リカーシブル (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1696
感想 : 155
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287836

作品紹介・あらすじ

越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷である坂牧市に越してきた少女は、母と弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始めた。たが、町では高速道路誘致運動の闇と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出す。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 青春の爽やかさでもなく、きらめきでもなく、仄暗さと不穏な雰囲気が終始漂う青春ミステリ。米澤穂信さんらしい絶対零度の真実が最後に待ち受けます。

    父の失踪により、母と弟とともに地方都市へ越してきた越野ハルカ。目立たないよう新しい町や学校になじもうとする彼女だが、弟のサトルの未来を言いあてるような予言に翻弄され、やがて町の伝承と、高速道路の誘致運動をめぐる闇に少しずつ近づいていく。

    特徴的なのは作品に漂う空気感。過疎化が進む、どこか閉鎖的な町の奇妙な人間関係や、うかがい知れない力関係。新たに町に越してきたハルカは、その空気感の奥に何があるのかはわからないけど、でも「なにかがおかしい」ということだけは感じています。

    その空気感の演出が巧い。読んでいる側も徐々に町の不穏な雰囲気に囚われていくし、その不穏さの理由が一向に分からないのが、なおさら不安感をあおる。ハルカが知る町の伝承や、高速道路をめぐる誘致運動がその原因なのだろう、と見当こそつくものの、そこから先がなかなか見えてこない。

    具体的に何があったのか? 誰のどのような思惑があるのか?

    それが終盤に至るまで全く見えてこないので、もどかしさはあるものの、それ以上に先の見えなさが不安をとにかく煽ってくる。

    そして物語の3分の2くらいで、その不穏さは具体的なカタチをなしてくる。ハルカの学校の教師が巻き込まれた奇妙な事故。ハルカの唯一の友人の不審な行動、そして奇妙なまでに優しかった母親の変化。

    不穏さは徐々に具体的なカタチを伴うようになり、読んでいるこちらの体温も徐々に冷えてくる感覚に陥ります。そしてハルカと母親の決定的な関係性の変化が訪れ、町とサトルの未来視の秘密が明らかになると、ハルカは残酷な真実を知るとともに、子供のままではいられないことを悟ります。

    ミステリーとして読むと、明言されていないところや、読者の想像にゆだねられているところ、オカルトじみたところもあって、やや消化不良の感は残るかもしれない。でも、この小説はそうしたミステリーとしての解決に重きを置いていないような気もします。

    強くならざるを得なくなってしまった少女。彼女の置かれた境遇や環境はあまりに苦く、闇が漂う一方、そんな中でも、強くあらねばという彼女の決意が強く印象に残る。
    爽やかさも、きらめきも、友情もない。それでも少女の新たな成長を描いた、仄暗い青春ミステリ。なんとも言い難い余韻の残る作品でした。

    2014年版このミステリーがすごい! 7位

  • '21年8月24日、読了。「儚い羊たちの祝宴」に続き、米澤穂信さん、連読。

    いやぁ…凄かった!打ちのめされました!

    主人公は中学一年生の女の子。悩み、苦しみ、澄んだ瞳でまっすぐ前を見て、事件を解決していく…そして、今後の自分の人生に、立ち向かっていく決意を固める。そんな様に…非常に心動かされました。

    第8章の、主人公の苦しみに…胸が押しつぶされそうでした。

    僕には、決してハッピーエンドには思えません(米澤さんの作品だから、当たり前と言えば当たり前、かな)でしたが、中一の女子の、「幼さと真っ直ぐさ」みたいなのを見せられた気がします。フィクションであろうとも。

    地方都市の閉塞感や「舞台」設定、「タマナヒメ」の妖しげな謎、などなど、とても良く描かれていて、ミステリーとしてもとても面白かったです!

    今まで読んだ米澤穂信さん作品では、僕にとってはベストかも…。

  • 面白かった。閉塞的な地方都市と曰くありげな伝説、弟の怪しげな言動、どこか不自然な町の様子。そんなものに主人公と一緒に絡め取られていくような、そんな不思議な味わいの1冊でした。
    山谷はそれほどないストーリーなんだけど、不思議に惹き込まれる。特に入院した先生との会話あたりからは、終盤に向けて一気に駆け上がって行く感じ。いいお話でした。

  • 離婚した母と弟のサトルとで坂枚市という母の故郷に引っ越してきたハルカ。ほどなく母とサトルは父が再婚した女性と連れ子だとわかるが、微妙な関係性がハルカの心情から描かれている。そこに土地の伝説とサトルの既視感が交差し物語は進む。中学1年の4月の出来ごと。ハルカとサトルがとても生き生きしている。

    2013.1.20発行 図書館

  • 面白かったです
    序盤はなかなかどういう話か掴めない感じもあったけれど、伏線が徐々に回収される終盤は一気に読めました

    最後に謎が解かれてもそれによってより一層切なくなる感じが米澤先生の作品だなと思いました

    小市民シリーズから入り多数の米澤作品を読んできましたがこういうのも好きです

  • 父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉弟。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る―。血の繋がらない姉と弟が、地方都市のミステリーに迫るという物語。正直言うとハズレです。全く面白くありませんでした。

  • 未来予知だからSFっぽいのかなと思ったけど
    サスペンスでした
    主人公のハルカ 12歳で すごい行動力に洞察力
    自分が中学のときって もっともっと馬鹿だった 
    今もだけど

    読み終わって・・・
    父にも捨てられて 義理の母にも見捨てられて
    血の繋がってない弟だけが
    ハルカにとって家族と呼べるものになるのではないかと
    まだ 12歳なのに・・・

    終盤の継母の態度には
    むかっぱらが立ちました!

  • ちょっとオカルトチックな地方都市が舞台。
    中学生女子が主人公のミステリーもの。

    主人公のハルカの置かれた境遇は、なかなか厳しいものがあります。
    でもたくましいというか、かしこいというか、この子。
    謎解きが結構面白い。
    20160430

  • ネタを上手く生かせてなくて残念。期待感が高まってしまい、オチが残念。母娘の攻防戦にはゾッとした。そう、何度かゾッとお尻からするタイミングがあったのに、解決できてなくて残念だったのだ。

  • 重苦しさを感じる背景の設定に
    なかなか読み進めなかったが
    ハルカの芯の強さにほだされて
    少しずつ感情移入していった。

    これも作者のうまさなのか
    オカルト的な話がいつの間にやら
    論理的な推理へと転換してゆく頃には
    すっかり惹きこまれてしまっていた。

    それにしても
    しっかり者の姉と憎めない弟だなあ。
    これから2人に
    幸せな未来が訪れますように。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。

「2021年 『黒牢城』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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