会ったで、お互いを失うことが怖いから本心で話せない。信頼しているようで、疑って、相手の出方を見てばかりで。

    たまに、この人を好きなのかどうなのか分からなくなることがある。そもそも好きって感情がどういうものなのか、よくわからないかもしれない。

    好きなのに好きなのか分からないようなもどかしい感じだったり、相手に伝えられない歯がゆい気持ちがこの小説からはとても伝わる。だからか、読んでいて辛い。私は美緒に感情移入してしまった。一見悪い女だけど、本当に愛していた結果なんだと思う。でないと、溺れることはできなかったと思う。

    恋も愛も私にはまだわからない。

  • どんなに好きであってもいずれ飽きてしまう。
    あーわかるなー、哀しいけどそういうもんよなー

    自分が今思っていることがそのまんま書かれていた。
    美緒の気持ちにも共感出来る部分が多くて、あっという間に読んでしまった。
    後味の良い作品。

  • たまたま、品川の方へ出張の機会があった。
    小説に出てくる、品川埠頭、港南口など、舞台となった所を通ってみると、なかなか感慨深く、情景がありありと想像できた。

    本作、何年前にドラマ化されていたことを読み終わって知ったが、読んでいる最中から、「美緒(涼子)」は、仲間由紀恵しか思い浮かばず、実際、演じていたのが仲間由紀恵であり、一人、ほくそ笑んでしまった。また、相手役の「亮介」は今話題の、綾野剛。「佳乃」には、そのままであるが、木村佳乃が浮かんだ。
    いずれの、ハズレではあったが…。
    ドラマは小説とはやや異なるようである。

  • 読み始めた時は、愛情もないのに亮介と身体を重ねるヒロインの心情が理解できなかったけど、読み進めていくうちにお互い愛情を信じたいのに信じるのが怖くて、臆病で不器用なカップルなのだというのが判ってきて、うまくいくといいなあといつしか応援していた。
    舞台になっている湾岸エリアや倉庫街の描写がとても綺麗なのに2人の恋愛は「素敵」なんて感じじゃないのが、リアルで良かった。
    ラストは読者の想像に委ねる形で終わっているのだけど、きっと亮介くんは東京湾を泳いだに違いないと解説の人同様に私も思いました。
    昔、同じ題名のドラマがあったけど、この作品はそのドラマとは関係ないよね?
    ドラマの方は熱心な視聴者じゃなかったのでうろ覚えなのですが、女性の方が男性よりも社会的に高い地位にいるというところが似ているくらいで、設定が全然違うし……。

  • ネットで知り合った冷めた二人が身体だけの関係で始まってのだが、だんだんとお互いの中で変化していく様がいい。そして、最後の東京湾を泳いでそっちへ行ったら、ずっと好きで居てくれるか?とここで物語は終わる。東京湾を泳ぎきって、彼女を抱きしめる姿が頭に浮かんできた。

  • 人を激しく愛することを恐れている二人の気持ちの変化が巧く、「あぁ、これが恋愛なんだな~」と思わされたと同時に、ちゃんと恋愛してますか?と問われてる感じがした。また、ラストの終り方が好き。結末を読み手に委ねる感じが。久々に切なく、胸がズキズキしました。この作品等を経てあのベストセラー『悪人』がうまれたたんだな~と思います。

  • 亮介も美緒も、臆病だからこそ、表面だけで付き合って、偽名であることを隠したり、それに気づいてても気づかないふりをしたりしていた。
    すごく不自然だけど、その感覚は、分かる。傷付けないためではなく、傷つかないために、知らないふりをする。
    でも結果的に、それが自分も相手も傷つけることになるのに。
    分かっているけど、どうしようもないこともある。

  • ドラマでやってた東京湾景ってこんな話だったっけ!?
    在日の話だと思って吉田修一の作品なのに避けてたんだけど、普通の恋愛小説だった。
    私が大好きな湾岸が舞台で、景色の描写もリアルで素敵。
    ストーリーもバッドエンドを想像してたから、ちょっと嬉しかった。
    陳腐と言ってしまえばそれまでだけど、個人的には好感の持てるエンディングだったな。
    恋愛はいつか終わるって分かってるけど、大事なのは終わるまでの過程なのかも。

  • 吉田修一の世界の登場人物設定にはムリがあると感じつつも、
    言葉選びの上手さと展開で"アリ"に思えてしまうマジック。
    この東京湾景も、東京ならアリなのかな?と思えてしまう。

    品川とお台場を結ぶ不器用な恋愛模様。
    結果として、好きな作品です。

  • あまりにもメジャーすぎて、読みそびれていたが、以外にも良かった。
    今、他に4冊読んでる本の合間にと夕飯後から何気なく手に取っただけのはずなのに、一気に読んでしまった。こんなことをさせる吉田修一は、なんて燃費が悪いんだと言いたくなる。こうして、未読の吉田作品は残りわずかとなってしまった。

  • 二人の距離感と同時に、心と頭が行き来した。

    本来誰だって人を深く愛したいのに、それができない。
    人間が簡単じゃないことを、皆知っているからだ。
    知ることは両刃の剣というが、この場合、「両手で甲盾」だと思う。
    そういう熟語があるのかは知らないが。
    つまり二人とも疑心暗鬼になって、愛することを恐れている。

    恋愛経歴は皆違うし、その異形の二つの価値観が支え合うのは本当に難しい。

    なぜ彼女できないんだろう。

  • わー亮介くんとつきあいたい。リアルだなー上手だなー

  • かなり久しぶりの恋愛小説。
    吉田修一の作品は、風景描写がとても丁寧なので、情景がかなりうかびやすく、読みやすいのです。
    ミケランジェロ・アントニオーニの「日蝕」とリンクするあたりが、とても好き。

  • お台場から品川埠頭まで、距離にして1キロ弱。東京湾で、2人は本当の愛するを見つける。

著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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