長崎乱楽坂 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287522

感想・レビュー・書評

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  • やくざの家族の物語 地方のやくざ一家の物語、いつもの半端もんの男達が集まる家も時代とともに、廃れていき最後に物語の象徴的な離れが火事で焼ける。最初は子供目線で見ていた一家の様子も大人になり思い出となり、人は死に、殺されと憧憬と共に寂しさが伝わってくる。

  • 相変わらず彼の作品は主人公がSO COOL!
    うーーーん、せっかくおもしろい内容なんだから
    もうちょっとじっくり描写してもいいかなあ?
    それともあえて短いのが作者の狙いなのか?

  • 昭和の長崎の、ヤクザ稼業のおじさん宅に母子3人で身を寄せ、生々しい大人たちのゴタゴタを目の当たりにしながら育った駿。絶望とか羞恥とかここから脱出したい思いとか、駿はいろいろ抱えてるんだけど、なぜかドロドロした感じがない。最底辺にいる男たちに翻弄される女たちの諦めや哀しさも感じるけど、読んでて辛い感じはなく、一気に読めた。
    長崎弁で語られるセリフが、心地よいせいかな。

  • 風呂上りの火照った肌に鮮やかな刺青を躍らせた猛々しい男たちが、下穿き一つで集い、日々酒盛りに明け暮れる三村の家。湾の見える町に根を下ろす、昭和後期の地方侠家の栄光と没落のなかに、繊細な心の成長を追う力作長編。(e-honより)

  • 「どよーん、がらーん」って感じの話だった。

    私の中で駿はずっと「色の無い人間」として写っていて、だから梨花と東京に行かなかったことも、ほぼ廃人として離れに居を構えているのも「ふーん、やっぱりね!」としか思わなかった。これだけ無味乾燥無色透明な人間ならまあそうなるだろうな……と。

    なんもなくてどうしようもない人間は、威勢だけの半グレの持つ独特の男くささにちょっとした憧れみたいなもんを抱えちゃったりするのかな〜。知らんけど!

  • 長崎らしい独特の雰囲気がまさに乱を起こしているように賑々しく。自分には少し雄臭い感じが合わなかったけれど、文字だけでこれだけの乱が描けるのかということに脱帽だった。

  • そう、吉田修一といえばこの突然のホモ……
    そうだった………

  • 既読感があるのは「国宝」を読んだせいか,それとも,ひょっとして再読?(再読だとしたら,そこまで印象に残らなかったということなので,さすがにそれはないか・・・.)
    幼い頃は羽振りの良かった伯父たちの組も,駿が成長するに従い没落していく.それと同時にすごいと感じていた周りの大人の世界が色あせて見えてくる.捨てて出ていきたかったのに出て行けなかった駿.離れで男たちの絵を描きながら何を感じていたのだろう.

  • 昭和的父性の終焉。
    そして地縁血縁の瓦解。
    何もなくなった時さてどう生きよう。

  • 人生は堅実に、と思っている身としては、自分から人生を切りとっていくような男たちの生き方は現実ではまったくなじめず、だからこそ本で読みたいと思ってしまう。没落していく家からも、その土地からも出られない主人公の閉塞感は重くのしかかってくるけれど、大半が少年時代のおかげで読みやすくなっている気がする。連作短編集として、描かれていない空白もまた、読者に想像の余地を残していて良い。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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