ボトルネック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9037
レビュー : 1210
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287812

感想・レビュー・書評

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  • 死んだはずの姉が生き、自分が生まれなかった世界に迷い込んでしまった主人公が、バタフライエフェクトの大きさを知っていく話。
    些細なことですら大きくなり、でも意外と変わらないこともあり、でも死んでしまってた想い人だった彼女の存在に心揺さぶられまくりのお話。

    主人公がうつ状態だったら最後自殺してしまうのかなって思える。
    前向きな成長が出来てたらこれから未来は変えられると思えるのだろうか?
    でも私ならきっと……って考えられるのが面白い読み方かな。
    まあ一部の人の危うさだけは戻っても変わらないのが恐ろしいわ。

  • 身の回りの不幸な出来事がすべて自分のせいだったら。そんな考えたくもない憶測が、パラレルワールドという独特な視点から事実だと痛感させられる悲痛な物語。自分のせいといっても、自分が何かしたせいというより何もしなかったことにより起きた不幸だというのだからタチが悪い。悪事を働いたわけではないのに自分が悪だと思い知らされる。
    自分がいない世界の方が周りが幸せになっているという事実を突きつけられたリョウにとっては救いのない物語だ。何かを変えるためにリョウはこれから変わることができるのか。その期待に対して、最後の一行は残酷だった。

  • 現実において劣等感に悩まされることも多々あるのだが、小説として言語化され更に叩きつけられるのも悪くないと思う。
    サキのような存在が、分岐点毎にいたのかなと思うと苦い。

  • なにもできなかったのか。なにもしなかったのか。両者は似ているようで、全然ちがう。自分がここにいることが、だれの未来にどう関わろうというのか。そんなことは起こってみなければわからないし、起こったあともわかり得ない。起こらなかった場合と比較しない限り。
    バタフライエフェクトと可能世界。主人公リョウが生まれなかった世界に生まれたサキ。リョウが生まれなかったことで、サキが生まれたことで、ふたつの世界はどう変わっているのか。本人でさえも気づかないところで、だれかに与えた影響。イチョウの木が何度も登場し、その存在感を見せつける。面白かった。

  • 理不尽に暴力的なものではなく、静かな救われなさがある。真綿で首を絞められるってこういうことなんだろうな…。
    悪意のない笑顔で存在を否定されるのが怖くておもしろかった。

  • 終始、陰々滅々とした雰囲気が漂う作品。
    タイトルであるボトルネックが何を示すかを理解した後の
    切なさときたらもう耐えられない。

    その後、主人公がどうするか気になります。

  • 読み進めてくうちに、好きな映画である「バタフライ・エフェクト」を思い出しました。

    あるひとつの言葉が、あるいはあるひとつの行動が違うだけでずいぶんと未来は変わる。
    人は自分の認識とは無関係なところで、実はその時々で重要な岐路に立ち、その度に選択しているのだと気付かされました。

    パラレルワールドへのトリップ。そうまとめてしまえば簡単なのだけど、その発想がメインではなくて。あくまでメインは、自分が「いる世界」と「いない世界」の強制的な比較によって描かれる主人公のリアル感であって、その痛々しさであって。

    読後感が良いとは言えませんが、考えさせてくれる作品として僕は気に入りました。

  • 米澤穂信のブラックな長編青春ミステリ。

    東尋坊で恋人を弔いに来ていた高校生の嵯峨野リョウは、いつの間にか金沢の街に飛んでしまう。そして自宅に帰ると、生まれるはずのなかった姉が、自分の代わりのように生活していた。二人で会話をするうちに、こちらの世界での違いに気付いていく。

    どうも読んだ後に違和感があったのだけど、裏表紙の「青春ミステリの金字塔」という言葉を見て、それに気付いた。この作品は青春ミステリでありながら、学校生活が殆ど入っていない。<古典部>シリーズ、<小市民>シリーズ、「さよなら妖精」では、どれも学校を中心にして物語が描かれている。というか、それこそが青春ミステリに期待されているものの一つであり、また期待に応えるべきところであるように思う。

