愛に乱暴 下 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2017年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784101287577

作品紹介・あらすじ

不倫を清算できない真守。そんな折、婚家の祖父が離れに住まわせていた時枝という女の不遇の生涯を聞く。桃子は、離れの床下に異常な興味が湧き、思わぬ衝動買いに走る。一方、身重の不倫相手・三宅奈央との再婚を望み帰宅を拒む真守に桃子は呆れ、遂に奈央に直談判を試みるが、出産の決意は固く、義母までもが桃子の様子が変だと態度を変えてきた。予期せぬ結末へと疾走する愛のドラマ。

みんなの感想まとめ

複雑な愛の物語が織り成す人間関係の深層を描いた作品は、登場人物たちの心の葛藤や成長をリアルに映し出しています。特に、主人公の桃子が不倫相手との関係や自身の妊娠を通じて、愛情と執着の違いを見つめ直す姿は...

感想・レビュー・書評

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  • やはり吉田修一さんの小説大好きです。
    悪人でも思いましたが、男性なのに女性を描く天才ですね。
    桃子が少しずつおかしくなっていく様子がリアル。ラストおかしな方向にいかなくて良かった。李くんありがとう。あのありがとうは救われる。見ててくれる人がいると人はちゃんとしようと思うのですよね。

    離れの家を手放さない桃子は強い。笑
    ある意味さっさともらうものもらってこっちからさよならよ、と真守よりいい男を見つける行動にすぐ動ける健全な女より強いです。笑
    尽くしてきたからこそ、手放せないんでしょうね。

    自分を見ててもらえること、相手を見ててあげること、そして認めあうことが夫婦には大事ですね。

    映画も観るぞー!

  • 映画と原作本の感想をまとめてこちらへ~

    江口のりこさんが主人公・桃子を演じているので、映画館で観るつもりだったが逃してしまった。
    江口さんが今まで見たことがないエレガントな洋服で、淡々と不穏な雰囲気を漂わせて桃子を演じているのが新鮮だった。チェンソーを振り回し床下に蹲ってるシーンはさすがに彼女ならではというところか。最初は原作に時折りいきなり日記文があって、てっきり不倫相手・奈央の日記だとばかり思ってしまった。しかし、これはミスリードを誘っていて、桃子の日記だったことが次第に分ってきて、実は桃子も略奪婚だったと気づかされ、まんまと吉田さんにやられてしまった! 決定的に違うのは、桃子は妊娠して流産したのに、奈央のお腹の中の子供は順調に育っていく。桃子は真守との関係が終わってしまうことを恐れるあまり、婚約後に流産を明かし結婚した。映画ではこの”日記”を、SNSに替えてあったのが世相を反映していて面白い。
    読後、タイトルの「愛に乱暴」な人とは桃子の夫・真守と思っていたが、登場人物の大方がそうだったのかもしれないと思えて来た。真守と姑は桃子から騙されたと感じ、ずっと“しこり”を感じていたのだろう。結果的に桃子が妊娠によって真守の気をひいた形となってしまったが、桃子が打算的で因果応報なのよと切り捨ててしまうには横暴なような気もする。“妊娠”を盾に勝者となった桃子と奈央が不憫でならなかった。生まれ出る子供を結婚の切り札に使うのは時代錯誤と反論したいがそう簡単にいかない現実もある。子供誕生ですべてが丸く収まるなんてあり得ないと誰もが知っている。かつて貝原益軒の『女大学』に「嫁して三年 子なきは去る」じゃあるまいし。またもや妊活かと悲しくなった。真守は果たして奈央と大人しく家庭を築いていくのだろうかとおせっかいを焼きたくなる。原作には真守の父親誕生の話も盛り込まれていいるが・・・・。3人の女たちはよくもまあこんな男に振り回されたものだ。(エンドロールで真守役を小泉孝太郎さんだったというのを初めて気づいた! 完璧に彼を消していた)
    最後に桃子は縁側でアイスクリームを舐めながら取り壊される家を眺めている。賠償金替わりに家をもらったと匂わせるのも前向きのラストに違いないが、原作にあった”手作り石けん”の仕事ができるようになったという話も加えて欲しかった。 

