さよなら渓谷 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2138
レビュー : 292
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287546

作品紹介・あらすじ

緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の長編。
2013年に映画化!

感想・レビュー・書評

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  • 薬丸岳さんの【死命】を読んだ後、この本を読んだからでしょうが…
    しんどかった…

    大学時代レイプ事件の加害者だった男性と被害者だった女性。
    贖罪の気持ちを抱き続ける男性。
    忘れたい、忘れようとする被害者の女性。
    気持ちはどこまでもすれ違っているのに…

    • まっきーさん
      azu-azumyさん

      こんばんは。

      いつも「いいね!」を押して下さって、ありがとうございます<(_ _)>


      さよなら...
      azu-azumyさん

      こんばんは。

      いつも「いいね!」を押して下さって、ありがとうございます<(_ _)>


      さよなら渓谷、私も過去に読みました。
      展開が意外で重くないけど、決して軽い内容ではなく
      私も同じく、しんどいなぁ…と思った記憶があります。
      以来、吉田さんの作品には手が出にくくなってしまいました。

      azu-azumyさんの本棚は、ハードボイルドなものから
      柔らかい系の作家さんの作品まで幅が広くって、私も読んでみたいと
      思う本が多いです。桜木さんや重松さんあたり、とても気になっています。


      あと毎回思うのですがブログが素敵で、おいしい料理の写真や
      タイの美しい風景、カービングの記事を楽しみにしております。


      いつかコメントしないと。と思いながらも、なかなかお礼のコメントが出来ずにいました。


      吉田さんの作品で「今だ!」と思いコメントしました(^^)


      海外で日本の作品を手に入れるのは、国内にいる時よりも
      大変だと思いますが、これからも素敵な本に出会えますように
      遠くから本の神様と一緒に応援しております♪

      これからも、素敵な感想とブログ楽しみにしております(^^)

      2015/10/13
    • azu-azumyさん
      まっき~♪さん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます♪
      こちらこそ、いつも「いいね」をありがとうございます!!

      初めて...
      まっき~♪さん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます♪
      こちらこそ、いつも「いいね」をありがとうございます!!

      初めて読んだ吉田修一さんの本が『横道世之介』でした。
      この本が面白くて、見かけるとつい手にしています。

      これまではものすごく偏った読書をしていたのですが、ブクログのおかげで色々な本にチャレンジできるようになりました。
      まっき~♪さんの本棚にお邪魔するたびに、その幅広さに驚いたり、感動したりしています。
      読んだことのない作家さんもいっぱいで、ぜひチャレンジしたいと思う日々です。

      ブログにも遊びに来てくださっているとのこと、ありがとうございます!
      最近、更新頻度がかなり落ちているのですが…(^_^;)

      これからもどうぞよろしくお願いします。

      2015/10/14
  • 前作の「悪人」は、読んだあとでいろいろ考えてしまう作品でしたが読み応えはあった。

    今回は東北の女児殺人事件をモチーフにはされているんですが、ストーリーはそれが本題ではない。

    記者の渡辺は自分の息子を殺した母親の取材のために何日も市営団地の前に張り込んでいる。
    ターゲットである立花里美の隣家に住む夫婦とも顔見知りになったが、ふとしたきっかけでその夫婦の秘密を知ることになり・・・

    仕事仲間の須田が偶然現場で尾崎を見つけて声をかけているところを目にしたことから渡辺は尾崎夫婦の秘密を知ってしまう。

    隣に住む尾崎夫婦は実は夫婦ではなく、ある事件の加害者と被害者。
    須田も実は事件の加害者の一人。

    15年前に起きたその事件に加担した加害者のうち人生が変わった者もいれば、さほどマイナスになった者もいないという、人の運の不公平が出ていて何ともやりきれない気持ちになる。

    被害者だった尾崎の妻は事件がきっかけで両親ともうまくいかず、人生をやり直す意味で結婚にふみきろうとしてもやはり事件が原因で結婚直前までいった彼と別れることになる。
    やっとその傷も癒えて結婚しても今度は夫から事件のことを責められてDVを受けて入院したりと転落の人生の一途を辿っていて・・・