    しかし「ボトルネック」は非日常の世界が舞台になっており、主人公に学校生活は与えられていない。したがって学校生活は描かれようがない。むしろ家庭環境や街の様子を、第三者の視点から観察させている。特に家族との関わりをレンズにして青春を描いているのが本作品だろう。

    ただし、非日常の中であっても学校生活を描くことはいくらでもできる。だが今作は、あえてそれを避けるように書かれている。これはなぜだろうか。

    思えば米澤青春ミステリの舞台は、徐々に学校から離れてきていた。学校というのは子どもでいられるモラトリアムの象徴であり、その学校の外にある大人の世界へ羽ばたこうともがくことが、青春だと考えることができる。とすると、今作品で学校という舞台を描かなかったのには、学校という安心できる止まり木を取っ払うという意味があったのかもしれない。逃げ場を無くし、主人公が自ら過去と客観的に向きあうように仕向けるのである。

    このような設定における巧妙さも面白さの一つだが、学校生活を描かずに青春ミステリを作り上げてしまおうという作者の確固たる自信も見逃せない。きっとその自信を抱くに至ったものが、それまでの米澤青春ミステリの中にあるはずである。未だ全てを読破していないのだけれど、<古典部>シリーズから全て読み返してみようかという気分にさせられてしまった。

    この作品以降に発表された米澤青春ミステリは、「リカーシブル」くらいだろうか。未読だけれど、きっと新しい青春ミステリを描いてくれているに違いない。

  • いい本だなぁと思いました。自分の世界は世界から見たらこうだった、ていうのが少しずつ視界が開けていくことでわかってきて、読んでる人は自分のこととして捉えるシーンがいくつもあるんじゃないかなと。毎日は通過点じゃなく分岐点だっていうことを改めて思い出させてくれる、いい作品でした。

  • 最終章までの290ページが長い冒頭の様に思える程、ラスト7ページに凝縮された物語だった。綺麗にまとめず、絶妙な部分を曖昧にして終わる結末は、まるで筆者から「想像して!」と言われている様だった。

    この想像をするのがとても楽しい。ここに書くと恐ろしく長くなってしまうので書かないが、本書には考える材料が随所に散りばめられている。そのヒント達は一つの答えに誘導することがなく、読者の想像力をひたすらに膨らませてくれるのだから面白い。

    読み手によってバッドエンドにもなるし、ハッピーエンドにもなりえる。
    ちなみに私はまだ楽しく悩んでいます。

    • kwosaさん
      ギンジローさん

      フォローありがとうございます。

      僕も米澤穂信さん、好きですよ。
      最新作『リカーシブル』やっと読むことができました。
      おっ...
      ギンジローさん

      フォローありがとうございます。

      僕も米澤穂信さん、好きですよ。
      最新作『リカーシブル』やっと読むことができました。
      おっ『ボトルネック』のレビューが......
      なんて思っていたら以前に拝読していたようです。

      >読み手によってバッドエンドにもなるし、ハッピーエンドにもなりえる。

      面白いですよね。
      ちなみに僕はハッピーエンドと思いたい......

      ときどき本棚を覗かせて頂きます。
      これからもよろしくお願いします。
      2013/04/30
    • 巧真さん
      kwosaさん

      こちらこそ、フォロー・コメントありがとうございます。

      米澤さん良いですよね、特に追想五断章が好きなのですが、ボトルネック...
      kwosaさん

      こちらこそ、フォロー・コメントありがとうございます。

      米澤さん良いですよね、特に追想五断章が好きなのですが、ボトルネックは正にリドル・ストーリーで結末が考えるのが楽しかったです。

      確か始めはバッドエンドだと思ったのですが、最初から読み直して状況を整理していく内に、まだ手遅れになっていないのではと考えました。もうひとつの世界で多くの事に気付いたリョウなら、きっとハッピーエンドにしてくれると僕も思います。

      こちらこそよろしくお願いします、本棚を眺めた所、自分が読みたい本(特に「ぼくのメジャースプーン」)が色々あったので、今度読んでみますね。
      2013/04/30
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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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