    • aoi-soraさん
      私も映画観ました。
      丁寧な暮らしをする江口のりこさん、新鮮でしたね。
      でもとても良かったです。
      原作は上下巻なんですね
      読み応えありそう…
      私も映画観ました。
      丁寧な暮らしをする江口のりこさん、新鮮でしたね。
      でもとても良かったです。
      原作は上下巻なんですね
      読み応えありそう…
      2025/05/09
    • しずくさん
      aoi-soraさん、おはようございます!
      映画レビューに対するコメントをもらうのは、初めてでとても嬉しいです。
      江口さんのはまり役と感...
      aoi-soraさん、おはようございます!
      映画レビューに対するコメントをもらうのは、初めてでとても嬉しいです。
      江口さんのはまり役と感じられるぐらい良かったですよね!
      原作は確かに読み応え充分の長さですが、映画で割愛された登場人物などで物語の外堀を埋めている部分もあります。
      桃子に江口さんを重ねながら読んだせいか尺を感じずに読了できました
      ٩(๑′∀ ‵๑)۶•*¨*•.¸¸♪
      2025/05/10
  • あの人、ほんとに意気地ないし、ちょっとでも嫌なことがあったら、そこから逃げ出して、別の場所で1から楽しいことだけ始めちゃうんです。でもそこでも嫌なことは起こるでしょ?そしたらまた逃げ出して、そうやって生きていけばいいんですよ。

    真守のことを、そう思った桃子だが、自分が浮気相手だった時にはきっと、この人を変えられるのは自分しかいないとか思ってたんだろうな。
    身勝手な夫に見えるけれど、結局似た者同士な気がする。
    流産は女性にとって、かなり辛く悲しい経験ではあるが、誰かの不幸の上にある幸せには共感出来ない。
    愛情じゃなくて、ただの執着。
    ラストは吹っ切れた感じで良かった。

  • サクッと読める本が読みたいなーと思い、購入◎

    なんの疑問も持たずに読みすすめて、まんまと騙されました。

    チェーンソーや穴、火という不気味な描写で、桃子はこれから先生きてゆけるのかと心配になりながら読んでいったけれど、ラスト、ああ、この人は生きてゆける、そう思いました。
    この作品の心理描写、桃子を追い詰める周囲の人物や出来事の描写は、読者をどんどん作品の世界へと引きずり込んでゆく。

    けれど、個人的にはなくはない不倫をされた女性の心理描写に、日記のトリックが加わったもの。
    せっかく、という言い方がふさわしいかわからないけれど、せっかく上下巻に別れているのなら、真守の目線もあってよかったんじゃないかな…真守は、ああいう人なんだろうけれど、でもどういうタイミングで、律子から桃子へ、桃子から奈央にしようと思ったのか、そんなに理由はなく、ただ他の女を好きになっただけなのか。
    親の様子から、真守のダメ男っぷりは察することはできるけれど、せめて、もう少し真守の生い立ちの描写とかがあると、もっとよかったかな。
    ただ、この作品はとにかく桃子のみの目線であったことが大きいわけで…でも…というもやもや。

    結局「不倫はダメ、ぜったい!」と、いうことかしら( ・ω・)

  • 途中までどんな結末なんだろうとハラハラドキドキしながら読み進めていったが、ちょっと期待外れ。
    どんな選択もしやすい今の時代に、クズ旦那や折の合わない義母との暮らしにこんなにもすがりつく主人公に正直共感できなかった。昭和感ある本という感じ。

  • すごい面白かった
    一人の女性が旦那の浮気から狂ってくるんだけど、最後の最後にどうしようもなく落ちてしまうのではなく少しの希望が見出されたのがすごく良かった
    『ありがとう。』いい言葉だな
    みんな幸せになって欲しいけど真守だけは不幸になって欲しいの私だけ?
    吉田修一さんの本は横道世之介に続いて2作目読んだけどどれも読みやすくて好きだな