    一方の尾崎は社会的な制裁を受けたけれども、先輩に引き抜かれて一流の会社に入り、会社でもそのことを非難されることなく着実に出世の階段を登っていた。

    罪を犯した自分がこういう人生を送ってもいいのかと自問自答しながら被害者に対して後ろめたい思いで、彼女が今幸せにしていればいいと都合のいいことを思いながら日々を送っていた尾崎。
    そんな彼が、あるとき偶然に被害者だった女性に出会う。

    尾崎が想像していたよりも遥かに悲惨な人生を送ってきた彼女をみて、『自分は幸せになってはいけない。彼女のそばにいなければいけない』と思う尾崎。

    尾崎は彼女がイヤがるにも関わらずそばにいるようになり、いつしか二人は「(自分は)幸せになってはいけない」という気持ちで結ばれ、一緒に暮らすように・・・

    読んでて切なくなった。
    記者の渡辺が二人にかけたい言葉を私も言いたいところですが、それを言ってしまうと何だか二人の絆が別のものになってしまうようで・・・

    彼女が尾崎と一緒にいて幸せだと感じてしまうことは、尾崎を赦すことになり、そしてもう尾崎を縛り付けておくものは何もなくなってしまう。

    ラストで彼女は一つの選択をするんですが、それは尾崎との関係を大切に思って行動したんじゃないかなと思います。

    読了感はまあ悪くないです。

  • 汗がとめどなく流れる夏、隣に住む立花里美は4才になる息子が失踪したと届けを出した。風光明媚な渓谷に打ち捨てられた萌君の遺体。マスコミはセンセーショナルに子殺しの犯人として美里を追った。逮捕された美里は赤いワンピースを着、豊かな乳房を誇示しパトカーに乗せられていった。

    隣室に住む尾崎俊介は、契約社員として工場で働く傍ら少年野球の雇われコーチをし生計を立てている。化粧っ気は無いが色気のある妻、かなこと2人暮らしている。
    そんな中、逮捕された美里は俊介との肉体関係を供述し、かなこはそれを裏付けるような証言をする。

    俊介は大学野球で将来を嘱望される野球選手だったが、大学時代にチームメイトと共謀し女子高生を集団レイプした過去を持っていた。その後大学を退学し、伝手を頼り就職するが過去に犯した犯罪から逃れる事は出来なかった。
    たまたま今回の萌君殺害事件の取材で運転手として雇われていた須田は、俊介のチームメイトでレイプ事件の首謀者の一人であった。須田からその情報を得た雑誌記者の渡辺は、俊介の犯罪への関与への確信を深めて行く。
    渡辺は記事にすべくレイプ被害者の女性の足取りを追うが、その後の彼女の人生は幸せなものでは無く、渡辺はのうのうと生きて隣人と情事にふけっていた俊介への怒りを深めて行く。
    被害者の女性はその後失踪し足取りがつかめていない。
    俊介は殺害に関与しているのか?俊介の被害者女性は一体どこへ消えてしまったのだろうか?


    読み始めから超ブルーで、「ああ、後味悪そうな話じゃのう・・・」と意気消沈して読んでいました。電車に乗る前に本が読み終わってしまったので、古本屋で時間ぎりぎりで手に取ったこの本、さよなら渓谷という爽やか目な題名だったので安心して買ったのにですよ、なんですかこのどんよりした雰囲気は。超憤慨!!と、思っていましたらばそんな事有りませんでした。
    最後まで読んだ時の悲しみと爽やかさと希望が同居する心内には渓谷の風が吹き抜けます。

    ちなみに僕が一番嫌いな犯罪の一つに強姦がございます。どういう言い訳をしても絶対に許してやらないと心に誓っております。もしも死刑でないのであればちょん切ってしまえと心から思っております。やり過ぎ?イヤイヤそれぐらいやらんと分からんでしょう

