満願 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3069
レビュー : 349
  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287843

作品紹介・あらすじ

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集なのにその一つ一つが濃い。

    最初の『夜警』を読み終えて,
    そのずっしりとした読み応えに続けて読むのは躊躇われたが,
    再び手に取ると今度は一気読み。
    もっと味わいながら読むべきだった。

    洗練された6つの短編。
    その中の『死人宿』『関守』が個人的に好きだった。

    読んでいるとき,

    ”お前が深淵を覗くとき、深淵もまたお前を覗いているのだ”
    ― ニーチェ

    のフレーズが頭をよぎった。
    日常の中の謎に一度囚われてしまうと,
    もうそれを見なかったことには出来ない。
    そして自分もその謎の一部となる。

    気付けばもう9月も終わり,
    今の季節感にぴったりの雰囲気を醸し出す本作。

    秋の夜長を過ごすお供としてぜひ。

  • 「古典部」シリーズの米澤穂信さんの短編集。
    ひとつひとつが、どれも濃い!
    連作短編集かと思えば、どれもまったく違うテイスト。
    どれも面白くて、怖い。
    「満願」は、最後の短編のタイトルなんだけど、
    そこまで読んでみて初めて、
    「この短編は全部、ひとつの願いを貫くことに決めた人たちの話だったんだ」
    と気がつく。
    怖いのだけど、ここに出てくる人はみんな幸せそう。
    自分の願いを、自分の力で叶えたから…ですね。
    だからこそ、面白くて、やっぱり怖い。

  • 時々ミステリーを読んでいて
    どんな優れているトリックやオチがあっても
    (それまで語られてきた人物像)から
    オチやトリックが少しずれていて、
    たまに違和感を覚えることがあるんだけど、
    (そんな行動的か?とか、そんな派手か?とか、
    そんなジメジメしたか?とか)

    でもこの短編に登場する主人公たちは
    その人物像からしっかり想像できるんですよね。
    なぜ、そこに至ったのかが。
    執念深さ。姑息さ。自分勝手さ。使命感。
    それは、それぞれ違うんですけど、
    根雪のように積み重なった何かがあるから、
    心から震えるんでしょうね。

  • 短編集。
    表題作は最後の一作だが、
    ある意味全作満願と言えるストーリーだった。
    何かを成し遂げる決意をした人間の
    怖いくらいの気持ちが読了後に染みる。

  • 短編嫌いの私が★×5
    これは初めてのこと。

    全ての作品が★×5。素晴らしかった。

    何冊かこの作家さんの本は読んだことがあるはずなのに、
    ここまで心掴まれたのは初めてかもしれない。

    インシテミルは自分の好きな分野だった為好印象なのは当たり前だが、
    この作品は自分の得意分野というわけでもない。

    それなのに全ての作品に気持ちを集中できた。
    短時間で没頭して読了してしまった。

    凄い・・・
    絶対この作家さん、上手くなっている。。。
    短編でこんなに惹かれる作品に出会えたのは初めてのことで、
    自分自身とても驚いている。

    とても良い作品に出会えて幸せだ。。。
    これこそ読書の喜び(*^-^*)

    • もおりいさん
      このレビューを読んで早速本屋さんに行って文庫を買って来ました。新たな本をご紹介頂きありがとうございました❗️
      このレビューを読んで早速本屋さんに行って文庫を買って来ました。新たな本をご紹介頂きありがとうございました❗️
      2017/08/20
  • 賞を総ナメにして話題となった、ミステリー短編集。
    物語が進むにつれ、些細ではあるがどこか気味の悪さを孕んだ違和感が一つまた一つと積もっていく。最後の数頁でミステリーらしくその違和感は解消されるが、代わりに恐怖や戦慄が残される点ではホラーと言えるかもしれない。
    どの短編も素晴らしい出来栄え。

  • 最近話題の米澤さんの新刊短編集。評価は高かったけど、私は儚い羊たちの祝宴の方が好きです。
    遠回しに隠される書き方、なんか薄暗い文章、最後にひっくり返される恐怖…大人版「怖い話」のようだ。

  • 米澤穂信の著作を読むのは、『儚い羊たちの祝宴』以来久しぶりだ。短篇集は初めてである。『儚い-』を読んだときにも感じたことだが、米澤の描く小説世界は邪悪だ。一見ハートウォーミングな結末を予感させたりするけれども、ついには暗黒世界に突き落とされる。最後に示される真実、真相は、いつだって残酷なのだ。
    読後感は決して爽快ではない。むしろ爽快感を装って始められる物語は、読み進むにつれ、ざらっとした感触を纏いだす。一見救済のない物語を、ではなぜ我々は読み、かつ魅かれるのか?
    現実の世界で、人が抱く孤独や葛藤といったネガティブな心理は、とかく隠蔽されている。時に本人すら気づかない心の奥底に秘匿されることすらあると思う。米澤氏は、物語の中で、そうした人の内部に潜む「もの」を具現化し、我々の前にあからさまにして見せる。だから、物語の主人公には救いは与えられないが、読む者は主人公への同情を含めて、人という存在の弱さに深い共感を覚えるのだろう。
    氏の小説を読むということは、そうしたことの疑似体験に他ならない。

  • 短編集でそれぞれの話のつながりはなし。世にも奇妙な物語のような内容。今回の作品もこの作者の雰囲気は全て通してあった。
    ドラマ化されたのも見たけれど、役者さんも頑張っていたけれど、やはり本のようにはいかないか…と、思った。でも、それは逆に言えば、演じきれないぐらい、本には丁寧に細かやかに描写がされているということだと思う。
    そんなに、えー?!と、驚くようなびっくりポイントはないけれど、一つ一つが短いので、隙間時間にも読めた。

  • NHKドラマの「夜警」「満願」を見て興味を持ち読んでみた。

    「夜警」も「満願」もほぼ原作に忠実にドラマ化されているのが分かった。60分という短い時間の緊張感が短編でも味わえた。TVでは見逃したが「万灯」でのバングラディッシュでの天然ガスをめぐる商社マンの話は長編ドラマにしてもおもしろいかもと感じた。

    一番最後でガクンとやられたのは「関守」。山姥みたいな話でけっこうオチとしてはある話なのかもしれないが、伊豆の暗い細い峠道にある侘しいドライブインに、樹木の枝葉の暗がりと夜の薄闇が忍び寄ってくる空気を感じた。

    あと「死人宿」では”栃木は八溝の山深く”の温泉という、かなりなマイナー設定。栃木というと那須、日光はポピュラーだが八溝は茨城県境の割と低い里山という感じなのだ。米澤氏はどこで知ったのか。

    「柘榴」はけっこう粘っこい内容。

    続編で残りの3つもドラマ化されないかな。

    2014.3新潮社 単行本で刊行

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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