  • 主要な登場人物が、皆、好きじゃなくて、何だか読んでて入り込めなかった。
    勿論、桃子は気の毒ではあるのだけど、結局、桃子自身も不倫だったのか、と思ってしまうし。桃子も奈央も流産と言う経験は、経験した女性にしか分からない辛さだと思うけど、それはそれとして、人間としての魅力は無いと感じてしまう。
    それにも増して、真守のダメさには、読んでいてもため息が出た。
    最後に、浅尾と李、ごく少ない好感が持てる2人によって、桃子のこれからに僅かながら光が差したことに救われた。
    ありがとう、って、たった一言の言葉の持つ力。真守や照子に、この一言の大切さが分かっていたなら、、、でも、日頃の生活では、きっと桃子にも足りなかった部分なのかもしれないな。

  • 上下巻あわせての感想。
    その前に。わたしは自分の感想を書く前にこのブクログでの皆さんの感想を読まないようにしている。自分の読み終えた気持ちをちゃんと言語化する練習として、ひとのを読んでしまうと感想ではなく“共感”になってしまう気がするから。ひとの言葉で「そうそうこんな気持ち!」と、自分の感想のつもりになってしまうのが良くない気がして、ちゃんと自分の言葉で感想を記してから皆さんの感想を読むようにしている。
    が。今回ばかりは読み終えてどうしても「?」が消えず、「どういうこと?」「え?」「え、なに、なに?」という気持ちに負けて、皆さんのを先に読んでしまった。それでもいまいち疑問は解決せず、んー、というか解決はしてるけど腑に落ちないというのか…
    これがこの吉田さんという方の小説なのか、と思うようにした。
    日記は最初から桃子のものだったのか。途中から入れ替わったのかと思ってたけど、そういうことか。リーさんがちょこちょこ出てくるのはこういう意味があったのか、そっかそっか。で、ピーちゃんの存在って…?ほんもの?幻?ピーちゃんがもっと桃子にとってすごい存在な期待をしてしまってたかな。いや、確かに大事な存在だった、ピーちゃん。だって桃子にとって唯一寄り添ってくれた子だもの。多分。
    最後のシーンは時枝おばさんが乗り移ったのかと思ったよ。ほんとにおかしくなっちゃったのかって。何度も読み返したくなる。
    結局、奈央のお腹の子は生きてたんだね。ってことだよね?じゃあ真守はほんと奈央さんとお腹の子を死ぬまで大事にしてくれ。で、同じ事繰り返さないで、ほんと。
    なんだか今回は感想になってないけど、それだけ「え?ええ?」モヤモヤ……こういうものか…ふむ、みたいな気持ちで読み終えました。
    でも!夢中になって一気に読んでしまったから、やっぱり作家さんすごいんだろうなぁ!

  • 映画観てから上下巻読み終わり
    映画だと分かりにくかった、不倫相手の日記かと思いきや桃子自身の日記だったり
    桃子と真守と義母の細かいやりとりとか、描写とか、凄く想像しながら読めて面白かった

    桃子はきっと他所から見たら、良いお嫁さんで、働いてた時は凄く仕事も出来て、旦那さんとも義理親とも上手くやっていて、とても幸せに見えてたんだろうな

    でもみんな自分だけの地獄があるんだなと思い知らされる

    鰐淵さんに、裏でめんどくせ〜って言われるとことか
    義母と真守に騙されたようなもんだって言われるとことか
    リアルだな〜

    誰でも桃子のようになる可能性がある
    自分が自分でいられなくなる時がある

    最後は仕事だって、家だって、桃子自身の気持ちだって吹っ切れて本当によかった

  • リアル。

    義父母の住む母屋の離れに夫・真守と暮らす桃子。

    真守は不貞を働いており、不倫相手の日記部分を読むことで、読者はその不貞を桃子より先に知ることになります。
    また、桃子の日記も途中途中現れるので、桃子の気持ちも読み手は知ることができます。

    が、この日記。途中で役割がガラリと変わります。

    夫の気持ちが離れていく事に気付く妻の気持ち。妻帯者を愛してしまい、幸福と不信感の間に置かれる愛人の気持ち。子供を授かった女性の気持ち。
    よくここまで描写できるものだと思います。

    みんなそれぞれ、その瞬間、その瞬間では真面目に、誠意と愛情を持って、
    いや、愛情がある時は、真面目に誠意を持って向き合おうとするものです。

    愛情がなくなった時も、かつて誠意を持っていたという記憶は残っています。

    だから愛情がなくなったり、自分に都合が悪くなったりすると、「自分は悪くない」「自分だけが悪いわけではない」と考え、そのように処理しようと、そう見えるように処理しようとするのでしょう。