  • 胸にがつんときました。

    「私は、私を許してくれる人が欲しかった。」
    「私たちは幸せになろうと思って、一緒にいるんじゃない」

    呪わしい過去が引き合わせた男女の間に生まれたものは一体何?
    俊介のもとを去った「かなこ」の想い。夏美の選択に切ないとも儚いとも悲しいともいえないなんとも苦しい気持ちになります。

    「……あの事件を起こさなかった人生と、『かなこ』さんと出会えた人生と、どちらかを選べるなら、あなたはどっちを選びますか?」

    胸がぎゅっとつぶされるような問い。

    ぬらぬらといた夏の暑さの描写が作品の狂おしさに拍車をかけています。
    それに対して河原での最後の場面。静かに切り取られた感じ、俊介の静かな決意が印象に残りました。

    どうかどうか、幸せになってほしいです。

  • 吉田修一作品は深い傷と事情を背負った男女(同性愛も含む)の逃避行が驚くほど多くモチーフとして使われる。
    そこに感じるのは本文にもあるように、ある種の羨望だ。
    追い詰められ、明日をもわからぬ男女の、なんと耽美なことか。具体的に死にはしないものの、心中前の情交に近いかもしれぬこの世のものとも思えぬ悦楽を想像してしまうのだ。
     映画を見た後で、プロットに瑕疵があるような気がして原作である本作を読んでみたが、いや実に原作を忠実に色付けして映像化していた。特にラストのシーケンスは原作以上に饒舌であった。

  • 途中までなかなか入り込めませんでした。
    大体のオチも途中で読めてました。
    それでも私はこの作品が大好きになりました。
    映画やドラマと違って登場人物の心情や些細な挙動、心の動きが言葉になっているのが小説にしかない面白さだと私は考えています。
    この小説は誰もがビックリするようなことは起こりませんし、登場人物もそこらへんにいそうな人ばかり出てきます。
    日常にいそうな人たちの少しのボタンのかけ違いを、登場人物が最後までブレないまま私の期待を軽く上回ってきました。
    例えるならば、白米だとわかっていて白米を食べたのに思っていたのの二段階くらい美味しくて自分のごはんの概念が変わった時のような感覚です。
    これこそが小説の面白さだったよなあと久しぶりに感じました。

  • 評価は3.


    内容(BOOKデーターベース)
    緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の長編。

    罪も無いのに一生生きたまま死んだような人生を歩む婦女暴行の被害者である女性と、加害者なのになんとなく許されてしまう男性。許しがたい・・・。

  • 読みはじめ、この男が主犯格だとは思っていなかったので、そんなことがあるだろうかと思わずにはいられなかった。もちろんその衝撃がこの本の肝なのだろうけれど。レイプシーンは本当に辛かった。女の本音はちやほやして欲しいだけで、男の本音はセックスがしたいだけで、その違いに酒と暴力がからむとろくなことにはならない。

  • 誰にも知られたくない秘密を共有した者同士惹かれ合うのは恋愛小説では有りがちかもしれない。だが、それが被害者と加害者という関係だったらどうなのだろう?その関係は愛なのか、情なのか、それとも…?歪すぎる二人の関係を何と呼べば良いのか、読者に委ねられる。

  • 目を伏せたくなる事実に目を伏せられずにいました。あの夜からずっと。きっとそれは一生。いつでも過去は他人が詮索し突き止め、現在を未来を塗り潰していきました。
    死ぬまで許さない。
    君に許されようとは思わない。
    幸せにはならない、不幸でいる為に、私達は一緒にいるの。
    汗と埃の混じった匂いを洗い流すかのような渓流に青い月が浮かんでいました。人は生き伸びる為には自分を犯した人間でも一緒に暮らせるのでしょうか。最後まで許さない、だから...。
    だから、私には二人の間にある形が違ったものに見えた時、人間の美しさと醜さを同時に見せられた気がし、許せなく感じました。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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