    そういう、人の浅はかさ(少なくとも、私は浅はかだと思います)を、リアルに描いた作品です。

    所々と最後で、ほんの些細な事で、人の心は晴れるものだという点にも触れており、これが救いです。

    リアルなので、読後は疲れます。
    吉田修一氏は、やっぱりすごいです。

  • 日記と日記のあいだにある、膨大な日常のことを考える。結局、愛を摩耗させたのはその日常なのだ。自分が日常をささげてきた場所からいらないと言われた主人公がラストにわずかにすくい上げられるところに、自分も救われた気がした。しかし誰かに幸せを託すのは恐ろしいことだ。

  • 義理がつく関係の人とは、やはりどうがんばっても他人なんだよね・・・
    それと、人が一番ほしい言葉はきっと「ありがとう」なんだね。それは、自分のしたことを誰かに喜んでもらえたということ。自分の存在を認めてもらったということ。そして、誰かがそばにいるということをはっきりと実感できる、最強のコトバ。

    以前に四六判を読んだときには「この男ひどいな」と思ったのだけど、今回は「どっちもどっちだな」。因果応報、良いことも悪いことも、自分がしたことはそれなりに自分にかえってくるのだと肝に銘じたい。「お天道様が見ているよ」と小さいころ祖母によく言われたことを思い出しながら本を閉じました。

  • なんだかスッキリしないが。

    ただ立ち直ることを祈るのみ。

  • 妻にも読んで貰いましたが桃子の気持ちを理解出来ないようです。「私なら執着しない」糞だが、人間だからどうしようもない真守の方がまだわかるとの事。妻の性格を再確認させて貰ったんで本当は面白いと思わなかったが星は二つ

  • なんで真守が3回も結婚できたのか不思議。
    桃子をちゃんと見てくれてる人がいて良かった。

  • 横取りしたものは大切に取られないように必死に守ろうと誓いました

  • 吉田修一さんが『僕は主人公の桃子に何ひとつ共感していない。彼女が次に何をするのかもわからない』さらに『まさか桃子がチェーンソーを買うとは思わなかった』とおっしゃっていたのが印象的だった。でもね、桃子さんのあの狂気、何となく分かるんだよなあ。

  • 背ラベル:913.6-ヨ-2

  • 吉田修一の怒りと悪人が好きで、他の本も読みたいなーと思い、これを選んだ。

    結婚て難しいなぁ〜
    一番、旦那がよくわからん。桃子とも不倫で始まったってことでしょ?それで同じ流れで、若い子と一緒になりたいからって離婚するって、ハァ???(´Д` ) またおんなじ結果になるでしょこれは笑

    桃子目線で話が進むので、彼女にどうしても感情移入してしまう。が、旦那の世話を色々焼いちゃうのは良くないなぁ。朝ごはんから荷解きまでぜーんぶやっちゃってるもん。これは母親と息子だし、健全な夫婦ではなくなるよなあ…あと癖強い義母と同居はキツイだろうなぁ…

    とにかく、嫌いになったから結婚やめる、好きな人ができたから結婚やめる、ってそんな簡単にしていいものなのか?そのくらいなら最初から結婚するな。ってことなのかな…

  • 面白かったのですが、もっと!もっと展開があるはず!と、こちらが勝手に期待しすぎていた感は否めないなという読後感でした。
    想像を超えるほど狂った話なのかと思っていたので、あれ?という感じ。
    理解力が乏しいだけなのかもしれませんが、謎が最後まで分からずじまいだったのがモヤリ。

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著者プロフィール

一九六八年、長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。一九九七年『最後の息子』で文學界新人賞を受賞し、デビュー。二〇〇二年『パーク・ライフ』で芥
川賞を受賞。二〇〇七年『悪人』で毎日出版文化賞。ほか、『パレード』『横道世之介』『さよなら渓谷』『平成猿蟹合戦図』『路』『怒り』『森は知っている』『犯罪小説集』など著書多数。ANAグループ機内誌『翼の王国』での短編小説とエッセイをまとめた書籍に『あの空の下で』『空の冒険』『作家と一日』(木楽舎)がある

「2017年 『最後に手にしたいもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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